魔法少女アイ外伝 魔法少女メグ①~始まり~

あらすじ

これは綾守先生の遺作である魔法少女アイ外伝の二次作品です。

二次元ドリームマガジンに追悼特集に掲載された綾守先生のあらすじに私が想像で追加したものを伊藤巧先生に書いて頂いた作品の始まりの部分です。


1.始動

 教室の中は、ぴりっとした緊張感が漂っていた。
 教室の中には数住人の男女生徒が、整然と並べられた机の椅子から、壇上の女教師に注目している。
 教壇に立つ艶っぽい女教師の挙動に視線が集中している。
 その視線は、年上の女教師に対する羨望のまなざしでも、女の色気に魅了されたような軽薄なものでもない。
 ただひたすらに真面目で、まっすぐな眼差しが、女教師に注がれていた。
 プリントをめくる指の動きが終わると、教室の机の椅子に座る少年たちが、ごくりとつばを呑む。
「みなさん、おつかれさまでした」
「……」
 真面目にしていると、女教師はきりっとした雰囲気の、いわゆる「お堅い女性」という印象である。
 だが、その印象とは裏腹に、スーツの上からでもわかるほどに前に大きく張り出した乳房、くびれた腰、丸くふっくらとした尻が、女の色気をかもしだしていた。
 女として、完璧に近い体躯の女性だが、その彼女の表情は緊張を漂わせ、ピンク色のルージュが刷いた形のいい唇は、きゅっと引き締まっていた。
 緊張感が漂う空気の中、不意にその表情が、ふわっと緩んだ。
「はいっ、みんな80点以上~・・ご・う・か・くっ?」
「わあぁッ」
 教室の中の少年少女の間に漂っていた空気が、一気に弛緩した。
 少し大げさなようではあるが、この塾に通う生徒にとってテストの成績は死活問題だ。
 親の期待を一身に背負う少年少女たちにとって
「よくがんばったね♪ みんな、すごい♪」
「わーい」
「ありがとう、先生!」
 無邪気な子供たちの声を聴きながら、女教師はため息のような微笑みをもらし、口元を綻ばせた。
 教室内の子供たちは、誰もがみな年相応の純粋さに彩られていた。
 そこには、ゆらぎ特有の浅ましさや醜さの渦巻きがない。
 ほほえましい光景ではあったが、メグにとってそれは、あまり望ましいことではなかった。
──ここにいるはずなの。ゆらぎが……あの醜い肉塊どもが。
 ゆらぎ……欲望の権化、肉欲の渇望のまま女体を凌辱し、消えようのない傷跡を植え付ける、おぞましき存在である。
 異形の怪物から延びる触手のうねり、その先端が、自らをえぐった時の感触、その記憶は、今も消えることはない。
 メグは自分の身体を抱きしめた。
 頭を軽く振り、よみがえりかけた記憶を振り払う。
 瑠璃男がゆらぎと化した後、その背景を捜索するうちに、このエリート少年専門の塾にたどり着いた。
 財閥や裕福な家庭、成績優秀な男子生徒が、受験対策に通う高額塾だ。
 はたから見ると、そんな暗い裏事情とは無縁のようである。だが、一皮むくと、そこには悪どい欲望がゆらゆらと揺らめき、少年たちとは無関係なところでたゆたっているのだ。
 彼女が教師として潜入したのは、つい最近のことだった。
 彼女の名前はメグ、魔法少女の一員だ。
 魔法少女の中では最も経験豊富で、後輩たちには一目置かれている存在である。
「まってなさい。絶対に尻尾を掴んで、叩きのめしてやるんだから」
 メグは胸中でつぶやきながら、その視線を少年たちにさまよわせる。
 平穏な日常を取り戻せば、この子たちも平和で穏やかな日常を過ごすことができる。
 無邪気に笑う少年たちを守ることが、きっと自分に課せられた使命なのだろう。
 そう思うと、メグの胸の内には仄かに暖かい感情がこみあげてくる。
 メグは、自分に務まるか不安だったけど、こうして実際にやってみると楽しくなってくる。
 誰かに何かを教えたり、成長を見守るのって、天職かもしれない。少年たちのほほ笑みを見ていると、そう思ってしまう。
……ここに至るまでの経緯がなければ、もしかしたら本当に、ここでの日々が生きがいになっていたかもしれない。
 そんなことを思いつつ、メグはここに入ることになったときのことを思い出していた。
 
