魔斬姫伝外伝~復活のマーカス~後編

■八雲調教4  
 数時間後。
 淫気に満ち溢れたそこで、八雲は四つん這いになっていた。
 頭を地面に擦り付けるようにして、腕で身体全体を支えようとするもののあまり支えられていない。
 もう腕で身体を支えることさえ難しいくらいに、体力も何もかも奪われてしまっていた。
 頭を地面に伏せ、その大きな胸も呼吸に合わせて上下する。
 床の冷たさが、八雲の胸を刺激する。
 たったそれだけのことなのに、胸が刺激でイキそうになる。
 それだけこれまでの激しい責めが、調教が八雲を蝕んでいたのだ。
 八雲は肩を上下させて荒い息を繰り返す。
 その度に胸も少しばかり揺れた。
 丸出しの胸は、まるで乳牛のように、重力で下の方を向いている。
 八雲はようやく肉壺から出されたのだ。しかし、動けない。
 当たり前だ。
 それ程強い刺激を与えられ、体力を奪われたのだから。
 さらには快感の波が頻繁にあってその度にイッていたのだから、動けるほどの体力が残っているわけがない。
 八雲も訓練されているとはいえ、人間だ。
 体力の限界だって当然ある。
 それを知っているマーカスは意地悪く、ぎりぎりのところを責めていた。
 そして自分にひれ伏すように四つん這いになる八雲を見て嬉しそうに笑っている。
 八雲は悔しくて堪らなかった。
 動くことさえ出来ないなんて……。
 ましてや、相手を喜ばせてしまっている。
 どうしたらいいのだろう。
 どうしたら、この窮地から逃げ出せるのだろうか。
 やはり、隙を突いてこのマーカスを殺し、それから法子を探して一緒に逃げるしかないのだろうか。
 だが、その作戦はどうやったら成功する?
 このマーカスに、勝てるのか?
 そもそも、現在地はどこなんだ……。
 これでは応援を呼ぶことさえも出来ない。
 もし応援が来たとしても、マーカス相手では手こずるか、負ける可能性の方が高いだろう。
 八雲は思わず、溜め息が荒い息と共に出た。
 それにしても、これまでの自分とは大きく違って、イキまくることしか出来ない。
 こんなにも責められるだなんて……。
 それも、胸ばかりを。
 弱点の胸を何度も触られ、触手で刺激を与えられて、淫気を吸わされ……。
 八雲は丸出しの胸を揺らしながら呼吸をした。
 ああ、だめだ。
 まだ全然、淫気が抜けていない。
 それどころか辺りにある淫気は増えているじゃないか……。
「んっ、ンンンンゥ……ッ!」
 胸を触手で刺激される。
「随分余裕そうだね」
 マーカスはそう言って、八雲の胸を刺激しながら話しかける。
「君達はもっと自分の欲望に素直になればいいのに。あ、でもそれじゃつまらないか。うん。反抗してくれた方が面白いね。君はまだ、諦めていないんだろう? 僕を殺すことを」
 そう言うマーカスに、八雲は力を振り絞って睨んでこう言う。
「当たり前だ。お前を殺して、法子を助ける。そして、こんなところから、さっさと出て言ってやる」
 八雲は弱気になりそうだった自分を叱った。
 こんなことで負けてはいけないと。
 そう思って軽口を叩いたのだが、その実、そこまでやれる気がしないというのが正直なところだ。
 でも、それでも頭には負けてはいけないということを忘れない。
「ふうん。僕を殺せるかな? そんな状態で。見ていればわかるよ。もう限界なんでしょ? 素直になりないよ。つまらない意地なんか捨ててさ」
 そんなことを言うマーカスに、八雲は睨みながらこう言う。
「誰が、言う通りになんてなるものか! その首、絶対に切り落としてやる」
 啖呵を切った八雲だったが、しかし同時にその戦意以外のものが胸の内に深く巣食っていた。
 胸を弄られ、乳首を擦られ、双乳を揺すられて、下腹部の奥がきゅんきゅんと疼くのがわかった。
「……!」
 それに気づいてしまった八雲はぎりりと奥歯を噛み締める。
 こんなの、酷いじゃないかと。
 どう頑張っても、戦うことも出来ない。
 かと言って、欲しい刺激が与えられない。
 それではあまりにも身体が切ない。
 そして戦意が絶頂への欲望にかすむ。
 まるで風船のように、最初は殺意と勝つ気で空気がいっぱいだったのに、あまりの責めにその空気が抜けてしまったかのようだ。
 これしきのことと、思っていたのに……。
 どうしてこんなに絶頂を待ちわびているの。私は法子を助けなくちゃいけないのに……!
 それだと言うのに、八雲はただ呼吸を繰り返すのみ。
 呼吸するだけの微かな乳肌の伸びや微かな揺れでも気持ちいい。
 揺れる大きな胸を、汗が流れる。
 気持ち良さを求め、少しだけでも揺れることを望んでいた。
 少しでもいい、刺激があれば、それで……。
 そして、下半身の方も、弄ってもらえたら……。
 だが、そんなことをして何になると、八雲は自分を叱った。
 気持ちよければそれでいいだなんて、そんなことはない。
 使命を忘れてはいけない。
 目的を忘れてはいけない。
 自分が何のためにここにいるのか、それを八雲はもう一度自分に確認した。
 法子を助けなければならない。
 いつも慕ってきてくれたあの子を、助けなければならないのだ。
 そんな法子のためにも、頑張ってこの窮地をどうにか抜け出さなければ。
 そしてマーカスを倒して、日常に戻るのだ。
 そう考えながらも、快感をつい貪ってしまう。
 しかし、それでも……。
 八雲は自分を厳しく叱って本来の目的を思い出していた。
「マーカ、ス……」
 四つん這いになりながらも、怒りで相手の名を呼ぶ。
 マーカスは酷く楽しそうな表情で八雲を見た。
 まだ死んでいない鋭い眼光で、八雲はマーカスを捉える。
 お前には絶対に負けないと、その眼は語っていた。
 だが、どう見ても八雲は劣勢だ。
 劣勢というよりかは、もう負けているかのようだ。
 しかし八雲は諦めない。
 必ずどこかに現状を突破することの出来る何かがあるはずだと、周りを見渡したり、今までのことを振り返ったりしていた。
「考え事? 随分と余裕そうだ」
 マーカスにそう言われて八雲はハッとする。
 目の前の敵を倒さなければ。
 でも、武器だって奪われてしまった。
 これでは、戦うことが出来ない。
 力なく四つん這いになり、荒い息を繰り返す八雲は、どうしたらいいのかと考えを張り巡らせていた。
 その間にも、正常な呼吸が出来ず、口の中の唾液が溢れ、口から出てしまう。
 口からはたらりと透明の唾液が流れ、それが地面に落ちる。
 もう唾液を飲み込むほどの力もないのだ。
 唾液が分泌されて、地面に落ちていく。
 何度も、何度も……。
 まるで湧き上がる淫らな気持ちを吐き出すかのように、唾液が落ちていった。
 しかし八雲はそれでも忘れてはいけないと自分を律する。
 荒い息を繰り返し、そして八雲はマーカスを再び睨みつける。
 八雲の殺意は消えていない。
 それどころか、もっと強くなっているくらいだ。
 マーカスでさえも、これほどまでに殺意を抱き続けることが出来るだなんて予想外のことだったが、そうじゃないと面白くないと、機嫌を良くした。
「面白いなぁ。まだ歯向かえるんだ。本当に、君は楽しませてくれる」
 マーカスはそう言って、八雲の様子をじっと見ている。
 淫気を吸った身体が、じんわり汗ばんでいて、さらにはほとんどが溶けている。
 こんなもの、もはや意味がない。
 マーカスは一人、笑っていた。
 一方で八雲はこんな息も絶え絶えで、それでも殺意だけは忘れないと、必死にマーカスを倒そうと頭を使っていた。
 だが、その肝心の頭が、絶頂したいという方向にしか考えられず、まともま思考をしていなかった。
 イキたい……。イキたい……!
 そう思う八雲だったが、でも心に法子がいることで、少しだけ冷静にはなれた。
 しかし、その弱った姿は、まるで相手に土下座しているようなポーズ。
 屈辱的だった。
 八雲にとって、それはもう酷く辛いものだった。
 こんなやつの前でこんな格好でいなければならないだなんて。
 でも身体は動かそうとしても動いてくれない。
 とても重い何かに圧し掛かられたかのように、身体が動かないのだ。
 全身は張り詰め、発情状態。
 そして心も過度の欲情状態だった。
 今すぐにでも、胸を触られたい。
 いや、もっと触られたいのは下の方……。
 陰部を、秘裂を開いて中に入れて欲しい。
 ぐちゃぐちゃになるまで犯してほしい。
 陰核も、責めて欲しい。
 この下半身の全てを、責めて欲しい……。
 上ばかりじゃなくて、もっと下も触ってほしい!
 下の方はまだ触られてすらない。
 いくら乳イキが出来ても、これではあんまりだ。
 どうして下の方を触ってくれないんだ。
 こんなにも、触ってほしいというのに……。
 もう陰核は痛いほど立っていて、いつもなら隠れているところを大きくして飛び出しているんじゃないかというくらい、敏感になっているのに。
 股当が当たって、それだけでも感じてしまっているのに!
 そんなことが頭を駆け巡る。
 だが、八雲はすぐに冷静になる。
 いくら何でも、こんな欲情状態……。
 八雲は自分でも自分が信じられなかった。
 落ち着け。落ち着け。
 どんなやつにも必ず隙はある。
 必ず勝てるその瞬間がやってくる。
 だから、戦意を忘れずに持って、その時を待つんだ。
 そう思う八雲の戦意は刀のように曇りはなかった。
 しかしそんな八雲の無様な姿に、少し胸の留飲が下がるマーカス。
 その状態で、五裂触手で胸を責められる。
「うぅ、くう……っ」
 どろどろに性に溶けさせられた八雲は、その刺激に感じてしまった。
 しかし、不満もあった。
 いくら胸が弱点でも、胸ばかりを触られていては、この下半身の疼きはどうにもならない。
 確かに胸だけでもイケることにはイケる。
 しかし、下半身の強烈なもどかしさは強くなるばかり。
 強すぎる下半身のもどかしさと切なさを表すように、乳アクメの際は、腰が痙攣してしまう。
 みっともない姿だと、八雲は自分でも思っていた。
 無様な姿だと、自分を嘲笑した。
 だが、そんなこと関係ないとばかりにすぐに次の刺激が与えられる。
 肉体が変えられていく。
 精神が、性欲に支配されていく。
 今までにないような、大きな性へを望んでしまう……。
 こんなこと、本当に今までなかったのに。
 怖い。
 どうしたらいいのだろう。
 どうしたら解消できるのだろう。
 マーカスが、何か刺激を与えてくれるだろうか。
 いや、それは望んではいけない……。
 でも、望んでしまうのは何故?
