百姫夜行外伝~涼皇・Resurrection~

百姫夜行外伝~涼皇・Resurrection~

ナグは女を探していた。神話級の淫魔たる彼女は、自分が発明したとある魔導具の実験材料を探していたのだ。

「うーん、なかなか好みの子が見つからないのよね。イェグも一人に夢中になって、全然手伝ってくれないし」

 はぁ、と溜息を吐いた彼女は、けれども少し考えて「そういえば」と呟いた。

「少し前に淫魔の間で、神招姫の三姉妹が可愛いって話を聞いたことがあるわね。お試ししてみようかしら」

思い立ったが吉日と、ナグは御巫姉妹の元へ向かう。ほんの暇潰しを探していた自分が、今後の淫魔としての人生もとい魔生に関わるほどのお気に入りを見つけてしまうことになるとは、この時の彼女はまだ知らなかったのだ。

「ふぅん。これが名のある神招姫ね。確かに可愛い子達ではあるけど……うーん、少し物足りないのよね」

ナグがそう一瞥しているのは、気真面目そうな表情をしている次女の澪と、はつらつとした笑顔を見せる三女の波音であった。どちらも見紛うことのない美少女であるし巫力を持ち合わせてはいるが、ナグの選り好みの激しさからは選定条件対象外だったらしい。

「二人とも美人だしスタイルも良いけど……ちょっと初心がすぎるのよね。もっと奔放で強かな、古の日本美って感じの女の子が私の趣味なのだけれど。まぁ、今の時代は難しいかなぁ」

そう、ナグが探している逸品は、ある種の欧米的道徳観念に支配されていいない、野性的な女だった。日本の民族的価値観から来る、大らかさと強さを内包する女だったのだ。

「此処はハズレかなぁ。……まぁ、あと一人も期待しないで待ってましょうかね」

「澪、波音。そこにおったか」

諦めかけていたナグの耳へ、凛と涼やかな声が届く。艶めかしい黒髪を日本人形の如く真っ直ぐ切りそろえた童女がそこにいた。眉は男のように太いまま吊り上がって、同じく吊り目がちの大きな瞳は血を吸った日本刀のように煌めきを持っている。ナグの心は、一瞬のうちに奪われ、彼女の心眼は童女の元来の姿を現した。豊満な乳房と下膨れ気味の尻、急すぎないゆるりとくびれたウエストも、全てがナグの美的感覚に合致していた。何よりも、童女の姿を取っている彼女、御巫涼皇の内包する力は壮絶であった。彼女の巫力・呪力・霊力、その全てを向けられてしまえば、常人は自らを恥じて戦うまでもなく自決を選ぶことだろう。勿論、淫魔であるナグへ一太刀を浴びせることは難しいだろうが。

「なっ……んて素敵なの! 私の好みにぴったり! あんな逸材を隠しているだなんて、御巫家もやるじゃない!」

ナグは早速、自らが作った魔導具と遠見で彼女達の過去と未来を通し見る。

「上手く付け入るスキがあれば儲けものよね……って、これは」

 ナグは自身の目に映る、彼女等の未来を見てニィと口角を上げた。その映像は常人が見れば目を背け、当人が見れば気も狂れんばかりの未来……だが、淫魔たるナグにとってはあまりにも興味深い実験映像であった。

「人間も、なかなか面白いことをするじゃない」

正確に言えば三姉妹を襲った南方はすでに人外の身であったが、神話級のナグに比べればこの程度の違いは些末に違いなかった。そんな矮小の存在に、三人の乙女は無残にも壊されていた。触手肉棒で膣を尻を穿たれ、乳を揉みしだかれては搾り取られ、己のも姉妹の恥部をも衆人環視に晒された。大切なものを目の前でじわじわと破壊しつくされ、ついには自分自身をも凌辱蹂躙の憂き目にあった。それ自体はナグ自身も経験させたことがあるので特筆することはない。

「ココロも所詮は肉体の一部……けれども、これは興味深いわ」

 ナグは、涼皇のような人間を見たことが無かった。ここまでの凌辱されて、最後まで強い精神力を持ち得た女を。だからこそ、その女が壊れていく様も初めて見た。壊れていく自分自身を、虐待的なまでに責め立てるその姿さえも。

 生に対するルサンチマンは、誰もが持ち得ている。だが、これほどの過剰を持ち得る人間はそうそう存在しない。

 諦めてしまえば、忘れてしまえば、考える脳を持ち合わせていなければ……涼皇はこれほどの苦しみを抱き抱えることはなかっただろうし、ナグの目に留まるほどの魂を持ち合わせることはなかっただろう。彼女は人間として、過剰なのだ。それは病的とも言い換えられる。ナグは涼皇の、人間としての魂に一目惚れしながら、一方で彼女の病巣に目を付けた。

「私って本当にツイてるわ! 日頃の行いのおかげかしら?」

ナグは理解していた。涼皇のような女は、けして通常の方法では落とせない。一時的に壊すことが出来たとしても、この女は自らの胆力で魂を再生することだろう。そうしてまた、虐待的なまでに己の心を責め上げては立ち上がるのだ。

初めての種類の女を前に、ナグは考える。自分自身の男根から分泌される、特殊な愛を含む媚液ならば従属されることも可能かもしれない。だが、それでは足りない。ナグの興味は、その程度で満足させられることはない。

「此処は……恩を着せる作戦ね。イェグには悪いけれど、こんな興味深い子は初めてなの。独占させてもらって、色々な実験をしたいの……ごめんね、イェグ」

 ここにはいない妹に謝りながら、ナグは構想を練り始める。そして、彼女は「その日」に動き出した。

御巫澪が南方討伐に出かける前日、深夜。ナグは涼皇の寝室に侵入していた。

「ふふ、良い匂い。畳のい草って結構好きよ。白檀のお線香の香りも貴方に似合ってる」

畳の匂いと和室の匂いを感じ入りながら、ナグはその小さな足で涼皇の寝室を歩き回る。猫のように音を立てない足は、けれどもすぐさま寝室の主に気づかれる。質の良い布団に体を横たわらせたまま、寝室の童女はナグに問う。

「お主、何者じゃ」

 その身は動かず、その声は淡々していて、乙女の寝室へ入り込んだ侵入者への興味さえないようだった。

「初めまして、涼皇さん。私、ナグって言うの。私、貴方に会いに来ました……というより、愛し合いにきました?」

 幼げな声に、洋風の名前。向こう側の悪魔かと思うが、魔力や淫気を全く感じない。涼皇はそれを不思議に思いながら、それを態度に示すことも無くもう一度問う。

「こんな時間に、お主は何用で来たのか?」

初めて彼女が上半身を起こす。其の一連の動作の間、涼皇は一度たりともナグから目を離さずにいた。

相手は、西洋のビスクドールが動き出したかのような容姿をしていた。自分と同じくらいの華奢で小柄な体型に、年頃の童女が喜びそうなレースとフリルに飾られたひらひらとした服を纏っている。ナグは柔らかく笑い、囁いた。

「明日のことが心配で眠れないのね」

 その言葉を聞いて、ようやく涼皇の顔に表情らしきものが見えた。自然体の太い眉が、僅かに痙攣を起こしたのだ。

「今も全く寝てなかったでしょう? 妹を捧げるのが怖いのね? 不安なのね?」

 誰にも、妹当人にすら打ち明けることのなかった計画を知る童女に、涼皇は戦闘態勢を取ろうとする。しかし、その瞬間涼皇の体は動かなくなった。拘束を受けたわけではない、しかし、ナグへ指先一つ触れることもなかった。

「このままだと、澪だけじゃなく波音も捧げることになるわ。貴方が貴方以上に大切に思っている者を……貴方を貴方以上に大切に思っていてくれる者を」

 ナグはゆっくりと近づいてくる。その力と言葉とに、涼皇は動けないまま彼女の動向を見せつけられている。

「貴方は耐えられない。今まで、家と神威の為に沢山のモノを捧げてきた貴方でも、今回は耐えられないの」

 ナグの視線から逃げられない涼皇は、そのまま頭に手を乗せられる。母が娘を褒めるような、優しい手つきで。

「それを見せてあげるわ、そして、体験させてあげるわ」

 涼皇の脳髄に、それが刻まれる。慟哭も憤怒も遠い、あまりに残酷な未来の写し絵が。

翌日。討伐に出発する時間となった澪は、屋敷の前で待つ長姉の姿に驚いていた。

「涼皇お姉様、どうしたんですか?」

「いや、なに。お前の大仕事、姉として見送りをしようと思ってな」

涼皇は何でもないようにそう言ったが、澪は疑問符を浮かべたままだ。いつもの姉ならば、そんな感傷的な行動はとらない。だというのに、今日の姉は普段と変わらない反応で珍しい行動をとっている。そして、当の涼皇の心の中では、目まぐるしく過去の記憶が追想されていた。忍耐強く修行を続ける澪の姿、子供の頃の思い出、お調子者の波音をいさめる姿、皆で仲良く野原を駆けずり回っていたあの頃のこと。

最後に涼皇の瞳が映したのは、ナグと言う童女が見せた光景。愛しい妹達の魂を砕く、南方の凌辱と調教の数々だ。

もしもナグが妹達のあの光景を見せていなかったら、ナグが自分の未来を体験させていなかったら。

涼皇はまさにナグが見せた、体感させた未来通りに動いていたことだろう。

――――そう、彼女は見せられた未来通りになど、動かなかったのだ。

「澪、待て」

「え? 涼皇お姉様、今、何を」

 澪の問いに答えず、涼皇は言う。自分でも気づかぬほどの自然な動きで、彼女は駆け出していた。

「ここは、儂が行く」

神威に殺されるかもしれない。神招姫として失格の行動かも知れない。今までの行いを全て、無にする愚行かもしれない。それでも。この行為の意味を理解した上で、涼皇は微笑んだ。微笑みのままに、行動に移っていた。

「ふふ、予想通り。涼皇ちゃんは動いてくれたわね。子供バージョンで出陣か……私は早く、あの爆弾ボディの涼皇ちゃんも見たいなぁ。……それにしても」

ナグは大きな瞳を細くし、先程までのふざけた雰囲気を払拭させた。何の感情も感じさせぬ、冷静そのものの表情。しかし彼女の、ナグの瞳には、涼皇の幼い表情の裏にあらゆる感情が渦巻いているのが視えていた。

ナグは、涼皇の認識にいくつかの工作をしていた。妹達の痴態と南方の凌辱を、ナグは映像として見せた。しかし、涼皇自身のことは映像ではなく、記憶として刻み込ませたのだ。彼女の肉体と精神に刻み付けられた罪悪感と快感……さらにそれに付随したマゾヒズムを。家と化物達の為に、涼皇自身が家族を売ったという、事実を。

「貴方は確かに、今、家族の為に動いているわ。でも、もし私がいなかったら?」

 ナグが見せた映像と、涼皇自身が体感した感情は、本物であった。

 そして、今までの涼皇の価値観であれば、澪と波音を確実に、神威と家が為の生贄と差し出していた。

「そう、貴方は家の為なら、家族でも自分でも売ってしまう女」

 まさに自分は売女であると、涼皇はナグが微笑むその時、己の価値へそう評価を下していた。

 結論として涼皇は南方を斃し、そして驚くべきことに神威からの咎めはなかった。涼皇はナグの手助けにより、己が見た未来を変えたのだ。各々の部屋で健やかに眠る姉妹を、涼皇は静かに見入った。まだ二十歳にも満たぬ彼女らの表情は眠ると一層幼く見えて、野原を駆けずり回っていた頃と何ら変わりがないように思えた。安堵したように目を細め、しかしその息を吐くことすらせずに涼皇は姉妹の部屋の襖を締めた。

そうして、涼皇が彼女自身の部屋に戻ると、彼女の寝具の上にはナグがあられもない姿で待っていた。

「こんばんは、涼皇。貴方の可愛い妹ちゃん達、そして、貴方自身も助けられたみたいね?」

「ああ。お主の先見があったおかげで、儂は澪と波音を失わずに済んだ。感謝する」

「……今、感謝するって言ったわね? 日本では言霊は大事な物なんでしょう? 良いの、私のような人外にそういった言葉を簡単に口にして? ……私がいつまでも、貴方の味方でいられるとは限らないわ」

そう言ってのけるナグに、しかし涼皇は何でもない表情をして言った。

「ああ。儂は意外と素直で聡い女なのでな。……お主が望むものも、大抵理解しているつもりだ」

 自惚れでないとするならば。涼皇が呟くとナグは興奮にゾクゾクと体を震わせながら、幼げな表情に不似合いの妖艶な微笑を重ねた。彼女はうっとりと両手を頬を添えながら、涼皇に対して「ご褒美を頂戴」と言った。

「自惚れなんかじゃないわ。私、貴方の体が欲しいの。妹ちゃん達を助けてあげたんだから、そのくらい良いでしょ?」

 ナグの言葉に、涼皇は考える。元々、生まれた時から当主としての宿命があった。普通の娘のように恋をし、結婚し、子供を産む……そんな未来は存在しないと理解していた。だからこそ、彼女には一人の男に操を捧げる貞操観念もなかった。

(この童女……否、ナグなる人外の魔力に逆らうのはまずい……それに)

 それに、と続く言葉の先を、彼女は理解していた。ナグが自分に話したことはもっともな事実である、と。

 妹達を助けてもらった身分の自分には、ナグの戯れに付き合うくらいの……「そのくらい」の罰が必要であると。

自分の価値は「そのくらい」なんだと、涼皇は自嘲を隠したままにナグに笑った。

「良かろう。どうせならば、儂も楽しませてくれるかの、ナグ」

「勿論。貴方が思うよりもずっと、楽しませてあげるわ、涼皇」

祓いの儀式に置いて、涼皇は男との性交には慣れていた。その上で、ナグは涼皇にリクエストを入れていた。

「私、子供の貴方も好きだけど大人の貴方はもっと好みなの。貴方の力を調節してあげるから、大人の姿になって?」

「うむ、儂にとってもその方がやりやすいしな。ぜひお願いすることにしよう」

ナグの調節により、涼皇は大人の姿に戻る。滑らかに身長が伸び、たぷんと柔らかに乳房と尻臀とが膨らむ。大人の顔になったことで相対的に目の大きさが変わり、八重歯も目立つことでやや剣呑な美貌を放っているが、それすらもナグには好ましいものであった。ナグも妖艶な美女の姿と変わり、両手で頬を包む科を作って涼皇を誉めそやす。

「やぁん、素敵。やっぱりセックスをするなら大人の貴方が魅力的ね!」

「そういうお主も美形じゃの。もしこの行為を見る者がおったら、眼福余りあるところだろう」

背後から大人姿のナグに乳房を掴まれるも、涼皇は全く物怖じせずに微笑む。ナグはそんな涼皇の唇にキスをしつつ、彼女のやや縦長の楕円形の乳首を愛撫し始める。華奢な指先が乳輪を撫でながら、ついと小粒の乳首を引っ張る。

「あ、ぁ……ん、ふふ、なかなかのテクニシャンだな。それならば、儂も攻めさせてもらうぞ」

「んん……ふぁ、ふ……キス、気持ち良い……」

 涼皇は自分の背後にいる、ナグからのキスに舌を入れて挨拶をする。温かな口内をちろちろと舌でくすぐれば、ナグも興が乗って来たらしく胸への刺激を強めていく。次女の澪より大きめの、女性の象徴にふさわしい豊かな双乳を掬い上げ、揉み込む。そのうちに、ナグは口付けを解くとするりと涼皇の肩に圧し掛かった。

「おお、そうくるか……ん、ぁ……それにしても、お主は柔らかい肌じゃのう……」

「貴方こそ……こんなに柔らかくてすべすべの肌、自前だなんて嫉妬しちゃいそう」

ナグはそう囁き、涼皇の耳に噛みつきながら、今度は肩から乗り出した体を柔く屈伸させて彼女の乳房を口に含んだ。ちゅぱちゅぱと音を立てながら乳首を吸うナグに、涼皇は「愛い子じゃ」などとからかいを口にしながら彼女の小振りな尻を手で押す。ころり自分の目の前に転がった彼女の体へ、体の上下を反対にした状態で圧し掛かる体位、現世風に言うシックスナインの体勢になる。涼皇の積極的な行動に、ナグは興奮しながら彼女の蜜壷へと指と舌とを這わせた。勿論、涼皇も後れを取ることなく、ナグの美しい体の中、一つグロテスクに反り立ち上がる男根を口に含むのだった。

「んんっ……ぁ、ひゃ、あ……涼皇……ふぁ、んんっ……気持ち、良い……!」

「ぁ、う……はぁ、ぁ……ナグ……お前の男根も、立派なものだな……ん、む……」

「きゃ、あっ! はぁ、あっ、涼皇……貴方の此処も、美味しそう……」

「っ、ぁ……!」

膣肉へ指を挿入されたままクリトリスを吸われると、涼皇は甘い声を吐き出して果てた。ナグは自分自身の男根の絶頂を感じながら、脳の冷静な位置で涼皇の姿を観察していた。涼皇の快楽の場所は、自分の中指の二節目と記憶する。自身の精液で唇を濡らし、その唇をちろりと舐める涼皇に、ナグは再び乳房へ愛撫を重ね始める。

「っ、ぁ……ん……ふ……んんっ……く……」

 シックスナインから股をくぐり、ナグは涼皇の体を布団へ押し付ける。柔らかな布地に皮膚が擦れ、涼皇は甘く吐息を零す。そんな彼女におねだりをさせようと、ナグは彼女の乳首をコリコリと引っ掻き、ぎゅうっと乳輪へと押し込んだ。少し痛みさえ伴うそんな愛撫に、けれども涼皇は色白の肌に赤みを浮かべて「ふ、っ」と呼吸を乱す。