 それは潜入が決まった日のこと。
 メグは自室の中、鏡の前に立ち、自らのスタイルを確認していた。
「意外と似合ってるじゃない」
 これまでの人生でスーツを着る機会などほとんどなかったが、意外と伸縮性に優れていて着やすいと感じていた。
 それにデザイン性もなかなかで、堅い社会人としての清廉さだけでなく、女らしさを醸し出すような見た目になっていた。
 特に襟元をちょっと指先で開くと、胸の谷間がのぞき、いい具合のアクセントになっている。
 これはこれで、たまに着てみるのもいいかもしれない。
 秋俊に見せたら、どんな反応をするだろう。それを見た時のアイは?
 そんなことを考えると、楽しくなってしまっていた。
 たまには雰囲気を変えてみるのも気分転換になっていいかもしれない。そんな風に思いつつ、メグは眼鏡を手にとり、かけてみた。
「はぁぁー。これもまた、いい感じね」
 意外な事に似合っている。昔からこの道に携わっていたのでは、と錯覚してしまうほどに堂に入った見た目だ。
「んふふ、これなら完璧ね」
 潜入までは、どうやら問題なく行えそうだ。同僚はお堅い職業のお歴々だが、目くらましには十分だろう。
 そこからの相手が少年となれば、潜入先で下手を撃たなければ、障害なく潜入捜査は進められるはず。
 メグは襟を正し、次の日からの捜索に意欲を改めるのだった。
────その夜。
 メグはトイレの便座に座り、用をたしていた。
 ちょろろろ、と音が鳴り、小水が排泄される。ん、と小さくうめくと、メグは軽く身を震わせた。
 小水の後に訪れた衝動の波が、想像していたよりも大きく、そして違和感を彼女の身体に与えていたのだ。
「……んッ」
 思わず漏らした声に、色香が乗る。
────こんなこと、いつものことののはず。なのに、どうしてこんな……ッ。
 腹腔の奥、深いところで蠢く塊が、熱く降りてくる。ぬるり、ぬらりとうねり、腸のぜん動に合わせて動くそれは、メグの過敏になった肉体には、あまりにも甘美な刺激を幾度も与えていた。
 塊が移動し、腸壁を擦れるたび、虚脱感とは別の激しい電気のパルスが脳を打つ。
 ずきん、ずきん、と、頭を痛ませる。メグは顔をしかめ、その衝動が通り過ぎるのを待った。
 そして、脳裏に過ぎる過去の光景……
「くぅん……んッ」
 瑠璃男とシン、あの野獣たちに施された性調教が脳裏を過ぎり、身もだえしてしまう。
 日常的な行為、排泄の衝動……そんな行為ですら、メグを愉悦の波に押しやっているのだ。
 日常的な行為の感覚が、脳が焼かれるような感覚へと変貌を遂げていく。
 メグを蝕んだ性調教の成果である。
 あの二人の野獣は、メグの身体をいたぶりつくした。特に念入りに調教を施されたのは、アナル……いままさに使用している排泄口だった。
 体は正直だ。
 どれほど間が空き、記憶では忘れかかっていても、こうして刺激を与えられるとたちまち甘い悦楽に蕩けてしまう。
……こんなの、いや、なのに、どうして私……ッ。
 メグは、はしたなく身もだえる。アナルを通り過ぎる排泄物がすべて排泄口から落ちて、臭気をにおわせる前に自動水洗で流れていく。
 そしてウォッシュレットで汚れを流してからトイレットペーパーでふき取り、清潔にする。
「ひぐぅンッ」
 メグは、ペーパーでアナルを拭く最中に、苛烈な性感に見舞われて小さく全身を跳ねさせた。
 すっかりアナルはほぐれ、準備は万端とばかりにパクパクと息づき始めている。
 準備? なんの?
 そう自問するまでもなく、排泄の名残の消え去ったトイレの中、メグはもう一つの匂いに気づいていた。
 性の匂い……甘く蕩けるような性の愉悦が、過敏になったアナル、そして、いつしかネットリとした蜜を滴らせていた女の花びらから、痺れを広げていた。
 どうして、私、こんな……
 メグは半泣きで、蜜の溢れる性器をペーパーで拭う。
 こんもりと盛り上がる女の媚肉は、ヒクヒクと欲望をせがみ、自分の意思とは裏腹に性の快楽を求め続けている。
 刺激が欲しい、慰めてほしい。肉棒が欲しい、入れて……誰か、無理やりでもいいから、私を……ッ
 メグの中に鮮やかに咲く女の本能が、しきりにそう訴えていた。
 メグは、自らをさいなむ色欲に、ぎゅ、と身を硬くする。
 このままでは流されてしまう。自らを慰め、そして今度は、それに没頭し、色欲に塗れた女に染め上げられてしまうのだ……
────そんなのだめぇッ!!
 内心で吹き荒れるピンク色の欲情を、メグは強引に抑え込んだ。
「ダメよ、ダメ……こんなもの……耐えるの、ここでシちゃったら、堕ちてしまう……」
 メグを支えているのは、憎き敵への怒りと反逆心だった。瑠璃男やシンを叩きのめし、復讐を完了するためには、自慰に溺れることなど許されない。
 この吹き上がってくる衝動を、感情で抑え込むことで、メグはなんとかバランスを保てていた。
 しかし、メグは、自分の今の危うさは自覚していた。
 このバランスは、ちょっとしたことで崩れてしまう。自慰を行ってしまったら、それに狂い、落ちつくしてしまいそう……それが何よりも怖かった。
 メグは、毅然とした態度を保つ大人の女性として、塾講師になりきる。
 そして、敵を討つ。そのために、最善のことをするのだ。そう、心に刻みなおす。
「……ふぅ。よし、落ち着いた」
 メグは、持ち前の強靭な精神力で、次々と襲い来る衝動をすべてはねのけた。
 性器と排泄口の洗浄を済ませたメグは、手洗いを済ませると、身づくろいをした。
 次の日からは塾での本格的な日々が始まる。それに備えなければ。
 メグは気を引き締めなおし、きゅっと形のいい唇を引き締めた。ここでのことが終われば、きっと自分の人生の転機になる。そう感じながら、スーツを脱ぎ、翌日の準備をするのだった。
 
