白の烙印外伝~シュナイダー~1.5

ニコライムスとの戦いを控えた夜。シュナイダーは思案していた。どうすればあの悍ましきハルタルスト達に勝てるものだろうか。また、アデル……アーデルハイド=ファナ=グラスベルガーの真意は何処にあるのだろうか。様々な思案が脳裏に過りながら、けれども最後に彼女の脳裏で犇めくのは浅ましい肉欲の疼きであった。鍛え上げられた体に染みついた陵辱の記憶に、彼女は歯噛みする

「っ……馬鹿か。今、こんなことを考えている場合ではないだろうが……」

 そう自分自身を叱咤するも、シュナイダーの体は疼きを抑えられない。ぞわぞわと背中を走るもどかしさは、特に上半身、彼女の豊満な双乳を蝕んでいた。思考は徐々に自由意思を奪われ、肉欲の切なさに思考は傾いていく。

(ああっ……やめっ……やっ……やめてぇっ!)

吐き出してしまった自分が女であることを示す懇願は、六カ月ぶりのルーティエの嘲笑を導いた。己を親友と呼ぶ憎むべき裏切り者は、けれどもシュナイダーの弱点を知り尽くしているのだ。ルーティエは妖艶に笑いながら、シュナイダーの「女」の部分を弄ぶ。

(良いわねぇ、シュナ。罪の芽にも匹敵するほどの、あなたの淫らな肉粒。それを皆が狙っているわ。閉じ込められた段差乳首を苛める為に、皆があなたの乳暈を撫で回してくれるのよ。あなたにとって、天国みたいな環境でしょ、此処は)

 ルーティエの言葉ばかりで、シュナイダーの欲情は昂ってしまっていた。今まで自分で慰めることも出来なかった乳首が、ニコライムスの触手によってほじくり出される。乳暈の割れ目、乳首を隠すそこを撫で回されるだけで腰が跳ねる。太腿が痙攣を起こし、立っていることも苦痛なほどの欲望の痺れはシュナイダーの抵抗を弱めていく。

(ほら、あなたの魂たる肉粒が少しずつ顔を出てくるわ。恥ずかしがり屋の癖に淫乱な、快楽を感じる為だけに存在しているだろう魂が)

(ひっ……!? 違うっ……あたしは、ぁあああっ……!)

(違わないわ……封印を解いてあげる。あなたという女が一頭の牝牛に成り果てる、現実をしっかりと確かめなさい)

胸当を外された胸へ、無数の触手が群がり集る。数十本の触手が乳房をくすぐるように鞭打ち、そのほかの触手はその皮膚を流れる体液を貪らんとばかりにシュナイダーの皮膚に甘噛みをしていく。褐色の肌に淫欲がこもり、熱く火照る皮膚が湯気を立てる。それでも、シュナイダーは自分の矜持を盾に死に物狂いで拒んでいた。自分を浅ましい「女」と成り果てさせる悍ましい触手からの愛撫を。けれどもそれは、ほんの小さな抵抗だった。

人差指の先程もある乳首が外気に露出すると、彼女の体は容易く堕ちた。

「あああああっ!」

乳房中に絡みつく触手の一部が乳首を銜え込む。シュナイダーは濁った悲鳴を上げて膝を折りそうになる。立ち上がる労力さえも、すでに彼女には残されていなかった。しかし、ニコライムスとルーティエは、シュナイダーに膝を折ることを許さず、大量の触手で彼女の体を抱き上げた。

彼女の痴態が何処からでも見られるよう、手首足首を拘束したまま、彼女の乳房を目立たせる為に背中を仰け反らせるようにして。

木の枝から蕾が膨らみ生えるように、乳暈の割れ目から露出した乳首に、ニコライムスの触手達は敢えて触れなかった。シュナイダーが拘束から逃れようと体を揺らす度、その振動で快楽を得てしまう様子を愉しんでいるのだろう。シュナイダーはニコライムスの思う通り、触手から体を抜こうとするたびに揺さぶられる肉球体の快感に「ああ」と悲鳴を上げた。

(そんなに体をくねらせて、封印を解かれたことがよっぽど嬉しいのね)

(ちがっ、違うっ……あたしはそんなこと……望んでなんかっ……!)