「ねぇ、涼皇。私のおちんちん、欲しくならない?」

 涼皇の快楽を程好く刺激しながら、ナグは彼女の腰に自分自身の股座を押し当てる。とん、とん、と、丁度性交のピストンをするように腰を押し付けたり引いたりするも、此処は涼皇も意地があるのか、柔く笑って「まぁだ」と言った。

「もう、なかなか釣れないわね。それなら、もっと気持ち良くしちゃう!」

「んっ……は、は、ぁ……残念だが、まだまだ……儂も経験豊富故、そうそう欲しがりではないのでな……」

涼皇の言葉に、ナグはムキになって乳房を揉みしだき揺さぶる。ナグの淫魔らしい、乳腺自体を気持ち良くするような刺激の方法に、思わず涼皇の膣がきゅううっと締まる。とろとろと愛蜜を零し始める涼皇の膣に、ナグはわざと気づかないふりをして乳首を指で犯す。指で潰され押し込まれ引っ張り伸ばされる乳首が、徐々に涼皇の余裕を奪い蜜の粘度を上げていく。赤く熟したグミの実のように膨らんだ乳首を、三度指の腹で押し潰された途端、涼皇はびくんと体を跳ねさせた。

(っ……胸だけで……流石は淫魔じゃ……否、儂がはしたないだけか……)

「ねぇ、涼皇、そろそろ……私……」

「……ん、まだじゃ。それより、此方でしたいなら手で抜いてやろう」

 涼皇はそう言いながら、ナグの両足の間に手を入れた。女性器と男性器が混在する彼女の下腹部を、涼皇は長い指を駆使して刺激する。淫魔だというのに男など知らぬのではないかと思えるほどに締まりの良い膣肉へ小指と薬指を挿入し、親指と中指と人差指で作った輪っかで陰茎を擦り上げる。これは淫魔のナグでも堪らないらしく、ぞわぞわと肌を粟立たせながら「ああんっ」と声を上げた。しかし、流石は淫魔というべきか、ナグは自身の絶頂を糧に涼皇への責めを続けていく。

「涼皇の大事なところも触らせてよ。柔らかくて締まりの良い、涼皇のおまんこを」

 涼皇の膣肉は既に快楽を得ていたが為に、とろりと濡れてすぐに三本の指を飲み込めるほどに解れていた。中指でGスポットを丁寧に撫で回した後、彼女の一番奥、子宮口を指の腹で優しく刺激する。アダルトビデオのような激しい手淫ではない。そんな責めをして「無理矢理」の感覚を植え付けてしまっては、折角の作戦が台無しになってしまう。

「っ、あ……ふ、ぁ……んんっ……!」

(なんだ、この甘い声は。……確かに、売女らしい反応ではあるが)

 涼皇はそう自分を叱咤しながら、けれどもナグが自分の絶頂を指摘せぬことを不思議に思っていた。淫魔の類であるならば、絶頂の度に溢れ出る情欲を読み取り、からかい嘲笑っても可笑しくはないだろうに。涼皇が黙り込んでナグの様子を確認していると、ナグは駄々っ子のように「もう!」と言いながら腰を揺らした。

「そろそろ中に入れさせて! 私、もう気持ち良くなりたくて限界なの!」

 そうか、この淫魔は自分の膣肉を求めて必死だったのか。涼皇はそう思うと、少しばかり安堵しながら「仕方ないのう」と口先の許可を差し出した。ナグほどの淫魔であれば、許可などなくとも涼皇の内側を乗っ取ることすら出来るのだが、これこそがナグの作戦であった。

「本当に、入れても良いの?」

「ああ、お主には恩があるからのう」

「……それじゃあ、入れるわね」

 すっかりと反り立った陰茎を、涼皇の体内に沈み込ませる。カリ高の亀頭が腹側の膣肉をこりこりっと抉ると、涼皇の膣肉が強く震えた。男根から精力を搾り取るかのようにきゅうきゅうと伸縮する涼皇の膣肉の様子は、ナグの男根にはっきりと刻みつけられた。ナグはそのまま、涼皇の乳房を揉み揺らしつつ律動を重ねていく。

「っ、んっ……はぅっ、うっ……んんんっ……」

「は、ぁ、んんっ……涼皇……涼皇の中、とっても気持ち良い……ねぇ、涼皇は……?」

「っ……! ぃ、ぅうっ……!」

絶頂を感じながらも、涼皇はあられもない声を上げることはなかった。八重歯を見せながら奥歯を噛み締め、丁度小型の肉食動物が威嚇をするような表情で嬌声を押さえている。最初に「楽しませてくれ」とは言いながらも、やはり淫魔との行為を完全に受け入れているわけではないらしい。ナグはそのことを理解しながら、ずるずると律動を重ねていく。

(やっぱり単なるセックスじゃ、貴方の全ては見せてくれないのね……私は貴方の、深淵が見たいの……)

 覚えたての少年のように腰を振っているように見せて、その実ナグの心は冷静であった。彼女は腰を振る度に、涼皇の活発に働く性脈を、彼女の膣の開発具合を、胸の感度を、弱点を調べていた。そして一度目の絶頂が起こると、彼女は次に亀頭でGスポットを擦り上げ子宮口を刺激しながら、彼女はぎりぎりでイかない場所を探していく。快楽に届きながら絶頂には届かない弱い攻め、それを敏感な乳房と共に刺激する。小刻みに乳房を揺らしながら、乳輪を指の腹で撫で回して、つんと立った乳首をカリカリと軽く引っ掻き回す。

「っ、んぁ、あっ……ぁう、ふっ、くっ……!」

「はぁ、ぁ、あ……涼皇……好きよ、好き……可愛いわね、涼皇……」

甘い言葉が涼皇の心に刻みつけられる。それは、自己卑下の強い彼女にとって毒になり得る濃度の甘さだ。毒になるからこそ、涼皇はそれを本能的に「今は未だ」拒絶することが出来る。だが……乳房を揺さぶりくすぐり蕩かす感覚と、膣肉を突き上げ掻き毟り穿つ感覚とが、共に与えられるほどに涼皇の絶頂のスパンは短くなっていく。

「……ぁ……ぅっあ……っ……ぁっ、んん……」

「涼皇、そろそろ私におねだりしてくれない?」

「ッ……ふふ、まだまだ……お主に哀願を向ける程……儂は衰えておらんよ」

「もう、意地悪ねぇ。それじゃあ、もう少し激しくしても良いわよね」

「ああ。妹を助けてもらった恩じゃ。お主の思うままに動くと良い」

子供のような言葉を口遊むナグを軽くあしらいながら、しかし、二回目のセックスにおいて、涼皇の全てはナグの観察下に置かれてしまった。ナグは涼皇の乳房を、小動物を扱うような慎重さで両手に包み込み、慈しむように愛撫する。

「本当に綺麗なおっぱいよねぇ。形も良いし、大きいし。触ってるだけでも興奮してきちゃう」

「お主が満足しているなら、それに越したことは無かろうよ」

 答える涼皇の乳房にナグは吸い付く。楕円の乳輪自体を口に含んで、膨らみ尖った乳頭を舐め回す。すっかりと開発された乳首は生温かい舌を絡められるだけで熟したグミの実のように色付き、その小さな部位から与えられるとは思えない快楽が涼皇の細胞を通って全身に広がっていく。ナグの舌は一つの軟体動物のように、涼皇の乳房を味わっていく。

「ん、ん……涼皇……もっと気持ち良くなってくれても良いのよ……?」

「っん……儂は十分に悦んでいるが……?」

「そんなことを言って、全然イイ声上げてくれないじゃない! 私はもっと、乱れた貴方が見たいの!」

柔く乳首に噛みつきながら、ナグは下乳を弄ぶように叩き出す。猫が飼い主に構って欲しい時のような柔い平手打ちは、徐々に涼皇の体に熱を帯びさせていき、彼女に甘い吐息を零させる。ナグは涼皇の様子を静かに観察しながら、自身の男根を取り出す。屹立した魁偉な陰茎に、涼皇は無意識的に喉を鳴らした。きゅう、と小動物のような音を立てた自分の喉に、涼皇は胸の内で自分を「売女め」と罵倒する。その罵倒の中にさえある種の「赦し」が内包されていることに、ナグは涼皇の心情を読みながら秘めやかに笑った。自尊心の低い涼皇にとって「穢れ」は赦しにも繋がるのだ。自分のようなものがまともな幸せを求めるわけにいかない、自分のようなものは穢されて壊されてこそ許される――――そんな強迫観念にも似た信条。深淵に至るまであとわずかであると確信したナグは、涼皇の体内に自分の雄欲を潜り込ませた。

「っあ、んっ……はぁ、あ……」

「んんっ……涼皇……動くよ……?」

ナグに両掌で乳房を揉み込まれ、下からゆっくりと突き上げられると、涼皇は「っ、は」と呼吸を詰まらせる。その反応に、ナグは乳首を指の腹で潰しながら、下乳を掌底で揺らす。脂肪よりも乳腺の発達した下膨れ気味の乳房は、掌と肌を吸いつけてヒタヒタと音を立てながら快楽を煽っていく。

「ぅ、く……は……ん、んっ……」

からかうように下乳を軽く叩いて、乳首を指で抓んでは擦り上げる。肌全体が桃のような薄紅の血色を透かし、薄い皮膚の下から性的な脈動を感じられる。ナグは乳房に愛撫を重ねながら、腰の動きを緩慢に微調整していく。

「っ、ふうっ……ぁ、ああ……ん……」

「あん、ぁあ、あ……もう……私ばっかり気持ち良くなってるみたいじゃない……んんぅっ……!」

 言葉ではそう駄々をこねながら、涼皇に見せないナグの表情は冷え切っていた。彼女は自身の男根から、涼皇の膣の蠢きを理解して、穏やかに彼女の心へ安らぎと甘えの種を植え付けているのである。重大なマゾヒズム感情を持つ涼皇は、ゆっくりと嬲られるように刺激されることを好んだ。絶頂のタイミングには豊満な尻が大きく跳ね上がり、まるで仕置きを受ける前の子供のような動きを見せることも。男根が脈打ちながら欲液を吐き出す。どろりと膣肉から溢れ出す白色に、余裕ぶって「もう良いのか?」と言ってのける涼皇の童女のような健気さを前に、ナグは幽かに微笑んだ。

(次こそよ、涼皇。貴方の深淵を、しかとこの目に見せてもらうわ)

三回目に会う約束を取り付けて、二人は自分の寝床に戻る。次の夜が来たその日、涼皇の深淵へナグは問いかけた。

「……これは何の冗談だ、ナグ」

「あら、何の冗談でもありませんわよ、涼皇お姉様?」

聞き慣れたメゾ・ソプラノ、幼い頃から隣にいた表情。涼皇の布団の上で柔肌を晒しているのは、何より大事な妹であった。それは、もう起きる可能性のない話。もしもというIFが涼皇の目の前に置かれているのであった。

「ねぇ、涼皇お姉様。お姉様は、お仕置きをされて当然の女の子よね?」

「お仕置きとは、なんのことを言っておるのじゃ。そもそも、お主はナグじゃろう」

「今は澪よ。ねぇ、涼皇お姉様は、ナグがいなかったら全てを捨てていたことでしょう? 家と神威の名の元に、私も、波音も……そしてお姉様自身の心も、売り払っていたことでしょうね」

澪の唇から零された言葉に、涼皇が僅かに動揺する。自分を売女と定義した涼皇の自尊心は元から落ちることもないほどに低かったが、それでも、実の妹によく似た形の肉に責め立てられることを良しとはしていなかった。

「ねぇ、涼皇お姉様。私と気持ち良いことをしましょう?」

 涼皇の乳房を、澪の姿をしたナグの掌が包み込む。人差指と中指で小さな乳首を抓まれると、そこから感じ入る電撃のような快感に涼皇は「やめろ」と零した。零すという表現が似合いだろう、弱々しい声であった。

「あら、どうしたのです? これはお遊びですよ、涼皇お姉様?」

「遊びは遊びでも、これは低俗が過ぎる。やめろ。やめないのならば……帰る」

乳房を撫で回すナグの手を叩き落し、涼皇は乱れた着物を整えて踵を返そうとする。それでも、妹と同じ顔をした肉に縋られては無下に蹴り上げることも出来ず、涼皇は自分を見上げるナグの擬態を苦々しい思いのままに見つめていた。

「あら、帰ってしまわれるの?」

「あ……ああ、お主とは、これっきりじゃ」

 涼皇の言葉に、澪の形をしたナグはすぅっと目を細めた。肉食動物が相手を甚振る瞳をして、彼女は微笑の口元を覆う。

「私に恩義を感じていたんじゃないの、貴方は? 利用するだけ、利用して捨てるなんて……貴方は神威と同じだわ」

「っ……」

 涼皇に返答はない。言い返せる言葉を、彼女は持ち合わせていない。黙り込むことだけが、今の彼女を守る鎧だ。しかし、その鎧も容易く剥がされる。妹とそっくりの形をした、人外が紡ぎ出す呪いの言葉によって。

「いいえ、神威とは全然違うわね。貴方はいつも、どの道を選んでも中途半端だもの。……当主としての責務から妹達を生贄にしたけれど、結局捨て切ることは出来なかった……そうして私の言うことを聞くと抱かれたけれど……自分に都合が悪くなると私を容易く切り捨てたわ……全部、中途半端ね。涼皇お姉様は、本当に駄目な人」

「……やめんか、それ以上、儂は」

「どんな形の家族でも、本当に人の心を持った人なら、自分の家族を売ることなんて有り得ないはずよ……でも、貴方は……涼皇お姉様は……」

「っ、う……あ……」

 恩は逃げ道であり、理由だ。涼皇は現在、理不尽な……或いは不本意な快楽に置かれている。

 絶大な精神力を持つ涼皇は、普通の快楽のみのナグの責めを耐えることは可能だ。可能だった。例えば、ナグの切り札である愛を芽生えさせる精液を浴びたとしても。涼皇の屈強な魂は、壊れることも無く再生をして見せたことだろう。

 だが、恩という名の足枷と言い訳が、精神と肉体に綻びを見せ、涼皇の魂をこの場所に癒着させる。まるで予後治療を怠った病巣のように、その魂は粘性の呪縛に絡め取られては屈辱の記憶を繰り返させるのだ。彼女は忘れることが出来ない。病的に真面目な、度を超すほどに責任感の強い彼女は、たとえ数百年の時を置いてもこの記憶を鮮明に思い出すだろう。

 ナグへの恩と、二人の妹への後ろめたさから。涼皇は何より、この通り妹に責め得られることが当たり前だと思っているのだ。そう、彼女の本心は自ら傷口を抉り出してしまうのだ。

「涼皇お姉様、どうして私を捨てたの? 私、御姉様のお役に、立ちたかっただけなのに」

 澪の痴態と調教、快感に壊れていく過程がフラッシュバックする。その顔と言葉が、抑えきれない罪悪感となって彼女を蝕む。縋られていた涼皇は、はたりと座り込んで、目の前の妹の形をした肉塊を、強く強く抱き締める。

「……すまない、澪……お前は……お前は何も悪くないのだ……」

「私の、何がいけなかったのですか? お姉様、私、一生懸命頑張って……それなのに」

「……儂が、儂が全て間違っていたのだ……だから、だからもう……やめてくれ……!」

 ナグの瞳から逃れられぬまま、涼皇はじっと耐えている。泣くことも、目を瞑ることも、耳を塞ぐことも出来ず。ナグの瞳は鏡であった。自分の心の根本、それは深淵にも繋がる深い場所を、鏡で見せつけられ、見られ続けているのだ。

 ナグが、澪が。うっとりと微笑む。それは単に体を繋ぐよりも甘美な、屈服に向けて緩く結われた絆であった。

 絆という言葉が家畜を結わえる紐だったという成り行きから考えれば、確かにそれは「絆」と言えることだろう。

「家族も守れない涼皇お姉様は、もう長女じゃありませんねぇ。涼皇お姉様……いいえ、貴方はもう末っ子ですよ」

ナグはそれから、魔術に寄って自分を二つに分けた。勿論、澪と波音を演じる為である。

「ふふふ、涼皇ったら、私達の中で一番小さいのに、こんなにおっぱいを大きくして、いけない子ね」

「本当に! 涼ネエ、ううん、涼皇ったら、末っ子の癖にこんなにおっきいおっぱいして、生意気よ!」

普段の二人ならば口に出すところか考えもしないだろう、無遠慮で意地悪な言葉。しかし涼皇を詰る言葉に対して、澪と波音の表情は穏やかだ。年の離れた出来の悪い妹を慈しむような、柔らかい雰囲気がその場を支配している。しかし、彼女達の指先は苛烈だ。長女である涼皇、否、今は末っ子となった涼皇を、一番胸が大きいという理由で折檻しているのだ。

「ひぃぁ、ああぁ、あっ……! すまん、二人共、すまないから、やめてくれぇっ……!」

「すまん? すまない? 駄目ね、涼皇。貴方は末っ子なのだから、もっと可愛らしい言葉を使わないと」

「そうよ、涼皇。涼皇は一番赤ちゃんなんだから、お姉ちゃん達に『ごめんなさい』って言わなくちゃ」

「ぁあ、ぁあああんっ……! ごめんなさいっ、儂、悪い子で、悪い子でぇっ……!」

「まだ駄目ねぇ。涼皇、赤ちゃんが自分のことを『儂』なんて言うと思う?」

「ふえぇっ、ぁっ、あああっ……! 儂、私はっ、はぁあ……! 悪い子だからぁぁ……!」

「大分よくなったわねぇ。でも、まだ駄ァ目。ちゃんと『涼皇』って言わなくちゃ」

「ひうっ、うううっ……! 私……つぁ……涼皇、は……悪い子です……! ごめんなさいっ、ごめんなさいぃっ……!」

 長女から末っ子に。すまないからごめんなさいに。儂から涼皇に。

 変容させられていく彼女の存在は、淫らに解れて堕落していく。二人分の嫉妬を一心に受ける涼皇の乳房は、快楽に火照って熟した桃のような赤みを帯びていた。澪が乳房を掴めばそれだけで涼皇は切なげな悲鳴を上げて、波音に下乳を揺さ振られれば泣き出して許しを請う。行われている行為自体はナグと行ったそれと何ら変わらないだろうに、涼皇の反応だけが違うのだ。勿論、最初こそ涼皇は現状に抗おうとしていた。唇を千切らんばかりに噛み締め、喉奥の悲鳴を舌を押しこんで殺そうとする。それでも、二人が……澪と波音が彼女を責め立てれば、涼皇の罪悪感は容易く彼女の快感を高めていく。