2.兆候

「先生、先生」
 メグは、生徒の呼び声で、現実に引き戻された。
「あ……え?」
「先生、どうしたんですか? 気分が悪いんですか?」
「あ……ごめんね。大丈夫、少しぼーっとしちゃったみたい」
 メグは気持ちを切り替えた。
 塾の講義はもう終えている。
 先ほど、今日の授業の終わりを伝えたばかりだ。
 教室に残っているのは、質問をしに来た生徒と、友人と話しをしている何人かだけ。
「ほら、授業は終わったんだからもう帰りなさい。ご家族がおうちで待ってるわよ」
 メグが改めてそう言うと、生徒たちは素直にそれを聞き、いそいそと準備をし始めた。
 もう今日の仕事は終わりだ。あとはみんなを帰らせた後、改めて探索の続きを……
「えいッ、カンチョー!!」
 甲高い声が背後から聞こえたのは、メグがそんなことを考えている最中だった。
 いきなり背後から聞こえてきた大きい声とともに、尻の穴に熱い二本の棒がぶち込まれた。
「ひぐうぅぅぅッ!!??」
 だん、と音をたて、メグは嬌声をあげながら教壇に両手をついた。
 何事かと、教室中の生徒の視線がメグに集中する。
────そんな、敵ッ!? こんな状況で!?
 メグは驚きの声を、かろうじて喉の奥に飲み込んだ。
 この視線が集中する中で、魔法戦士の力を使うのは気が引ける。だが、今はそんなことを考えている暇はない。
 もし相手がゆらぎなら、ここで倒さねば……
 メグが反撃しようと体をねじり、背後へと手刀を薙ぎ払おうとして、目に入った光景を認識し、手を止める。
 そこにいたのは、ただの少年だった。
 クラスの中でも優等生で、御曹司ともいえるリーダー格、耕一郎が、しゃがみこみながらメグのアナルに両手の人差し指を差し込んでいる。
 まさしく浣腸の仕草だった。
 メグはとっさの自分の判断に胸をなでおろした。が、直後、体を貫く感覚にうめき、そして目の前の現実に戦慄を覚えた。
────なんの気配もなかった……気づけなかった……
 いくらメグが油断していたとはいえ、攻撃の意志のあるものが近づけば、メグの能力なら気づかないはずがない。
 耕一郎の行為は軽いいたずらのようなつもりだったのだろう。だから気が付かなかったのかもしれない。
 でも、しかし……
 そんな葛藤は、襲い来るアナルへの快感に流され、吹き飛んでしまう。
 調教を受けてから現在まで、メグのアナルには常に甘い疼きが駆け巡り続けている。
 そんな過敏になっている箇所である。
 相手は子供とはいえ、不意打ちの一撃をたたきこまれれば、いかに歴戦の魔法戦士メグであろうと……いや、歴戦の魔法戦士に刻み込まれた傷跡だからこそ深く、崩れ落ちてしまうほどの衝撃なのだ。
 バチンバチンとピンク色の電撃が脳裏に響き、メグはチリチリとしたアナル快楽に耐え切れずに、その流麗な背筋を反りかえらせた。
 背筋をぴぃんと伸ばし、ピクリピクリと激しく痙攣を繰り返す。
「あッ! うッ! うあぁッ! んッ!」
 アナルにぶちこまれた熱い衝動は、ぐりゅっぐりゅっとねじられてアナル内部にめりこむ。
 めりこんだ日本の指が、敏感なアナルの奥へと着衣ごとねじ込まれ、にゅるるん、と入り込む。
 その指先が、メグの窮屈にすぼまろうとする尻穴の圧力をこじ開け、ついでに最奥へと到達した。
 じゅぐぐ、にゅぐぐぐぐッ!
 スーツのインナーを巻き込むくらいに深く差し込まれた少年の指使いに、メグの体がつま先立ちに伸びあがる。
「か、は……ッ」
 メグは息も絶え絶えになりながら、必死で正気を取り戻そうとする。
 これ、もう、ダメ……ッ!
 少し手荒なことをしてでも振り払わなければ、とメグがかんじ始めた直後、ぬぽ、という音を立てて少年の指が抜き取られた。
「えっへへ。どう? 僕の必殺技のカンチョー。クラスではやってるんだよ」