(あら、そうなの? それなら、思い出させてあげなくてはね。あなたが私と同じ……いいえ、私以上に『女』であることを、ね?」

ルーティエの囁きに大量の触手がシュナイダーの乳首に群がる。一本の触手が柔く乳首を鞭打つと、シュナイダーはそれだけで体を仰け反らせた。全身の筋肉が震え、甘く香る汗を滴らせる。絶頂まであと少しというところでそれでも彼女は己の矜持のままに耐えていた。此処で耐えねば、彼女の心は羞恥心と罪悪感に折れてしまう。彼女の健気な矜持をしかし、ルーティエもニコライムスも許さない。彼ら彼女らはシュナイダーに、女に生まれたことの悲劇を叩きこもうとしていた。

(我慢することはないわ、我が親友。私はただ、あなたが恥知らずの生き物であることを思い出して欲しいだけなの。あなたの可愛い後輩にも、しっかりとその姿を見せてあげたいだけ)

 大量の太く長い触手が枝分かれし、異形の掌を形作っていく。シュナイダーは見せつけられた悪魔の掌に、刹那心を奪われてしまった。この場所から逃げなくては、と思うその心と泣き別れた体は期待に胸を反らせ、細裂きにされた触手の到来を待っている。触手の掌が乳房を握りしめた瞬間、シュナイダーの体が激震し、かひゅと乱れた呼吸を零した。彼女は次の瞬間、思いの外可愛らしい、生娘のような悲鳴を上げた。

(嫌っ、嫌ああっ! やめてっ、やあぁああっ!)

 自分を見つめるアリスの瞳が絶望に染まる様子を見せつけられても、シュナイダーは最早理性の限界であった。細やかな掌が乳房を揉みしだく度に、柔らかな肌に蔓延る大量の感覚神経を触られて絶頂に至る。触手に捕まえられながら快楽に震えるシュナイダーの悲鳴に、罪の芽を揺さぶられたアリスの悲鳴が重なる。騎士達の悲鳴が重なるその中で、ハルタルスト達は彼女達の心を裂くような嘲笑を重ねていた。

「っ、畜生め……!」

意識を現在に戻しても、フラッシュバックは治まらない。トラウマという言葉で表すにはあまりにも重く背徳的な、それでいて甘美な地獄であった。罪悪の肉華からはしっとりと蜜が溢れ出し、シュナイダーの内腿を知らず知らずのうちに濡らした。無意識化に欲望を求める自分自身の体に、シュナイダーは壁を殴る。痛むこともない拳をそのままに、彼女は壁に額を押し当てて再び「畜生」と悪態を吐いた。

「何の為に強くなってきたんだ、あたしは……こんなことで惑わされてしまうほどにあたしの体は。……っ! 違う、違う! あれは私から望んだものじゃない、あの悪魔どもに押し付けられたんだ! 押し付けられたものなのだから、あたしはけして……!」

 言い訳のように口にしたシュナイダーの言葉に、乳暈の中に隠された乳首は熟れるように痛む。そんなことはない、お前は求めているのだろう、苛めて欲しいのだろう、と頭の中の饐えた部分が自分自身を責め苛む。

「黙れ、あたしはあんなこと求めてはいない、あんな屈辱はもう――――」

 それを考えただけで、目の前が眩み白い閃光が見えた。自分の目の前で噴き出した白色……それは彼女自身の乳汁であった。触手達に小突かれることで魔力を蓄積させられた乳はあまりにも他愛無く、母となった者でなければほとばしることは無かろうその体液を噴出させる。子供を育てる任務も与えられぬままに、ただ異形の化物に泣き喘がせられる為だけに。

(さぁ、親友。あなたがどれほど恥知らずの生き物なのか、この可愛い後輩に改めて教えてあげましょうよ? 何をするかは、分かっているわよね?)

