魔法少女アイ外伝 魔法少女メグ⑧~陥落~

8 陥落

「はあぁぁぁぁ!!」
 宙を飛び跳ねたメグは、思い切り振りかぶった拳を耕一郎めがけて放つ。
 ぶん! と空を切り裂くその拳は、しかし、ねちゃっとした触手に絡めとられてしまう。
 耕一郎の背中から生えた触手が、彼を守ったのだ。
「そのまま捕まえろ、触手!」
 珍しく鋭い声で命令する耕一郎の指示通りに、触手はメグの腕に絡みつき、その細い腕を縛り付けようとする。が。
「馬鹿にするなッ!!」
 メグは思い切り手を振り払った。その膂力はすさまじい。メグ本来の格闘力に上乗せられた魔法少女の魔力は、ゆらぎ化した少年では御しきれるはずもない。
あっさりと触手は剥げ落ち、空気中で炭のようになって消え去った。
 強い。強烈な強さだった。
「もう手加減はしない! お前ら、皆殺しにしてやる!!」
 メグはたて続けに攻撃を繰り出す。手のうちに生成した武器が、少年たちに狙いを定め、その集団に向けて一突きが繰り出された。
 ごぅん! という轟音が、部屋の中で数か所、鳴り響く。
 ごん、ごん、ごん、ごん!!
 少年たちがそれまでたっていた場所に、巨大な穴が穿たれた。
一郎が背中から触手を伸ばし、のたうち回る少年二人を含めた全員を突き飛ばす。
 直後、それまで少年たちが佇んでいた場所に、ふたつの大穴がぼごっと開いた。
 すさまじい威力だ。鬼神と呼ばれた魔法少女の実力は、伊達ではなかった。
「うあぁぁぁぁ!」
「いやだぁぁぁ!!」
 少年たちはその攻撃を辛うじてかわす。そして、部屋の中を散っていく。
天井を走り、壁にへばりついて飛び跳ねる。ゆらぎの力を手に入れた少年……いや、元少年だった化け物は、その飛躍的に強化された身体機能を余すところなく活用し、逃げまどった。
「逃がさない!!」
少年たちが逃げまどう先に、次々と穴がぶち開いていく。
 ぼごん!! ぼご、ぼごごッ!! ぼぐぅんッ!!
 床、壁、そして天井、それぞれが、まるでクレーターのように穴が開く。
「さけることに集中しろ!!」
 耕一郎の命令通りに、少年たちはひたすら駆けまわる。股間のモノを引き裂かれた少年も、ゆらぎの触手によって疑似的に肉棒を作り上げ、止血していた。ゆらぎという怪物には、人間の体内にある汚濁物を栄養分として取り込む機能と、ゆらぎの力を宿す生命体の肉体を修復する力がある。
もちろん、その能力には限りがあるものの、ここまでメグを貪り食ってきたおかげで、その力の源は十分にため込まれていた。
 よって、二人の少年は、激痛を感じつつも、生命の危機は去っていた。
 耕一郎は、安堵し、舌を巻いていた。
 この女、思った以上の実力だ。状況は一気に覆った。純粋な戦闘力はメグの方がはるかに上だ。耕一郎の側の有利な点は、素早さと人数だ。だが、その素早さも、あの遠距離攻撃によって無効化されたに等しい。
メグを落とすことができるのだろうか?
 ここが判断のしどころだ。こだわりを捨てて撤退する? それとも戦いを続ける?
