百花繚乱外伝~沙織~中編

囚われて二十九日目。
 ついにオークションが始まり、沙織は目隠しをされ、天獄島から船で極秘で運び出された。
 沙織はどこに連れて行かれるのかわからず、「どこに連れて行くつもりですか」と言ったが、誰も答えてくれず、次第に不安になっていく。
 そして船で揺らされ、オークション会場に運ばれると、沙織の目隠しは外された。
 そこはストリップ劇場のような、そんな作りをしていて、舞台の真ん中に沙織は立たされた。
 スポットライトで照らされ、その身体に男達の視線が投げかけられる。
 一瞬、沙織はどういうことなのかと思ったが、すぐにわかった。
 ああ、私は売られてしまうんだ。
 きっとこれは、オークションだから、誰かに私の身体を、心を、一生を、私を買った人の好きにされてしまうのだろう……。
 沙織はそう思った。

 手足は日本人らしくほっそりとしているが、胸と尻だけは外国産の爆弾ボディ。
 乳首と股間だけをハート型のシールで隠し、裸よりも羞恥心を煽る格好をさせられていた。
 その抜群のスタイルに、肉感的なラインを持つ肢体に媚び売った衣装は沙織のそのいやらしい美しさを見事に引き立て、まさに嵌っていた。
 沙織が歩かされる度に、拘束されるものがない豊かな胸が、ゆさ、ゆさっと重たげに揺れる。それも、シールで隠されている乳首が、立っていることも一目瞭然だった。
 形の良い尻も、ぷるんぷるんと揺れて、男達の目を惹く。
 大きな胸と尻を揺らして、スポットライトに道を照らされて、その道を歩いていく。
 会場の下種な金持ち共は、そんな彼女を見て、好き勝手な感想を言い合う。
「胸と尻だけやたらでかいなぁ」
「あんなエロい体だ。きっと夜の方も凄いんだろうぜ」
「純情そうな顔して、どんな調教をされてきたんだか。楽しみだなあ」
 そんな言葉が会場で次から次へと口々に言われ、下種な笑い声が聞こえた。
 沙織はその声を聞いて、身体が熱くなっていくのを感じた。
 やっと外された特殊な下着、その代わりにやってきたのは外気に晒されることの気持ち良さ。すぐにシールで隠されてしまったものの、これからあるであろう快感を想像し、沙織の秘部は濡れていた。
 こんなことで、濡れてしまうだなんて……!
 沙織は己の弱さに、いや、調教されてしまった淫らな身体に愕然とした。
 以前の沙織であれば、こんなことくらいで濡れたりなどしなかったはずだ。
 いや、そもそも下種な笑い声で、感じてしまうなどないはずなのに。
 沙織は己の未熟さを、いや、快楽によって成熟しすぎてしまったその肉体を恨んだ。

 そして会場では大きなスクリーンに、沙織のプロフィールや淫魔に負けた時の様子、アクメする時の様子が映し出された。
 そしてその映像をバックに競売が始まったのだ……。
 淫魔にあらゆる穴を犯され、淫魔のものとも自分のものとも言える液体に塗れた、恥辱の表情が画面いっぱいに広がる。
 いつも冷静に状況判断できるように訓練した沙織でも、さすがに羞恥心と屈辱を完全に
は隠せず、顔を赤くしながら眉を顰める。
 違う。私は、そんな淫乱じゃない……!
 違う。違う、違う、違う! 私は、こんな女じゃない!
 沙織はそう思いたかったが、画面に出ている女の姿も表情も、スピーカーから流れている喘ぎ声も全て自分のものだった。
 やめて、やめてぇ……!
 沙織はそう心の中で何度も思った。
 だが、このオークションはまだ始まったばかりだ。
 まだまだ終わりそうにはない。