ルーティエの甘い声がシュナイダーの肌を震わせる。彼女がシュナイダーに求めている痴態は、シュナイダ―の尊厳の全てを破壊するそれであった。シュナイダーはほとんど泣き叫ぶように、お仕置きを恐れる童女のように拒絶の声を上げた。怯えるアリスへ庇護の言葉を賭けることも出来ぬままに、彼女は自分の乳房への攻撃を恐れていた。

(やめろっ……ああっ……やめてくれ、ルーティエ……!)

(あら、どうしてやめて欲しいのかしら? 理由次第では、考えてあげても良いのだけれど。どうして、この子達を拒絶するの?)

 甘やかに囁くルーティエの言葉に、しかし、触手達は既にシュナイダーの乳房に群がっていた。ある触手は男根を模したまま彼女の乳房へ異臭を放つそれを擦り付けている。時にその亀頭がシュナイダーの乳首を飲み込んで、女の蜜襞が男の欲肉をしゃぶりつくすように彼女の乳首を苛んでいる。

(ひぃっ……いやっ、やめてっ……シュ、シュナ、いっちゃうっ……!)

 シュナイダー。男性的なその名前から、シュナと言う愛らしい略称が零される。勃起してしまう際に乳暈に肉の段差が出来てしまうほどに調教された双乳が為に、戦士の矜持など容易く崩れ去ってしまう。

 亀頭触手の凌辱が激しくなる。シュナイダーの乳首に射精を繰り返すその触手は、まるで彼女の乳房に精液を貯蔵するかの如く彼女の乳首を扱き続ける。嫌々と泣きじゃくるシュナイダーに、ルーティエが厳しく問う。

(シュナ、言いなさい。どうして『これ』が嫌なの?)

ルーティエが指差す先には、細かく枝分かれした触手が並んでいた。それらは冥界から蘇生された屍のように、赤黒く小さな掌をゆらゆらと揺らしている。掌がゆっくりと自分の体へ近づく度、シュナイダーは小さく悲鳴を上げて異形の掌から逃れようとする。しかし、触手に絡め取られたその体は、責めを逃れようと揺れ動く度に双乳には多大な快楽が迸る。

(あぁんっ! ひぁっ、あああ、やめてっ、シュナっ、やぁあ……!)

(シュナ、シュナって。小さな女の子じゃないのだから、ちゃんと説明しなさい。それとも、やめて欲しいのは口先だけで、本当はこの沢山の触手達に苛められたいのかしら?)

(ちっ、違う、本当に、ひっ……嫌っ、やめてくれっ……あたしは……!)

 胸の谷間に淫業の烙印を穿たれたシュナイダー。媚態と卑屈をそのまま形にしたような、商売女の装束を纏わされ、それすら凌辱によって濡れて乱れて、ほとんど汚れた布切れのようになっていた。恥丘に張り付いた布切れから淫蜜を零しつつ、シュナイダーは恥じ入る声で答えた。

(耐えられないんだ……耐えられないから、やめてくれ……!)

(何が、耐えられないの? ちゃんと答えなさい、シュナイダー)

ルーティエは容赦なく問い正し、傍らで硬直しているアリスに片目を瞑りながら微笑む。ハルタルスト、否、彼女はシュナイダーにとって最早悪魔といっても過言ではない。それでも彼女は自らを守る為、ルーティエの問いに答える他なかった。

(あ、あたしは……に……乳汁を絞られることが……耐えられないんだ……そんなことをされたら……私の乳房は壊れてしまう……)

 アリスが此方をぼんやりと見つめている。奥歯が砕けるのではないかと思うほどに噛み締めて、紅玉色の瞳を涙で潤ませながら、シュナイダーは自らの恥を言葉にした。しかし、ルーティエの答えは陰惨なものであった。彼女は根絶丁寧に、アリスへシュナイダーの現状を説明する。

(ふふふ、アリス、驚いたでしょう? 此処二カ月かけて、覚醒させてあげたのよ。我が親友の体をね。この子の乳房は魔力を込めて揉み絞ってやれば母乳を噴き出すようになっているのよ。妊娠とは関係ないのだけれど、これだけ大きい乳房を責めに使わない手はないでしょう?)