 確実な勝利が見込めないなら、撤退しなければいけない。負けたら自分たちは消滅だ。
 消滅……それは、嫌だ。
あの性をむさぼる喜びは、絶対に手放せない。女を食う喜びは、男……いや、オスとして生まれた自分の最大の使命であるとすら思えていた。
 耕一郎は、ゆらぎに捕らえられつつも理性を残している稀有な存在だ。
 メグをとらえ、自分たちのものとして取り込むことへの拘りは、ゆらぎの狙いかどうか、それは耕一郎本人にすら分からない。
 ただわかっているのは、女の性を貪りつくすために自分のIQを高められ、体の構造すら変えられた少年は、その現状を自らの喜びの為に受け入れたということだった。
 耕一郎……国内でも有数の大会社の御曹司である彼は、常に満たされない思いを抱いていた。
 好色家の父親は、いまだ若く美しい母とは別の、美人の浮気相手に夢中である。母はおろか、自分にすら構ってはくれない。
 母親は美しく麗かだが、自らの美しさと豊かさを誇示するのに夢中だ。父親よりも愛情を感じるものの、それでも足りない。
 年の近い姉は、中学生でありながらすっかり名家の令嬢として、すました大人の女になっている。弟を見ても、自立した男になるようにと冷淡にあしらうだけだった。
ゆらぎはその心の闇に食いついた。
復讐なのだ、これは。
メグを落として、調教し、魔法少女の力を取り込め、というゆらぎの本能……それは、もはや自分の目的でもあり、手段でもある。
 母親は寂しい女だ。ゆらぎになり、それを知った。夫に愛を注ぐものの、浮気相手に逃げられた。夫と離婚など、今の状況を維持するためには、できない。
その惨めさ、寂しさは、耕一郎の付けこむ元となった。耕一郎にとりついたゆらぎも、それを感じ取ったのだろう。耕一郎は、ゆらぎの力を取り込みつつも自分の意志を保っていた。メグを襲い、触手の力を確信したのち、母親を落としにかかった。それはあっさり成功し、今では美しい母は耕一郎の肉奴隷だ。毎日、まぐわっている。すまし顔の姉も、それに気づいている。口封じも兼ねて、近々落とす予定だ。
このような事態をつまびらかにできる家族ではない。だからこそ、食らう。
まだ30前半の母は、手入れを行き届かせていることもあり、メグに勝るとも劣らない瑞々しさ、きめ細かいモチ肌で、息子の性欲を昂らせてくれた。
 姉の未成熟な体も魅惑的だ。衣服越しにでもわかる膨らみかけの乳房、くびれ始めた腰、しなやかで丸みを帯び始めたその肢体は、母に似て麗しいカーブを描いている。
まだ鮮烈な未熟ボディでありつつも、流麗さを保つ姉は、処女の匂いをぷんぷんさせていて、実にうまそうだ。母と姉、それぞれ、耕一郎の理想の女性だった。思い出すだけで、胸が高鳴ってしまう。
絶対に、食い散らかす。肉奴隷にしてやる。母と姉を肉奴隷にしたら、そこからが始まりだ。もっともっと多くの女を、この肉体がある限り、食いつくして見せる。
 耕一郎は、メグを、母と姉を味わう間の箸休めにはもってこいの肉奴隷に育て上げる気満々だった。
この女は、メグは、絶対に手放せない!!
理性と肉欲の狭間で、耕一郎は頭脳をフル回転させた。
 ほかの少年たちとて同じ心づもりのようだ。性を貪る対象のメグは、自分の命を守るため以外の意味でも、肉欲の満足のためにも、絶対に取り逃がせない。
 メグを落とせるかどうかが、少年たちの肉欲暴食を保てるかどうかの境界線なのだ。
 そのためには、一人たりとて失うことは出来ない。何故なら、その弱体化によって、一気に突破口を掴まれてしまうからだ。
「お、おおおお、俺は、絶対に、ママを、俺のもんにするんだぁぁ!!」
 先ほど性器を引きちぎられた少年が、ヤモリのように壁に張り付いたまま叫ぶ。股間からは触手が映えて、欠損したペニスを再生させていた。
「お、お、れ、だ、だだだだ、だってぇぇぇぇ!! 姉ちゃんに、俺の赤ちゃん、産んでもらうんだよぉぉ!!」
 ゆがんだ性癖を吐露するのは、さきほどペニスをちぎられたもう一人の少年だ。こちらも、もうペニスの再生が済んでいる。
「うるさいのよ!! このド畜生どもが!!」
 メグはレオタードめいた魔法少女の衣装を完成させ、身に着けていた。
 ぴっちりとした衣装は完全にメグの戦闘力を高め、魔法少女の攻撃をアップグレードさせ続けている。魔力の奔流が、メグの精神を昂らせていた。
……一部、気がかりな点を覗いては。
──ち! ちょこまかとすばしっこい!!