 今までの自分と全く違うその変化に、八雲は恐ろしさを感じていた。
 こんなの、私じゃない……。
 そう思いながらも、下半身の、子宮の辺りがきゅんと疼くのを感じた。
 そこは収縮して、中にもと言っているかのようだ。
 八雲は震える手つきで、五裂触手を掴み、取ろうとするが、より触手は密着し、内部で震え、揉み込む。
 まるで自分で胸を揉んでいるかのようなポーズで、みっともなくもアクメしてしまう。
 こんな姿でアクメしてしまうなんて……。
 そう思いながらも八雲はアクメの感覚を身体の深いところで味わっていた。
「どうしたんですか? もっとしてほしくてそのようなポーズを?」
 マーカスは笑いながらそう言って、息も絶え絶えな八雲に近づく。
「ち、違う! 私は、感じてなんか……。してほしくなんて、ない」
 八雲の精一杯の反抗だった。
 本当のところは、もっとしてほしい。
 そう思ってしまったのも事実。
 しかしそれを言ってしまったら負けになってしまう。
 負けてしまっては、いけないのだ。
 それだけは絶対にしない!
 だが、マーカスはそんな八雲の姿を面白そうに見て「じゃあ、確かめてあげるよ」と言って、八雲の上半身を責めた。
 また上半身……。
 いつになったら下半身を責めてくれるのだろう。
 そう思った八雲は、どんどんマーカスの術中に嵌っていく。
 八雲はもはや時間停止がなくてもイキまくる。
 触手にいいように使われて、触られて、揺すられて……。
 八雲は襲い来る快感の波に呑まれていく。
 でも胸ばかりじゃない。
 もっと下だって触ってほしいんだと、そう眼で訴えかける。
 それに気づいているのか、気づいていないのか。
 マーカスは意地悪く胸ばかりを狙って責め立てる。
 乳首を吸引して、触手で擦って、時には叩いて……。
 そんな中で、八雲はぼんやりと頭に残っている法子を思い出す。
 そうして殺意を何度も思い出し、負けはしないと自分に言い聞かせていたが、もう何も考えられない。
 最後に時間停止で10秒間五裂触手で愛撫され……、時間が動く。
 八雲は銃で撃たれたように、仰向けになり痙攣し絶頂する。
 その姿はあまりに酷く無様なものだった。
 ぴくぴくと腰が痙攣し、手足もびくんびくんと動く。
「っあ、うぅ……っ」
 八雲は言葉が出ず、小さく喘いでいた。
 まだ絶頂の余韻があるのだろう。
 絶頂しすぎて、淫気を吸い過ぎ、腰が気だるく重くて、ほとんど動けない。
 しかし、しばらくして動けるようになると殺意を持って八雲はマーカスを睨む。
 こんなもの、無駄だとでも言いたそうにして。
 だが、そんな睨みもマーカスにとっては小動物の反抗と同じようなもの。
「今、どちらに主導権があるのかわかっているのかな」
 そう言って、八雲を絶望のその先へと叩き落とそうとする。
 八雲はそんなマーカスに唾でも吐いてやろうかと思ったが、それをするだけの体力もない。
 結局睨み続けるしか出来なかった。
 八雲の欲情に塗れた濡れた瞳は、殺意を感じられるものの、マーカスには欲情している眼に見えるのだ。
 五裂触手が離れても、全身は痙攣したまま。
 そのまま上から股当てに足を乗せられる。
 そしてその状態で振動される。
 ぎゅっぎゅ力を入れられて、前後に揺すられ、そこはまるで泉のように濡れていく。
 今までほったらかしにされた下半身は自分の番が来たと、歓喜し、気持ちよくなってしまう。
 八雲は自分でも信じられないくらい、気持ち良さに眉を顰めて耐えた。
 いや、逆に貪っていたのかもしれない。
 ようやく下半身を触ってもらえた。
 やっと、下半身に刺激が与えられた。
 それは八雲の欲求を解消するものだった。
 陰核に股当が当たって、気持ちがいい。
 自然と陰核は立って、さらに刺激を求める。
 同時に下半身に感じていた強烈な切なさやもどかしさも僅かに解消されていき、快感によって頭が溶けてしまいそうだった。
 胸とは違う気持ち良さ。
 それは想像するよりもずっとずっと気持ちがよかった。
 股当で陰核が擦られ、秘裂からは粘り気のある液体が分泌されていく。
 中も、中も、……と八雲は腰を自分で揺れ動かし、その刺激を気持ちよさそうに受け入れていた。
 八雲はそんな刺激でもイッてしまっていた。
 マーカスは足を変化させる。
 小刻みに動かせるように、よりダイナミックに動かして刺激出来るようにとマーカスは足をある意味巨大なバイブレーターにした。
 股当を激しく擦られるのは本当なら痛みを感じるレベルだ。
 しかし、自分を守る股当が絶妙に強すぎる振動を緩和し、憎たらしいほどの快感を陰核、秘裂、最奥の子宮に与えて来る。
 こんなに気持ちいいだなんて、頭が変になってしまう。
 いや、もう変なのかもしれない。
 長時間の調教で、八雲はもう頭が正常に戻ることが少なくなってきていた。
 だが、それでも八雲は自分を支える法子を助けるということだけは忘れずにいた。
 そうすることでマーカスへの殺意を忘れないし、逃げて応援を呼ぶということも考えられるのだ。
 どろどろに溶かされたような、そんな頭でも、まだまだ戦意は失われない。
 八雲に戦意はある。
 戦う意志はあるのに、ただの振動のみで快感に流される。
 たったこれだけの刺激で、なんで……。
 そう思いながらも、振動の刺激で何度も八雲はイッてしまっていた。
 ああ、こんなことされるだなんて。
 こんなんじゃ、法子を助けられない……。
 いや、待つんだ。
 隙が絶対にあるはず。
 敵だって計算外のことがあるはずだ。
 そんなことを思っていると、マーカスがより足を素早く動かす。
「ンンッ!」
「何を考えてるのかな? まさか、まだ逃げ出そうとか、助けだそうだとか考えてるのかな? 無駄だから考えるのやめれば?」
 それはつまり、解放する気がないということ。
 八雲は赤くなった顔で必死にマーカスを睨む。
「睨んでも怖くないよ? だって、今の君は僕に手出しさえ出来ないのだから」
 図星だった。
 睨んだところで効果もないし、ひょっとしたらそれ以上のことをされてしまう恐れだってある。
 それでも、自分の意志を見せつけるには睨むしかないと思っていたのだ。
 だが、そんなもの、マーカスにはどうでもいいことだった。
 あの八雲を自分が倒し、好きなように扱っている。
 そして絶頂を何度も何度もさせて、八雲の思考をイクことばかり考えさせ、自分のことばかりを考えさせる。
 まだ殺意はあるだろうが、その殺意すらも可愛いものだ。
 マーカスはそうなっていったことの喜びが大きかった。
 八雲はそんなマーカスの気持ちなど知らずに、ひたすら睨み、戦意を失わないために、絶対にマーカスを殺すと心で呟いた。
「もしかして、まだ殺そうだなんて思ってるの?」
「……ああ。お前を、必ず殺してやる」
 そう言うと、マーカスは面白そうに、まるで格下のものを見るように嘲笑った。
「こんな風にされて気持ちよくなっている君に、どうやって僕が倒せるというのさ。まだ逃げ出す方法すら考えることが出来ないだろうに。どうやって逃げるの。そういえば法子を助けたいんだっけ? それも果たして出来るのかなぁ」
 その言葉が酷く、八雲には悔しい思いをさせた。
「ま、僕は面白いからいいけどね。君達のような花が開くのを、待っているのもなかなか悪くはない」
 そう言いながら、マーカスは八雲の股当をぐっぐと足で刺激した。
 八雲は声にならない声を上げてイッてしまう。
 たったこれだけの刺激で、我を忘れてしまうなんてと、八雲は自分を恥じた。

■八雲調教5  

 しばらくするとマーカスは平べったいモップのような触手で八雲を襲った。
 その平べったいモップのような触手は、ヒマワリの触手と違い、下半身用に作られていて、縦に長く、秘部を責めることに関しては飛び切りの性能を持っていた。
 うねうねとモップのような触手が動き、普通に見ればグロテスクで済むところだが、八雲はそのグロテスクな触手で弄ばれてしまうのだ。
「これ、いいでしょ。随分楽しめると思うんだけど」
 マーカスがそう言うと、八雲は睨みながらこう言う。
「こんなもの、出したところで無駄だ。私の気持ちは変わらない。お前に負けなど、しない!」
 強い意志を持った八雲はそう言ってモップ状の触手を馬鹿にするように鼻で笑った。
 マーカスのすることなど、何にもならないと、笑っていた。
 だが、それは少し虚勢を張っていたこともあって、鼻で笑えたのだ。
 しかし、実際に刺激をされるとそうは言っていられなくなった。
 八雲は平べったく長い、内部がモップのような触手に股の間を嬲られ続ける。
 モップ状の触手はうねうねと動き、そのグロテスクな姿を八雲に見せていた。
 モップ状の触手に八雲のその股の間に入り込まれ、閉じていた秘裂をこじ開けられる。
 そこはもうしっとりというよりかは、しっかりとどろりとした液体で濡れていて、モップ状の触手をあっさりと受け入れる。
 中からとろとろの液体が流れ出て、もう準備は出来ているとばかりにそこはしっとりとしている。
 マーカスはそんな八雲の股の間を見て、「口では殺すだの何だのと言っていたけれど、ここをこんなにして、どの口が言うんだろうね。無駄とも言っていたけれど、今じゃこれの気持ち良さに腰まで動いているじゃないか。足だってぴんと伸ばして……。まるでお楽しみ中とでも言わんばかりの君のその姿、実に滑稽だよ」と言った。
 八雲は悔しさで奥歯を噛み締めた。
 確かに、そうだ。
 敵の……、マーカスの言う通りだ。
 口では何とでも言える。
 何度だって殺すと言える。
 でもそれを実行できない今、その言葉は意味をなさない。
 それでも、八雲は反抗の意志を睨みつけることで見せつけた。
 鋭い牙を持った、大きな獣と同じなのだと。
 マーカスなど、いつでも倒せる。
 そう心から思い、殺意を思い切りマーカスにぶつけた。
 責められながらも眼光の鋭さは変わらない。
 マーカスはその鋭い眼光に射られ、驚きを隠せなかった。
 まさかまだ諦めていないのか? この状況で?