「涼皇、本当にあなたのおっぱいは大きいわねぇ。こうして私達に苛められたくて、此処まで育てたのかしら?」

「っ、ちが、儂は、涼皇は……そんな、そんなこと思ってなくてっ……だから、ああっ……!」

「そうに違いないわよ! 本当に、涼皇はえっちで悪い子。お仕置きしてあげなくちゃ!」

「きゃひいっ!? やぁっ、ああっ、いああああっ!」

澪が無遠慮に上から掴み上げた乳房の、下乳を波音が平手で叩く。それは男が戦いの中で繰り出す単純な暴力とは違い、女特有の相手を辱める為だけの攻撃であった。パァンッ、タァンッ。派手に響く音に対して、痛みは小さな無数の丸い針を押し当てたような軽いものだ。だからこそ、全体の乳腺が刺激されて腹の奥の欲情を煽っていく。悪戯をした童女の丸い尻を叩くように、下乳が平手打ちされる。ベッドで偽の妹……否、偽の姉二人に羽交い絞めにされている涼皇は、座り込んだ布団の上に愛液のシミを作っていく。その間にも、ナグが擬態した澪と波音は、涼皇の胸を容赦なく責め立てる。

「きゃひいっ、ですって。苛め甲斐のある声を上げるわねぇ、涼皇は」

「もう、や……や、やめてっ……澪姉様……波音姉様っ……」

「姉様、だって。妹に姉様だなんて、涼皇は本当に駄目な子ね」

澪が乳房を揉み、波音が乳首を吸う。わざとらしくじゅぐじゅぐと音を立てて吸われる乳から、男性の射精前に似たもどかしい感覚が走る。嫌だ、やめて、堪忍して、許して。涼皇は子供のように嫌々と首を振りながら、それでも澪と波音を引き剥がすことも出来はしない。そのうちに、波音は吸っていた乳首を乳輪ごと八重歯で甘噛みし、きりきりと傷のつかぬ程度に引っ張り出した。それでも痛みに対して快感が上回り、涼皇は波音に向かって噴乳した。赤子を孕んでいなくても乳を噴き出すその姿は、婢女というに余りある淫らしい雌婢の姿であった。

「わぷあっ! ちょっと、涼皇、いきなりお乳出さないでよぅ。牛のお母さんじゃないんだから」

「あらあら、波音の顔が真っ白だわ。まるで射精されちゃったみたいね」

「ぁあぁ……ごめんなさい……波音姉様、澪姉様……ごめんなさいっ……!」

 妹二人に責め立てられ、涼皇は子宮がびくつく感覚を覚えた。まだ男根も入れられていないのに、媚液に浸されたわけでもないのに、この動きは絶頂の感覚であった。擬態とはいえ実の姉妹に責められる背徳感が、元から低い自尊心を大幅に減少させてしまう。きゃらきゃらと、鈴でもなるような声で、澪と波音が笑っている。

「あら、涼皇。もしかしてイッちゃったの? お乳を出してイくなんて、ちょっとえっちが過ぎない?」

「まさか、そんなことでイくなんて。まったく、えっちな妹を持つと姉さんは大変です」

 これはお仕置きが必要ですね。そういって、澪と波音が立ち位置を交換した。今度は波音が涼皇の乳房を揉み、澪が乳輪ごと乳首を吸い、その柔らかな肌を張り手打ちにする。透き通るような打撃の音に、涼皇は一撃ごとに子宮を震わせる。

「ぁああっ、ぁあっ、ひっ! 許してっ、姉様、堪忍っ、お願いだから堪忍してぇっ!」

 タァンッ、パァンッ。乳房を叩かれる度に、子宮の震えが止まらない。まるで乳房の肌と子宮の壁が呼応しているようだった。二度、三度、四度、五度……数えることも億劫になるほどの回数を打ち据えらえて、白い肌に掌の赤い花弁が浮かぶ頃、牝婢と成り下がった涼皇は一際切ない声を上げた。

「ひぃあああいやあああああっ――――! うやわぁああああぁああああ――――!」

 両足の間から、大量の潮を噴く。とうとう指一本を受け入れることもないまま、涼皇は潮噴きアクメをしたのだ。勿論、乳首からも大量の乳を噴いて。自分自身の情けない姿に、涼皇は「ううう」と呻き声と共に涙を零す。あまりにも愚かな、浅ましい自分の姿に、彼女は最早願うことしか出来なかった。

(……もう、何も考えたくない……)

これ以上、自分の愚かさや失敗を見たくない、見せられたくない。目も耳も口も閉じて、赤子のように眠っていたい。

 それこそが自分のような人間にも許された、本当の許しだと涼皇は思った。そして、その心をナグは知っていた。

 プライド、常識、責任感、罪悪感、姉妹愛……全てを放棄した彼女に、魔力を込めた言霊は簡単に浸透していく。

「もう、末っ子ちゃんはナキムシなんだから! はいはい、涼皇。もう泣かなくて良いのよ?」

「そうよ、涼皇。貴方の子とは、私と波音が守ってあげるから。貴方はもう、何も考えなくて良いの」

 本当に、良いのだろうか。当主に非ず、長女に非ず。非力な末っ子の自分は存在を許されるのだろうか。

「本当なの、姉様? ……涼皇……涼皇は……何もしなくて良いの……?」

「ええ、涼皇。貴方はもう、末っ子なんだから、何の力も持たなくて良いの、ただ、気持ち良くなっていれば良いの」

「そうそう。涼皇は澪ネエと私にお仕置きされて、イケナイコトであんあん泣いてればそれで良いのよ」

そうだ。と、どちらともなく姉達が声を上げるのを、涼皇はぼんやりとした瞳で見つめていた。末っ子なんだから、お股に毛なんて必要ないわよね。そう言ったのは波音姉様の方か。そうして、蒸しタオルとデリケートタイプのシェービングクリーム、それと安全カミソリだった。今から何をされるのか、理解しながらも涼皇は抵抗しなかった。

「はい、今から蒸しタオルで柔らかくするから、動いちゃ駄目よ」

「……分かり、ました」

「良い子ね、涼皇。シェービングクリーム、冷たいけど動いちゃ駄目よ」

「んんっ、ぁ……はい……」

女性らしい膨らんだ恥丘に、シトラスの香りがするシェービングクリームが絞り出される。先程まで温められていた陰毛に冷たいそれが乗せられて小さく悲鳴を上げるも、涼皇は波音に言われるがまま動かずにいた。そうしてシェービングクリームの泡が溶けてしまう前に、涼皇の柔らかい肌へ安全カミソリが滑らせられていく。

「ひぁっ、ぁあ……! ……んっ、駄目っ……堪忍してっ……!」

「おやまぁ、涼皇ったら、パイパンにされて気持ち良くなってるみたい」

「あらら、お股の毛を剃られてヨがるなんて、涼皇ったら本当に駄目ねぇ」

「ゃう、ぁ、ああっ……! ごめんなさいっ……ごめんなさいいっ……!」

 剃刀が自分の恥丘を擦り上げていく度、シェービングクリームと剃刀の冷たさが皮膚に触れてどきりと心臓が跳ねる。そのまま、涼皇の恥丘は徐々に幼げな無毛の地を増やしていく。産毛一つ残さずに剃り落として、白桃のように丸い恥丘が露わになると、澪と波音はその柔らかい皮膚を指の腹でつつき始める。

「ぷにぷにのパイパンおまんこ、可愛いわねぇ。本当に小さな女の子みたい」

「すっかり剃り上げたから、次に生えてくるまでは時間がかかるでしょうね」

「ふぁ、や、ぁあ……姉様、つつかないでっ……許してぇっ……」

 このような破廉恥なプレイですら、涼皇は感じてしまうまでにココロを揺らがせていた。同時に、彼女はこうも思う。

(涼皇は、末っ子だから。澪姉様と、波音姉様が、守ってくれる。だから、もう)

 何も考えなくて良い。何も考えたくはない。そのどちらを示すのか、涼皇自身も理解出来ていなかった。

「あら、涼皇は我儘ねぇ。涼皇のおまんこは、こんなに素直に涎を垂らしているのに」

「えうっ、あ、これは……ご、ごめんなさいっ……でも、涼皇は、私は……」

「おまんこより我儘な涼皇には、お仕置きしてあげないといけないわねぇ」

「っ、あ、お仕置き……私……涼皇……涼皇は……お仕置き、して欲しい……お仕置きぃ……」

 今までの涼皇からは考えられないような、嫋やかで甘ったれた声。ナグは涼皇の壊れ行く様に、興奮を煽られながら彼女の膣肉に指を入れる。澪と波音、二人の指が同時に涼皇の肉花へ入り込み、互い違いにぐちゅぐちゅと内側を解し出す。

「仕方無いわ、涼皇が望むのだったら、お姉様である私達がその望みをかなえてあげなくてはいけないんだもの」

「そうよねぇ。妹の願い事を叶えてあげるのが、お姉ちゃんたる私達の仕事だもんね!」

「ぁん、あああっ、ひっ! 駄目っ、ゃあ、ああっ、きゃうああああぅ!」

「涼皇のGスポットは此処ね。すっかり膨らんで苛めて欲しいって震えてるわ」

「ひぃっ!? やらやらぁっ、あっ、あああああっ!ひぃいい!」

「本当だ。じゃあ、私はポルチオを苛めようっと。ほら、ぐちゅぐちゅぐちゅうっ!」

「ひゃあああっ!? いあっ、あああっ、きゃああっ! だめっ、もっ、だめええええっ!」

姦しく囁く澪と波音に、涼皇の意識は少しずつ揺さぶられてはテンポを違えていく。二本ずつ、計四本の指に膣肉を解されて開かれて、涼皇は童女のように「ああ、あぁあ」と泣き声を零す。己を律する方法も、最早頭の中にはない。

 こぽこぽっ、と、白く濁った本気汁が膣肉から溢れ出した。中出しをされたわけでもないのにぷくぷくと泡立って溢れ出す女の蜜に、澪と波音はくすくすと笑った。そのうちに、澪と波音の股座に、魁偉なる男根が生え揃っていた。

「ふえ、あ……澪姉様……波音姉様……何を、するの……?」

「それじゃあ、今日は末っ子の貫通式をしましょう。お姉様達のおちんちんでね」

「そうね。涼皇のおまんこ、私達のおちんちんで貫通させてあげる」

 貫通式などと言っているが、涼皇の処女性はもちろん当の昔になくなっている。神主や住職が穢れとしてずぶっと穴を開けるもの……IFの未来で彼女はあっけらかんとそう言っていたが、今の彼女にはそんな粋な言葉を話す余裕もない。

「ぁひっ、いぁあ……澪姉様……波音姉様……許して……許してください……!」

「大丈夫よ、涼皇。貴方のおまんこ、すっかり解れて四本も入るから……私達のおちんちんもちゃんと入るわ」

 涼皇の怯えた声に、澪は穏やかに微笑んで彼女を抱き上げた。背面座位の姿勢を取らせた澪は涼皇の頭を撫でながら、自分の男根を跨がせてずぶりと最奥まで挿入をした。Gスポットからポルチオまでをずっぷりと犯され、涼皇は「ぁああぁあっ!」と悲鳴をあげながら澪の腿に手を置いた。少しでも自重から逃れようと両手で自身を押し上げようとする涼皇に、澪は「駄目ねぇ」と囁きながら彼女のクリトリスに触れた。包皮を剥かれてバラ色の肉蕾が露わになれば、涼皇はそれだけで腰を震わせてへちゃりと座り込んだ。快楽と羞恥とでカタカタと震える涼皇の体が、火照りを帯びて湯気も立たんばかりであった。結合部から溢れ出す愛液を指に絡めながら、澪はクリトリスを指の腹で責め上げてそのまま律動を繰り返した。

「ぁんんっ、ぁ、やっ……ひぃっ、ぁああっ、きぅ、くううううっ……!」

「ほら、ちゃんと入ったでしょう? クリトリスも剥けて、すっかり勃起しちゃってるわねぇ」

此処にクリリングを付けてあげるのも楽しそう。澪とは思えぬ享楽主義的発言に、しかし涼皇の興奮は重ねられていく。澪は彼女を貫いたまま、ぬっこぬっこと律動を繰り返す。自身の自重でポルチオを突き上げられて、涼皇は「あー、あー」と子供のように泣き続ける。そんな涼皇の退行じみた嬌声に、波音も興奮を煽られたらしく近づいてくる。波音は涼皇の乳房を掴み、その下乳からぬるりと舌を這わせた。乳の付け根から乳首までをゆっくりとなぞられると、涼皇はそれだけで絶頂に至らせられては潮を噴いた。びちゃびちゃと布団に水たまりができる程のイき具合に、澪は涼皇の両足へ腕を差し入れる。所謂M字開脚の姿勢で突き上げられる涼皇は、涙や汗で表情をぐしゃぐしゃにして泣き喘いだ。

「だめっ、だめえっ! おまんこ気持ち良いっ! おまんこ駄目っ、溶けちゃう、いあっ、やあああっ!」

びくびくびく、と滑らかな曲線を描く腹筋が痙攣を繰り返す。クリトリスをくいと指先で押し上げられると、ずんと最奥を突き上げられた際に尿道口から黄金色の体液が噴き出した。そう、彼女は失禁していたのだ。びちゃびちゃと零れた小水に澪と波音は「お漏らしだぁ」と嬉しそうな声を上げる。小水を吐き出した後の尿道を二度三度指の腹で刺激すると、残っていた尿がぴゅ、ぴゅ、と零れるのだった。澪は小水に腿を濡らしながらも、涼皇の体内に挿入した亀頭をポルチオに押し付けたまま精液を注ぎ込んだ。ごぼごぼと音を立てて精液を飲み込む膣肉に、波音が「次は私も」と華やぐ声を上げる。

「ひぃっ……ぁ……波音姉様……待って……おまんこ溶けちゃう……許してぇぇぇっ……」

「大丈夫よ。涼皇のおまんこが溶けちゃっても、澪ネエと私が愛してあげるから!」

 涼皇みたいに、家族を捨てることなんてしないよ。何があっても、家族を売り払うことなんて認めないから。

 波音の言葉に、涼皇は胸の何処かで大事なものが「かしゃん」と音を立てて壊れる感覚を知った。その音を聞いた彼女は最初ボロボロと涙を零しながら、それでいて唇には微笑みを浮かべていた。そう、これこそが彼女の望む、罰だ。

「はぁ……波音姉様……涼皇のおまんこ……お仕置きしてぇ……」

 波音に擬態したナグは微笑み、涼皇の膣肉に雄肉を挿入する。ぬちぬちと入り込んだ亀頭は膣にこびりついた澪の精液を掻き出し、自身の精液で子宮を満たす為の準備を始める。涼皇は長い髪を汗でぺったりと肌に貼り付けたまま、対面座位の体勢でぐらぐらと揺らされている。涼皇の唇はすっかりと血色を良くして、涎を垂らしながら淫らしい呪文を口にする。

「ぁあっ、あああああ! 果てる、果てちゃうっ、いっ、ひぃいいっ!」

「果てるじゃないでしょ、涼皇! イくっていうの、こういう時は『イく』なのよ!」

「っ、ああっ、ひあぁああっ! イくっ、イくイくイくううううっ!」

 乱れた言葉が涼皇の快楽のボルテージを上げ、そのまま彼女の意識を飛ばした。貫かれた女性器から大量の蜜を噴き出して、彼女はふらりと後ろに転がった。そんな涼皇の体を澪が抱きとめ、そのうちに二人は一人になる。ナグは涼皇の膣に男根を含ませたまま、彼女を布団に転がして深く口づけをする。無論、涼皇がそれに答えることはないのだが。

「んん、ふっ、はぁ……ふふ、可愛いわ、涼皇。これからもっと、貴方の魂を曝け出してね」

 すっかりと汚れてしまった涼皇を、ナグは鼻歌交じりに浴室へと連れていく。セックスの後、心地の良い居場所を作ってあげることもまた、ナグの計画であった。浴室の中、気を失ったまま「澪姉様」と「波音姉様」と「ごめんなさい」を繰り返す涼皇に、ナグはずるりと生温かい触手を取り出した。

「綺麗に洗ってあげるからね。内側も外側も」

洗車用のモップにも似た触手でナグは涼皇の体を丁寧に洗う。普段のナグならば自身の醜い触手を嫌うのだが、自分の最高の計画の為ならばそれを使うことも躊躇わなかった。今のうちに媚液を注ぐことも少しだけ考えたが、今は我慢のし時であるとグッと堪える。ただし、彼女の体を開発することは忘れず、ナグの触手は涼皇の脇や臍や乳房をくすぐり、すっかりと精液に汚された膣もまだ何物にも汚されていない後孔もすっかりと穿り出して綺麗にした。

「ぁあんっ、ひっあ……んうううっ、くっ……ふぁ……やぁあっ……!」

「あはは、涼皇ったら、気絶したままイッてるのね。本当に可愛い!」

 赤ん坊のように「あー、あー」と泣き声を上げる涼皇に、ナグは気を良くして全身を丸洗いにした。最後に全身をくまなく確認して、ナグは涼皇を浴室から抱き上げて寝室へと運んでいく。