 メグ苛ついていた。ゆらぎ少年たちは、その体躯を巨大化させたりもとに戻したり、ある程度は自在に変えることができる。
 最も小さい体型に戻され、全力で逃げられてしまえば、全滅までは時間がかなりかかってしまう。
 そうなると、ぴっちりとしたレオタードは、自然とメグの体にこすれてしまう。
その時のこすれる感触が、メグの体に、ピリピリとした感覚を産んでいた。
 ピリ、という刺激が、戦闘時のさなか、不自然にメグの意識に割り込んでくる。それが、メグの戦闘をぎこちなくゆがめていた。
──何よ、なんなのよ、この感覚は……!
 うっとうしげにその感覚を振り払おうとするメグだが、それはかなうことがない。
 いや、むしろ、時間が経過するごとに、そのピリピリとした感覚は、メグの肌をひりつかせてきている。
……その正体は、メグを調教し、性感帯を育て上げてきたゆらぎたちの成果そのものだった。
 戦闘中にも関わらず、少し体が大胆な動きをするごとに、乳首がレオタードの生地にこすれる。食い込んだ股の生地が、充血してぷくっと膨れた秘裂にこすれる。
 その都度、ピリピリっとしたピンク色の電気が、流れ込むのだ。
 違和感の正体はこれだ。これのせいでメグの手元が狂い、少年たちを討ち漏らしている。
 本来、この程度の相手に苦戦するなどありえない。単体としても団体としても大したことのない敵なのだ。逃げまどう標的、微弱な触手しか能のない貧弱な敵……だというのに、討ち果たしきれていない。
──このクソごみがッ!!
 メグは忌々し気に快楽を消し飛ばす。こんなものに構っているヒマなど、ない。
 もしこんな快楽なんかに負けたらどうなるのか、メグは分かり切っている。
 性奴隷として食い荒らされ、犯され、面白半分に調教されるのだ。無抵抗な女を、ゆらぎは最後の一滴まで絞りつくすように食らう。
 そして、絞れなくなったら、捨てる。まるでボロ雑巾のように。
 かつての自分が、そうなりかけたように……かつての仲間が、そうなってしまったように。
 だから、メグは自分を戒めた。
──負けるわけにはいかない! 絶対に討ち取って、自分の未来のため、世の中の女性たちの未来のため、勝つんだ!
 メグは少年たちに照準を定め直しつつ、武器を握る手に力を入れなおした。少年たちは散り散りになって逃げまどっている。
「うあぁぁぁ、あぁぁぁ!! だずげて!! まだセックスしでぇぇ!!」
「ママ!! おれ、ま、まだ、まだまだ、ママと、いっぱい、セックスしてぇよぉ!」
「おおおおお、おれもぉお!! まだ、姉ちゃんと、ぜんぜん恋人っぽくしてねーんだよぉ!! おぉぉぉ」
「おれもぉぉぉ!! おれもぉぉぉぉ!! セックスしまくるってきめたんだあぁぁぁ!! まだじにだぐねぇ!!」
 少年たちは散り散りに逃げまどいつつ、触手をムチのようにしならせてメグを狙い撃つ。
 びしゅるるるるッ!!
 十本近い触手が、ものすごい勢いでメグを絡め取ろうと伸びる。
 だが……
「ぎぃええええ!!」
「はんッ!! なめんじゃないわよ!!」
 触手はあっさりと切り落とされ、ちぎれて消える。
 ちぎり取れた触手を見たメグは、爽快感さえ覚えていた。
──やはり、私の本懐は戦い……邪悪を打ち取って、消滅させるのが、私の生きがいなのよ!!