 この快感に、負けないと、そう言えるのか?
 そう思うとマーカスはその八雲の強さを甘く見ていたと知る。
 だが、それは嬉しい誤算だった。
 八雲がまだ完全に自分のものになっていない。
 ならば、調教し甲斐がある。
「……! そうでなくちゃね。動かないただの玩具より、そういう風に突っかかって来るくらいの玩具が丁度いいんだ。僕は嬉しいよ。八雲みたいな、雌に出会えて。もちろん、殺されそうになったことを考えると、この程度の責めじゃ全く足りないけどね」
 マーカスはそう言って機嫌良さそうに笑みを見せた。
 そしてモップ状の触手が動き出すと、八雲は心のどこかが酷く喜んでいるのを感じた。
 本当はこんなこと思ってはいけないと、そう思うも八雲は喜びで満ち溢れた身体には勝てなかった。
 やっと下半身を触ってもらえた。
 やっと下半身のもどかしさを解消できる。
 やっと、下半身でイクことが出来る……。
 そう思った八雲だったが、身体の快感を求めると同時に任務を思い出し、身体の快感を抑えて耐えようとするものの、与えられる圧倒的な刺激に、思わず唾液がたらりと零れ、地面に落とした。
 同様に、股の間からも淫臭がする程濡れ、その粘り気のある液が太ももまで垂れた。
 そのことに気づいた八雲は、珍しく焦った。
 こんな責めに耐えられないだなんてと、視界が暗くなっていくような、そんな気さえした。
 そもそも、いくら退魔師と言えど、こんな刺激を与えられることを前提に訓練しているわけではない。
 与えられる刺激はいくらでもバリエーションがあるし、個人差もある。
 とはいえ、八雲は悔しくて仕方がなかった。
 秘部に与えられるその刺激が、気持ちいいだなんて……と。
 アクメを迎えると一瞬で全てが吹っ飛び、無様にもさらにもっとアクメをと身体が求めてしまう。
 心も、完全にという訳ではないが、アクメを求めてしまう。
 さらには秘部だけでなく、胸が揺れるだけで快感が走り、それだけで気持ちよくなってしまう。
 陥没していた乳首だって今では完全に隆起し、刺激を欲しがって仕方がないのだ。
 大きな胸が揺れて、その揺れに八雲は気持ち良さをつい感じてしまって自分を叱る。
 溶かされた念装厚膜……。
 それがない今、感覚は研ぎ澄まされ、刺激には非常に弱い状態だった。
 だからとはいえ、胸が揺れるだけで感じていてはどうしようもない。
 こんなもの、大したことじゃない。
 胸の揺れなんて、気にしていてはいけない。
 そう思うものの、八雲は揺れる双乳に感じてしまっていた。
 マーカスはそんな八雲の全身を見て、胸はもちろんのこと、秘部さえもじっくりと見つめていた。
 まるで何かを企んでいるかのように……。
 それからマーカスは触手で八雲の秘部を捉えると、モップ状の触手で、ゆっくりとその秘部を味わうように動かしていた。
 その動きは、まるで軟体動物に引っ付かれて、さらに奥に向かって進まれて行くような……。
 秘部はあまりにも熱を持っているからだろうか、それとも元からの色なのか、少し濃いピンク色をしていて、それが逆にモップ状の触手の色をグロテスクに見せた。
「……っ!」
 モップ状の触手は膣の浅い部分に食い込み、さらに陰核を擦られ、舐められ、まとわりつく。
 一通りの刺激を全て受け止め、気持ちよさが駆け巡る。
 気持ちよくて、八雲は声にならない声を上げて嬌声を吐息で表した。
 その吐息は酷く熱く、潤んだ瞳がいかに気持ちいいかをマーカスに伝えていた。
 そうしている内に、モップ状のその触手がぬるりと秘裂から出入りをし、八雲は思わず目をぎゅっと閉じた。
 そしてすぐに再び目を開ける。
 マーカスに隙を与えないために。何か、されないために。
 でもそんなことを考えていようと、今の八雲にはあまり役に立たないのだった。
 何故ならその刺激は普通では体験できないようなもので、味わったことのないものだった。
 そして秘部全体を包み込まれ、思い切り刺激を与えられる。
 膣の浅いところにあるモップ状の触手は、秘裂をこじ開け、浅いところばかりを擦ったり撫でたりと刺激を与える。
 そして触手を何本も何本も入れられ、浅いところを触手がばらばらに動いて刺激を与えられる。
 八雲は膣の中のある一点、Gスポットを撫でられると、腰がぴくんと動き、自ら求めるように腰を動かしつつあった。
 そのことに気づいたマーカスはわざとらしくこう言う。
「腰が動いているよ。Gスポットにでも触っちゃったのかな?」
 八雲はハッとして目を潤ませながらマーカスを睨む。
 しかしその睨みの効果は薄いどころかほとんど意味がなかった。
 マーカスは意地悪く、八雲のGスポット付近を触ったり、擦ったりしているが、肝心のGスポットそのものには触りはしない。
 もどかしい……!
 もっと、もっとしっかり触って!
 擦って! ぎりぎりのところばかりを責めないで!
 そう思っていると、Gスポット付近だけではなく、陰核にも強い刺激があった。
 陰核はただ擦られるだけではない。
 擦られ、そして触手が吸い付いて来るのだ。
 先端はもちろん鋭いタッチで触られ、根元を扱かれ、陰核への刺激は十分すぎるほどにあった。
 先程の責めよりも、スピードが速い。
 それだけに追い詰められるスピードも、速くなる。
 それを見ながらマーカスは触手を動かし続ける。
 時折寸止めなんかをして、アクメを強制的にしないようにすると、八雲は酷く欲情した眼でマーカスを見るのだ。
 マーカスは「僕に何をしてほしいの?」と聞くと、八雲はハッとして表情をすぐに変えて「いつまでこんなお遊びをしているのかと思ってな」と強がって見せた。
 しかしそれが強がりであることは誰がどう見てもわかるようなものだった。
 それから何度も何度もアクメをさせられ、ついには声まであまり出なくなる。
 八雲は快感で腰が痙攣する。
 足指にこれ以上ないくらいに力が入る。
 ぴんと張ってた足は、あっと言う間に硬直する。
「う、ああ……っ!」
 そう呻きながら軽く絶頂する八雲。
 アクメを迎えた八雲は、アクメによりわずかに腰を、全身を痙攣させていた。
「く、うぅ」
 悔しそうにそう喘ぐ八雲に、マーカスは笑っていた。
「この程度でアクメしちゃって大丈夫? まだまだ、責めたいんだけどなぁ。あ、いいか。君はもう僕のものだし、たくさんアクメさせてあげるよ。ずっとしてほしかったんでしょ? 下半身に刺激を与えてあげるよ」
 そう言われ、八雲はこれ以上に刺激を与えられるのかと絶望にも似たものを感じていた。
 こんなに辛いのに。
 いっぱいいっぱいなのに。
 これ以上責めて、どうするというの……。
 そう思いながらも、身体は動かない。
 触手はマーカスの意のままに動かされる。
 そしてマーカスは宣言通り、下半身を中心に責め始める。
 胸とはまた違った快感で、もじもじと膝を擦り合わせていた。
 アクメが近くなっていくと、膝を擦り合わせるのではなく、蟹股になっていく。
 股の間の、秘裂にモップ状の触手が入り込んで中を少しずつ刺激していくのだ。
 そしてその刺激を与えるためにマーカスはモップをさらに変えていき、その秘裂の中に触手が多く侵入していく。
 数多くの軟体動物に入られるかのようなその感覚に、八雲は思わず身を震わせた。
 そして先程のGスポットを強く刺激され、気持ちよくて頭が変になってしまいそうだった。
 陰核も、的確に捉えられて、歯ブラシのように変化させた触手でマーカスは擦るように刺激を与えた。
 そんな責めを与えられて、ぎりぎりの状態だった八雲はついに天から地へと落ちるかのように気持ち良さで目的を見失いそうになった。
 プライドの高い八雲のことだ。こんな責めを受けること自体、屈辱的でならないだろう。
 そんな八雲のことなどお見通しなマーカスは、こう言葉を続ける。
「どうしたの? 腰と足が随分と動いているみたいだけれど。そんなに気持ちいいの? ……最初の威勢はどこにいったのかな。誰が誰を殺すんだっけ? そういえば、ずっと法子を気にしていたよね。法子のことも考えられないんじゃない? このザマじゃね」
 八雲は必死にマーカスを視界に捉えて、睨みつけた。
 でもそんな睨み、マーカスには子猫の威嚇のようにしか感じられない。
 それだけ八雲はもう弱っていたのだ。
「そんな可愛い顔して、君は男を誘う天才のようだ」
 八雲は何かを言ってやりたかった。
 だが、考えられる言葉はどれも幼稚なものばかり。
 そんなもの、言ったところでこいつにダメージはいかない。
 落ち着け。
 そうして、どうにか勝機を掴むんだ。
 どうにかして、法子の情報を吐かせて、場所も知って、救援を求めなければ。
 八雲は責められて頭がおかしくなりそうになりながらも、まだ諦めていなかった。
 与えられる刺激には敏感に感じ取っているものの、思考はまだ正常に考えることが出来ていた。
 ここに来た目的を思い出せ。
 法子を助けるんだ。
 そう思うと、強い刺激にも八雲はなんとか耐えられるような気がした。
 光を失わない八雲の瞳に、マーカスは「ふうん」と言った。
「まだ希望はあるって、もしかして信じてる? そんなもの、捨ててしまいなよ。どうせ無駄なんだからさ。僕を倒すことすら、きっと出来ないよ」
「そんな、ことはない! 絶対に、お前を倒して、法子を救出してこんなところ、出て行ってやる!」
 八雲はそう言って、責められている部分の感覚を少しでも鈍らせようとした。
 さらにはマーカスを挑発して、隙を見せさせようとしたのだった。
 しかし……。
「そんな軽口、まだ叩けるんだ。でもさ、考えてごらんよ。まず僕を簡単には倒せないことはわかっているよね。それにここを出たところで、君達は淫魔に愛されるだけなのだから、あまり変わらないんじゃない? だって君程、淫魔が愛したくなる人間はいないからね」
 そう言われ、八雲は眉間にしわを寄せた。
「……絶対に、お前を殺す」
 しかしそう言いながらも、八雲は時折びくんびくんと足を、腰を、胸を動かす。
 それだけ刺激が気持ちいいのだろう。
 Gスポットを押されると、それだけ何度も腰を動かしてしまう。
 自然と腰が動いて、それを止められない。