 嘲笑に満ちた答えに、シュナイダーは潤ませた瞳から涙を零す。しかし、ルーティエの責めが言葉ばかりで終わるわけもない。剥き出しの乳房を柔く撫でた後、悪魔は異形の掌達に囁きかける。ふるふると揺れるシュナイダーの乳房に、細切れの触手達は我先にと群がり集り出す。

(!? どうして……あたしは……あたしはちゃんと答えただろう……!? ル、ルーティエ……やめろっ! ……頼むから、やめてくれっ……!)

 シュナイダーの懇願に、けれどもルーティエはどこ吹く風だ。生々しい精の匂いを溢れさせた肉触手が、シュナイダーの乳房にしがみつく。ひぃっ、と甲高い悲鳴を上げるシュナイダーに、ルーティエはにこやかに囁いた。

(ええ、あなたはちゃんと答えたわ。だからこそ、私もちゃんと考えて……あなたの乳汁を搾ることに決めたのよ。何も間違っていないでしょう?)

 卑劣な返答に、シュナイダーは「クソったれ」と悪態を突こうとして、けれどもその唇は女らしい悲鳴を上げることしか出来なかった。彼女の豊満な乳房に集まった触手達が、思い思いに彼女の乳房を揉み出したのだ。

(きゃああっ、嫌あああっ! 駄目ッ、揉まないで、やめてぇっ!)

 人の頭ほどもある双乳が、触手の群れによって包み込まれる。触手の掌には無数の疣が生えており、乳房に触手を押し込まれる度にその疣から魔力を注がれる。ぶつぶつと皮膚病のように並んだ疣が乳首を弾き、シュナイダーは喉を逸らして「あああああっ」と悲痛な悲鳴を上げる。ぎゅっと握り込まれた乳房を前に、シュナイダーは「駄目」と繰り返す。

(駄目えっ! それは駄目なの、やめてぇぇっ!)

 乳肌に静脈の色を透かして、シュナイダーは泣き叫ぶ。しかし、彼女がどれだけ体を揺さぶろうとも、触手達は骨のない生き物らしい不規則な動きで彼女を拘束していく。疣から魔力を注がれたシュナイダーの快感は上乗せされていき、そうしてとうとう。騎士である彼女にとっての公開処刑が始まった。細切れの触手の一本が、彼女の乳首を深く押し込んだ瞬間、シュナイダーは脳内で大切なものが弾け壊れる音を聞いた。

(あああっ、あああああっ――――!)

声がかれる程に、シュナイダーは泣き叫び藻掻き足掻いた。しかし、ルーティエはそんな彼女の頭を掴み、彼女の後輩であるアリスとしっかりと視線を合わせるように固定した。シュナイダーの羞恥に濡れた瞳に、アリスの絶望に濡れた瞳がぶつかる。やめてくれ、と、最後の懇願を向けようとしたシュナイダーの唇が、しかし叫んだのは淫らな嬌声であった。商売女の縁起でも見ないような淫らしさで、彼女は自らの本性を露わにしていく。

(やあぁっ、だめ、だめだめだめえっ! 出る、出ちゃううっ! 嫌ぁっ、嫌だっ、出したくないっ、出したくないのにぃぃっ!)

(アリス、よく見ていなさい。あれが、シュナイダーの本性よ)

 双乳を揉み込む触手が、徐々に動きを激しくしていく。揉みしだくというよりは押し潰すというような触手の手つきに、唐突な静寂が空間に舞い降りた。シュナイダーの姦しいほどの声が、唐突に「ひっ」と呼吸を止める。肉触手で出来た部屋の中、シュナイダーの心臓が必死に脈動する音が聞こえ、その無音の中で触手達は自らの役目を果たそうと蠢き出す。

 乳房を握り込んでいた異形の掌が、まるで果物を包む網のように双乳へ纏わりついていった。そうして、異形の掌が乳房全体を強く握りしめた瞬間、赤く熟した乳首から真白い雫が噴き出した。

(きゃあああああああっ――――!)