「これで良いかな? うん、愛液や精液の匂いもしないし、大丈夫よね!」

 着せ替え人形のように慣れない着付けをして、布団のシーツも綺麗なものに変え、初めて出会った時と同じお香をたく。そうして、ナグは涼皇と共に布団の中に入った。勿論、次の朝には本物の妹達と会うだろう涼皇の為、ナグは姿を消していなければならないのだが。布団の中、すやすやと眠る涼皇の体が童女の姿に戻る。先程までの情欲の嵐など覚えていないかのような健やかな寝顔を見つめて、ナグは「やっぱり大人の姿の方が好きよ」と囁いて額にキスをするのだった。

 閉じられた部屋の中で、きゃらきゃらと笑う声とともに、小気味よい破裂音が響く。それに続くのは、甘く切なげな悲鳴だ。ナグの擬態した澪と波音の折檻を前に心を絡め取られた涼皇は、今や二人の末の妹に甘んじ、彼女達に命じられるまま、否、ナグに誘われるままにラブホテルの一室に連れ込まれているのであった。

「大きなお尻ね、いくら叩いても叩き足りないわ。そろそろ手が疲れて来ちゃった」

「本当、パンパンに張ってるから、叩いてるこっちの手が痛くなっちゃいそう」

「ああっ、ひああっ……! 澪姉様っ……波音姉様っ……! ゆるして、赦してぇっ……!」

白い尻に血色の紅葉が散る。そこに感じているのは確かに痛みだというのに、内腿を伝うのは快楽の蜜であった。ナグが擬態した澪と波音は、そんな涼皇の姿を見てはくすくすと笑い彼女の尻を再び叩き出す。

「赦して、なんて言って。本当はこうやって、お尻を叩かれることが嬉しんでしょう、涼皇?」

「ひぃっ! ぁあ、あっ、ごめんなさいっ、涼皇、はしたない子でごめんなさいぃっ……!」

「えっちな子ねぇ、涼皇は。叩かれる度にお尻を振って、トロトロのオツユを零しちゃって」

「ぃやあ、やああっ……! こんなの、あ、頭おかしくなるっ……おかしくなっちゃうのぉお……!」

 口走る先から膣肉が蜜を滲ませる。叩かれる度にドクドクと子宮が脈打ち震えて、痛みを越える快楽が全身を包んでいく。偽りの妹達にその全てを知られている事実が、涼皇の脳内に薔薇色の屈辱を重ねていく。

「ぁあっ、ふああああっ……! なんで……気持ち良いっ……お尻から全部、気持ち良いよぉっ……!」

 パァンッ、タァンッ。パァンッ、タァンッ。中身をたっぷりと満たした水風船で遊んでいるかのような音が響く。尻臀を叩く掌に蜜が飛ぶと、澪と波音は「あらあら」と笑いながら彼女の腿や背中にその蜜を擦り付ける。自分自身の愛液自体が媚液になったかのように、涼皇の体はじわじわと火照っていく。

「涼皇、そろそろ此処も切なくなってきたんじゃない? おまんこ、濡れ濡れになってるじゃない」

「ぁああ……欲しい……欲しいです……澪姉様……涼皇のおまんこ、切ない……欲しいです……」

「あらあら、はしたない言葉を口にして。でも駄目よ、まだ、お尻だけでイけてないんだから」

「ひっ……!? お、お尻だけでなんて、そんなこと、出来ないっ……! ふ、ぁ? あ、ぁああっ!?」

 互い違いに尻を叩いていた澪と波音の掌が、今度は寸分違わぬ速度で涼皇の尻臀を叩く。パンパンと高音を奏でるそれは男女が腰を打ち付ける音に酷似していて、それだけで涼皇の頭は犯される自分の姿を描いた。快楽によってまだ遊ばれていない子宮が降り始め、一度として刺激されていないポルチオがわびしく痙攣を繰り返している。涼皇はがくがくと腰を揺らしながら、ベッドに顔を押し付けて「あ゛ーっ」と濁った悲鳴を上げる。

「いけない声ね。女の子なら、もっと可愛い声を出さなくちゃ。あ゛ーっ、なんて、御嫁の行き手がないわ」

「そうね。躾の為にも、そろそろおまんこの中を穿っちゃおうかしら。ねぇ、涼皇?」

「ひぐっ、あっ、あああっ……ごめんなさい……姉様……はしたなくて、いけない子で……ぁああっ……!」

 全身が「気持ち良い」と叫んでいた。妹達に肉体の全てを支配されることも、支配されたことに謝罪を向けるのも……謝罪を無惨にも足蹴にされて、より屈辱的な凌辱を受けることになることも。涼皇は何度も「いけない子」だとか「はしたない子」だとかと自分を詰った。時分自身を詰ることで全身に幸福を配給していた。

「涼皇っ……いけない子なのっ……お尻叩かれて……イッちゃう淫乱な売女なのぉっ……!」

 今までならば、妹を売り飛ばした罪悪感を、当主としての責任感で埋めてきた。しかし、ナグの力によって全てを守り切った今は、その守り切った全てから逃げ出したかった。剥き出しにされた自分という人間の浅ましさに疲れてしまった。すり減っていく精神と肉体の間で、涼皇の雰囲気は徐々に変容していく。目には妖しくとろりとした膜が張り、彼女のマゾヒズムな空気が柔肌に纏わりついてくる。

 今も与えられるスパンキングの快感が、澪の顔が、波音の声が、それを後押ししては彼女へ刻み付けていく。頭では、彼女達の存在が偽元の理解している。それでも、彼女の妹や肢体、声は紛れもなく本物なのだ。そんな彼女達に辱められ、下に見られ、可愛がられるのが嬉しくて、気持ちが良くて堪らない。

 こんなにも堕落した自分には、こんな風に変質的で屈辱的な辱めがお似合いだ。彼女の屈折した心……低い自尊心を孕んだ肉体と心は、ナグの責めに過敏に反応してしまう。何の責任も無く、ただ自由に快楽を貪るのは、たまらなく気持ちが良かったのだ。そう、涼皇の心は何の責任もなかった、子供に戻っていた。

(痛い……でも……気持ち良い……姉様達に……全部を分かってもらえるから……気持ち良いよぉ……!)

 尻臀を叩かれる度に、痛みと共に奥底に響いていくのは、快楽だ。内側に存在する女の臓腑が、叩かれる度に揺さぶられてはひくひくと蠢き出す。罪悪感も、背徳感も、責任感も、義務感も……この快楽の前では無意味だった。快楽の実の世界に陥った涼皇の姿は、最早当主などではなく、哀れな少女であった。その姿はまるで夢の中で奇妙な生き物達に翻弄される、童話の中に閉じ込められた童女とよく似通っていた。

「涼皇、凄いわ。貴方のおまんこ、お尻を叩かれてるだけなのにひくひく蠢いているんだもの」

「本当だぁ。クリトリスやGスポットを苛められた時みたいに、ビクビクッて痙攣してる」

 あともう一叩きしたらどうなるのかな。澪と波音が、同時に掌を振り上げ、そして。その華奢な掌は同時に涼子の尻臀を引っ叩いた。左右を同時に叩かれた瞬間、子宮の左右までにも痺れるような振動が伝わる。

「きゃああああああああああ――――! ひゃあああああああああっ――――」

びしゃびしゃと体液が噴き出し、ベッドシーツに一つ目の水たまりを作る。涼皇はとうとう乳首責めですらない、性的凌辱の色のない折檻のみで絶頂してしまったのだ。ひくっ、ひくっ、と、入り口を痙攣させる涼皇の性器に波音の指が入る。中指だけで弱い場所を刺激される感覚に、けれども涼皇は「足りない」とすら思ってしまう。涼皇の体は最早、快楽を貪るばかりの美しく淫らなケダモノの肉塊である。

「あら、涼皇、物足りなさそうね。それなら、澪ネエにお尻も弄って貰ったらどう?」

「ひやあああ……おひり……お尻だめぇっ……! 壊れちゃう、おかしくなるうううっ……!」

「駄目なの、涼皇? 涼皇の体は、私の指を求めてくれているみたいだけれど」

くり、と、澪の指が涼皇の後孔に触れる。指先を少し押し込んだだけで、涼皇の肛肉は澪の指をしゃぶりつくすかのように内側へ誘い込んでくる。澪が二度三度、直腸の浅いところをつぽつぽと刺激すれば、涼皇は声を抑えることも無く「いひゃあぁあっ」と情けない悲鳴を上げた。

「姉様、やめてぇ……! お尻……壊れちゃうぅう……!」

「お尻だけで済むかしら? おまんこの方だって、もうびしゃびしゃよ?」

ねっとりと膣肉を解しながら、波音が澪と指を絡める。すると澪も波音の動きを確認して、入れ違いに粘膜を刺激していく。だらだらと肉孔から溢れ出していく膣液と腸液に、ベッドシーツが乱れて皺を寄せていく。

 トンッ。膣肉と直腸の中から一点を刺激されて、涼皇の脳内でバチンと何かが千切れる音がする。

「おっ、ひああぁ、あ゛っ! うあああっ、ああ、ひぐっ、ゃあああああ!」

 全身を痙攣させながら、涼皇は濁った悲鳴をあげる。愛液でベッドシーツに水たまりを作り、彼女は背中を撓らせる。四つん這いの涼皇の肉孔から指を引き抜くと、栓の抜けた彼女の体は空気の抜けた風船のようにへちゃりとベッドへ倒れ込むのだった。

「涼皇、まだお休みの時間には早いわよ。ほら、起きなさい」

「そうよ、涼皇。もう、御寝坊さんね。澪ネエ、おちんちん入れちゃった方が良いわよ」

「そうねぇ。いつまでも居眠りさせているわけにはいかないもの」

耳元に聞こえる声を、涼皇はぼんやりと聞いていた。姉様達は何を話しているのだろう、そう考えているうちに、彼女の豊満な体が抱き上げられ、そうして下から突き上げられる。ポルチオに突き当たった亀頭の感覚に、涼皇は「あひゃあっ!?」と奇妙な悲鳴を上げて目を見開いた。見れば、自分の膣肉は澪の雄欲により貫かれており、目の前にいる波音の股座にも魁偉な陰茎が存在していた。涼皇は二人の変容に驚きながら、それでも、次の瞬間には貫かれた膣肉の快楽で脳内を満たされてしまう。ずずずっ、と、澪は無遠慮に律動を繰り返す。

「ひぃっ、あああっ、うゃあああっ! イくっ、イくイくイくぅっ! ぁあ、ぁああああ!」

「ふふ、涼皇。自分だけ気持ち良くなっては駄目よ。波音のことも気持ち良くしてあげなさい」

「あうっ、ひ、んんっ!」

「ん、涼皇の口の中、気持ち良い。涼皇は駄目な子だけれど、えっちなことに関しては天才ね」

 褒めているのか貶しているのかも分からない口調で、波音は涼皇の口にペニスを含ませた。先程までの愛撫で血色を良くした赤い唇が魁偉なペニスを喉奥まで苦しげに銜え込みながら、しかし無意識に波音の亀頭へ舌を絡めて刺激してしまう。ちゅううと鈴口を喉の入り口で吸っていれば、欲情から精を吐き出されるまではすぐだった。

「んんっ、涼皇。少し口を開けて、そうそう、そのまま、えいっ!」

「んぁう、ぁあ……!」

波音が涼皇の口からペニスを引き抜き、彼女の顔に精液を噴きかける。涼皇は言われるまでもなく口を開いたまま、額から鼻、そして口までを満遍なく汚す精液をその美しい顔で受け止める。どろりと流れた体液は涼皇の艶やかな黒髪も汚す。喉奥を刺激する体液の味にすら酔ったように、涼皇は焦点の合わない瞳で波音を見つめる。

「ん、あ……ぁあ……波音姉様……」

「ふふ、涼皇ったらえっちな顔。今度は澪ネエに気持ち良くしてもらいなさい」

「澪姉様……っ、あ、ひぁあっ、ぁああああんっ……!」

「涼皇、気持ち良い? ポルチオとGスポット、どちらが良いかしら?」

「ぁあっ、ひあああっ……! どっちも触って、どっちも欲しいぃっ……!」

 こりこりと膣肉を刺激されて、涼皇は上体をベッドに押し付ける。シーツに擦れた乳房自体も、快楽を得てはびくんと跳ねる。あっあっあっと悲鳴を上げる涼皇に、波音は彼女の乳房を持ち上げる。ぎゅっぎゅと牛の乳しぼりのように乳房を揉みしだかれると、涼皇の膣肉が強く締まっては澪のペニスを刺激する。ずるると亀頭のカリ首まで引き抜かれた陰茎が、ずどんとポルチオを押し上げるほどに突き上げると、涼皇の喉が「きゅううっ」と小動物のように鳴った。どぼどぼと音を鳴らして膣肉へ注がれる精液に、涼皇の内側が満たされていく。

「ふぁっ、ぁああっ、んっ……! ひぃ、ぁっ、ぁああっ……!」

 深イキの絶頂に、今日の行為は此処で終わるものと思っていた。しかし、涼皇の膣は澪のペニスを引き抜かれてすぐ、彼女の物によく似た質量のペニスを詰め込まれた。小さく「ひっ」と悲鳴を上げる涼皇が振り返って目視したのは、自分の体へ淫靡な視線を向けて微笑む波音の姿だった。ずっぷりと自分の膣を満たす雄肉は、波音に存在する欲であったのだ。どうして、と、問いかけるよりも早く、今度は澪が涼皇の唇を己がペニスで塞ぐ。

「んんうっ、ん、むっ……! んぅうう、ぁうっ、んなううううっ……!」

 涼皇が悲鳴を上げると、澪は彼女の乳首を抓む。乳房全体を揉みながら乳首を引っ張ると、その先端からぴゅうっと白濁した体液が噴き出す。波音はそんな涼皇の体を「えっちだね」と囁き、彼女自身は涼皇のクリトリスを弄びながら律動を繰り返す。体内をすっかりと撹拌されながら、涼皇は肉粒の先端を苛め抜かれて悲鳴を上げる。澪が噴き出した体液を飲みつつ、波音が包皮を剥いたクリトリスを指の腹で押し潰す。

「んおぅ、ぅうむっ、むぅううっ! んんんっ、くぅ、ふぅう!」

澪が乳房を苛めやすいように、波音は涼皇の体を四つん這いから抱き上げる。全身を守ることも出来ない無防備な格好のまま、涼皇は二人に責め立てられる。苛め抜かれた乳首もクリトリスも真っ赤に熟して、涼皇は涙と汗と涎とにぐしゃぐしゃになった顔のまま喘ぎ続ける。無惨なほどに無様な姿は、けれども涼皇自身が一番に望んでいた姿であった。

どぷどぷどぷっ。涼皇の膣肉が、今度は波音の精液に寄って満たされる。膣の襞全体に擦り付けるように腰を動かしながら、波音は涼皇の体から自分自身を抜き去った。支えを失った涼皇の体が前のめりに倒れると、澪がその体を抱きとめる。そうして、澪が抱きとめた体を、今度は波音が抱き締める。

「涼皇、本当に可愛いね」

「本当に可愛いわ、涼皇」

 可愛い涼皇は出来るかな。そう言われて、涼皇はベッドの上の水たまり、精液と愛液の混ざったそれに顔を近づけさせられる。涼皇は二人から説明を受けるまでもなく、ベッドの上に出来た水たまりに舌を浸した。ぴちゃぴちゃとその体液を舐め取れば、二人の姉が自分をほめてくれると知っていたからだ。その通り、澪と波音は体液を舐め終えた涼皇を抱き締めた。自分を抱き締めキスをしてくれる二人に「良い子」と囁かれて、涼皇は幸福と快感に包まれて意識を手放した。

無意識の中でも唇に指を寄せれば舌を絡めて愛撫する涼皇に、二人……否、ナグは一人に戻って微笑む。

「素敵に堕ちてきたわね、涼皇」

 これからも堕ちてきて、私の可愛い涼皇。ナグの囁きなど知らぬままに、涼皇は静かに眠っている。

心と肉体の調教が進む中、涼皇はその日、乳房の魔族的調教を受けることとなった。彼女に拒否権はなく、また拒否をする理由もなかった。既にナグは澪と波音の姿を解き、一人の童女の姿に戻っていたが、擬態の折檻によって堕落した涼皇に、ナグを迎え入れる準備は出来ていたのだ。

「あ、あの、ナグ……何、を、するのじゃ……?」

「私の前だと『のじゃ』口調に戻っちゃうわねぇ。でもまぁ、その口調も可愛いから許してあげる」

許してあげる。その言葉に、涼皇の膣肉がびくびくと震える。襞という襞から愛液を沁みださせて、涼皇はナグの愛撫を待っている。すると、ナグは可愛らしいスカートの中から触手を蠢かし、そのうちの二本を涼皇の乳首に押し当てた。触手は最初滑らかな舌のような形をして、涼皇の乳首をすっかりと覆ってしまった。

「あっ、んんっ、はぁっ……! やっ、乳首、駄目、果てて、しまう……!」

「果てる、ねぇ。まだまだ余裕がありそうじゃない。それじゃあ、これはどうかしら?」

「ひぁっ!?」

滑らかな舌触手に吸盤が現れる。ぶつぶつぶつっ、と乳輪から乳首までの肉に吸い付いて、それは涼皇の乳房を擦り上げる。きゅぽんっ、と音を立てて肌を弾く吸盤に、涼皇の反応が徐々に変容していく。