 女の象徴に相応しいたわわな乳房、そしてその乳房と反比例してほっそりとした腰。
 鍛えられたうっすら浮き上がった腹筋。縦長のへそ。すらっとした美脚。
 規格外の胸ばかりに視線がいくが、むっちりとしていて引き締まった、矛盾を実現した大きな尻。
 会場の男達は生の美しい神のような肢体を凝視しつつ、大画面ではそれらが揺れ動く様と痙攣し、アクメし、抵抗しながらも艶声を、時にはそれを押し殺してアクメし、連続で絶頂して声を我慢出来ずにイク姿が映し出される。
 時にはドアップで生き物のように弾み、揺れる双乳や、触手を銜え込んだ膣が目いっぱい映され、その度にその感想や野次が飛び、沙織の金額が上がっていく。
 白濁とした液が身体に、髪に付着したその姿も、とても蠱惑的で、男達は息をのんだ。
 ここまで美しく、艶めかしい肉体を持ち、鈴のような声の彼女を欲しがる者は多かった。
 さらに映像が再生中、横からプレゼンターの男が沙織の説明をする。
「まずはこちらをご覧ください!」
 プレゼンターがそう言うと、画面には全裸の沙織の映像が上から下まで、耳や首筋、胸や腋、尻に指先までゆっくり映される。そしてスリーサイズとそれぞれの肉体の部分、感度を丁寧に説明され、島での調教でどれだけ調教されたか、どれだけ絶頂したのか細かく説明された。
「忍とだけあって耳は敏感で、ここも性感帯として開発されています! 首も舐め上げられると甘い吐息を漏らすことでしょう。胸はこのようにいろんな形に変わる程柔らかく、そして重量感がありながら、ふわっとした感触です。お買い上げになられましたら、ぜひ触ってやってください。あそこを濡らして喜ぶでしょう! そして腋、腋はそっと撫でてやると徐々に汗ばみ、苦悶の表情を見ることが出来ます! 鍛え上げられた尻は形がよく、触り心地もしっとりとしていて気持ち良いですよ! さらに……」
 沙織はもう耳を塞いでしまいたかったが、拘束されているためそれが出来ない。
 ……となると、出来るだけ平常心を保ち、表情だけでも変えないようにと心の中で「こんなものに屈しない!」と何度も呟いた。
 心の奥底で、兄の姿も思い浮かべた。
 そうすれば、この狂った空間から、少しくらいはまともに思考出来るような、そんな気がしたのだ。
 だが、そんなのはほんの気休めにしかならなかった。
 プレゼンターの勢いも、映像も止まらない。
 無理矢理分身させられ、それぞれ調教され、本体に襲い掛かる快楽をカメラはしっかりと映しとっていた。
 数時間に及ぶ凌辱をダイジェストでまとめられ、その映像の最後の方では、沙織は仰向けで蟹股にされていて、膣や口などから全身の体液を垂れ流して、汗まみれの姿があった。
 そして先程の映像や説明に続き、さらには、何の調教もなかったこの二週間、隠れて自慰しそうになるが陰部にも胸にも触れず、悶え苦しみ、切なそうな表情で自分を抱き締めえて耐える姿まで映された。
 触りたくても触れない陰部、そして胸……。
 身体を抱き締めて耐えるしかない沙織の姿が、大きく映し出されて男達は盛り上がった。
「あんなにアクメしてたのに、よく耐えられたなあ!」
「耐えてたっつっても、強制的に触れなくされたんだろ」
「見ろよ、何もされないことに不満そうな表情を浮かべてるぜ」
 こんなところまで……!
 うぅ……、なんで。酷い。酷すぎる!
 私の恥ずかしいところを、そんなに見ないで……! お願いだから!
 沙織は赤い顔をさらに赤くして、目には涙まで浮かんでいた。