 魂を削り取るような絶叫とともに、反り返って天を仰いでいた乳房が乳汁を迸らせた。子を育む為ではなく、ただ淫業を示す為だけに搾り取られる乳汁。魔術によって陥没させられていた乳首が、熟して膨らみ切ったところで噴き出される体液。白濁したそれは魔術で仕込みがされているのか、一本の筋のように噴き出しては甘い匂いの放物線を描いていた。

(いくっ、あああっ、やっ、いくううううっ!)

 最早童女のように呂律の回らない叫び声をあげて、シュナイダーは両目から涙を零しては嫌々と首を振っている。しかし、触手達の搾乳はその程度で弱まるわけもなく、シュナイダーは砕けんばかりに握り込んだ爪先のまま嬲られている。

(ひぃっ……やああっ、ぁあ……あぁああ……)

それでも、乳汁の貯蔵にはある程度の限度があるらしい。放物線は徐々に弱々しくなり、最後には滴る程度にしか絞り出せなくなった。両足の間から尿とも汗とも分からぬ体液を零して、シュナイダーが鳴く。

(ぁあ……ひぁぅ……ぁ……)

(驚いたかしら、アリス? 搾乳なんて、母親だったら誰でも感じ得る刺激だと思うでしょうけど……シュナイダーにとっては、乳房や乳首を内側から舐り回されているようなものなの。それだけ、この女の体はいやらしいとも言えるのだけれど)

アリスに説明をするルーティエ、そんな彼女の隣に、いつの間にか愛らしい顔をした少女が佇んでいた。少女、インキュヴァーリンは無邪気な目をしながら、息も絶え絶えのシュナイダーの乳房をつつく。

(ねぇ、ルーティエ、ニコライムス。この女の乳汁はどこまで飛ぶの?)

(……そうねぇ、試してみようかしら?)

 瞳を残忍に煌めかせ、ルーティエはニコライムスを使い、再び触手を補填する。小さな掌からより枝分かれし、網のように張り巡らされたそれは、一節ごとに疣を生えさせてはシュナイダーの乳房を包み込んでいく。

(あぁあ……許して……許してぇえ……!)

(まだよ、シュナイダー。これからもっと、あなたを幸せにしてあげる。その馬鹿みたいに大きな乳房を搾り上げられて、脳内をお花畑に飛ばして悦ぶあなたの姿を、可愛い後輩にも見せてあげるわ)

熟した果実のように柔らかく包み込まれた乳房が、触手の疣に寄って再び乳汁を充填される。限界まで噴出させられるよう、途中途中で排出させることすら許されない。元から大きな乳房は乳汁によってすっかりと膨らみ、赤く熟した乳首は確かに乳牛のそれに似ていた。

はちきれんばかりに膨らんだ乳房を、弱々しく揉み解された後、段差になっている乳暈を撫で回される。それだけで乳汁が滴り落ちるというのに、インキュヴァーリンは「まだ駄目!」と子供っぽい残酷さでシュナイダーの乳首を触手で押し潰す。シュナイダーは声も出せぬまま、体を仰け反らせる。

(許してっ、やめてぇぇ……シュナ、いっちゃうっ、出ちゃうぅぅ……!)

 これが恋人からの責めならば最高だろう動き。しかし、相手は恋人どころか人間ですらない、触手であった。触手は徐々に刺激箇所を狭めていき、乳房から乳暈、乳暈から乳首へと集まっていく。そうして最後の一押しと言うように、触手はシュナイダーの乳首へ、細く長い触手で鞭を打った。

(駄目っ、駄目えっ! いくっ! 乳首っ、乳首でいくうぅうッ!)