「やあっ、ひっ、ぁああっ! 駄目ッ、イくっ、イッちゃうっ、ひっ、っぁああああっ!」

跳ねる体に小さな痛みが走った。しかしその痛みは多大なる快感を覚えて、涼皇は思わず自分の乳首を見た。すると彼女の乳首には先程までの舌触手が変形し、BCGワクチン接種用のスタンプ注射のようになっていた。乳首から乳輪までをすっかりと包むように触手管を突き刺して、それは涼皇の乳腺を着実に改造していく。

「ひぃんっ!? ぁあ、ぁああああっ! 何これっ、何っ!? おっぱい、おっぱいが変っ……!」

「乳腺を改造してるから、確かに変に感じるかも。でも大丈夫、すぐに気持ち良くなるからね」

ナグはそうニッコリ笑って、涼皇の乳房をタプタプと揺する。揺すられる度に涼子の乳管を髪の毛よりも細い触手が侵入していき、乳房の中にたっぷりと媚液を注入していく。乳管から触手がずるずると抜き去られる頃には、涼皇はその感覚だけで甘イキをしてしまうほどの威力であった。しかし、ナグの調教がこの程度で終わるはずもない。ジンジンと熱を帯びて快感を内包する乳房を、ナグは根元からゆっくりと揉み込み絞っていく。

「ひぁっ、あっ、やっ……! なんか来るっ、来ちゃうっ……! 駄目っ、駄目ぇっ……!」

「駄目なわけがないでしょう? 涼皇はおっぱいを苛められるのが大好きな、変態さんなんだから」

ナグが涼皇の乳房へ、華奢な指を押し込むように握りしめていく。人差し指と中指の間から出された乳首が、パンパンに膨らんで熟している。次の一揉みをされた瞬間、涼皇は眼前が真っ白く爆ぜる感覚を覚えた。

「ひぃいいいいい!」

びゅるるっ、と、涼皇の乳首から母乳が噴き出す。ナグの媚液を混ぜられたそれは僅かに粘性を含んでいて、ぬるぬると乳管を通る度に涼子の理性を奪っていく。悲鳴を上げる涼皇をよそに、ナグは彼女の乳房を嬲り続ける。両掌で乳房を張り手をし、指の腹で乳首を押し潰し、唇を寄せては噴き出す母乳を啜って、時に八重歯で乳首に噛みつき引っ張りもした。通常の女であれば苦痛さえ感じるだろうその愛撫に、けれども涼皇の体は快楽に悦びを見せて悶えている。途中から涼皇の乳房の大きさに顎が疲れてきたのか、ナグは自分で吸うのをやめて触手に一任していた。ナグの触手が口の形に変形し、左右の乳首からじゅるじゅると涼皇の母乳を啜る。そして媚液の混ざったそれを、ナグの触手は彼女の膣肉と後孔に注ぎ始めた。びゅるびゅると膣肉と直腸を母乳で汚されて、涼皇は身悶えしながら泣き喘ぐ。今、涼皇の快楽は父に集中しており、乳だけで絶頂させられていた。

「ああんっ、あんっ、ぁああっ! 乳首駄目っ、駄目になっちゃうっ、壊れちゃうぅっ!」

「駄目になっても良いわ、壊れちゃっても良いわ。貴方は私の大事な宝物だから」

「ぃひゃああうっ! い、ひぃっ、ああああっ! やぁ、ぁああああっ!」

 乳だけの絶頂。その感覚は、どんどん短く、深くなっていく。乳を揉まれただけで、飲まれただけで、絞られただけで、涼皇の絶頂は常人には到達しない、ポルチオを責められた時ですら感じることの出来ないレベルの快感を感じていた。そのうちに、ナグは涼皇の体へ新しい触手を忍ばせる。

「うひああぁああああ――――っ!?」

 乳搾りにばかり気を取られていた涼皇は、自身が女であることを忘れていたとも言える。女の泣き所は乳房の他にも大量に存在するのだ。ナグの触手は涼皇の両足に絡まり股を開かせ、その無防備な割れ目に切り離された触手を落とす。ナグから切り離された触手はうぞうぞと動きながら小さなタコのような形を取り、そのまま涼皇のクリトリスに噛みついた。全体が吸盤に囲まれている触手が動き回るほどに、ぎゅぼぎゅぼとクリトリスが吸引され、鋭敏な其処はすぐに熟した果実のように丸くパンパンに腫れ始めた。

「駄目っ、ひぁっ、やああっ! クリトリス取れちゃうっ、クリ、いっ、ひゃああああっ!」

「あらあら、泣きじゃくっちゃって、可愛いわねぇ。大丈夫よ、貴方の大事な性帯感、触手で千切り取るなんて勿体ないことしないから」

 クリトリスに吸い付いていた触手はいつしか三つに分かれ、後の二つは涼皇の体をよじ登って乳首に食らいついた。三点の肉粒を小さな牙のついた吸盤に吸い付かれ、涼皇は全身を捩らせて絶頂に悲鳴を上げる。肉粒の快感は子宮の内側へも快楽を蓄積させていき、そのうちにナグは「本命」を狙い始めた。

「ねぇ、涼皇。そろそろ、こっちも淋しくなってきたでしょう?」

「きゃううっ!? ひぁっ、そこは、そこはまだ。うぁあああっ!」

 ナグの人差し指が腹部から涼皇の子宮を小突く。人差指でトントントンとノックされる度に、涼皇はその快感に煽られて腰をびくつかせた。クリトリスと乳首という表面上の絶頂ですら受け流すことが出来なくなった涼皇に、子宮での快楽など過ぎたものであった。しかし、そんなことでナグが責めを止めるわけもない。

「涼皇、貴方には特別。私の大人の姿、見せてあげるわね」

 語尾にハートでもついて良そうな甘ったるい声で、ナグは涼皇の前でその相貌を変形させる。触手を従えた小さな童女は、刹那の間に長身の美女となり替わる。そうして、ナグは自分よりわずかに華奢な涼皇を抱き上げ、対面立位……つまりは駅弁の体勢で彼女を抱き上げた。触手達が涼皇の体を抱き上げるサポートをし、そうしてナグのペニスが涼皇の膣肉に入り込む。にゅぶちゅ、と音を立てて、涼皇の膣肉が押し開かれていく。

「ひあっ、あああああっ! おっきい、ナグ、ナグのおちんちん、おっきい、駄目ぇぇえっ!」

「っ、は……駄目、じゃないでしょ、涼皇。ナグのおちんちん、大きくて気持ち良い、でしょ?」

 ナグの触手が涼皇の体からはがれて、涼皇の体が自重でナグのペニスを抉り込ませる。ひぃいと情けない悲鳴をあげながら涼皇はナグの首に縋り、ナグはそんな涼皇の反応に嬉しそうな笑顔を浮かべて額にキスをする。

「涼皇、動くわよ。貴方の子宮まで、ブチ抜いてあげる」

「ひっ!? 駄目っ、嫌、やああぅ! 子宮駄目ッ、壊れるっ、可笑しくなるからっ!」

「そんなことを言って、逃げようとしたって駄ぁ目」

 駅弁の体勢で涼皇を突き上げたまま、ナグは部屋の中を歩き回る。ずんっ、ずんっ、と突き上げる度に、ナグの足元に涼子の体液が散って水たまりを作る。その間にも、涼皇の乳首は母乳を噴き出し、苛められたクリトリスの下から潮を噴き出す。

「やあっ、ぁああっ、あうううっ! 駄目っ、駄目えっ、死んじゃううううっ!」

「おっと。確かにこれ以上水分不足になったら、死んじゃうかもしれないわね?」

涼皇の言っている言葉はそんな意味ではないことを理解しながら、ナグは心から心配しているという風な表情を作って涼皇の唇を奪う。その唾液にも媚液が入っていることは、以前の涼皇ならば容易く看破して何らかの対処をしていたことだろう。しかし、現状の涼皇にはなす術がない。駅弁の体勢で穿たれながら、乳とクリトリスとを搾られて、ただ快楽にあえぐことしか出来ない婢女そのものであった。そんな彼女を、人間ならばこれ以上どう辱められるものかと考えるだろうが、そこは淫魔たるナグの得意とするところであった。

「涼皇、まだ足りないわよね? イケナイ子の涼皇には、もっとお仕置きが必要よね?」

何を責められる理由があるのかと、考える頭を涼皇は持っていない。こんなにも浅ましく悍ましい売女の自分は、イキ殺されるまで嬲られ者になるのが当たり前なのだと、膣から直腸から口から白濁液を垂れ流し、淫売らしく変容した乳首やクリトリスを晒したまま路地裏にでも放り捨てられる程度の人生がお似合いなのだと、涼皇はそこまで自分を追い込んでいた。あまりに真面目過ぎる彼女の思想は真っ直ぐに考えすぎるが故、適当な位置で折れることも出来ず曲がり歪んでいったのだ。

「ひぁ、うっ……お仕置き……もっと……涼皇に、お仕置き……して……ナグ……お願い……」

 ナグはそんな涼皇が愛おしかった。強さが故に歪むことで宿命と心中しようとする女の心が、少しずつ解れていくさまに興奮した。それでもまだ、壊したりなかった。目の前の女を、自分だけのものにしていたかった。

「ねぇ、涼皇。クリトリスって、ほとんどが体の中に隠れてるって知ってる?」

「……? い、言いたいことが、よく分からぬが……」

「あら、また元の口調に戻るのね。まぁ、良いわ。クリトリスはね、植物と同じで根っこがあるのよ」

そして、その根っこは此処に或るの。ごり、とクリトリスの裏側をカリ首で抉られて、涼皇は「あ゛っ」と濁った悲鳴を上げる。確かにそこは涼皇の泣き所、快楽がしこりとなって集まっている場所であった。

「ひっ、あ゛……そこ、がっ……クリトリスの根っこ、なのか……?」

「そう。一般的にはおちんちんでゴリゴリ擦ってあげるのが主流なんだけど……私がそれだけで満足するわけがないし、それだけじゃあ涼皇のお仕置きにならないから。それで、じゃじゃーん。使うのがこの触手ちゃん」

 そう言ってナグが取り出したのは、ごく細くそれでいて長い、全体に柔らかい棘のようなものが生えた触手であった。某歯間用ゴムブラシを肉触手で真似たもの、と表記すれば想像しやすいだろうか。膣を刺激するにはあまりにも細すぎるだろうその触手に、涼皇がきょとんと小首を傾げる。元は凛々しく怜悧な彼女の、以前よりも幾分か幼くなった反応に、ナグは興奮しながらも彼女の耳を舐めるように囁いた。

「これ、何処の孔に入れるか分かるかな? ヒントは、人間ならみんなついてる、毎日使う大事な孔よ」

 先程も、スタンプ型注射で乳腺を改造された。だとすれば、今度の触手が何処に入れられても可笑しくはないだろう。アナルの襞から襞までを刺激されてしまうのか。元は母と繋がっていた臍を性帯感に変容されてしまうのか。耳から催眠音声でも聞かせられるのか、鼻から直接フェロモンを吸わせられるのか。考え込む涼皇の表情が強張っていくと、ナグは加虐精神を刺激されながら「時間切れ!」と言ってその触手を指で抓んだ。

「正解はね、此処。おしっこの孔よ」

「えっ!?」

 涼皇が聞き返す間もなく、ナグは彼女を駅弁の体勢で犯したまま、触手に寄って彼女の割れ目を開いた。無防備にタコ型触手に吸われているクリトリスの下、控えめに存在している尿道口が己に課せられる凌辱を理解してかひくりと震えた。ナグはそんな尿道口を指の腹で優しく撫で、それからつるりと触手を挿入した。

「きゃひっ、あっ!? ひゃああ、あああああっ!?」

触手はぬるぬると自分の意思を持って涼皇の尿道に入り込んでいく。初めて開かれた肉孔だというのに尿道肉は潮噴きを繰り返したためかすっかりと緩んでおり、左程痛みを感じずに触手を飲み込んでいった。しかし、本当の快楽地獄は、触手を引き抜く際に起こった。触手には幾千幾億もの細かく柔らかい棘が生えており、それは丁度返し刃のように涼皇の尿道に嵌まり込みその小さな肉孔を引っ掻いていくのである。

「ひぃいいいい! やあっ、ああああああぅ! おひっ、おしっこのっ!孔、駄目っ、駄目ェっ!」

「うふふ、この返し刃の棘が良い仕事をしてるでしょう。棘の一つ一つから媚液が出るから、激しく出し入れしても尿道が壊れちゃうことは無いし……何より、ずっと媚液に浸されているから、潮噴きの快感が二倍三倍になるのよぉ?」

 試しに噴いてみましょうか。ナグはそう言いながら、涼皇の尿道につぷつぷと挿入し続けていた棘触手を一気に引き抜いた。とはいえ膀胱がパンパンになり、涼皇が「お腹苦しい」と泣き言を言うほどに詰めていた触手である。一気に引き抜ける者ではなく、半分ほど引き抜いたところで触手が再び涼皇の中へ戻ろうとした。

「いきゃあああああっ! やめてっ、やめてえっ! 尿道引っ掻かないで、尿道苛めないでえぇっ!」

「あらあら、この触手。随分と涼皇の尿道を気に言っちゃったみたい。まぁ、尿って魔族にとってはそれなりに重きを置く体液の一つだからねぇ。昔から、ミミズにおしっこを掛けるとそこが腫れるって話は聞くでしょ。ミミズは畑にとって神聖な生物だから穢しちゃいけない……そう、おしっこは、体の中を巡ってきた悪いものを全て吐き出す手段だから『穢れ』なの。穢れを好む魔物からしてみれば、これほど美味しい体液はないわけね」

 ナグがそうのんびりと説明をしている間も、涼皇は気が狂わんばかりの責め苦を与えられていた。当たり前のことだ、乳首とクリトリスには未だ小型タコ型触手が引っ付いているし、尿道の中には棘触手が居座っては彼女の今まで触れたこともない快楽の場所を開いていく。そして何より、涼皇の膣肉にはナグの魁偉なペニスがめり込んでいるのだ。ポルチオまですっかりと押し込まれてしまった亀頭が、ぐりぐりと今も最奥を突破しようとしている。ナグは御喋りをしている間にも、一度として腰を休めることなく涼皇を責め立てている。

「ひぐぁ、やあ……つあ、やああっ……おまんこぉ……おまんこ溶けちゃうううう……」

「ふふ、確かに溶けそうなほどに熱いわね、涼子のおまんこ。でも、まだ私のおちんちんは満足してないの」

ぐりんぐりんと、ナグが腰をスウィングさせる。ワインのテイスティングでもするかのような腰の動き方に、涼皇は弱い場所を余すところなく削られてぐるりと目を回す。特に尿道に挿入された棘触手を引き抜かれながら快楽のしこりを抉り上げられると、涼皇はぶわりと全身から汗が噴き出す感覚を覚えて、そのままその汗が涙として溢れ出すような感覚を与えられる。彼女が「許して」と「堪忍して」と泣きじゃくれば、ナグが言う。

「赦して欲しいの、涼皇? このくらいで、貴方のしたことは許されるのかしら?」

 ああ、そうだ。自分は妹も自分も売り捨てた淫売だ。だとすれば、悦んでいる私は赦しの道からまだ遠い。

「っ、あ……ナグ……儂を……涼皇をもっと苛めて……赦されるまで、涼皇を壊して……」

 そう、ナグはこの瞬間を待っていた。彼女は「分かったわ」と返事をしながら、徐々に自分の触手を変容させていった。此処から彼女が使い出すのは、涼皇を完全に堕とす為の淫魔の本気である。

駅弁の体勢で涼皇を犯していたナグが、彼女の体を抱き上げてベッドに押し倒した。

「ふ、あ……ナグ、何故……儂の体を、ベッドに置くんじゃ……?」

「だって、恋人同士が愛し合うならベッドの上でしょう?」

恋をし始めた少女のような言葉を口にしながら、けれども彼女が己の体から生やしているのは悍ましい形をした触手であった。それは男性器によく似ていたが、返しが五重になっており、しかも人間のペニスであれば鈴口があるだろう位置からにょるにょるとイボのついた細い触手が見え隠れしている。見せつけるようにその触手を出してから、ナグはこそりと涼皇に囁く。これから私の魔力で、貴方に愛を注いであげる、と。

「愛、とは。淫魔であるお主に、人間に対しての愛が、在るのか?」

「あら、失礼ね。私達淫魔にだって、ちゃんと愛情って感情はあるのよ」

 今からそれを証明してあげる。ナグはそう言いながら、自分の触手をゆっくりと涼皇の膣肉に挿入していく。ぬるる、ぬるると入り込んだ触手の亀頭が、ポルチオに当たった瞬間その事象は起こった。何と亀頭の鈴口部分から、細いイボ付きの触手がぬるりと子宮口を開かせたのだ。それはまるで、恋人がキスをしている唇に舌を入れるような自然な流れで。

「おひっ!? きゃああ、あああっ!? なにっ、これっ、なにこれえっ!?」

「今ねぇ、涼皇のおまんこの中でも、一番大事な場所を舐めてあげてるのよ。涼皇の子宮の中を、私の触手でぺろぺろしてあげてるの。ねぇ、涼皇、死ぬほど気持ち良いでしょう。そして、私の愛が感じられるでしょう?」

 ナグの言葉は自惚れなどではなく、単なる事実だった。涼皇は子宮の天井をイボつきの触手で舐められる度に過呼吸を起こしそうなほどの浅く荒れた呼吸を繰り返し、彼女の四肢は最早糸の切れた操り人形のようにびくびくと痙攣を表すだけの、胴体のおまけのような状態になっていた。イボ付きの触手は子宮内部を舐め回すばかりではなく、そこから分泌する愛液に自分の濃厚な媚液を絡ませていく。その媚液が絡んだ愛液が子宮外へと零れていけば、あとは膣の襞という襞が犠牲になる番だった。彼女の牝肉は、すっかりとナグの虜になっていた。