 その映像の後、沙織のドアップが映され、それを尻目に、男が「焦れた肉体で今がお買い得、欲求不満と忍術で骨抜きにされますよー!」と下卑たプレゼンをしてくる。
 沙織はあまりの恥ずかしさに、涙を一滴零れるが、身体は熱く、触られてもいないのに、陰部が酷く濡れているのが、不快だった。
「お兄ちゃん大好きっ子の爆弾ボディの沙織ちゃん、大和撫子の性格に反比例な我が儘ボディっ! 顔も童顔でお人形のようっ! でも感じてる顔は超セクシーっ! 見てくださいっ! この大画面でアクメしながら形のイイ眉を悩まし気に寄せる、艶声を放つ彼女っ! この爆乳っ! 生きているかのようにプルンプルンっ! まるで戦車みたいです。大画面に栄えますね! しかも黒髪長髪! こんな敏感で一途な子はなかなか現れません! 当社保証の現代に蘇った爆乳忍者! さあ、一億からっ!」
 こんなこと……馬鹿げてる、と思いながらも、その会場の熱気と自分の胸と陰部、尻に凝視の視線を感じ、妖しい雰囲気に呑まれそうになる自分に平常心を保たなければと意識し、必死に自分を保つ。
 女を買う男共は仮面舞踏会のようなマスクをしている。
 それのせいで誰が誰だかわからない。だからこそ遠慮をなくし、欲望のぎらついた眼差しを向ける。
 以前までの沙織であれば、こんな連中の視線には嫌悪感しかなかった。
 しかし今では、嫌悪感の中に性的な興奮が混じってしまっていることに彼女は困惑してしまう。
肉体の操作が出来ないくらいに、調教が自分を蝕んでいることがわかり、自分で自分を追い込んでしまうのだ。
 こんな、屈辱的でいやらしい格好で、人前に立たされてる。
 そう思うと沙織はぴくんぴくんと、身体を揺らした。
 まるで快楽を感じているかのように。
 プレゼンターはそんな沙織の変化に気づき、沙織の陰部にカメラを近づけ、画面いっぱいに彼女の陰部が映し出された。
「ご覧ください! まだ触ってもいないのに、シールの色が変わる程、ここが濡れています! 太ももには透明な液体が伝って、てらてらと光っている! なんといやらしい!」
 その陰部を見た男達は「おお!」とどよめいた。
 足を閉じていようと、てらてらとした雫は見えてしまう。
 プレゼンターが足を開くようにと、沙織の太ももを軽く叩いた。
 しかし沙織は足を開かない。
 プレゼンターは声を張り上げる。
「皆様大変失礼致しました! ここで、少しショーを開かせていただきます!」
 プレゼンターが舞台裏から男を呼んだ。
 その男達に沙織にM字開脚をさせて固定させるように言う。
 沙織は嫌がったが、今までの調教を思い出し、されるがままになると、隠された陰部の赤みが、てらてらとした愛液がはっきりと見られた。
「では、命令に従えなかった罰として、この陰部を鞭で少々叩きます! 沙織ちゃんのいやらしい表情を! ぜひお楽しみください!」
 そう言うと、もう一人男が出て来て、カメラは沙織の顔のドアップを撮り、男は鞭で陰部を叩き始めた。
 最初は軽く、そして強く。
 空気が震える程の音が辺りに響く。
「ひぃっ! い、痛っ!」
 堪らず沙織は声を漏らした。
 しかしその表情には苦痛だけではなく、快楽も含まれているようで、顔を真っ赤にして甲高い声で鳴いた。
 その甲高い声は、会場を沸き立たせるのには、十分だった。
 男達は歓喜の声を漏らし、野次を飛ばす。
「んあっ! ああっ! あっ! うあっ!」
 痛みと恥ずかしさで涙が流れる。
 そしてその表情をカメラが映し出し、大きなスクリーンにドアップで映されるのだ。
 そこには女の顔をした沙織がいた。
「あうっ! うぐぅ! やっ! ごめんなさい! ごめんなさいぃ!」
 沙織のそんな声など聞こえないかのように、ビシッ! バシッ! と鞭が鳴る。
 しばらく鞭打ちが続くと、沙織はすっかりとろけきった顔をして、陰部もシールで隠されていない部分が真っ赤になっていた。
 勿論、愛液も最初よりずっと多く、垂れ流しになり床の色を変える程溢れていた。
 プレゼンターは続けてこう言う。