情けない声をあげて、シュナイダーは噴乳した。鞭を打たれた刺激でもそうだが、その後触手はシュナイダーの噴乳を自足させる為、乳首を抓み伸ばしてそれを促したのだ。白目をむき、大量の乳汁を噴出させながら痙攣を繰り返すシュナイダーに、インキュヴァーリンはその残酷さを欠片と見せない無邪気な声で「最高記録だ!」と笑う。煌めくようなインキュヴァーリンの笑い声に、シュナイダーは意識を失うのだった。

 意識を取り戻したシュナイダーに、しかし、休息が許されることはなかった。目が覚めた瞬間に彼女の体は絶頂に叩きつけられ、悲鳴を上げた。彼女の体は、膣肉を中心に再び調教を重ねられていたのだった。

(ひああああっ! いくっ、いっちゃうっ、いくのとまんないぃいっ!)

 カリ高で溝の深い触手、微細な振動を繰り返す触手、色とりどりに効能を変える触手。それらが休みなくひっきりなしに、シュナイダーの膣肉を抉った。カリ高で溝の深い職種は彼女の肉襞を掻き毟り、微細な振動を繰り返す触手は罪の芽と快楽のしこりを見つけてはそこを振動させる。色とりどりに効能を変える触手は、膣の中に入り込むごとに痒みや熱、時に電撃すら発生させて彼女が触手の刺激に慣れることを許さずにいた。

(いやっ、やああっ、ころしてっ、シュナをころしてぇえっ! もう嫌っ、これ以上壊れるのは嫌なのおおおお!)

 私の罪の魂をもぎ取って。泣き叫ぶシュナイダーは最早、聖騎士とも女傑とも呼べぬ有様であった。膣肉の肉襞を一本一本の触手に弄ばれ、吸盤付きのそれに子宮の入り口を吸い上げられて、彼女は何度となく意識を失った。

(……っ!? ひぃっ!? ぁあっ、やめて、やめてぇぇっ!)

 その度に意識を取り戻させられては、彼女の膣は乳首同様に潮吹きを強制させられた。尿を排泄するほどの強さで潮を噴く度、子宮がわななき乳房が震えた。胸だけでも限界を超えているというのに、膣までを責め立てられ、シュナイダーは声を堪えることすらも出来ずに泣き喚いた。

(いやぁあああっ! もうやだ、だしたくないっ、でちゃやだああぁっ!)

(あらあら、赤ちゃんみたいに泣いて恥ずかしくないのかしら。まぁ、穢れの無い赤ちゃんだったら、こんな潮吹きも噴乳もしないだろうけれど)

(嫌ああああ……許してぇ……シュナ、シュナ狂っちゃうよぉお……!)

(狂っちゃえばいいんじゃないかしら? 乳首を扱かれて、罪の芽を嬲られて、膣肉の襞の一つ一つまで犯されて……自分が浅ましく淫らしい存在だと認めながら、此処まで堕ちてくれば良いのよ、貴方だって)

 自分の中の刺激を少しでも外に出したい、狂いそうなほどの快楽を少しでも霧散させたい。その一心で声を涙を涎を体液を噴き出しながらイキ狂う。それがルーティエやニコライムス、インキュヴァーリンの思うツボだと理解していても耐えられなかった。どれだけ笑われても、耐えられなかった。

(ひぃっ!? やあ、ぁああぅ! 死んじゃうっ、死んじゃうううっ!)

 乳首からは乳汁を噴き出し、膣肉からは潮を噴き出し。このまま脱水症状でも起こして死んでしまえれば楽だったのではないかと思うほどの凌辱であった。体中の筋肉が、異常な痙攣を起こしながら絶頂を繰り返していた。

(やぁあ、嫌ぁああ……もう……ゆるしてぇぇえ……!)

 彼女は最早、肉欲の奴隷だった。脳髄から体に、心に被虐の快感を刻みつけられた奴隷。そう、それは欲情の熱で焼かれ刻み付けられた、まさに刻印であった。開発され過ぎて豊かな双乳はより大きくなり、膣肉は子を成す為の神聖な道ではなく快楽を得る為だけの文字通り性の器と成り果てた。

(お願い、お願いだから……このいやらしい魂をもぎ取ってぇ!)