 好きで動かしているわけじゃない。でも、それでも動いてしまうのは快感に溺れる身体のせい……。
 八雲はそう思うことにした。
 さらに陰核への刺激も、そのままダイレクトに八雲に伝わる。
 八雲はその伝わる感覚をどうにか押し殺そうとしたが、それは無駄だった。
 手を変え、品を変え、マーカスは八雲の気持ちいいことばかりをしてくる。
 八雲はこんなにも自分の気持ちのいいところを責めて、陥落させる気だなと、強い芯の部分で思い、絶対に負けないと誓った。
 だが、それでも与えられる刺激には弱い。
 八雲は汗を流し、目元の黒子も濡れてより艶っぽい表情になっていった。
 胸の時よりも重く深い快感。
 それが訪れるだけで、八雲はすぐにイッてしまいそうになる。
 待ち望んでいた快感。
 でも、それはあまりに強すぎる。
 胸でアクメをするよりも、股の間でアクメする方がより簡単に、呆気なくイッてしまうのだ。
 それは強烈なじれったさともどかしさが解消され、屈辱的で圧倒的な快感。
 はじめは内股で、少しでもモップの動きを緩和させようとしていたのに。
 でもそれはほとんど無駄な抵抗だった。
 人外から与えられる刺激を逃がそうということの方が無理というものだ。
「あ……、あっ!」
 八雲は小さく喘ぎ、アクメした。
 足をはしたなく蟹股にして、強くアクメを感じていた。
 連続でイき続け、前後の方は、八雲は気づかないが快感での痙攣以外に、モップ状の触手が動きやすいように少し蟹股にし、絶頂をアピールするような形になっていた。
 マーカスはそんな八雲を見て、嬉しそうに微笑んでいた。
「そんなにこれを気に入っていただけるなんて、嬉しいよ」
 八雲はマーカスを睨みながらモップ状の触手に犯されていた。
 だが、抵抗するだけの力はもうない。
 犯されるがまま、軽口も叩けなくなり、ただひたすら犯されまくる。
 八雲は犯されながらに思う。
 まだ、法子を助けられるだろうかと。
 いや、きっと大丈夫だ。
 いつか隙を見て、逃げ出せば、探し出せさえすれば、こちらの勝ちだ。
 そう思うと少しだけ心が強くなったような気がした。
 だがそんなもの、ただの気休めにしかならない。
 今も熱く、心も身体もマーカスの触手を求めている。
 肉体への快感が精神力を凌駕し、さらに強い快感、この膣奥の疼きを解消してほしいと言う動き……。
 無意識に微かに腰が動いてしまう。
 マーカスに向ける視線は殺気と同時に女の媚びた色が深くなる。
 キリっとした眉は垂れ下がり、声が我慢できない。
「っひ。んん……っ」
 徐々に女にされていく感覚があった。
 女に、戻っていく感覚が八雲にはあった。
 退魔師という戦士から、ただの女へ……。
 与えられていく快感を、ひたすら身体が感じ取り、八雲の瞳は艶っぽく濡れていた。
 額や胸はもちろん、内股にまで汗がじんわり出て、流れていく。
 そんなわずかな汗が伝う感覚まで、八雲には感じてしまっていた。
 モップ状の触手も、触手の粘液以外の透明な粘液に濡れている。
「ねえ、この透明な液体、なんだろうね」
 マーカスが意地悪くそう言うと、八雲は知らんぷりを決め込んだ。
 そしてさらにマーカスはモップ状の触手をより激しく動かす。
 八雲は足をぴんとさせ、与えられる快感からどうにか逃げよう、逃がそうとしたがそれは無駄に終わった。
 気づけばアクメを迎え、全身びっしょりと汗を掻いている。
 八雲はアクメを迎えてしばらくして、ぼんやりとする頭でこうマーカスに言った。
「こ、こんなの……」
 そう言いながらも、逃げることさえ出来ず、ただひたすらモップ状の触手に犯され続ける八雲は、感じ過ぎてしまってもはや言葉も出なかった。
 それでも八雲は負けないと、そう思いたかった。 
 だが、もう、戦えるかはわからない。
 こんなにも絶頂させられて、その状態で戦うなど、出来ないだろう。
 一回アクメする度に疲れ、身体に大きな負担が掛かる。
 口をぱくぱくと開いたり閉じたりする八雲は、まるで金魚や鯉のようだった。
 それだけ酸素も足りていない。
 それはそうだ。荒くて浅い息しか出来ず、脳に回す酸素が足りていないのだ。
 そうすると正常な判断も出来なくなっていく。
 マーカスを見て、八雲はわずかに残った強い意志で、強く睨みつける。
 息も絶え絶えで、それでも負けないと言う意志を持つ。
 支えはいくらでもある。
 今の一番の支えは法子だが、それと同時に自分のプライドを傷つけられたこと、勝手にアクメを迎えさせられたこと……。
 それらが八雲の心を支えた。
 法子は自分を慕ってくれている。きっと今だって救助を待っているに違いない。
 それから、マーカスにばらばらに崩されたプライドも、このマーカスを倒せばまた元通りとまではいかなくとも、いくらかは心がマシになるだろう。
 それに、勝手にアクメを迎えさせられて、そんな自分を許せるはずがなかった。
 絶対に復讐してやる。
 絶対に勝ってやる。
 マーカス、お前なんかに負けはしない!
 そう思った八雲は瞳から光が失われることはなかった。
 一方でマーカスはそんな八雲の気持ちなど知らず、ただただ驚いていた。
「まだ抵抗できるんだ。凄いね。普通こんな責めをされたら、戦意なんて喪失するはずなんだけど。やはり君は法子とは違って桁違いに強いらしい。でも、どうかな。もう大分辛いんじゃないの?」
 言われた通り、八雲はもう大分疲れていた。辛いと身体が悲鳴を上げていた。
 それでも先程思ったことを忘れずに、何度も頭の中で思い出していると身体は動かなくても、思考力だけは働いた。
 ただ、滅多なことでは触らせないその肉体が、目覚めていく感覚……。
 それだけはどう頑張っても引き離すことは出来なかった。
 精神力だけでは抑えきれないことがあるのだ。
 それはあまりにも強すぎる快感のせいだった。
 体内で処理しきれない刺激。
 熱くて、どろどろに溶けてしまいそうな、そんな刺激。
 ああ、早く吐き出したい。
 この、快感を、身体に残る熱を全て吐き出したい!
 そう思いながら、身体を震わせてもう何度目かもわからないほどの絶頂を繰り返した。
 足がぴんとして、びくんびくんと腰も胸も揺れ、頭に、身体に直接快感が流れ込んでくる。
 もう無理だ。これ以上は、耐えられない。
 そう思っていても、敵であるマーカスにそんなことを言ったらどうなることか……。
 八雲は必死にその責めに耐えることを選んだ。
 そんな時に同時にヒマワリの触手まで八雲を襲う。
 胸に思い切り刺激を与えられ、下半身を嬲られながら、同時に刺激されるとどうしようもないくらいに気持ちがいい。
「っく、ふぁっ」
 口からも喘ぎ声ばかりが出て、先程までの威勢はどこにいったのか、残されたのは淫らな声を発する八雲だった。
 意識が飛びそう。
 そんな時にヒマワリの触手を手で掴まれ、上下左右に引き回す。
 胸があちらこちらにマーカスが自由に動かして、触手によって強く引っ張ると乳も一緒に引っ張られた。
 それは気持ちがいいというものとは程遠い、痛いという感覚だったが、それすらも快感に思えてしまって仕方がないのだ。
 そして八雲は股の間のモップ状の触手に下半身を嬲られながら、胸をヒマワリの触手で弄られる。
 気づけば淫らなその姿を晒し、マーカスはにんまりと口で弧を描いた。
 八雲は強烈な痛みと快感で、自然と「イク」と叫ぶ。
 そしてアクメを迎え、八雲は胸と股への刺激で顔をぐちゃぐちゃにして、もはや耐えることも出来ずにいた。
「もう、ダメ……っ!」
 一度言うと、八雲はもう無理だった。
 防波堤は崩れ、艶声でアクメを叫んでいた。

■八雲調教6  
 八雲は度重なるアクメで身体の力が抜けきり、今はもうヒマワリやモップの触手は使われず、四つん這いで固定され、ただアナルのみを長い長い口触手で犯される。
 口触手はアナルの皺を一本一本伸ばすように舐めると、中に入っていく。
 臀部の腸壁、襞は膣よりも強く収縮し、舌の出入りで穴の拡張感を何度も味わわされる。
 その度に絶頂を迎え、アクメする八雲。
 アナルの奥の方まで触手は侵入し、腸壁を舐めるように刺激する。
 出入口は穴の拡張をするように、大きなコブが連なる触手で出たり入ったりを繰り返す。
「んっ、んんぅっ」
 八雲は声を抑えられなかった。
 イキたくて仕方がない。
 何度イッても、イキ足りないのだ。
 そして口触手はそんな八雲の気持ちを理解しているかのように自由に八雲のアナルを弄んでいた。
「ああああっ! イクッ! イクッ!」
 子宮を裏から小突き、震わせると、八雲はアクメを迎えた。
 しかも女性らしく丸みを帯びた尻タブを触手に揺すられ、揉み込まれながらされると堪らなかった。
 アナルのみの刺激でアクメを何度も繰り返し、潮噴きする。
 八雲は信じたくなかった。
 こんなところで感じてしまって、それも潮噴きをしてしまうなんて、と……。
 感じ過ぎてしまってぶるりと身体を震わせる。
 足が言うことを聞かず、がくがくと動き、腰も揺れ動く。
 拘束された中で、動けるだけ動き、なんとか快感の波を逃がそうと必死だった。
 だが、それは無駄だと八雲は心のどこかで思っていた。
 こんなにも快感を与えられて、身動きも取れなくされて……。
 そんな中で、快感を逃がすことなんて出来ないと……。
 マーカスはそんな様子の八雲を見て、微笑む。
「どこもかしこも感じまくりで、喜んでくれているようで嬉しいですよ」
 否定するにももはや気力もなく、快感の嵐に反論も出来ない。
 本当だったらここで全く感じていないと言い放って、鼻で笑うくらいしたい。
 でもそんなことが出来ないくらい、快感を八雲は感じ取ってしまっていた。
 今だってアナルに口触手が触れていて、中をコブのある触手で出たり入ったりを繰り返している。
 アナルの触手が穴を通る度、八雲の身体は喜びで満ちていた。
 与えられる刺激を精一杯受けようと、必死に身体は全身でその快感を欲しがった。
 くねくねと動くその姿は、まるで淫らなダンスを踊っているかのようにも見えた。
 そしてアナルでは腸壁を抉るように、より最奥を、子宮の裏側を刺激するように触手は動いている。
 裏側から刺激されるポルチオに、八雲は眉を下げて耐えていた。