 耕一郎が得意げに胸を張る。
「これ、今ボクのクラスではやってるんだ。大人の人にも効くのかなって思ったけど、効きすぎちゃったみたいだね」
「こ、耕一郎くんッ! あなた、なんてことを」
 メグは、邪気のない少年の笑顔に表情が引きつるのを抑えきれなかった。
 はしたない声をクラスの中であげてしまったこと。ぐりぐりとねじりこまれてしまったこと。その姿を、クラス中の男子生徒に見られてしまったこと。
 現に今、メグがさらした醜態を、きょとんとした顔で生徒たちが見ている。
 ここでお仕置きをするのは、得策ではないだろう。そう判断したメグは、努めて冷静に、耕一郎の前に身をかがめた。
「いい? 耕一郎くん。女性の体はね、男の子の体よりもろくて、すぐに痛い思いをしちゃうの」
「え、そうなんですね。メグ先生も?」
「そうよ。女はみんな、そうなの。だからね、お尻に指を突き刺すなんてことをしちゃだめなの。特に女の子は、痛いし、見られたことを恥ずかしいと思って、とてもつらい思いをすると思うよ」
「そう、ですよね。うん。わかりました」
 いつになく真面目な説教に、耕一郎はしょぼくれた。
 少年らしい反応に、メグは少し、きつく言い過ぎたかなと心が痛んだ。
 さっきまでの疑念はもうない。相手が邪気のない少年なら、警戒網に引っかからないのも、今ならうなずける。
 そう納得したメグは、耕一郎のサラサラの髪を撫でつけ、微笑みかけた。
「よろしい。もうカンチョーなんてしちゃだめよ? 男の子にも女の子にもッ。ね?」
「はいッ。わかりました! メグ先生、本当にすみませんでした!」
「わかってくれればいいの」
 耕一郎は、お辞儀をしてから身をひるがえし、そのまま仲のいい友人のもとへ立ち去って行った。
 教室内は生徒の数ももう少なく、メグが改めて帰宅を促すと、直にみな、帰っていった。
 メグは体を襲うしびれを強引に抑え込みつつ、その人並みから離れて、教室から退室することにした。
 まだ知りの奥には違和感があるが、しばらくすればそれも消えるだろう。
 メグの足取りはふらついていて重い。なんとか身動きできている、というようなよたよた歩きで、メグは教室から廊下へと厳雄した。
「はう……やだ、歩きづらい」
 スーツは整えたが、強引なカンチョーのせいでスカートは皺深くなりショーツはきゅうっと食い込んでいて、ストッキングは伝線してしまっていた。
 全く、子供じゃなかったら再起不能にしてたところよ。
 胸中でぼやきながら、メグは不安定な足取りで教室を離れた。
 教室内は、誰もいない空間となり、薄暗い闇の中に包まれようとしていた。
……しかし、その後、誰もいなくなった教室内には一つの人影が浮かび上がっていた。
────誰もいなくなったはずの教室の中、人気のない室内には、一人の少年がいた。
 自らの指先を、長い舌でチロリと舐めて、ご機嫌そうにつぶやく。
「くくッ。噂通りのアナル狂いみたいだね……これならすっごく楽しめそうだよ」
 邪悪に満ち満ちたそのつぶやきは、誰に聞かれるともなくくに消え去っていくのだった。


この作品が一瞬でも綾守先生がいなくなったことの皆さんの孔を埋めれれば幸いです。魔法少女アイ外伝は楽しみにしてファンも多いと思うので、二次作品ですが楽しんでいただければ嬉しいです。もちろん今後も伊藤巧先生にお願いしており続きます。
感想があれば励みになりますのでお書きください。
またアンケート(アンケート1 と アンケート(2回目)だけでもいただけたら今後の参考になりますので協力して頂ければ幸いです。
よろしくお願いします。


 

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