 自分の声ながら凄まじい悲鳴だと、シュナイダーの頭の中のまだ薄ぼんやりと冷静な部位が考えていた。いやらしい魂、それが魔力を込められて膨らんだ双乳なのか、煮立ったように快楽を貪り続ける膣とそれに続く子宮なのか、それとも凌辱拷問を受けながら未だ鼓動を続けている彼女の心臓自体なのか、彼女には理解の範疇を越えてしまっていたが。

(全く、ここまでの乳狂いが、この世にいるものか?)

 ニコライムス……姦淫聖職者の歪で腐りきった言葉が耳にこびりつき、離れない。それはまるで、彼女の魂までもに傷をつけ腐敗させるようだった。

 意識を現状に戻す。それらはシュナイダーの心に、復讐と自制の感情を産む。二度とあんな風にはならないと、シュナイダーは奥歯を噛み締める。

 しかし同時に、ニコライムスから与えられた快楽……刻み付けられた被虐の炎を燃え上がらせてしまう。彼女の魁偉な体躯全てが、今すぐにでも凌辱される欲望に疼いていた。

 魔術で再び乳暈の中に押し込められてしまった、恥ずかしがり屋でありながら鋭敏な乳首が疼いた。今すぐにでも押し込められたそこを割り開いて、自分の思うがままに乳首を苛めたかった。噴乳をするほどに自らの双乳を苛めながら、罪の芽と膣肉の襞を掻き毟って絶頂に浸りたかった。

 そんなことを当たり前のように思った自分を、赤面しながら縛める。

「馬鹿が……これから戦闘なのだぞ……!」

 今度負けてしまったら。そんなことを考える自分自身の弱気を断ち切ろうとする。しかし、耳元では裏切り者のハルタルストの声が響いた。

【今度負けたら、最高の快感を味わえるわよ】

「っ!? 違う、あれは屈辱だ! 私は二度と、屈辱を味わいはしない!」

 耳元でクスクスと淫魔が笑う。美しい女の顔をして、それは囁く。

「屈辱? あなた、イキ狂ってたじゃない? どこが屈辱よ」

 女の華奢な指先が、自分の耳や首筋を撫でる。そのまま、厚い胸当の上から双乳を掴み、まだ乳首の出ていない乳暈を撫で回す。

【今もあの似非坊主……ニコライムスに勝つことよりおっぱいでアクメをしたいんでしょう? 乳暈の中を穿って、乳首アクメをしたいと思ってるんでしょう? こっちだって……ぐちゃぐちゃに掻き混ぜられたいと思ってる】

 淫魔の掌が罪の場所に触れる。瞬間、シュナイダーは怒声を上げ、自らの心に救う淫魔を愛剣で叩き切った。淫魔、ルーティエはその姿を両断されながらも、未だ妖艶な笑みを浮かべてシュナイダーを見つめていた。呪いをかけるように、彼女はシュナイダーに語り掛け続ける。

【分かっている筈よ、我が親友……あなたが『女』として、本当に求めてる幸せが何かって言うことは……】

「黙れ、裏切り者め……私は、そちらへは行かない……!」

 胸当に手を当てる。この中に自らの一部でありながら、魔術に寄って陥没させられて封印された乳首が存在している。あまりに敏感で構って欲しがりで、その肉欲は「中から出して」と主人であるシュナイダーに五月蝿く訴えかけてくる。

「……お前の言葉など聞かない、私は、淫欲の罪業になど負けない」

 エフィも加護もあるのだから。今度こそは必ず勝つのだから。

 自らの内側の声を無視して、シュナイダーは戦いの地へと赴くのだった。


この作品は綾守竜樹著・白の烙印の外伝です。ベッテンバットム先生に書いていただいたものです。

この作品が一瞬でも綾守先生がいなくなったことの皆さんの孔を埋めれれば幸いです。
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