「ひぐっ、おっ、ひおおおおっ……! おまんこっ……おまんこ幸せっ……愛されてるぅっ……!」

「そうよ、涼皇は私に愛されているの。だからもっと、私の愛に答える必要があるわ」

ニコリと笑うナグが、背後から触手を伸ばす。それぞれに長さや太さの違いはあるが、今涼皇の子宮を舐めている触手と遜色のない悍ましい形をしている。にゅぽにゅぽにゅぽっ、と、触手達が涼皇の下腹部の孔を目指して進む。あるものは尿道に入り込み膀胱を媚液、あるものはタコ触手と合体して肉芽を啄み始め、あるものは直腸に入り込みS状結腸までをも犯し始める。S状結腸とGスポット、それに尿道の中からクリトリスの根っこを揺さ振られると、最早涼皇は周りの目を気にすることも無く「おああ――――! うわあ――――!」と赤ん坊のように泣いた。ベッドは最早水たまりというよりも小さな湧き水のように深い体液のたまり場を作り、涼皇の白い肌は血色を良くして薄皮を剥いだ桃のような宍色をしていた。全身から甘ったるい汗の匂いをさせて、涼皇はベッドの上で身悶えしている。太い眉も吊り目がちな瞳も今は形無し、ナグの加虐精神を煽る為の舞台装置にしかなっていなかった。ひたひたと肌に張り付く黒髪が影のように、涼皇の背中に張り付いてうねっている。

「あんっ、あぁっ、ひあああっ……! 良いっ……気持ち良いの、止まらないよぉっ……!」

「あら、その言い方は嬉しくなさそうね。私に気持ち良くされるの、涼皇は嫌なの?」

ナグの問いに、涼皇は未だ堪えられずにいた。自分はすっかりと淫売に堕ちた身だ、だというのに、なぜ快楽に抵抗しようというのか。その理由を考えてみても、涼皇には分らない。自尊心の低い涼皇には、本能的に備わった自己愛を理解するだけの力を持っていなかったし、無意識下に妹達に愛されている自分を大事にしようという感覚も理解出来なかったのだ。ナグは不満そうに唇を尖らした後、はっと名案を思い付いた表情をして「それなら」とまた自身の造形を変形させた。ぬるる、と引き抜かれる触手に、涼皇は「あっ」と甘い悲鳴を零す。

「涼皇、これが私の最終兵器」

「これが?」

「そう、さっきの媚液注入触手に、涼皇の好きな吸盤をブレンドしてみたのよ」

ナグが見せた触手は、根元から亀頭に賭けて、タコの脚のようにびっしりと吸盤がついていた。大きさが不ぞろいのその吸盤はそれぞれに小さな歯がついていて、膣肉の内側を吸引しながらその牙を突き立てるのだと思うと涼皇はそれを考えるだけで甘イキしてしまいそうだった。今から自分は、この触手に犯されるのだ。

「それじゃあ、今から挿入しまーす。全部の触手に吸盤ちゃんを付けてるから、きっと天国まで行けるわ」

「ま、待ってくれ、ナグ。儂はそれを、受け入れる心の準備が」

「……待たないわ。私の愛を受け取りなさい、涼皇」

ぬぐんっ、と、涼皇の性感帯となった孔と言う孔に触手が群がり出す。瞬間、涼皇の膣肉にぷちぷちぷちっと触手の吸盤が噛みつき、そうしてまたぷちぷちぷちっと外れていった。時間にすれば一秒にも満たないその運動に、涼皇の意識は突き上げられては叩きつけられる。

「おあああああああ! わうあ! ああああああ! いあ! ああああああああ!」

あまりの快感に、まともな言葉らしい言葉を口にすることも出来ない。彼女の淫肉を食んでいるのは膣肉の触手ばかりではない。直腸内に入り込んだ触手も彼女の柔らかな肉を何度も咀嚼し、尿道に入り込んだ触手も彼女の狭いその道を丁寧に甘噛みした。興奮のあまり触れられてもいない乳房がブルブルと震えて乳首からは大量の母乳が噴き出した。全身から体液を噴き出す涼皇に、けれどもナグは脱水の心配などはしない。

「大丈夫よ、涼皇。涼皇が輩出した分は、全部私が注ぎ直してあげるからね」

言葉通り、子宮からS状結腸、膀胱から乳腺に至るまで。ナグの媚液が注がれる。それは対象者に愛を与える効能を持ち、例に漏れず涼皇もナグの愛を全身に受けることとなった。がくがくと骨ごと痙攣するような絶頂の中で、涼皇に抵抗する術はない。全身がナグの精液に満たされて、その上で、快楽で降りてきた子宮に入りきらないほどの愛を詰め込まれる。常人ならば廃人にさえなってしまうだろう濃密な愛に、けれども頑強な涼皇は耐えきった。耐えきったからこそ、この愛情に答えなくてはならないと理解していた。ナグの愛を理解出来てしまう自分が、ナグの愛に答えないことは今までの不義とは比べようもないほどの残酷な裏切りになると。

(駄目だ……ナグを裏切れない……恐れではない……これは……確かに愛情なのだ……!)

「きひいいいいっ……! ぁあ、ああああああっ……!」

(駄目……耐えられない……こんなに愛されてしまっては……答えずにいることなど出来ないぃ……!)

「どうかな、涼皇? 私の愛、涼皇に届いてるかな? お尻も、おまんこも、尿道も。全部私の愛で満たしたんだよ。ねぇ、涼皇。私の為に一番下まで堕ちてくれるでしょう。この場所まで、来てくれるでしょう?」

「う、あ、あっ……! ああ、ナグ、儂は、涼皇は、お主が、ナグが……!」

(孔と言う孔を舐められて……精液を注ぎ込まれて……これ以上愛してくれる人などいない……)

 好き。と、言った瞬間に、目の前がふっと暗くなった。停電かと思った涼皇は、次の瞬間、全身を電撃のような快楽が襲い白い光の中で目を覚ます。彼女は快楽の為に意識を失った後、快楽の為に意識を取り戻したのだ。

「ひきゃああああああ――――! やひあああああああ――――!」

懸命に叫ぶ彼女の体内は、人間ながら魔族並みの感度を持ち得ていた。此れも、ナグの丁寧な調教と改造による賜物である。ナグはリズミカルに腰を打ち付け、その間にも涼皇の頬や額、唇に口づけを繰り返す。

「嬉しいわ、涼皇。私、貴方のことを大切にする。ずっと、貴方と一緒にいるわ」

 微笑むナグの美しさに、涼皇は目が眩まんばかりだった。それでいて、涼皇もナグへの愛を確かに感じ取っていた。確かに、その愛はナグの媚液から作り出された感情とも言えるが、しかし、ゼロからは何も生まれない。

ナグを愛するに余りある理由が無ければ、堕ちていく涼皇が愛するのは彼女ではなく快楽なのだから。

「んん、涼皇、可愛い涼皇」

「ぁ、ん……ナグ……ナグ……儂の……愛しい人……」

 涼皇はそう言いながら、ナグの可愛らしい小さな耳や美しく長細い首筋へキスをした。ぺろぺろとナグの体から滲み出す汗と媚液を舐め上げながら、彼女は自分自身の長い脚をナグの体へと絡めていく。

「ふぁんっ、あああっ、あっ……ナグ、ナグぅっ……好き、好きぃ……!」

「ふふ、涼皇ったら可愛い。私とのセックスで、自分から一生懸命腰を振っているんだもの」

無意識の微調整をして、涼皇は自分自身の膣肉にぴったりとペニスがフィットするように腰を揺らしていた。そうして涼皇の好みと合致した位置にペニスを嵌め込むと、ナグは間髪入れずに射精した。白濁した欲望が涼皇の膣内を満たし、そうして、ゆっくりと引きずり出されていく。全部の触手が自分の体から離れると、涼皇は気怠そうに体を起こし、けれどもそれから、さも愛おしそうにナグのペニスへ頬を摺り寄せて見せた。

「どうしたの、涼皇。まだ、足りない?」

 ナグがそう言って頭を撫でると、涼皇は静かに首を振り、自分の乳房でナグのペニスを挟み込んだ。現代風に言うパイズリの体勢になったまま、涼皇はナグの亀頭を口に含む。彼女はこれだけの凌辱を受けながら、ナグの雄欲をお掃除フェラしようとしているのだ。一対の大きな乳房は、乳腺を改造されたことで自分で揺らすだけでも十分に快楽を感じることができる。陰茎を乳房で擦り上げながら、涼皇は亀頭の中身を啜る。じゅるる、と、淫らな水音を立てたナグのペニスに、涼皇は満足そうにふふと口角を上げる。そんな余裕がまだ残っていることに驚きながらも、ナグは彼女の落とし甲斐に興奮して再び陰茎を固くしていく。

(自分からお掃除フェラはしてくれるけれど……まだ私を怯える程愛してはいないようね……)

(だとしたら、私はもっとあなたを愛してあげなくちゃ……神話級の愛で、貴方を狂わせてあげなくちゃ……)

(その日が来るのが楽しみだわ、涼皇)

ナグがそんなことを考えているとも露知らず、涼皇は広げられたナグの腕の中に転がり込む。そうして、そのまま眠りに入った。眠っている間にも、ナグの触手は彼女の体を着実に物にしているとも知らずに。

気が付いた頃には、涼皇の体は日常生活にも支障をきたす程度には鋭敏になっていた。排泄をしている時も、尿道を通る体液に絶頂を感じてしまう。自らを慰めるにも、己の細く小さな手では膣肉を掻き分ける役にも足りず、それならば尻を穿れば良いと思いながら指を突っ込むも、所詮人間の指では限界がある。毎日昼間は火照る身体を持て余して、夜になればナグの人外じみた調教に自ら望んで身を投じていく。服が擦れるだけで蜜を滴らせる股座に、ショーツに押し付けただけで勃起してしまうクリトリスに、涼皇は自分の浅ましさを感じて自嘲する。それでも、この関係を今更やめることは出来ない。自分はナグを愛してしまっているし、ナグも自分を愛してくれている。こんな、快楽を貪るだけの婢女じみた自分をだ。

(この体が罰だとしても、ナグから与えられた愛を罰と思うなんてそれこそ罰当たりだ)

(儂のような女を愛してくれるのはナグだけじゃ、人外だとしても、その愛を否定することなど出来るものか)

 しかし、その思いは裏を返せば己の堕落を許容することでもあった。堕落していく自分を理解しても、これ以上自分をどう繕って良いものか涼皇には皆目見当もつかなかった。どうにもならない体と心を前に、涼皇は自暴自棄になりかけていた。

それでも、愛する妹達に心配を掛けまいとギリギリの理性が働いて、彼女は自らの女の部分を封印するように妹達に接していた。これで妹達は、自分のような売女と関わらず幸福に暮らしていけるはずだとも、涼皇は思い込んでいた、けれども。

「ねぇ、涼ネエ。最近疲れてない?」

「おん? どうしたのだ、波音。突然、そのようなことを言い出して」

「おん、じゃありませんよ。隠せてるつもりだったのですか、涼皇お姉様」

それとなく尋ねる波音と、直球で聞いてくる澪。二人の反応に、涼皇は思わずたじろいだ。自分の擬態は完璧だったはずだ、完璧な姉を演じられたはずだ。そう思い込む涼皇に、二人の妹はしびれを切らしたかのように「涼ネエは/涼皇お姉様は」と涼皇の着物の袖を握る。

「自分自身が思ってるより、ずっと優しい人なんだから。悩んでることくらい、すぐ分かるよ」

「そうです。貴方は貴方が思うより、繊細で内向的で、全て自分の所為にしようとする」

そんなことはしなくて良い。二人の妹がきらきらと瞳を潤ませて言う。それは心配の涙とも、心配事を話してくれない姉への抗議の涙とも思えた。それでも、二人はふにゃりと笑って、そうして言うのだ。

「とりあえずさ、気軽に相談してみてよ。私達だって、何か力になれるかもしれないよ」

「そうです。私達は、家族なんですから。どんな姿だって、見せて良いのですよ」

二人の言葉を前に、涼皇は気付いた。

――――己の弱さを家族に見せずにいることは、本当に家族の為なのかと。

――――自分だけで問題を解決しようとすることは、家族への不義を演じているのではないかと。

――――自らの弱点を晒す、それは、誰かに頼ること、誰かを信じることに繋がる強さだ。

「ねぇ、涼ネエ。今日が何の日か、分かってる?」

「今日は……はて……何の日だったか……」

「やっぱり、忘れていたんですね。今日はとても大事な日です、思い出してください」

柔らかく、二人が笑う。涼皇は、ようやく気が付いた。

今日は、自分の誕生日であることを。

そしてあの日は、二度と起こりうることのない世界なのだと。

「って、あれ!? 涼ネエどうしたの!? 大丈夫!?」

「涼皇お姉様、大丈夫ですか? どこかお加減が悪いのですか?」

俯いた自分に近づいてきた妹達に、今は童女の姿をした涼皇が精いっぱいに腕を伸ばして二人を抱き締める。自分を優しく包む妹達の体温に「もしも」のあの日を考える。

確かにあの日、自分はナグに出会わなければ取り返しのつかない間違いを犯していた。

しかし、その日は来ないのだ。妹達を、自分の心さえをも、生贄にしたその日は。

彼女に残されている今は、堕落するべきではない、かけがえのない「新しい世界」なのだ。

「澪……波音……ありがとう」

その日初めて、涼皇は妹達の前で子供のように泣きじゃくった。涼皇の今までに見たことのない反応に、妹達は驚きながら、それでも優しく彼女を抱き締め続けた。ハンカチで涙を拭ってやり、ティッシュで鼻を噛んでやり、童女のような姉の全てを受け入れた。

そうして、涼皇は自分を許した。罰も仕置きも折檻も必要なく、彼女はありのままの自分を許したのだ。

その日、三姉妹は久しぶりに他愛の無い話をした。昔語りを重ねながら、未来の夢を語り合いながら、彼女達は同じ部屋で雑魚寝をして、野原を駆け回っていた頃の幸せな夢を見るのだった。

翌日、涼皇はナグに呼び出しに応じ、マゾプレイ調教をされていた。既に彼女は一糸纏わぬ姿となり、ラブホテルとはいえ質の良いホテルのキングサイズのベッドで身悶えをしていた。下乳を平手で叩かれ、彼女はナルシズムの滲んだ甘い声音で謝罪をする。

「ああっ、ごめんなさい……澪姉様……波音姉様……はしたない子でごめんなさいぃっ……!」

 肉体の奥底まで潜り込んだ肉の記憶、心の奥底まで沁み込んだマゾヒスト精神、それらはすっかりと涼皇の一部として消化され、昇華された。もう二度と、彼女がこの二つから抜け出すことは出来ないだろうが、しかし、彼女はそんな自分すらをも存在を認めて、受け入れた。ナグが始めに言ったように、この淫猥で屈辱的な調教行為さえも「遊び」として彼女は打ち解けることが出来たのだ。

「ほら、涼皇。次は二人で行きますよ。涼皇のはしたないおっぱいを、お姉様達がお仕置きしてあげます」

「嫌、嫌。許して、澪姉様、波音姉様」

「そんな可愛いおねだり、何処で覚えたの? ふふ、駄ぁ目。行くよ、涼皇」

 澪と波音は涼皇の懇願を無視し、彼女の乳房を思い切り張り手で叩いた。豊満な乳房に紅葉の如く華奢な掌の後が残るほどに叩かれて、涼皇は絶頂に狂い母乳を噴く出した。否、それはもう母乳ではなく淫乳というべきだろう。ねっとりとした甘い匂いの乳を噴き出させて、涼皇は太い眉を下げながら情けなく喘ぎ声をあげる。

「ふぁああんっ! 駄目っ、駄目えっ! おっぱい、おっぱい気持ち良いのぉっ!」

「おっぱいを叩かれてイくなんて、そんな子が本当にいるんだねぇ」

「大きいだけじゃなく、感度も最高の涼皇自慢のおっぱいですもの。当たり前ですよ」

二人はくすくすと喉を鳴らし、それぞれが片方ずつ乳房を苛めることにする。澪は涼皇の楕円型の乳輪を舐め上げながら乳首に八重歯を押し当て、血が出ない程度の強さでカリカリと噛みついていく。対して波音は、下乳を指の腹で擽りながら涼皇の乳首を強く吸う。妹である二人、ナグが擬態した偽物の二人の愛撫に、けれども涼皇は愉しんでいる。確かに罪悪感と羞恥心はある、しかしそれは実の妹を犠牲にした悍ましい自分に対する感情ではない。偽物とわかった上で妹に責められる情けない自分に対する感情であった。

「はぁっ、ぁああああ♥」

甘い吐息を吐きながら、仰向けにベッドへ倒れ込む涼皇。偽物の妹達に責め立てられ、淫乳は止まらない。どくどくと脈動と共に噴き出す乳を両掌で抑え込むふりをして、涼皇は自身の乳首を慰め淫乳を肌に感じる。そんな彼女のはしたない楽しみに気付かないふりをして、ナグは二人の擬態を解き、西洋のビスクドールのような姿に戻った。彼女は小さな掌で涼皇の頬を撫でながら、囁くように「可愛い声」と呟いた。

「どうしたの、涼皇。今日はなんだかいつもより可愛いわ。今までみたいに冷たく尖った部分が無くなって……熟成したワインみたいにまろやか。もしかして、奴隷として生きていく覚悟が出来たのかしら、涼皇お姉様?」

 ニィ、と。ナグの瞳が細くなる。しかし、涼皇は何も言わない。彼女は胸に置いていた手をするりと降ろし、一瞬のうちにナグの下半身にその手を突っ込んだ。いくつもの触手が溢れ出ているフリルスカートの中から、彼女は的確にナグの「イイトコロ」を探り当てた。涼皇の指を男根に絡められ、ナグは思わず悲鳴を上げる。