「ごめんなさいということは、自分が悪いことをわかっているということですね! その上でお仕置きをされたいと、そういうことでしょう! ならば望み通り、お仕置きをしてあげましょうか!」
 男に体勢を変えられ、頭を床に、尻を高く上げられた。
「お尻ぺんぺんです! いい年をして、恥ずかしいですねえ! では、始めます!」
 そして男は沙織の尻を叩き始めた。
 バシィッ!
 その音はとても大きく、どれ程強く叩いているのかよくわかった。
「痛い! 痛いです! お願いします! やめてください!」
 沙織は泣いて許しを請う。
 しかしお仕置きは続く。
「ひぐぅっ! あうっ! ああっ! っつう! もうやだぁ! やだよぉお!」
 何度も尻を叩かれ、画面には真っ赤になっていく沙織の尻がアップで映されていた。
「鞭でも叩けー!」
 そんな野次が飛ぶと、プレゼンターは「鞭もでございますね! では、鞭でも叩いてみましょう!」と言って、男に鞭を手渡した。
 平手打ちなんかよりも、ずっと痛そうな音が響く。
「ひぐっ! 嫌、嫌あっ! 痛いの! 痛いのお! 本当に痛いの!」
 さらに何度も叩いていく。
 その度に沙織は甲高い声で鳴き、ついには泣き声まで漏らし始めた。
「ひっく……、ぐす……っ。痛い。痛い……。あぁ……」
 鞭で叩き始めてしばらくすると、余程強く叩いていたのか、沙織の尻は内出血を起こし、黒く変色していく。
 そこへプレゼンターはようやくやめるように指示をした。
「それでは、お仕置きをされた沙織ちゃんの全身を隈なく見てみましょうか!」
 沙織は無理矢理立たされた。
 そして足先からゆっくりと上にカメラが全身を映していく。
 しっとりと汗ばんだ肌はもちろん、てらてら、どろどろと濡れている陰部、叩かれて赤黒くなった尻、呼吸に合わせて揺れる胸、そしてその悲痛とも苦悶とも取れる表情をカメラはしっかりと撮っていた。
 画面いっぱいにそれが映され、会場はずっとざわめいている。
「あんなに鞭で打たれて、濡れすぎじゃねえか! 本物の淫乱だな!」
 陰部は濡れすぎていて、シールの色が完全に変わっていた。
 さらに、尻まで雫が伝っているのがわかる。
「こんなのが忍者かよ! 耐え忍んでないじゃないか! 傑作だ!」
 そしてそのショーの間も、ショーの後も続々と落札を希望する者が手を上げ、金額を叫んでいった。
 男達のぎらついた眼が沙織を突き刺す。
「早く中を突き刺してやりてえな」
 そんな言葉があちらこちらから聞こえる。
 さらに次から次へと手が上がり、値段は当初よりもずっと吊り上がった。
 値段が上がっていく中、沙織はぐったりと力なく立っているが、時折刺激を与えられ、喘ぎ声を漏らしている。
 胸のシールで隠れている部分を摘ままれ、乳房をこねくり回され、太ももの内側を撫でられる。
「ふあ……っ。はぁっ、ああ……」
 先程までと違い、大きな声ではなく囁き声のような鳴き声だったが、それがまた会場中の男を虜にした。
「おい、聞いたか。小鳥のような声だなぁ。気持ちよさそうだ」
「力なく立ってるのがまた良いな。今度はどんな姿を見せてくれるんだろうな」
 そしてある男が「三十七億」と言った。
 その男はとても高そうな服に身を包んだ初老の男だった。
「これ程の娘にはなかなか会えないから、私が落札させてもらおう」
 周りに聞こえる声でそう言う。
沙織はその男に三十七億円で落札されかけたが……、そこへある男の声が響いた。
「百億」
 会場が一瞬静まり返った。
 三桁を指定したのは過去数人しかいない。
 また、この男もマスクをしていて素顔はわからない。
 ただ、あまり老いていない中年程の男だろうということは声でわかった。
 そしてそれ以上の額を言う者はいない。
 あまりの高額で、今まで飛んでいた野次までなくなってしまった。
しかし主催者は動揺することなく落札を決定した。
 沙織は遠い意識の中、この声にどこか懐かしさを感じたような気がした。
 しかし、この人は違う。そう思うと、また意識が遠くなっていった。
 私は買われてしまった。……この人に、どんなことをされるのだろう。
 そう思いながら、引き渡される準備を進められていた。