 だが、必死に耐えているのは見るからにわかる上に、耐えきれていない。
 すぐにアクメしてしまう。
 ああ、ダメだ。こんなことでは……。
 勝てない。
 自分は本当に淫魔に調教されたかったのかもしれない。
 アナルでイキ狂う変態なのかもしれない。
 もう、イクことしか考えられない……。
 そう思わせるように脳に人外の快感を刻む。
「イグゥッ!」
 八雲は結局何の反論も、反抗も出来ないまま、イキ狂う。
 触手は八雲がイッている間にも次の刺激をと、アナルを動き回っていた。
 ポルチオの裏側を突くのはもちろん、コブを出し入れすることも、さらには舐め回す長い舌で出入口から奥へと他の触手と共に舐め回っていた。
 とてもじゃないがこんなことをされてしまっては、他のことは何も考えられなくなる。
 八雲はもう何も考えられず、快感のみが頭にあった。
 お尻が、お尻が変になってしまう……。
 八雲はそう思いながらも責められ続けるしかなかった。
「イクッ!イッちゃう!」
 そこには退魔師としての八雲はいない。
 ただの女になっていく。
 そして尻穴がふやけるまで責めが続く。
 次の日も、その次の日も、アナルと胸触手、マーカスの舌と手で淫魔からの連日の屈辱的な調教。
 しかも過去に自分を初めて犯した淫魔。
 その怒りと屈辱を押し流しそうなほどの快感。
 こんなやつに犯されて気持ちよくなるなんてと、プライドの高い八雲は自分が許せなかった。
 だが、もう許す許さないの問題ではない。
 ただただ快感を受け止め、イキまくる。
 その日はマーカスの手によって胸を強くスパンキングされ、真っ赤になっていく胸に、痛みを感じながらも、感じてしまっていた。
 そして触手で胸を吸引され、乳首を擦られ、舐められてイッてしまう。
「だ、ダメだ。これ以上は……っ。これ以上は!」
 八雲がそう言うも、マーカスは笑みを浮かべたまま八雲を調教する。
「ほら、もっとイケるでしょう?」
 そう言いながら、胸を叩く。
 叩いた胸は相当強く叩かれたのだろう。
 すぐに赤く色づいた。
「ああっ!」
 苦しそうにそう言う八雲は、痛みに悶えながらも、快感を得ていた。
 痛みすらも気持ちがいい……。
 八雲はその痛みに瞳を潤わせながら甘受していた。
 秘部にも触手が迫り、ぬるぬるとモップ状の形の触手がもうとろとろのそこに入り込んで、中を刺激しながら陰核を強く擦りながら吸引してさらには振動まで与えた。
「ああっ! イクッ! イクゥッ!」
 そう言って、八雲は何度もイッた。
 がくがくと身体を震わせて、汗をたらりと身体中で流していた。
 四つん這いになったその八雲の姿は、あまりに無様だった。
 無様なその姿を、八雲は敵に見せていることを悔しく、情けなく思っていた。
 それでも、与えられる快感によってそんな気持ちも飛んで行ってしまいそうだった。
 それくらい、強烈な刺激で、八雲は耐えることしか出来ない。
 いや、耐えることさえも出来なくなってきていた。
 そんな責めが何時間も続くと、八雲はイキ過ぎて潮噴きの後、力が抜けて排尿してしまう。
 股の間から、黄色い温かなアンモニアの臭いのする尿がじょろろと出て、湯気を出していた。
 八雲は絶望の表情を浮かべながらも、その尿を止められないでいる。
 マーカスはそれを見て大笑いした。
「おしっこまで漏らして、そんなに気持ちよかったんですか? これは傑作だ。あの八雲がおしっこを漏らしてイクだなんて!」
 八雲は消えてしまいたい気持ちがあった。だが、屈辱的なのはそれだけでは済まなかった。
 アナルでイキ過ぎた後にスパンキングされていた。
 そこへ八雲は強烈な便意を感じる。
 トイレに行きたい。でも、もう、間に合わない……!
 そう思うと同時に、尻穴から茶色い大きなそれが出て来てしまっていた。
 酷い悪臭は尿以上のもので、八雲は何度も「止まって。出ないで……!」と願ったが、出た物が戻ることはなく、そのままぼとりと地面に落ちた。
 八雲はスパンキングをされて、その衝撃で脱糞してしまったのだ。
 それらを見られて、笑われても守るものは何もなく、ただ信念とプライドのみで耐えるしかない。
 でもそのプライドも、少しの衝撃で壊れそうなほど、脆いものになっていた。
 それだけ長い間、責められているということだろう。
 マーカスはそんな八雲の気持ちなど考えることもなく、笑ってこう言う。
「凄い臭いだ。いくら戦姫とはいえ、出すものは一緒ということですね」
 八雲は恥ずかしさのあまり、顔を俯かせた。
 だが、こんなことで、こんなところで負けるわけにはいかない。
 それだけが心を占め、マーカスの口から出る言葉の数々に耐えた。
 最初の目的は何だった?
――法子を助け出す。
 そうだ。だから、負けてはいけないのだ。
 一時的な快感など、その時だけ。
 またいくらでも立ち上がればいい。
 まだ、負けてはいない。
 まだ、戦える。
 そう思いながら、八雲はぎりぎりのところで自分を保っていた。
 その後、腕を上で触手で縛られ、小さめの五裂触手に一つずつ両わきを責められる。
 くすぐったさと快感に悶え苦しみ、そこに臍と胸に五裂触手が……。
「っくぅ……!」
 思わず声が漏れ出る。
 腋をくすぐるように優しいタッチで触られ、むず痒いような感覚が。
 腋でも感じてしまい、八雲は自分を情けなく思った。
 そして胸には五裂触手が吸い付くように刺激をして、最初の頃よりも少しばかり大きくなったように思える乳首を刺激する。さらには双乳全体を刺激して、八雲を気持ち良さで困らせるのだ。
 そして臍にも五裂触手がある。
 腋を舐められるように触手が動いて、八雲は鳥肌を立てるも、しばらくするとその舐められている感覚が気持ちよく感じられるようになった。
 まるで舌で丹念に舐められるようで、敏感だと言われる腋ならば、簡単に感じてしまう……。
 そして臍は周りを舐められるようにして、そして中心部分を舐められ、そして吸い付きまでされてしまう。
 臍も最初は感じなかったが、何度も何度も舐められるように触手を動かされると、感じるようになってきてしまい、気持ちいいと思うようになってきていた。
 だが、今度は下半身に触ってくれなくなった。
 また上半身だけ………。
 だが、これらを一気にやられて、八雲は身体をびくびくと震わせた。
 上半身のみの責めなのに、アクメして潮噴きをしてしまった。
「うああっ! あうっ! イクッ! イクゥッ!」
 そう呻いて、八雲はイッた。
 そして日々強くなるあの現象。
 普通ならそういった現象はないが、常に淫花からの臭気と淫気を肌と鼻から吸い、肉体が発情状態になり、子宮が疼き、陰核がもどかしい。
 上半身を責められるたびに、そして子宮をアナルから肉体の表面から刺激される度に、どんどん自分の最奥が切なくなり疼きが増していた。
 早く、早く触ってほしい。
 もっとイキたい!
 下半身も、弄ってほしい……!
「はあ、はあ……っ」
 発情状態の八雲は荒い息をそうして何度も繰り返した。
 上半身ばかりを責められ、下半身を弄られない。
 そのことについに我慢の限界が来てしまいそうだった。
 そのくらい、下半身が刺激を求めて仕方がないのだ。
 八雲の秘部からはたらたらともう垂れて地面に水溜まりが出来るほど濡れている。
 もうこれ以上にはないくらいに濡れていて、マーカスは「何か出ていますよ。恥ずかしくないんですか?」と口で責めた。
 八雲はその時、ようやく自分が濡れていることに気づいていた。
 膝を動かすと、確かにくちゅ、くちゅと音がする。
 そんな。上半身だけで気持ちよくなって愛液で大事なそこを濡らしてしまうだなんて。
 そう思うと、八雲は恥ずかしさと情けなさで堪らず顔を伏せた。
 目をぎゅっと閉じ、なんとか正気に戻るようにと願いながら。
 だが、そんなものはまるで関係ない。
 感じたくて仕方がない下半身は、陰核も、最初は隠れているくらいだったのに、今は主張してその秘裂から飛び出して見えるくらい、起っているのだ。
 マーカスはそんな様子の八雲に「下半身にも刺激が欲しいですか?」と笑いながら言った。
 八雲はマーカスを睨みつける。
「答えられませんか。なら、こちらも勝手にさせてもらうよ」
 そう言って、マーカスは触手を使って八雲の上半身はもちろん、下半身にも強い刺激を与え始めた。
「あぐぅっ!」
 あまりにも強すぎるその刺激に、八雲は叫んだ。
「あっ、あっあっああっ!」
 叫ぶことしか出来なかった。
 あまりにも強すぎるその快感に、八雲はプライドも信念も頭から一瞬にして飛んでしまったのだ。
「ずっとこうしてほしかったのでしょう? いいですよ。してあげます。いっぱいイッて、楽しませてくださいね?」
 そう言いながら、マーカスは触手を動かした。
 八雲の胸にある触手は揉み込むようにして双乳を動かし、さらに乳首を刺激する。
 腋にも触手が這っていて、刺激を与えた。
 さらには臍にも触手が。
 下半身は秘部、アナルに触手が入り込んで強い刺激を与える。
 びしょびしょに濡れたそこに、触手が出たり入ったりを繰り返し、さらには陰核を吸い上げ、擦る触手がある。
 秘裂を何度もなぞり、膣への入り口をゆっくりと撫でて、浅いところをまず撫で上げた。
「こんなに濡れて、どれだけ期待していたんですか?」
「……知らないっ!」
 八雲の精一杯の反抗心だった。
「ほら、中にもすんなり入ってしまう。これくらいの刺激、何ともないですよね?」
「……っ」
 そう言われながらも、八雲は必死に耐えていた。
 秘裂を開かれて、小陰唇の中にある膣に触手が入って、まずは入り口を入念に解すように刺激する。
 そしてGスポットを撫でるように押し、さらに奥の方へと触手は進んでいく。
 ポルチオを触手で叩くように刺激をすると、八雲は悩まし気に眉を下げた。
 一気に全身を責められ、八雲はもうどうしようもないくらいの快感に呑まれていた。
「口もお留守だと、寂しいですよね? 入れてあげますよ」
 そう言って、マーカスは触手を八雲の口に入れた。
「う、うぐぅっ!」
 喉奥まで入れられて、苦しい。
 なのに、気持ちがいい……。
 ただの口に入れられているだけなのに、犯されている……!