 そう、心の中で叫ぶ。身にまとわりつく快楽を振り払い打ち消そうと、必死にもがくように。
 だが……
「は、うぅ……ッ!? こ、この、感覚、は……!?」
 メグは、全身に駆け抜けるピリピリとした感覚を無視しきれなくなっていた。少年たちを追い詰め、攻撃を食らわせるたびに、この快楽は強まっているような気がする。
 乳首がレオタードの布地に強くこすれ、ツンとたちあがる。状況にも関わらず、立ち上がった乳首は、くりゅっくりゅっとレオタードの布地にこすれるたび、甘い電気を強く流し込み始めた。
 性調教を受けている間の乳嬲りの時と、同じだ。
 少年の口が乳房を強引に吸い上げ、強烈に引っ張り上げられた時の快楽……
 手の形に食い込むくらいに、乳を揉みしだかれた時の快楽……
 両方の乳首が、その記憶を探り当ててしまった。
 キュンキュン、と胸全体を甘ったるいしびれに満たし、浸しきっていく……。
「あれ、メグ先生、動きが鈍いですね?」
 壁の向こうから、あざ笑うように声が弾んだ。
 耕一郎の声は、無邪気な悪に染め上げられ、メグを笑う。
 メグは体勢を整え、両足を踏みしめた。
 少年たちの息遣いは分かる。が、この部屋の瓦解した壁に遮られてしまい、一人も見えない。
 メグは緊張した。
──こいつら、次は何をする?
露出したおへそが、空気にさらされてひんやりと冷ます。熱気に蒸れたメグの股ぐらは、汗とは違う汁をたたえ、太ももを伝い落ちていく。
 こんな時にも、きめ細かい肌はメグの美貌を歌い、かすかな明かりの元、滑らかな白さを浮かび上がらせていた。
「先生の大きくて形のいいオッパイが、ぶるぶるって揺れてましたよ? 見ごたえのある光景でした♪」
「このクソガキ!! 状況わかってんの!?」
「分かってるからこそ言ってるんじゃないですか。メグ先生のエロい体を堪能できる最後のチャンスなのかもしれないんです。たっぷり味わわせてもらうますよ♪」
「馬鹿にしてんの?」
「違いますよぉ♪ 先生は本当に美しい人です。僕のママの次くらいにキレイだ。そんな先生だから、僕はこんなにも夢中になって、絶対に手に入れたいって燃え上がっちゃうんです♪」
「生意気なのよ、子供のくせして!!」
「子供じゃないですよぅ。僕はもう来年には中学生だし、この力で、年齢なんて関係ないくらいに男になってるんです。先生、僕、先生に相応しい男ですよ♪」
「からかうんじゃないわよ!!」
「そのムチムチのオッパイ、くっきりとくびれた腰、大きくてふかふかのお尻、強気な瞳、むっちりの頬っぺた……全部、僕の好みなエロ女です♪ 僕の女になってください♪ 最高に気持ちよくしてあげますから♪」
「この……このぉ!!」
 らちが明かない。メグは対話を強引に切り上げ、体をゆするようにして攻撃を繰り出した。
 ぼごぼごッ!! ぼごぉ!!
 壁が、めきめきと音を立てて壊れ、崩れていく。
 もうもうと煙が上がり、そのホコリが収まった後には何もなかった。
 メグは忌々しくて仕方がなかった。自分の豊満な体、これが、疎ましくて仕方なかった。
 豊かで形のいい乳房、張り出したヒップ、くびれた腰回りは、女として理想的なスタイルだと、自分でも思う。
 だが、それゆえの困難は、常に彼女に付きまとっていた。
昔から男からは好色な目で見られることが多かった。痴漢にあった回数は数知れず、男に付きまとわれたこともある。
 どうしても付きまとってくる男の性欲に、辟易していたのだ。
 その男性欲の塊の極致……ゆらぎは、メグにとって憎むべき仇だ。駆逐する、この世から消滅させてやる。汚らしいケダモノどもめ……! そんな、強い意志がメグの中にこみあげていた。
 このクソガキをブチ殺し、哀れな女性たちが被るであろう性の被害を食い止める。
 その使命感が、メグを突き動かす。
「先生、思い出せませんか? 僕たちとの愛し合った時の記憶を」
「……!!」
 メグの中に芽生えた使命感に割り込むように、邪悪な少年の意志が込められた声が挟まる。
 ムカつく。だが、メグはその時を待っていた。
 今の声、そこに打ち込む。それで、司令塔をつぶす。
 メグの狙いは、頭をつぶすことだった。ヤツを、耕一郎をつぶせば、ほかの雑魚はすぐに片づけられる。確信があった。
 リーダー格の耕一郎をつぶせば、この屈辱は終わる。それは恐らく正しかった。
「また愛し合いましょう、メグ先生。ほかの子たちもメグ先生を味わいたがってます。一緒に溶け合うように、つながりましょうよ♪」
 壁の向こう側、その陰から声が聞こえてきた。
「そこおぉッ!!」
メグは、そこにめがけて全力を込めた魔力を放った。
 どごぉぉぉぉん!