地下室

 オークションの後、沙織は拘束され、落札した男の屋敷の地下に運ばれた。
 沙織はごとごとと揺られて運ばれる。どこにいるのかわからない。
 目隠しをされているから、外の様子もわからないのだ。
 身体にはもちろん衣服なんてなくて、シールも外され、丸裸。
 それだけはわかった。
 そして屋敷の地下室に入れられると、目隠しと拘束を解かれる。
 地下室は牢屋のようになっていて、外から鍵を掛けられると内側からは出られない仕組みになっている。
「……私に、何を」
 沙織がそう言いかけると男はオークションで既にぐちゅぐちゅに雫が滴り落ちる程に濡れている沙織のそこに、そそり立つそれを前戯もなしにいきなり入れた。
「うああああっ!」
 待ち望んでいた快感が、身体中を駆けて行く。
 そして胸にある二つの飾りを両手で摘ままれ、そのまま腰を突き動かされる。
「あっ! はああああんっ!」
 渇くことを知らないその泉から、愛液が次から次へと湧いて出て来る。
 そしてそれが男と沙織を繋いでいるそこから、ぐちゅ、ずちゅ、と、酷く下品な音を発するのだ。
 沙織はそのことに顔を赤くして、抜こうと腰を引いたが、さらに距離を縮められて激しく腰を打ち付けられた。
沙織を犯している男は全てを金で解決する道楽家の男だ。
 金だけなら腐る程持っている。
 そして、沙織はその男に犯されながら鬼の気配を感じた。
 その鬼の気配は今まさに、自分を犯しているこの男からするではないか。
 忘れかけていた自分の仕事を思い出したものの、忍術など今使える状態ではなかった。
 沙織の身体はもっと、もっとと、貪欲に求め続けた。
 口では「嫌だ嫌だ」と言っているが……、身体は敏感に反応し、快楽を欲した。
 男はそんな沙織を見て、いやらしい笑みを浮かべてその名器の締まりと沙織の我慢をしているようで出来ていない切ない表情を楽しんだ。
 沙織の片足を持ち上げ、肩に掛けると、男はさらに奥へと陰茎を進ませた。
 より深いところで繋がり、沙織も耐えきれず、艶声を上げた。
「……っふぁ! イイ、イイぃ……! ダメ、私、ダメなのに! こんなことで感じちゃ、ダメなのにぃいいい……!」
 激しくアクメする沙織に、男も精を放った。
 膣はぎゅっぎゅと収縮を繰り返し、その精を残さず搾り取ろうとしていた。
「お前はもう俺のものだ。俺が百億で買ったんだ。いいな!」
 そう言いながら、男は今度も沙織をまた違う体勢にして、また中を楽しんだ。
 ずっと欲しかったのだ。沙織のことが。
 あのオークションで見て、男は瞬時に沙織を欲したのだ。

 その男はあまりにも欲が強すぎて鬼に憑かれたのだった。
 金はあるが、女は寄ってこない。
 寄ってきてもイイ女はいない。
 男は自分の好みの胸と尻の大きな、それでいて腰が細い可愛い人形のような女性が欲しかったのだ。
 もういい年をしているというのに、結婚もしないのは、理想の女性がいなかったからだ。
 そんなところに鬼が顔を覗かせた。
『助けてやろうか?』
 男は最初幻聴だと思った。
『助けてやろうか?』
 もう一度、同じことを言われ、これは幻聴ではないと気づいた。
 そしてそこに現れたのは人ならざるもの。
『女が欲しいんだろォ。いいぜ。叶えてやるよ』
 願ってもないことだった。
 それから、なかなか声のかからなかった闇オークションに誘われるようになり、ある程度女を楽しむことも出来た。
 男はそれで満足だった。
 金は腐るほどあり、そこそこの女もいる。
 まさに男にとってこの世は天国だった。
 そして、沙織の兄がその男に出会い、全てを捨てて禁術に手を出す。
 今の肉体を捨て、その男と鬼を取り込もうとしたのだ。
 兄は人を辞め、鬼化し、取り込むことに成功したものの、兄の人格は消えてしまった。
 しかし、人格は消えても沙織への想いだけは残っている。
 もはや兄は自分が誰かすらわからない。
 残ったのは沙織への執念のみだった。
 そしてオークションに参加し、「探していたのはこの女か」とすぐにわかった。
 男は何故、沙織を求めるのかはわからなかったが、ただ自分の好みにも合っていたからだろうと思ったのだ。
 だが、本当は消えたはずの兄の人格が、妹を激しく欲していたからだった。