 犯されている感覚が、八雲をさらに感じさせた。
 犯されていると思っていた八雲だったが、まだわずかに残るプライドが、信念が、完全には快感に流されないようにと八雲の心を踏み留まらせていた。
 熱を持った眼で、マーカスを睨む。
 その睨みは睨みにしては弱いものだったが、はっきりとマーカスには負けないという意志を見せつけた。
「まだ完全には私の物になっていない、という意思表示ですか」
 八雲は眼を反らさない。
 その八雲の瞳が、マーカスに鳥肌を立たせる。
「……さすがですね。そうでなくては面白くない。ただ、手に入って全て自分の思い通りになるだなんて、そんなのは私も望んではいない」
 そう言って、一旦触手を止める。
 イキそうだった八雲は突然刺激が訪れなくなり、困惑した。
 そしてしばらくすると、触手が一気に動き出す。
「ううっ!」
「どうです? 寸止めというのを連続してやってあげますよ。嬉しいでしょう? イキたくてもイケない……。それを味わわせてあげましょう」
 そうマーカスは言って、八雲がイキそうになると触手を全て停止し、またしばらくすると動かし、また止めてとそれを繰り返した。
 八雲にとってはそれはとても辛いものだった。
 イキたくてもイケない。
 イキ続けるよりも、ずっと辛い……!
 そう思った八雲は頭の中がどんどんイクことばかりを考えるようになった。
 しかし口には触手があり、それをマーカスに伝えることは出来ない。
 マーカスはそんな様子の八雲にこう言う。
「もっとしてほしいですか? それとも、もっと寸止めを?」
 八雲は首を横に振った。
 もうこれは嫌だと、そう言いたかったのだ。
「そうですか。では、もっと続けましょう」
 結局、寸止めはしばらくの間ずっと続いた。
「ほら、また腰が動いていますよ。相当気に入っていただけたようで、嬉しいですよ」
 そう言いながら、マーカスは何度も八雲に気持ちよくさせておいて、イクことだけはさせなかった。
 八雲はその度に切なくなり、全身がイクことを望んでいた。。
「ほら、もう胸もどこもかしこも真っ赤ですよ。どれだけイキたいんですか。困った人だ」
 そう言うマーカスは言葉とは裏腹にとても楽しそうだった。
 八雲は何度もアクメを迎えそうになるも、その全てを寸止めされる辛さから、思わず声に出そうになった。
 もうイカせて、と……。
 だが、口に触手があるからそれが出来ない。
 そのことに八雲は少しだけ救われた。
 これ以上醜態を晒さないで済んだと。
 敵に助けを求めるなど言語道断。
 少しでも、マーカスに助けを求めようとした自分を叱った。
 そして八雲の体力が限界になる。
「ふむ。もう限界ですか……。まあ、よく耐えたものだ。では、イカせて差し上げましょう」
 マーカスはそう言ってやっと八雲をイカせるのだった。
 八雲はそれが嬉しく思えた自分が惨めで、仕方がなかった。
 こんなものに、負けてしまいそうになるだなんてと思うと同時に、アクメを味わっていた。
 そして、再び目的を思い出して、自分を保つことに専念するのだった。

■八雲調教7  
 やがて八雲と法子は再会する。
 法子は生きているものの、酷く憔悴していて、常に荒く熱い息を吐いている。
 これまでの責め苦がいかに強く、過激なものだったのか容易に想像が出来る。
 しかし法子のその痛ましげな姿に、八雲は微かな罪悪感と、法子が生きているということに安堵した。
「せ、んぱい……」
 法子は八雲を見て、少しずつ瞳に光が見えて来る。
 八雲と法子はお互いをしっかりと見ると、もうひとりではないと正気と希望が戻ってきたのだ。
 これまでの責めも、辛くて恥ずかしい思いも、また二人で会えたのならばと、それを耐えることが出来た。
「八雲先輩……、来てくれるって、信じてました。来てくれて、……ありがとうございますっ」
 法子はそう言って八雲に笑みを見せた。
 ああ、この子はずっと自分を待っていたのだ。
 こうして、ぼろぼろになってまで、自分を信じていたんだ。
 八雲はそう思うと法子のその強い気持ちに応えようと、大きく頷いた。
 それは法子を認めているということ。
 そして、マーカスに負けないという意志表示。
 法子もその意味がわかって大きく頷いた。
 その顔は、憔悴しているものの、笑みが見える。
 ああ、よかった。お互い無事とは言い難いかもしれないけれど、生きていて。
 八雲は素直にそう思った。
 思っていた再会とは違うが、法子が無事でいてくれて本当に良かった。
 これならば、隙を窺えばマーカスにだって負けないだろう。
 二人でなら、きっとそれが可能だ。
 そう思う八雲と法子は絆の力で気力が戻っていく。
 二人でいればきっと大丈夫。
 二人でならば、マーカスを倒してまた以前のような生活に戻ることが出来る!
 根拠はないが、そう思えた。
 二人でならば、きっと乗り越えられる。
 いつかはここから、脱出だって出来るだろう。
 二人は胸にその希望が湧いてきた。
「八雲先輩……。ごめんなさい、私が捕まったばかりに……」
「法子が生きていただけでも、私は嬉しい。だから、気にしないでいい」
 八雲は法子に安心するようにと優しい声で言った。
 法子はそんな八雲の気持ちがわかって、少しばかり涙が浮かんだ。
 そこへ手を叩く音がした。
 マーカスが手を叩いてまるでショーを見終わったかのような気持ちなのだろう。
「感動的なシーンですね。やっと再会出来て、満足しましたか?」
 マーカスはそう言って、不敵な笑みを浮かべている。
 八雲はそれを鼻で笑った。
 そして武器も持っていないが、八雲は鋭い目でマーカスを射貫く。
「マーカス……! 私達を舐めるなよ!」
 そう啖呵を切る八雲に、マーカスは笑いが止まらなかった。
 まるで八雲や法子を笑っているかのよう。
 いや、まさに二人を笑っているのだろう。
「舐めてなどいませんよ。ただ、あまりにも滑稽で笑えてしまって……。ああ、あなた達は本当にここから抜け出せるとお思いですか? だとしたら、今すぐにでも逃げ出してみてください。まあ、もし逃げられたとしても、僕はあなた達を逃がしたりなどしませんが」
 どこか爬虫類を思わせるようなマーカスの瞳が二人を捉えた。
 その瞳はやはり人外のもので、温かみを感じられない。
 それどころか冷酷で、あまりの冷たさに子供の純粋な瞳にも似ているように八雲は感じた。
「さて。八雲さん、法子さん、準備はよろしいですか? もう逃げられないのだから、ただ感じてくれていれば、それでいいんですよ」
 そして八雲はマーカスに何も言い返せずにいた。
「……っ」
 そうだ。マーカスの言う通りだ。
 今だって逃げられないのに、いつ逃げるというのだろう。
 逃げ出したとしても、確かにマーカスならばすぐに八雲と法子を二人まとめてまた逃げ出さないようにすることだって出来るはず。
 機会を、待つしかない……。
 八雲の苦渋の決断だった。
 ただ感じていればいいなどと、よくもそんな勝手なことを言ってくれるものだ。
 これまでもたくさん感じていた。
 それなのにもっとたくさん感じろと言うのか?
 それこそAVみたいじゃないか。
 それに、ずっとイキ続けるのは苦しい。
 八雲はそう思っていた。
 しかし、マーカスはそんな八雲の気持ちなど知らないといった様子で、無邪気な笑みを見せていた。
「さて、もう逃げられないことはわかっていますよね? では少し、遊んでみましょうか。楽しませてくださいよ。八雲さん。法子さん」
 マーカスは二人を同時に愛撫する。
 先程までも十分に二人を調教していたというのに、まだ足りないらしい。
 馬鹿の一つ覚えみたいに……と八雲は思ったが、どこかで期待している自分がいるような気がして、首を振ってそんな自分を否定した。
 法子はもう限界だとでも言いたそうに、首を横に振って嫌だと言いたそうにしていた。
 しかしマーカスはそんな二人を嘲笑うようにこう言うのだった。
「疲れているでしょうが、あなた方はただの女性ではありませんからね」
 そう言うマーカスは、まるで二人を休ませる気などないように触手を取り出した。
 二人はやっと再会出来たというのに、マーカスの手によって再び快感を与えられ始める。
 ろくに会話も出来なかった。
 それなのに、マーカスの責めの手は止まることがない。
 八雲も法子も、これまでの調教のせいでより敏感に快感を感じ取ってしまうようになっていた。
 それなのに、マーカスは触手による責めで二人を襲う。
 まずは上半身を弄ぶ。
 胸を中心に、ひたすら触手で責められる。
「あっ、ああっ! や、やめろ……っ。やめてぇ」
 八雲はそう言って責めが止まるのを期待するでもなく、ただ快感を逃がすためにそう言っていた。
 すでに八雲はもう感じ過ぎていて少しの刺激が大きな快感の波になって襲ってくる。
 胸を吸引されて、触手で撫でられて、揺らされて、感じないわけがない。
 そして感じてしまう自分を恥じながらも、徐々にそれを受け入れていく自分が怖い。
「っああ!」
 八雲は気持ちよさそうに喘ぎ声を出す。
 それでもそうすることで少しだけ快感が逃げていくような気がした。
 だが、そんなもの関係ないと言わんばかりにマーカスは八雲の胸を責め続けた。
「どうですか? これでもまだ僕を殺すだなんて言えますか?」
 八雲はその言葉を聞いて瞳に光が一瞬戻った。
 そうだ。マーカスを倒すためにいるのだった。
 こんなところで、負けてられない……!