「ひゃあっ!? ちょ、ちょっと、ま、待って、涼皇!」

「ふふ、ナグお姉様の男根、大きくて硬くてもの凄い♥ ねぇ、ナグお姉様。早く涼皇のことを犯して♥ ナグお姉様の逞しい熱で、駄目な涼皇をお仕置きして♥」

 湯煎されたバターのように、どろりと蕩けた艶声に、ナグは興奮を隠しきれなかった。そんなナグの様子を見て、涼皇はナグの耳朶をしゃぶる。小さな花弁のような耳全体を舐め上げながら、カリと耳朶を齧り男根を扱き出す涼皇。すりすり、かりかり、ぬるぬる。そんなオノマトペで表現されるような愛撫に、ナグが甘く啼く。

「ふぁっ♥ ちょ、ちょっとま、待って、あっ、ぁあ♥」

 淫乳がローションの代わりになって、ナグの男根に触れる涼皇の手の滑りを良くする。涼皇はナグの陰茎を撫で回しながら、時折親指と人差指で作った輪で彼女のカリ首をキュウキュウと締め付け、それから赤く硬くなる亀頭をクリクリと撫で回した。クンッ、と、涼皇の中指が鈴口を浅く抉ると、ナグは呆気なく吐精する。

「ふやあああっ♥」

 ドクドクと流れ出す自分の精液に、ナグも蕩けるような悲鳴を上げて、そんな彼女の表情に、先程まで被虐者の表情を隠さなかった涼皇がクスリと笑う。強かで逞しい捕食者の瞳が、ナグの欲望を探り当て見つめている。

「ふふ、どうした? 普通、姉が妹に射精などされるか? 駄目な姉じゃなぁ」

 そもそもおなごに男根はないだろう。そんなことを言いながら、涼皇は髪を掻き上げ優雅に笑う。自分を追い詰めながら笑みを浮かべる涼皇に、ナグは怒りの表情を浮かべて「この私に」とかすれた声を上げる。

「淫魔である私を、こんな風に弄ぶなんて」

 赦されると思っているの。ナグはその言葉を、ギリギリのプライドで飲み込んだ。実際、その問いを向けたとすれば涼皇は何でもないように「赦される」と断言することだろう。今、目の前にいる涼皇は、赦しに固執していた過去の涼皇とは異なっているのだとナグは理解していた。その上で、自分が涼皇に惚れ抜いていて、性的な攻撃以外……例えば命にかかわるような攻撃は出来ないということを、涼皇が知っていることを知っていた。

「ふふ、神格級の淫魔に愛されるとは、儂も罪な女じゃなぁ」

 余裕たっぷりに微笑んでそんなことを言う涼皇に、ナグは人間らしい言葉で言えば「ムカついて」いた。しかし、自分とのアブノーマルなプレイを「遊び」と受け入れ始めている涼皇は、今まで以上に魅力的とも言えた。

「儂が此処までの良い女になったのも、お主のおかげじゃよ、ナグ」

 ナグの心を読んだかのようにそう囁く涼皇に、ナグは悔しくなりながらも目を離せなかった。以前の彼女ならばこうはいかなかっただろう。非日常に紛れ込んだ彼女は奪われた日常を恋しがり、その度に日常を切り売りした自分を罰しながら少しずつ壊れていったことだろ。しかし、今の彼女は。たとえ非日常に紛れ込んだでも、自分自身で日常へ戻っていく。自分一人で戻れぬならば、家族の力を借りて。大切な家族に弱みを見せるという強みを、彼女はナグとの日々で会得したのだ。

 どんな危ないプレイでも、最後には日常に戻ることが出来る。それが一夜の夢ならば、快感を感じる自分を責めることもない。有り得ない現状を心から愉しんで、遊び疲れたら大切な家族の元に帰れば良いだけだ。

 そんな彼女の調律が、今ナグを手玉に取らんとしている。薄氷を踏み割らんばかりの危うい精神は、今や雲の上ですらどっしりと構えてられるほどの器を手に入れた。にこりと、涼皇が笑う。

「どうした、ナグ。ほれほれ、儂を苛めてみよ。それでは、最強の淫魔の名が泣くぞ?」

 涼皇の唇は挑発を歌いながら、けれどもその瞳はうっとりとうるんでいる。調教された肉体と植え付けられて発芽したマゾヒストの血が疼いているのだ。そんな淫靡な涼皇を前に、ナグは彼女の心理的な変化と、自分自身の問題を乗りこえた精神の強さ、そして快感を欲しがる自我に意識を向かわせる。

(堕ちることも、逃げることも、選ばなかった。弱い自身を受け入れる……言葉にするのは簡単だけれど、実際に出来る人間はそうそういないわ。……本当に、貴方は素晴らしい女よね、涼皇)

「なぁ、続きはせんのか、ナグ?」

「……しても良いわよ。泣いてもやめてあげないけれど、涼皇がそれで良いなら」

 一人の女と一人の淫魔は微笑み合う。何方ともなく差し出した手に指を絡ませ、二人は口付けを交わした。

 二人共が大人の姿のままで、美しい裸体が絡み合う。最初はベッドに横臥し、シックスナインの体勢で互いを愛撫する。涼皇はナグの男根を口に含み、両方の掌で陰嚢をタプタプと撫で回しくすぐりながら刺激する。彼女の男に慣れた手つきに、ナグも興奮を煽られながら愛撫を重ねていく。涼皇の小さなクリトリスに舌を絡めながら、中指と人差指と薬指を膣肉の中に挿入する。円を描くようにGスポットを撫で回したり、少し強めに押し込んだり、中指の先でポルチオをくすぐってみたり。そんなことをしているうちに、ナグはちょっとした悪戯を考えて指の一本を変形させた。口触手というべき形に変形したそれは、涼皇の膣肉にぬるりと挿入される。

「ひあっ!? あ、あ、ナグ、お主、儂の中に、触手っ、つぅうっ……♥」

「ふふ、そうよ……涼皇のおまんこに、口触手挿入しちゃった♥」

 口触手は長い舌を振動させながら奥へと突き進んでいく。Gスポットを擦り上げ、何度も弾いて、しかも膨らんでくるそこを甘噛みしてくる。膣内を甘噛みされるなどという人外の責めを受けて、涼皇の心も体も興奮の反応を見せ始める。ポルチオが快楽に降りて来て、口触手に自分から近づいていく。

「あ、だ、駄目ッ……♥ 降りてきたらっ、ナグの策略にぃ……♥」

「ええ、貴方の可愛い子宮が降りてきたら、私の策略でたっぷり甘やかしてあげる♥」

口触手があかんべぇをするように舌を出して、くるりと巻いたそこから協力な媚液が分泌される。子宮が徐々に温まり、むず痒いような快楽を与え始めると、最早涼皇に勝ち目はないと思われた。そのことは涼皇自身が一番よく分かっており、状況がどんどんとナグの有利になっていく事態に涼子はせめてもの抵抗をしていた。

(ま、まずいぃ♥ い、一旦離れないと、このままじゃあっ……♥)

 しかし、淫魔であるナグに一介の人間である涼皇が性技で勝てるはずもなかった。何度も再起に自分が行かされて、このままではナグのペースに飲まれてしまう。そんな危機感から、涼皇は口から男根を吐き出し、逃げようとした。しかし――――ナグの両手が、涼皇の腰を掴む。華奢な腕からは想像も出来ない力をもって、すっかりと腰を固定されてしまい逃げられない。

 犯されるという焦りを感じながらも、何処かで期待を込めたまま、涼皇はナグを振り返る。ナグの瞳は金色に輝き、完全に捕食者の瞳に変わっていた。涼皇は、その瞳と雰囲気に胸を高鳴らせてしまう。

 逃げられないとは分かっている。負けるとも分かっている。それでも、絶頂させ合うことしかないと涼皇は悟った。そして、勝敗が決まった後に自分がどのような扱いを受けるかも、彼女は理解していた。

ナグのスカートの下から、大量の触手と手が溢れ出す。彼女のそれらは涼皇の豊かな下半身を愛撫する。

大量の疣や口が付いた触手が、彼女の全てを犯していく。触手から開いた口がクリトリスをコリコリと舐め回して、その下にある小さな尿道口に細く捩じれた触手が入り込む。尿道から入り込んだ触手にクリトリスを無理やり勃起させられ、包皮のまくれた其処を再び触手口に舐め回される。アナルには大量の疣が付いた触手が入り込んだ。彼女のむっちりとした尻臀の間に、入り込んだ触手が直腸の中でぷちぷちと疣を潰していく。潰れた疣の中からあふれ出た大量の媚液が、彼女の直腸の感度を格段に上げていく。そのうちに、極細の触手がするすると入り込み、涼皇の直腸の襞を一つ一つくすぐり回してくる。膣肉には牙の付いた吸盤が並ぶ触手が入り込む。牙は勿論、傷つける為ではなく彼女を快楽に狂わせる為に存在している。開発されたGスポットやポルチオに吸い付き、噛みつき、媚液を吐き出す為にそれらは存在しているのだ。大量の触手が出入りする下腹部に、涼皇は獣のように喘ぐ。強すぎる快感に男根を愛撫することも出来なくなり、絶頂を繰り返しながら艶声を出す。シックスナインの姿勢のまま、涼皇は両手の指では到底数えられないほどの絶頂を迎えるのだ。

「ふぁっ、ぁああああん♥ ひいっ♥ ぁあ、やああああっ♥」

「可愛いわ、涼皇。このままイキ潰してしまいたいほどに、貴方は可愛い」

 ナグの拘束を解かれたのは、それから一時間後のことであった。全身の拘束が解かれたというのに、涼皇はベッドから逃げ出すことは出来なかった。快楽に体をびくびくと震わせながら、鼻からは鼻水、口からは涎を垂れ流し、瞳は涙に潤んで煌めいていた。額には汗で切り揃えた前髪が張り付き、女性器は潮噴きした陰毛が張り付いている。べとべとに濡れそぼった陰部に、涼皇は顔を真っ赤にして浅く荒く呼吸を繰り返している。

「私を挑発するなんて、いけない子ね、涼皇♥ たっぷりおしおきしてあげるからね♥」

 快楽に筋肉を蕩けさせられ、涼皇は最早動けない。そんな彼女の体を、ナグは両手を一つにまとめて吊り上げる。勝者と敗者が分かりやすい構図に、けれども涼皇の心に怒りや屈辱は存在していなかった。調教されたマゾヒスト的精神を疼かせながら、彼女はナグを誘うように軽口を向けていく。

「ひひっ、油断した物が最後に負けるのだ。ナグ、儂はまだ軽口を叩ける程度にしか弱っておらんぞ?」

「あら、強がりを言って。……でも、貴方のそういうところが好きよ、涼皇」

 ナグの声が、捕食者のそれではなく、一人の女の声となる。そう言えば、女としてのナグから「好き」と言われたのはこれが初めてかも知れないと、涼皇は今更ながらに思った。しかしそれを逐一指摘をするほど、涼皇は野暮な女ではなかった。涼皇とナグはどちらともなく、自らの体を寄せて重ね合わせていく。

「ねぇ、涼皇。最初はどの体位が良い?」

「お主の望む体位で良かろう。どれが良い?」

「それじゃあ、前から失礼するわ」

吊り上げた涼皇の足を抱え、ナグは駅弁の姿勢で律動を始める。吊り上げられているとはいえ、自重の作用で涼皇の体はナグの男根に深く突き上げられる形になる。触手ではなくナグ自身の男根でポルチオを押し上げられる涼皇は、ナグに縋りつくことも出来ぬまま甘い声を上げる。

「はぁっ……ぁあんっ、ひあああ……♥ 奥、奥に……当たってぇえ……♥」

「ふふっ、良い声ね♥ 中もしっかり愛してあげるわね♥」

 ちゅくんっ、と、降りてきた子宮口に男根が嵌まり込む。亀頭から噴き出した精液が子宮の壁を染め上げて、涼皇の意識に作用していく。ナグへの愛おしさが胸の奥底から湧き上がって、涼皇は甘い吐息を零す。

「っ、ふ……♥ 気持ち良いな……ナグ……♥」

背骨を上がってくるような快感に支配されているのは、涼皇ばかりではない。ナグも同じように興奮と快感を催して、吊り上げていた涼皇の体へ抱き着き拘束を解く。そのまま、彼女は涼皇を後背位で愛撫していく。彼女に圧し掛かるように縋りつくように腰を振りながら、彼女の豊満な乳房を掌で揉み解し乳首を弄ぶ。

「はぁっ、あっ……♥ 涼皇、涼皇……♥ もっと可愛がってあげる……♥」

 それからも、ナグは涼皇を抱き続ける。後背位から側位へ、側位から座位へ。体勢を入れ替えながら、二人の体は重なり合って、その上で物理的に、心理的に距離が近づいていく。互いの手を指を絡めて、二人は絶頂に身を預ける。いつしか夜空の月は動いて、太陽が僅かに顔を出し始めていた。蕩けて気怠い体を重たげに引きずりながら、涼皇はもそもそと服を着始める。

「ナグよ、儂はそろそろ帰る……今日も楽しかったぞ?」

「……そうね、今日も楽しかった……」

ナグは涼皇の帰り支度を眺めながら、自分が調教してきた体に視線を落としていく。彼女の豊満な臀部に目を止めた彼女は、少しの間、自分自身の欲を我慢したものの、自分の視線に気づいたらしい涼皇が「ナグ?」と問えば最早我慢出来なかった。ナグは涼皇に抱き着いて、そのまま彼女の唇に自分の唇を合わせた。

「ううむっ!? ナグっ、儂は今から帰ると言って、んんっ!?」

「キスだけっ! キスだけで我慢するからっ!」

「そんなことを言って、お主が我慢できるわけが無かろう、ん、ちゅ、ぁ、あっ……」

涼皇の言う通り、ナグは我慢の限界がきていた。彼女はキスだけと言いながら涼皇の唇を抉じ開けて自分自身の舌を挿入して口内を愛撫していく。いわゆるディープキスをしながら、ナグは涼皇の衣服を脱がせていく。

「なっ、も……♥ お主には、ほんに節操というものがっ……♥ んんっ、ちゅ、ふ……♥」

 ホテルの壁に押し付けられながら、涼皇はナグに半分だけ衣服を剥がれた状態で絶頂させられる。着物から零れ出した豊かな両方の乳房を揉みしだき、ナグは彼女の乳首を吸う。じうじうと力強く吸われた乳房は、躊躇いも無く淫乳を噴き出してはナグに搾乳されていく。絶頂する涼皇に、ナグはほとんど八つ当たりのように言う。

「貴方が私を挑発したんだからねっ♥ 今日は気が済むまで付き合ってもらうわよっ♥」

「今日は、などと……♥ 今朝になったばかりだというのに、我慢の利かぬ女だな……♥」

 そんな軽口を叩きながらも、涼皇はナグに責められれば容易く絶頂に導かれてしまう。そうして、調教を重ねられた肉体を責められながら、口元にナグの指が近づけば自然に口に含み、ナグの指を愛撫してしまうのだ。

 徐々に涼皇の舌がナグの指を離れ、そうして、自らナグの耳や首筋へ唇を触れさせていく。また、それだけではなく、涼皇の掌が優しくナグの乳房を揉み、そうして彼女の乳首を壊れ物でも扱うように撫でていく。

 ナグ好みに躾けられた涼皇、しかし、その行動はナグにとっても思いもよらぬものであった。ナグが驚きに硬直すれば、涼皇自ら足を絡めて、ナグの欲を自らの体内に納めていく。じっくりと膣肉に沈み込んだ男性器が、二人の動きに合わせてその欲望の形を膨らませていく。きゅうきゅうと締め付ける涼皇の膣肉に、ナグも絶頂寸前であった。そんなナグの体を抱き締めて、涼皇は彼女の頭を撫でる。今までに感じたことのない幸福感に包まれながら、ナグは絶頂した。

そんなナグの絶頂に満足した涼皇が、自分の膣から男根を引き抜こうとすれば――――

「待って。……もう少し、このままが良い……」

 子供のような言葉を口にしながら、ナグはゆっくりと正常位で律動を始める。涼皇が自分自身から求めてくれたことが嬉しかったのだろう彼女は、優しくゆっくりと涼皇の体を愛撫していく。

「ぁ、あ……ナグ……」

「んん……涼皇……」

 太くエラの張ったカリ高の亀頭が膣襞を裏返し、腸壁を伸ばす感覚が分かる。今までのような激しさはないままに、じんわりと温まるように快楽が全身に広がっていく。涼皇は、快感に悶える自分を凝視されながら、責められる恥ずかしさに感じ入りながら、それでもナグへの愛おしさで目を逸らすことができない。

「ぁ、つ、はぁあっ……!」

「ああ、はあうっ……!」

 甘く蕩けるような快感の中で、涼皇は勿論、ナグも今日一番の絶頂を極めたのだった。

それからも、涼皇は相変わらずであった。姉妹の中では強い女性であり、優秀な当主であり、神招姫の総代代理である。冷静沈着で、優秀で、的確で……いつも余裕があり、何処か無機質に美しく、本音の部分では優しく不器用な女であった。澪や波音にはそう映っているものと、涼皇は安心している。

しかし、涼皇自身が気づいていないが、最近其処には姉妹にしか分からない……家族にしか分からない柔らかさが出てきた。ほんの少しだけ……本当にほんの少しだが、涼皇はしまいに頼ることを覚えていた。

そして、ナグとのセックスに置いて、涼皇は絶頂する際に何も言わず、目の前のナグを見つめる。

「何? どうしたの、涼皇?」

 子供のように自分に問いかけるナグ。そんな彼女に、涼皇は何も言わず、うっとりとした瞳で優しくナグにキスをする。自分自身に多大なる変化を与えてくれた、ナグに感謝と愛をこめて。