 そんな音が響き、壁がはじけ飛ぶ。もうもうと上がるホコリが、少しずつ腫れていく。
 手ごたえあり……!
 メグは、疲労感と快楽のしびれに、足を踏みしめる。
やがて、ホコリの向こう側が見えた。
──やった?
そこには、黒い塊があった。幸一路が身に着けていたのは、黄色と黒のシャツだ。
やった? 殺した……?
どくん、どくんと心臓が高鳴る音にいざなわれるように、メグは近寄る。
それを、武器の先端でめくり上げる。
それは、耕一郎ではなかった。
「くぅ!」
 打ち漏らした! 疲れと、張りつめた乳房の揺れが、メグの意識にノイズをのせる。
 股が濡れまくっている。
気付けば、メグの股ぐらの湿り気はすでに明白な洪水となり、じゅくじゅくに汁をこぼしていた。股間を伝い落ちる半透明の汁、それは、性の疼きと期待の証であった。
「ねぇ、思い出してくださいよ、メグ先生。あなたは僕たちに、天国のようなひとときを下さいました。僕はそれに感謝しているんです」
 部屋の瓦解しつくしたがれきに反響し、耕一郎の声がいたるところから跳ね返る。
「こ、このッ!!」
 甘く息があがるメグは、言葉を聞くたびに全身が快楽に浸っていくのに気づいていた。
 猫めいたうめきが、唇の端からこぼれ続ける。
 乳首がこすれ、甘くときめく。股間が疼き、こすれ、硬くなったクリトリスがぷくっと膨れる。
 少しの身じろぎで、性快楽が弾ける。メグは、性調教の愉悦に溺れそうになっていた。
──決着を、早く!!
 殺意と興奮の交錯するメグの脳内は、集中力を高めている。
……思えば、これが分岐点だったのかもしれなかった。
「メグ先生。僕たちの望みは、今まで聞いた通りです。あなたを性奴隷にする、だけではない。大好きなママ、お姉ちゃんを味わいたい……いや、もっともっと多くの女性を、味わいたい、という望みです。それがゆらぎというものですから」
──そうだ、それこそが、忌々しい男性の性欲の塊、ゆらぎという醜悪の塊だ。だからこそ、討ち取らなければいけない。
「約束しますよ、メグ先生。あなたがここで素直に僕に従ってくれれば、あなたを快楽の頂点に導きます。調教しつくし、落としつくします」
「ふざけるなぁッ!!」
「調教しつくして、愛しつくして、あなたのことを喜びの海に漬けこんであげます。二度と戻ってこれないくらいの深みにね」
「うるさい、うるさいのよぉッ!!」
「もちろん、ここで拒否すれば、その海はどこまでも広がっていく。手始めに、僕たちの肉親から……ねぇ? メグ先生、それがいやなら、僕たちを受け入れてください」
「黙れっていってんのよッ!!」
 その時だった。
 耕一郎の姿が、がれきのひと固まりを砕いた向こうに見えた。
 むき出しになった無防備なクソガキが、そこにいる。
 メグは耕一郎にとびかかる。諸悪の根源、この邪悪な知能と精神力を兼ね備えた悪童を、ここで殺す。
 そう決意したメグは体のしびれを振り払い、渾身の力を振るう。
──どちらによける!? 後ろ? 左? 右? 上?
 メグは予測を立てる。そして、どの選択肢であっても打ち砕けるよう、途切れがちな集中を取り戻し、ゆらぎ討伐への意志を確固たるものとする。
 が、次の瞬間だった。
「メグ先生! 愛してます!!」
耕一郎はメグの意表をついた行動を起こした。
 なんと、耕一郎は、メグが振り下ろそうとしてくる武器に、突っ込んできたのだ。
 真正面からとびかかってくる少年に意表を突かれたメグは体を硬直させた。
 それが、メグの命運を分けた一瞬となった。
 振り下ろした武器をよけた耕一郎は、メグの視界を横切るようにして逃げる。
「はッ!?」
 メグはあわてて武器を振るう。が、時すでに遅い。目の前に広がっていた耕一郎の姿は消えさっていた。
 直後、視界の端にうごめく影があった。
「そこぉッ!!」
 メグは全力でそれを突き刺す。
「手ごたえあったッ!!」
 そう。彼女の言葉通り、そこには一つのモノがあった。
 人の形をした、触手の塊が。
「は、あッ!?」
──違う、標的じゃない!?