 八雲は精一杯マーカスを睨みつけた。
「……さすがですね。任務を忘れない、ということですか。でも、このまま犯され続けたら、どうなるでしょうね?」
 そう言いながら、八雲は触手で胸を犯され続けた。
 乳腺を揺らされて気持ちがいい。乳首を吸われて気持ちがいい。
 ああ、でも、ダメ。
 そんなことを思っては……。でも……。
 一方で法子は八雲以上に敏感に感じていた。
「もう限界なの。本当なの。やめて、やめて!」
 法子もそう言って胸を揺らす。
 だが、マーカスにはそんな声が届いていないといった様子で、責めの手を休めない。
 法子は大胆に、かつ可愛らしく喘ぐ。
 マーカスは触手で法子の胸を思い切り吸って、手でその双乳を大きく揺らす。
 するとそこに気持ち良さがさらに加わるのか法子は「んひぃいいいい!」と叫んだ。
 下乳を入念に揉み込むと、法子は目をとろんとさせて高い声で喘ぐ。
「法子さんは随分素直ですね。そんなにこれがいいんですか? もっとしてあげますね」
 法子は頭を横に振った。
 まるでもうこれ以上気持ちいいことをしないでと言うかのように。
 だが、そんなことでやめるほど、マーカスは優しくはない。
「え? なんですって? すみません。全くわからないので、身体が欲しがっている刺激をあげますね」
 そう言って、マーカスはわざとらしく法子の乳をさらに揉み込んだ。
 するとその柔らかく弾力のある胸はたゆんと揺れ、法子は息を呑んだ。
 八雲は触手の刺激に気丈にも耐えながら控えめに喘いだ。
 その様子の違いをマーカスは面白がる。
「八雲さん、先程と随分違って声が小さいですが、後輩に気を使ってるんですか? そんなことしても無駄ですよ」
 そう言ったマーカスは、笑みを浮かべる。
「一気に二人を気持ちよくさせてあげますよ」
 二人は同時に胸を責められる。
 それを必死に耐える二人だったが、マーカスの愛撫に、淫気にすぐにまた身体が快感を求め始めた。
 体中が熱い……っ。
 どうしようもない熱が二人を襲った。
 胸に与えられる気持ち良さに、なんだか意識がふわっと、どこか夢心地のようなそんな気がしてしまう。
 気持ちいい。
 八雲は正直に、そう思っていた。
 でも、そんなことを言ってしまったら、負けてしまう……。
 強い自分が法子を助けなければならないのに。
 そう思う八雲だったが、与えられる快感には正直で、すぐに熱くて艶っぽい声を漏らした。
 一方で法子は八雲が来てくれた安心感からか、それとも天性の淫乱なのか、八雲よりも派手に喘いでいた。
 八雲はそんな様子の法子を見て、負けてはダメと思うも、それは法子には伝わらない。
 そんな言葉を言ってあげたくても、八雲も話すほどの余裕はない。
 私達は、ここから抜け出さなければならないのに……。
 でも、本当に出られるのだろうか。そう思うと、八雲の心は少しずつ、プライドも信念も、崩れてしまいそうなくらい脆くなっていった。
 八雲と法子の気力など、簡単に削ることが出来るメッキの気力だったのだ。
「あっ! ああっ! っくぅ!」
 八雲が胸の刺激に少しだけ大きな声で喘ぐ。
 そして法子よりも早くに胸を仰け反らせたり、元に戻したりと無意識に胸を動かしてその揺れでより快感を強く受けていた。
 張りも弾力もある双乳が揺れるその姿はまさに圧巻だ。
「弾力があって見ていて面白いくらいだ。触ってあげましょう」
「んんっ」
 マーカスは触手をそのままに、八雲の胸を掴んで上下左右に動かした。
 吸い付かれながら引っ張られる感覚が、八雲には気持ちよくて仕方がない。
「ああああっ! い、イクゥッ!」
 マーカスに胸を掴まれたまま、八雲はイッた。
 そしてマーカスは手を八雲の胸から外すと、今度は法子の胸を掴んだ。
 もちろん、八雲の時と同じく触手をつけたまま。
「ダメェ! もう、もうダメなの!」
 法子はそう言いながらも、胸を突き出している。
「ここ、もっと触ってほしいんですよね?」
 マーカスがそう言うと、法子は必死に首を横に振った。
「やだ、やだぁ! 頭がおかしくなる!」
「嘘を吐いてはいけませんよ。では、勝手にさせていただきますから」
 そう言って、マーカスは法子の胸を鷲掴みした。
「八雲さんのよりも少し小振りではありますが弾力が八雲さんよりもありますね。さすが若手、と言ったところでしょうか。ああ、それに、乳腺の方がまだ未発達なんですね。八雲さんならこれだけで感じられるんですけどねぇ」
 そう言いながら、マーカスは法子の胸を大きく動かした。
「イクッ!」
 法子は唾液を垂らしながら呆気なくイッた。
「少し堪え性がなさすぎますねぇ。まあ、それでもいいですが。やはり、少しは反抗してくれるくらいが、いいですね。そう。あなたの先輩の八雲さんみたいに、ね」
「八雲先輩、は、憧れの先輩だけど、先輩みたいにはっ、なれ、ないっ……! だって、気持ち良いから……っ」
 法子が必死にそう言うと、マーカスは笑った。
「まあ、僕は素直なのも嫌いじゃないですけどね。ほら、また乳イキしなさい」
 今度はマーカスは八雲と法子の二つの胸を、自らの手で大きく揺らして快感を与える。
「うああ……っ!」
「っひぃん!」
 二人の口からは言葉にならない嬌声が漏れ出る。
 それに二人の感じ方は別々ではあるものの、同時に刺激されて気持ちがいいと言うのは変わらない。
 二人は揺れる胸のその気持ち良さに、表情をとろんとさせて甘受している。
 口では嫌だとかダメだとか言うものの、やはり気持ちがいいものを気持ち良くないと思うことは出来ないのだ。
 それよりも、もっともっとと身体が求める。
 精神力の強い八雲でさえも、身体が疼いて仕方がない。
 法子ももう陥落寸前だ。
 喘ぎまくって、身体の疼きが治まるわけでもないのに、二人はひたすら喘いでいた。
 それを聞きながら、マーカスはこう言う。
「二人共、口ではダメだの何だの言っているけれど、声を聞いているととてもじゃないですが、そんな風には思えませんねぇ。さあ、もっと楽しませてください」
 マーカスは時間停止で二人を愛撫する。
 双乳を大きく揺らし、スパンキングをする。
 胸が真っ赤な手形がつくくらいまで強く叩き、それから隆起した乳首を摘まむ。
 さらに乳首と乳首を擦り合わせて、乳首同士が感じるようにすると、マーカスは触手で乳首に刺激を与える。
 二人の乳首に吸い付いた触手は、これまで以上に乳首に必死に吸い付き、擦り、伸ばしていく。
 まずは胸だけを、徹底的に弄んだ。
 引っ張って、伸ばして、もっと責めて。
 マーカスは二人への責めが十分だと思うと再び時間を動かす。
 そして時間が再び動くと、二人は絶頂を耐えられることもなく、マーカスの手でイキまくった。
「イクゥッ!」
「イッちゃう! イッちゃうよぉ!」
 二つの淫らな声がその空間に響き渡る。
 そこにはもう戦士としての二人はいない。
 ただの女になっていく二人の姿があるだけだった。
 腰をがくがくと痙攣させる女である二人は、どこか似ているようにマーカスは思えた。
 艶のある胸も、大きさは八雲の方が大きいが、法子もなかなかなサイズだ。
 迫力のあるその胸を、マーカスは触手で弄った。
 二人は小さく「嫌っ」「もう、もうこれ以上は……」などと言いながら、その快感に身体を痙攣させながら受け止めていた。
 普通ならばもうとっくに精神だって壊れていることだろう。
 しかし、二人は辛く長い、修行の日々を送っていたことから、そう簡単には壊れはしない。
 いっそのこと、壊れてしまった方がいいとさえ、思えるような責めだ。
 乳首に、たくさんの刺激を与えられて、二人はもう気絶してしまいたいとさえ思うほどだった。
 それだけ辛くて、気持ちがよすぎるのだ。
 意識がない方がずっといい。
 意識があることが、考えることが出来る今が、とても辛い。
 それは八雲も法子も同じことだった。
 マーカスはそんな二人を見て笑う。
 胸をよく見て、マーカスは二人に話しかける。
「おやおや、お二人は似ていますねぇ。胸は断然八雲さんの方が大きくて弾力がありますね。一方で法子さんは八雲さんよりも少し小振りなものの、それだけ感じやすいのでしょうか? よく喘ぎますねぇ。乳首の大きさも八雲さんの方が上……。しかしながら、法子さんは乳首そのものもそうですが、八雲さんよりも大きな声で喘いで、聞いているこっちまで感じてしまいそうになりますよ。ほら、八雲さんももっと自分を出して。法子さんの先輩なんですから、しっかりイキ方を教えてあげなさい」
 そう言いながら、マーカスは八雲の胸を触手で思い切り吸った。
 乳首が限界まで伸ばされ、乳首で感じてしまう。
 気持ちいいのに苦しそうに、八雲は顔を背けた。
 喘ぎまくる法子とは違って、八雲はまだ静かに喘ぎ、自分と言うものを忘れずにいた。
 我慢、我慢するのよ。
 こんなの、ちっとも気持ちよくなんてない……。
 そう思いながら、八雲は自分の使命を、信念を思い出していた。
 このマーカスを倒して、ここから法子と共に脱出する。
 そればかりを必死に考え、身体に与えられる快感をどうにか逃がしていた。
 しかし、もうこれ以上我慢だなんて、出来ない……。
 感じ過ぎてしまっていて、もう他のことを考えようなどと、出来るわけがない。
 逃げることだって本当なら考えなくてはいけない。
 なのに、それだというのに、それが出来ないのだ。
 法子と再会してから与えられたその刺激が、今になって身体を蝕んでいくのだ。
 気持ちよく痺れるような甘い快感。
 まるでずっとイッてるかのような……、そんな感覚がずっと身体中を駆け巡る。
 しかしそれをマーカスは見抜いている。
「もっと素直になればいいじゃないですか。ほら、法子さんの胸みたいに、乳首をびんびんに隆起させて、イクところを見せてください」
 そう言って、マーカスは時間停止をし、八雲の胸と法子の胸を同時に同じように責め立てた。
 もう我慢なんて出来ないように、強く強く刺激を与える。