「今日も気持ち良かったぁ! 最後にキスしてくれるだなんて、涼皇、私にメロメロだね?」

「ふふ。まぁ、勝手にそう思っておれ」

 拒否も肯定もしない態度。そして最後の何も言わないキスに、今の彼女が精一杯出せる可愛さであり、消極的な肯定であることをナグは気付いた。

(当主として、長女として、今まで代償や犠牲を払ってきた代表として……貴方はきっと、本当の意味で『私の奴隷』になることはないのね。姉妹を、仲間を、組織を……守るもの全ての為に、貴方は存在する)

 そして今、妥協として出せる、涼皇が一人の女として出せる、精一杯の甘え方がこれであった。

 愛しい者の願いをかなえてあげたい。してあげられる全部を、してあげたいと思う心はあれど……現状が全てを捧げることは許さない。だからこそ、自分の中で捧げられる全てを差し出すいじらしさ。ナグにはその本心を見抜くだけの心があった。心を言い換えるのならば、それは愛であった。

「ふふ、涼皇ったら可愛い。抱き締めてあげる」

 そう言って、ナグは少し前を歩く涼皇の腕に抱き着く。そうして、彼女はこうも思うのだ。

(もしも壊れてしまったら、それはもう涼皇ではない)

(もしも全てを捨てて私を選んだら、それはもう涼皇ではない)

(賢い涼皇は分かっているわ。私が、彼女の輝きと強さに魅かれていることを)

 壊れるでもなく、落ちるわけでもなく、恋人として自分に出来る範囲でしてあげたいことをする。その結論は姉妹や家族を守る卯ことを放棄した、消極的な決断などではなく、今度こそ涼皇が自分で選んだものだった。

 そしてそれが、涼皇が結論を出せる本気の愛であった。

「何をやっておるんじゃ、お主は」

 そう呆れたようにいながら、涼皇は腕を振りほどこうとしない。恋人繋ぎされた手に、涼皇は幽かに力を入れて、そうしてナグが転ばないように、彼女へ歩幅を合わせて歩く。

「あ、今度は妹ちゃん達が見ているところか、男子トイレでしない?」

「調子に乗るでない、馬鹿者」

「馬鹿者って酷い! ……でも、好きよ、涼皇」

「……うむ」

 こんな二人の不思議な関係は、これからも続いていくのだろう。


これはbc8c3zがあらすじを作り、ある先生に書いてもらった綾守竜樹先生著・百姫夜行の2次創作です。
綾守竜樹先生のファンの方に読んでいただければ、それに勝る喜びはありません。
4月にお亡くなられた先生の追悼の意味を込めて公開させていただきました。
感想があれば励みになりますのでお書きください。

新作を作るペースがめちゃくちゃ落ちていますが、サイトは継続していきますので、長い目で見ていただければ幸いです。

8件のコメント

  1. お久し振りです。
    あの日二次元ドリームのサイトで生意気な爆乳を搾られる彼女に出会ってから夢にまで見た涼皇長編、本当にありがとうございました。
    もうひとりの先生にもお伝え下さい。

    舞台がイフの世界とは目からウロコでした、ナグが涼皇すら一太刀浴びせることも敵わない神話級の淫魔とは、これにイェグも加わっては法子と八雲の二組の巨乳も儚くシャボン玉のように搾り散らされたのでしょうね…

    自分が妄想していた
    ・正々堂々戦っても絶対勝てないオスに嬲られ貫かれ堕とされる。
    ・澪と波音に責められる。
    ・とことん爆乳を搾り尽くされる
    をパーフェクトに書き出してくれて大満足です。

    それだけで終わらずに淫らに堕ちながらも姉妹に支えられてそれを受け入れ、ナグの淫魔なりの愛に応えて交わり魅了する涼皇が本当に魅力的でいいですね。

    〉「ふふ、ナグお姉様の男根、大きくて硬くてもの凄い♥ ねぇ、ナグお姉様。早く涼皇のことを犯して♥ ナグお姉様の逞しい熱で、駄目な涼皇をお仕置きして♥」

    とかサイコーでした、是非らいうん先生のイラストで見たいです。

    触手だろうとふたなりだろうと愛があるなら気にしない涼皇はナグにとっても最高の女でしょうね、百合好きとしても見応えがありました。

    身体を奪った(それも恐らく半分以上は涼皇の誘惑誘い受け)だけの千手視点で見ても絶対に敵わない神話の存在と身も心も魂までも性と愛で結ばれる模様にくやしいNTR感が半端なく捗ります。

    最後に本当に素晴らしい作品をありがとうございました。

    1. こんにちは、ダガービーズ様。
      コメント、感想ありがとうございます。
      相変わらず返信が遅くて申し訳ありません。
      百姫夜行のS Sは要望が多いのですが、中々アップ出来なかったので、一つでもアップ出来てよかったです。
      また涼皇は綾守先生の作品中でも、トップクラスに可哀想なキャラなので、救いのあるエンドにできてよかったです。
      作品も気にいっていただけ嬉しいです。
      今後もゆっくりですが更新していきますのでよろしくお願いします。

  2. こちらではご無沙汰しております、沢村です。
    目下、こちらの作品も執筆中なんですが、ちょっと筆が止まってます。
    と言うのが涼皇の存在なんですね。
    私の作品では、涼皇は政府の要請で一度御巫家から離れ、防衛省及び自衛隊と神招姫の調整役として内閣調査室内のある組織に属しています。
    つまり実戦から離れちゃってるんですね。
    そのせいかどうか、うまいこと涼皇が活かせてない気がするんです。
    大雑把なイメージでけっこうですが、bc8c3zさんから見た涼皇ってどんな女だと思いますか?
    主に性格面で。
    原作を読んだ限りでは、澪なんかに比べるとやや印象薄かったんですよ。
    今ひとつ、私の中で固まってくれない感じでして。
    そういう意味で、今回のこの作品は大いに参考になりました。
    「ああ、そうか」と気づかされることもあって面白かったです。

    1. こんばんは。
      HPへのコメントありがとうございます。
      今から書くのはほとんど私の勝手な推測です。
      綾守先生のキャラは大体性的な弱点がわかりやすい気がします。
      だいたい胸が弱い、アナルが弱いなど。
      キャラの姿もスリーサイズで1部分が大きいというのも特徴(平均的なプロポーションなのに尻だけデカい、胸だけ大きいなど)。
      涼皇はグラマラスですが、力を使い過ぎると子供になると言うキャラですが(たぶん外見が天上天下と言う漫画の棗真夜というキャラをモチーフにしたという勝手な推測です)。
      グラマラスですが珍しく性的な弱点があまり書かれていない気がします。
      肉体の中にここが弱点というのが少ない。
      だから胸も膣も、アナルも全部犯す描写になるのかなと感じました。
      後、綾守先生のキャラの特徴として、性格も極端。
      「あまりにはげしく悔しがる者は心の闇を抱え込む」
      と書かれていたことがあるのですが、極端に考え込み過ぎるキャラが多いです。
      極端に男嫌い、極端に真面目など。
      これはとても大事だと思っています。
      涼皇は綾守先生の作品の中でもっとも人格が成熟しており、大人な印象です。
      綾守先生の中でもっとも男らしいキャラです。
      強くて、仕事を真面目にこなし、家族を守り、そして寡黙。
      ぐちぐち言い訳もせず、背中で語る、行動で語る。
      さらに集団を守るために自分の身うちすらも指し出す。
      その覚悟と冷静さを持つ。
      西郷隆盛や高倉健的なイメージです。
      百姫夜行のイラストをご担当したらいうん先生の出来上がったイラストに基本的文句をつけなかった綾守先生ですが、出来上がったイラストに唯一注文をつけたのが、涼皇のようです。
      もっと顔つきを男らしく描いてほしい、眉も太目でという注文だったみたいです(というか顔は男だという注文だったみたいです)。
      外見も性格も男らしいとすると弱点は自分の肉体や精神にはない。
      鉄壁です。
      もしあるとすればそれは自分の中ではなく、外にある人間関係かと思います。
      だから3巻の調教シーンでは肉体的なことよりも涼皇の精神状態や過去の話がわりと書かれていたのかなと思います。
      だから3巻では呪妹にキスされ、簡単に堕ちた。
      男らしさとは上記にもいろいろ書きましたが、もっとも男らしさ感じるのは責任感ではないでしょうか。
      「全ての責任は私が取る」とは1番の男らしさだと思います。
      プロポーズも昔の定番の言葉で君を幸せにする(君の人生に責任を持つ)があります。
      こいつが勝手にやった、私は指示してない、見てない。記憶にないと逃げるのは女々しい。
      たとえが少しわかりにくいかと思いますが、今ニュースになっている高校のサッカーの監督の発言は女々しい。
      コーチの暴力を、ネットにあげた高校生に謝らせて事態を収束させる。
      普通は権力と責任はセット、昔の映画の有名なセリフで、自由にやれ責任は俺がとるっ!みたいな世界観が男の世界。
      女性の世界観は権力は欲しいが、責任はいらない。
      責任とは弱い者がとるものと言う価値観です(だから女性で部長になりたい、社長になりたいという人は少ない)。
      恐らく社長は指示だけで、すべての責任は副社長が取るとかなら女性が社長になりたい率は一気に上がるかと思います。
      涼皇の極端な所は責任感が強すぎるところだと思います。
      上記の男らしさの中に家族を守るとあるのに集団の為には家族もさし出す。
      強すぎる責任感はそういったこともさせる。
      ここが割と大事で、リーダーシップが取れ、責任感がある程度取れる女性キャラは漫画でも出てきますが、身内を壊すことを了承する女性キャラは少ない。
      ジャンプ漫画でよくあるのですが、最強格のキャラで誰にも負けない強い男キャラがみんな(人類)を守り、隙が出来自分より弱い敵に殺される。
      女性キャラではこれが少ない。
      もししてもそれは家族のためで、人類みんなを守るために・・・みたいなキャラはまずいない。
      これは男の価値観であり、強すぎる責任感の表れだと思います。
      呪姉妹が目の前にいない状態の4巻の涼皇は正気に戻り、快感調教にも耐えている。
      肉体には弱点がないので、どんなに強い快感でも責め落とせない。
      快感ではなく痛みでならある程度落とせるが決定打は打たせない。
      逆に言えば、呪姉妹がいると、2人への責任感のせいで簡単に堕落してしまう。
      性格は大人で肉体的にも大人。
      成熟したキャラ。全体が見えている。
      しかしそう見えるだけで責任感が強すぎると言うことは自分を責めることが多い。
      涼皇は4巻での拘束され調教を受けている状態なのにそれを外から見ている美冬。
      明らかに立場が上の美冬の心を分析し、明らかに劣勢なのに逆に追い詰めることが出来る話術と快感に負けない精神力。同時に相手の立場になってものを考える分析力もある。
      カリスマもありますが、強すぎる責任感のせいで、自分は世界の誰よりも幸せになってはいけないと思っている、罰を望んでいる綾守作品一番のマゾでもあると思っています。
      ですので公式ではありませんが、精神的には1番のマゾである涼皇が前綾守作品の中で1番グラマラスだと思っています。
      そう言った人間関係と強い責任感が弱点のキャラ。
      みんなで何も考えず野原を駆け回っていたころに戻りたいという描写がありますが、あれこそ涼皇の本心で責任だらけの今ではなく無責任で何も考えず遊んでいた頃に戻りたい。
      保護があり無責任でいられたころに戻りたい。
      澪は快感しか感じない世界に行きたいと願いますが、涼皇は子供のころの世界に戻りたいという願い。
      どちらも叩かれて感じるマゾですが、涼皇は自分の相手が醜悪であるほど感じてしまう。
      そんな相手に無様な姿をさらすのが自分にはお似合いだと思っているから。
      神招姫総代代理なんて大層な役職や地位が似合う女じゃない。
      雑魚の淫魔にに叩かれて壊れていく姿が自分に似合うと思っているから。罰を望んでいる女性。
      恐らく壊れた呪姉妹に見られたくない、真実を知られたくないと誰よりも思っているが、誰よりも呪姉妹に壊れていく姿を見られたい、馬鹿にされたい、コケにされたいと願っている。
      心の奥底では幸せになるのが怖い。不幸せな自分が一番自分に似合っているから。
      まとめると、話術も巧みで責任感もあり、全体が見れる広い視点を持ち、指揮もうまく能力も高い万能キャラですが、強すぎる責任感が弱点って感じです。
      後常に責任感とプレッシャーと戦っているため、心の奥底で責任放棄し女々しくなりたい(すべてを捨てて自由になりたい)という危うさを秘めている感じです。
      もし神招姫を会社と位置付けるなら頼れる部長って感じです(でも本人は疲れている)。
      少しでも創作に役立てば幸いです。

  3. お返事ありがとうございます。
    概ねイメージは湧きました。
    が、まだまだ未消化部分があるんだろうなあ、涼皇がちょっと動いてくれない感じです。
    ちょっと時間を取って原作を読み返してみた方がいいかも知れない。

    >神招姫総代代理なんて大層な役職や地位が似合う女じゃない。

    そう、これはあった。
    責任感はあるし、立場も相応しいと思いますが、実際にはその責任に押し潰されそうになっている。
    だから内調での役割がもの凄く負担になってるイメージにしています。
    だったら辞退すればいいんですが、性格的にそれが出来ない。
    「自分が受けるしかない」「私がやれば妹たちに負担がかからない」等。
    表向き、室長や防衛省に対しても強気・強面で当たりますから、必要以上に敵を作り込んでしまっている。
    それは自分でもわかってるんだけど、どうにもならない。
    そういう状態に陥っている感じです。

    >心の奥底では幸せになるのが怖い。不幸せな自分が一番自分に似合っているから。

    これは似て非なる印象を持っています。
    幸せになるのが怖いとか、自分は不幸が似合っているとか言うよりも、むしろ「私は人並みに幸せになってはいけない」という思いがどこかにある感じ。
    こっちの話では、彼女には実は許嫁(そこまで行かずとも思い人)がいる設定にしています。
    神招姫だけでなく、涼皇のせいで自衛隊対魔部隊にまで迎撃されるようになった敵は彼女を排除しようとします。
    人間側にスパイを潜り込ませていた彼らは、涼皇の「男」の存在を知って、それを利用していきます。
    これは、拉致監禁して涼皇を脅迫するか、あるいはその男に憑依して彼女を籠絡するか、ってところですかね。

    1. こちらこそご返信ありがとうございます。
      神威には逆らえない。
      運命と神道筋のためと諦めている様子ですが、波音の壊れ具合に、神威に逆らって負ける。
      その際に、人はみな本質的には孤独ではないと言う小さな願いを護りたかったと自分は思いながら、結局自分もその願いを踏みにじっていたと負けてから気づくあたり、わりと人間味がある感じです。
      澪が捕まった際は、澪を思い食事が出来ず、波音の時はストレスで髪を抜く。
      今回の謀を妹たちに隠すと決めた時は、正座で一晩中悩む。
      神道筋、神威のためと機械的に命令に従うことも出来ず、かといって初めから逆らうことも出来ず、逆らったら逆らったで負ける。
      優秀で淡々としていますが、機械的になれない中途半端でそこが魅力ですね。
      後、鏡遣いでその強すぎる巫力。
      自分でも扱いきれないほどの巫力のせいで自分の意志でなく周りに影響を与えてしまう(だから普段が子供状態)。
      そのせいで他人を遠ざける性格になったと波音は考えているので、そこらへんも性格を考える際の参考になるかと思います。

      >こっちの話では、彼女には実は許嫁(そこまで行かずとも思い人)がいる設定にしています。
      神招姫だけでなく、涼皇のせいで自衛隊対魔部隊にまで迎撃されるようになった敵は彼女を排除しようとします。
      人間側にスパイを潜り込ませていた彼らは、涼皇の「男」の存在を知って、それを利用していきます。
      これは、拉致監禁して涼皇を脅迫するか、あるいはその男に憑依して彼女を籠絡するか、ってところですかね。

      個人的には憑依系がいいかなと思います。
      どちらにしても、ゆっくりお待ちしております。
      楽しみに待っておきます。
      また何かありましたらお気軽にご連絡ください。
      よろしくお願いいたします。

  4. ↑いやー、お二人の涼皇愛が伝わってくる激論ですね、彼女自身の強さや美しさ淫らさもさることながら、やっぱり綾守的触手快楽責めに遭って最後まで堕ちなかった事が特別なのでしょうか?
    淫封の涼皇のお話自分も楽しみにしています。
    ところでイェグの夢中な女性が一人いるとのことですが、それが御堂レイカの藤堂ゆかりだったというお話しはどうでしょう。
    姉妹だから日本美人が好き…というのは安直かもしれませんが、しなやかな強さを持った折れない女性という意味では涼皇と似ていますし、神に等しい彼女ならガチの命の危機に陥ったレイカを救うのと引き換えにゆかりを肉の器に捕らえるとかも可能でしょうし。
    まあ一番は自分が快楽責めで堕ちず淫らの手が届かない場所へと旅立ったしなやかな天女がエッチにKOされる所が見てみたいのですが(邪悪)
    それと作中の話になりますが涼皇とナグの淫らだけれど愛のある交わりを見て澪や波音がどう思うかとかどうでしょう?
    リクエストばかりになりましたがどうぞお体に気をつけてお過ごしください。

    1. もう一人(と言っていいのかどうか?)、ナグとくっついた事に反応しそうというと勾玉人のキサラがいますが、まあ涼皇的には性的にメチャクチャにされるとはいえ妹二人を助けてくれてきちんと自分を見てくれるナグとあくまで祖母の面影を追うばかりで妹二人は積極的に見捨てるだろうキサラではナグが圧勝でしょうね。
      涼香を奪われたようで心と体の疼きに耐えきれずにナグを襲って返り討ちに遭って涼皇の前で…とか夢がひろがりんぐじゃないでしょうか。

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