 その事実に、メグは動揺した。たたらを踏み、床に手をついて体を支える。
 まさか、そんな策まで、こいつッ!!??
 メグの動揺が収まらない。
……それが、メグの運命を、終わりに向かうことになる、最後のきっかけであった。
「!!!!!!」
 ズボビブブブッ!!
 擬音にするなら、そんなところだろうか。
「……最高でしたよ、メグ先生」
 耕一郎の組まれた両手の先、鋭い針を象り、重なったその二本の人差し指が、メグの肛門に深く突き刺さっていた。
「あ、あぁぁぁ……あぁぁぁぁあーッ!!!!」
 メグは、尻穴にぶち込まれた一撃に天を仰ぎ、ぴぃんと背筋を伸ばしてわなないた。
 尻奥、最も欲しかった場所に、不意打ちの指先がぐじゅるっと入り込んだのだ。
 ひとたまりもなかった。
 思えば、耕一郎の頭脳によって、メグはこの瞬間この場面へと向かわされていたのかもしれない。
 明らかに戦闘力に劣る少年たちに敗北、そしていつ終わるかもしれない凌辱……
 それが、目の前に迫っていた。
「すごい声じゃないですか、先生!! すまし顔の先生も素敵ですけど、そんな先生もエッチで好きですよ!!」
耕一郎は、メグの痴態をほめそやしつつ、アナルの中をかき回し、なぞりたて、腸壁をえぐり、ぐりゅりゅっと擦る。
メグの腸内はふっくらとしていた。粘膜は、ようやく訪れた快楽刺激にうぞうぞと喜びを歌い、みっちりと指を搾り上げる。まるで生殖器のように……いや、生殖器よりも強く激しい搾り方で、耕一郎の指をむしゃぶりつくす。
「いい動き方ですねッ!! 想像していた以上だぁッ!!」
 興奮に身を浸した耕一郎が、口調を荒らげる。そして、ぐりゅりゅっと両手をスクリューのように回転させ、メグの快美感に浸りきった尻穴を穿つ。
メグの声が、のどの奥からほとばしる。
「おぉぉぉぉぉーッ♡♡ ほぉぉぉぉーッ♡♡♡♡」
 ひとたまりもなく、メグは陥落した。
 上半身はうつ伏せのようにしたまま、尻を大きく跳ね上げ、全身を使役しての屈服のポーズだ。豊かな胸はべたりと床に押し付けられ、ひしゃげる。
 ムチムチのふとももをぴぃんと張りつめさせ、メグのしなやかな体の下半身だ、お尻を頂点として天井へと向けて伸び上がる。
 耕一郎は、それを追いかけるようにして、アナルをほじくりまくる。
 奥をつっつき、腸壁をなぶり、指でかきまぜ、入口に息を吹きかける。
 触手調教によって鍛え抜かれたメグのアナルは、ビクビクという痙攣とともに、鮮烈なアクメを途切れることなく謳歌する。
「い、ぎぃッ!! おぉぉぉんッ♡♡ ほぉぉぉッおおッ♡♡ お尻、あつぃッ♡♡ あつぅいッ!! ひぃぃぃんッ♡♡」
 あまりにも強烈なアナルアクメはとどまることを知らない。
「あひぃッ!!!! もうダメ、やめて、あぁもうアナル狂いとまんないッ!! いくうッ♡ イくぅんッ♡♡ イくイくイくイくぅぅぅんッ♡♡♡♡」
もともと性感帯としての器官ではないアナルは、快楽を覚え込まされると、押しとどめない限りにアクメが続く。
「イ、イ、イ、イ、イくの、とまんないッ♡♡ あぁぁんアナルッ♡♡ アナルイきッ♡♡ と、とまんにゃぁぁい♡♡」
 本来ならじんわりとしみこむような女性のアクメの波とは違う、鮮烈で強烈な絶頂は、脳に直接、電気刺激を与えるようなものだ。
 脳裏に思い描き、胸をかきむしるほどに追い求めた最高の絶頂を、過敏な部位をえぐられることで、味わい尽くしている。
 鮮烈なアナルアクメは、長時間に及ぶ。
メグは、陶酔の極みにいた。
 そして、人としての終わりの場所に、導かれていた。
「はぁぁうぅぅぅぅぅんッ♡♡♡♡」
 耕一郎は、勢いよくカンチョーの手を引き抜く。
 ずぼぼッ!!