 触手で人外でなければ出来ないような責め方をし、さらには胸をスパンキングする。
 肌と肌がぶつかる音がして、八雲と法子の胸は上下左右に大きく揺れる。
 ぎゅっと乳首を握って、触手で舐めるような責めをし、乳首の根元をきゅっと触手で縛るようにすると乳首に巻き付くような強い刺激を与えた。
 そして時間を動かすと、二人は衝撃のあまり仰け反って、同じタイミングでアクメを迎えた。
「イクゥ!」
「イッちゃう! イッちゃうぅ!」
 八雲は足を蟹股にし、法子は逆に膝を擦り合わせるように内股気味でアクメした。
「おやおや、八雲さんも法子さんもよくこれまで無事でいられたものだ。イク時の二人の足の動きは面白いくらいですね。こんなにも違う足の動きをしているのに、動かしているという点では一緒だ。それにしても、まだそんなに責めていないのに。もっとしてほしいですか? してほしいですよね? 法子さんはとろりとした恍惚の表情を浮かべていますね。そういうの、嫌いじゃないですよ。一方で、八雲さんはまだ反抗するつもりですか。その眼、まだ負けていないと言っているみたいですね。でも、これならどうですか」
 再び時間停止をし、法子はもちろん、八雲への強烈な責めをし、時間が動き出すと二人は同じような姿勢で胸を突き出してイッた。
「ほら、やはり八雲さんもイキたかったんでしょう? 気持ちよさそうだ」
 八雲は荒い息をし、マーカスを睨む。
 マーカスなんかに負けて堪るものか。
 絶対に、法子を連れてここから出てやる。
 ……でも、その決意はもう無駄とも言えるくらい、快感に犯され、ぼろぼろに崩れ去ろうとしていた。
「どうしたんですか? まるで逃げ場を探しているようだけれど。そんなもの、僕を倒さないと意味がないですよ? わかってますか? あなたは今、捕らわれの身なんです。そう簡単にあなた方を僕が逃がすはずがないでしょう」
 八雲は心を読まれたと思ったが、だが、元々の目的をこのマーカスは知っている。
 だから驚くほどのことではない。
 落ち着け。落ち着け。
 冷静になれば少しは勝機が見えるかもしれないのに……。
 でも、もうこんなにも感じてしまうようになっては、マーカスに調教されてしまっては、逃げ出したところで心はずっと支配されたままかもしれない。
 八雲はそんな恐ろしいことを考えながら、イッたときに荒くなってしまった息を整えつつあった。
 でも、またイカされるのだろうなと思うと、整ってきた息が少しばかり熱を持っていた。
 その一方で法子は八雲と同じく荒い息をして、とろんとした表情でマーカスを見ていた。
「法子さんは正直な人だ。それに比べて、八雲さんはいけませんねぇ。本当は気持ちがいいのに気持ちよくないなんて顔をして……。でも、身体は嘘を吐きませんからね」
 そう。八雲の胸は乳首が赤くなって、主張している。
 誰がどう見ても感じている胸をしているのだ。
 その双乳を揺らしながら、八雲はマーカスを睨んでいた。
 お前には負けないと、そう示すために。
 そして、感じていたとしてもお前には屈しないという、プライドを見せつけた。
「おお、怖い怖い。でも、あなた達など、もはや私の敵ではない。その高いプライドも、叩き潰してあげましょう」
 そう言って、二人の下半身をチェックをし始めるマーカス。
「陰毛は、法子さんの方が薄いですね。でも、処理はあまりなされていないんですね。八雲さんは意外と剛毛で、濃いようだ。でも法子さんと違ってきちんと手入れされているのはわかりますよ。それにしても、二人共、こんなに濡らしていて、さぞ気持ちがいいのですね。目で見てもわかる。陰毛が濡れているじゃないですか。どう見ても汗じゃないですよね。粘り気があって、透明……。糸を引いている。これは、どう見ても愛液ですよね? 淫らな液ですよね? なんだ。結構楽しんでいるんじゃないですか。そんなに気持ちがいいものなのですか? 全く、口では嫌だとか何だとか言っておきながら、こんなにも恥ずかしい状態になっているんですから」
 八雲は残っていた一般女性としての気持ち、羞恥心が身を包んだ。
 身体中が熱くなって、恥ずかしいと正直に思った。
 こんなにも感じてしまって、濡れてしまって恥ずかしい。
 しかも相手は倒すべき相手、淫魔だ。
 淫魔に感じてしまうだなんて、こんなこと、許されるわけがない。
 いや、他人が許したとしても自分が自分で許せない。
 そう八雲は思いながら、顔を少しだけ俯かせていた。
 法子もマーカスにそう言われて初めて自分の股間が濡れ濡れと言ってもいいほどになっていることに気づき、顔を赤面させた。
 男性経験がほとんどなく、八雲ほどの経験もない法子だ。
 こんな羞恥心に訴えるようなことをされてしまっては、どうしようもない。
 恥ずかしくて、恥ずかしくて仕方がない。
 ましてや羞恥心を思い出させるようなことをする相手が淫魔のマーカスだ。
 プライドもずたずたになって、倒そうという気さえ削がれていく。
 戦う意志が、少しずつ失われていくのを二人は感じていた。
 そして八雲も法子も、先程よりも顔を赤くして、羞恥心から「そんなところを見ないで」と言いたそうな顔をしていた。
「いっそのこと、お二人共、つるつるにして差し上げましょうか?」
 マーカスはふざけてそう言った。
 二人は必死に羞恥心を煽るマーカスを無視し、快感から逃げようと必死だった。
 だが、秘部の濡れ具合からも、感じていないなんて言えることは出来なかった。
 感じていなければこんなに濡れることはないだろう。
「お二人共、感じ過ぎているくらい、濡れていますよ? 恥ずかしくないんですか?」
 そう言われ、八雲はマーカスを睨み、法子は顔を赤くして涙目になっていた。
 そうしていると、マーカスは再び時間を止める。
 二人に手マンをする。
 マーカスはまず法子の手マンをした。
 陰核を擦り上げて、秘裂を何度も何度もなぞり、浅いところを触手で何度も擦るように刺激を与える。
 そして八雲よりも浅いところにあるGスポットを押して、奥の方まで触手を届かせ、子宮を叩いた。
 それから尿道にも細くて長い触手を出入りさせた。
 法子への手マンはそのくらいにし、次は八雲への手マンをする。
 八雲への手マンは法子よりも激しいものだった。
 まず陰核を思い切り擦り上げて起たせると、触手で吸わせて、触手はその陰核に吸い付いて歯のようになっている部分で陰核を噛むようにした。
 そして秘裂をなぞって、法子よりも深いところにあるGスポットを押しながら、ポルチオを強く叩くように触手は動いた。
 さらに膣で出たり入ったりを繰り返し、強い快感を与えるようにした。
 時間が動き出すと、二人は強烈なアクメにまたも身体を仰け反った。
 強すぎる刺激は痛みにも近く、気が遠くなっていくような、そんな感覚を二人を襲った。
 そして二人は潮を噴いた。
「潮を一番飛ばした方にご褒美をあげましょう」
 そう言って、マーカスは何度も何度も二人をイキ狂わせる。
 モップ型の触手を取り出し、それで二人をイカせ、秘裂からはさらに甘い蜜が垂れていく。
 胸だけでなく、下半身へのその強い刺激が二人を気持ちよくさせ、逆に辛くもさせた。
 強すぎる快感はあまりにも残酷に二人の秘部を、胸を強く刺激した。
 その刺激は確かに快感だったが、快感と言うにはあまりにも強すぎた。
「ああああーーーーっ!」
「だめえ! だめっだめっ、あっ、ああっ!」
 法子はもちろん、八雲も辛そうに、淫らに喘いでいる。
 そして感じまくり、もう何もしなくても自らの動きで、胸が揺れるだけで、風を感じるだけで感じてしまう。
 痺れるような痛みにも似た快感が、二人を包む。
 二人は潮を飛ばし合う程、感じまくり、マーカスはそれを笑って見ていた。
 触手でも二人を責め、何度もイカせる。
 さらに時間停止をして、二人の胸を吸引し、絶頂させ、Gスポットを責め、マーカスは再び時間を動かした。
 人外の快感に耐えるということも、発想も出来ず、ひたすら二人は快感に狂わせられた。
 もうやめてください。
 降参します。
 そう言いたいのに、言うことも出来ないほどの快感……。
 息を吐く暇もないくらい、責め続けられる。
 普通なら耐えられないような責めだが、戦士として肉体を鍛えていて、今までの調教で下地が出来ている二人は、以前のような気絶もなく、耐えられてしまう。
 開発しつくされた身体は歓喜を叫び、責めを甘受してしまうのだ。
 淫花からの淫気を吸い、張り詰め発情した双乳や臀部は充実感たっぷりに揺れ、弾む。
 尻尾を振るかのように痙攣する。
 今までのようにしばらくしたら止まるような責めではなく、ひたすらイキ狂わせられる。
 二人の精神を折るかのような責め。
 顔からは涙や鼻水が出て、股間からは潮を噴き、ぼろぼろになっていくプライド。
 そして怒りや屈辱を味わいながらも快感を貪ってしまう。
 二人はマーカスの前であらゆる意味で素の顔を曝け出し、悶える。
 そして二人は何度も潮噴きをして、遠くまでその潮が飛んでいく。
 イク度にぴゅっぴゅと透明の液体が二人の股の間から飛び出て、地面を濡らす。
 八雲も法子も、イキまくり、気持ち良さから尿を漏らしてしまうことも……。
 二人はもはや戦士としての顔ではなく、ただの女としての顔になっていた。


これはbc8c3zがあらすじ・設定を作り、それを元に根本鈴子先生に書いてもらった綾守竜樹先生著・魔斬姫伝の2次創作です。
綾守竜樹先生のファンの方に読んでいただければ、それに勝る喜びはありません。
一瞬でも先生がいなくなったことの皆さんの孔を埋めれれば幸いです。
感想があれば励みになりますのでお書きください。
またアンケートだけでもいただけたら今後の参考になりますので入れてください。
よろしくお願いします。

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