 そんな下劣な音と共に、腸液まみれのぬらぬらの手をぴっぴっと払った。
「ふふふふ……」
 メグは、力尽きてしまった。
 床にペタンとしゃがみこんだメグは、いまだ尻穴をうがち続ける触手を振り払うこともせず、はっはっと荒い呼吸を繰り返す。
 なんと浅ましい姿か。
 連続尻穴絶頂で、メグは完全に狂い、落ちていた。
 ぶるぶると全身をわななかせ、前の秘裂からはぶしゅしゅっと生暖かい汁を大量に噴き出している。
「ものすごいアクメだったね、メグ先生……」
「ふふ、ふふふふ、ふふふふ、ふふ……♡♡ す、すご、すごか、った♡」
 メグの声は、喜びに染め上げられていた。
 羞恥心や屈辱は、もはやない。ただひたすら、絶頂の喜びに染め上げられ、導かれるままに肉欲を貪る一匹のメスであった。
「これで、誰が主人だか分かっただろう? メグ」
 耕一郎は、邪悪な笑みをゆがめ、よだれと汗にまみれたメグに顔を寄せる。
 メグはもはや、糸の切れた操り人形のように、くたっとしていた。
「さぁ、誓いのキスだ。メグ、君は僕たちの肉奴隷だ」
「は、い……♡」
 コクン、とメグはうなずく。
「僕たちに奉仕することを最高の喜びとしろ。屈辱をたっぷりと味わえ。君という女性にとって、敗北と屈服が喜びの源だ。わかるだろ?」
「わ、わかり、ます♡」
 メグは、屈服に酔いしれていた。
 もう、いい♡ もう、魔法少女とか、どうでもいい♡
 気持ちよくなりたい♡ アナル、ほじくられたい♡
──セックスしたい♡ オッパイ、もみくちゃにされたいッ♡
──いちにちじゅう……うぅん♡ 残りの人生ぜんぶ、気持ちいいことだけにそめあげたいッ♡♡
 理性をなくした雌猫が、うつ伏せになり、アクメの余韻に酔いしれる。
 これから始まる肉欲まみれの人生を思い浮かべながら、じょろろーっと、おしっこを床に垂れ流す。
 惨めで哀れな敗北者……それが、魔法少女メグであった。
「さぁ……みんなも出て来いよ。全員で、この女を、むさぼりまくろうじゃないか」
「へへ……へへへへ、へへへへ!!」
「う、うえへへ……め、めめ、メグ、せんせえ……」
「あ、あぁぁぁ……チンポ、もうこんなにデカくなっちまったぁ!!」
「おれ、おれれれ、ちぎられちまったチンポ、もうこんなだぜッ! 見て見ろよメグせんせー! でっかくなっただろッ!!」
 少年たちは、大人の腕ほどもある肉棒を捧げ、肉欲に波打つ元魔法少女に、にじり寄る。
……こうして、人としてのメグの人生は終わりを告げた


この作品は二次元ドリームマガジンに追悼特集に掲載された綾守先生のあらすじに私が想像で追加したものを伊藤巧先生に書いて頂いた作品です。
この作品が一瞬でも綾守先生がいなくなったことの皆さんの孔を埋めれれば幸いです。魔法少女アイ外伝は楽しみにしてファンも多いと思うので、二次作品ですが楽しんでいただければ嬉しいです。
今後も伊藤巧先生にお願いしており続きます。
感想があれば励みになりますのでお書きください。

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