 沙織は犯されながら、身体を通り抜けていく妙なものを感じた。
 まるで、兄が目の前にいるような、そんな気がしたのだ。
 でも目の前に居るのは鬼に憑かれた男……。
 こんなのが兄さんだなんて、そんなこと、あるはずがない……。
 そう思うも、触り方が、息遣いが、兄のそれとよく似ていた。
 もし、そうなら。
 私は兄さんを元の人間に戻せるだろうか。
 そう考えたが、すぐに快感がやってきて、考えられなくなってしまった。
 でも、いつか必ず兄を取り戻すために、絶対に忘れてはいけないこととして、目の前の男が兄であるかもしれないということを、頭の片隅に置いた。

 男は沙織に夢中だった。
 男の大好きな大きな尻に胸、きゅっと引き締まった腰。
 犯す度に違う角度から見えるそれらが、男には堪らなかった。
 それはもう一日中沙織を犯していても飽きないくらいに。
 いや、実際飽きないのだ。
 沙織のあまりの大きさと肉体を鍛え上げられた大胸筋、小胸筋、鎖骨下筋を発達させたものにしか出来ない綺麗な半円球の山。
 そういったつもりで鍛えたものではなく、魔を祓うものとして鍛えたはずだった。
 しかし副作用として、その大きさでは考えられない、垂れ知らずな双乳になってしまった。
 控えめな性格の彼女と反比例した胸は、見るものを魅了した。
 その頂点を飾る円と突起も大きすぎず、小さすぎずで、その豊かすぎる胸に見事にフィットしていた。
 色は控えめで大和撫子な彼女らしく、薄い桜色。
 犯罪的な大きさとその美しさに、初めて生で見た男は声が出なかったほど……。
 しかも、どこまでも沈んでいく指とその柔らかさ、それに反比例した信じられない程の張りと弾力。
 面白いほどに形を変えるそれにすぐに夢中になる男。
「気持ちいいだろ? こういうことがされたくて仕方なかったんだろ。なあ」
 そう言いながら、胸をゆさゆさと動かし、触り、片手ではとても収まりそうもない胸を楽しんだ。
 沙織はそのことを酷く嫌がりながら喘ぐ。
「嫌ぁ! 兄さん、兄さん……! っくぅ、あああああああああっ!」
 そう叫びながら顔を真っ赤にし、胸の突起がぴんと立っている沙織を見て、男は気を良くして望み通りにと、胸をたくさん弄んだ。
 襲い来る快感に、沙織は兄を呼んだ。しかし、兄の姿はない。
「兄さぁん! 兄、さ、んんっ!」
 ただ、ひたすら兄を呼んで、兄が来るのを待っている。
 しかし、そんなことすら考えられなくなっていく。
 それから男は沙織のどこが弱いのか徹底的に調べ上げ、膣のどの部分が一番クルのか、その角度が一番興奮するのか、調べていく。
 指を膣に入れ、腹側の膣壁にざらりとした感触がある。そこを何度も擦ると、沙織は何とも言えない妖艶な顔をして「……は、あんっ!」と鳴く。
 さらに陰茎をずぷりと挿入し、あちらこちらを突いて暴れる。
 そしてある角度と場所を見つける。
 そこは沙織の開発されたポルチオだった。
「んぐっ、うぅっ、あがぁっ! きっ、気持ちよくなんか……っ! ひああっ!」
 気持ちよくなんかない。そう言いたかったが、沙織は完全にその場所を開発されているため、気持ちよくて仕方がなかった。
 男は沙織の腰を掴んで一心不乱に腰を打ち付ける。
 沙織は何度も、何度も、イキ続けた。
 やがて男は沙織自身よりも、沙織の肉体に詳しくなっていった。

 沙織は胸が弱い。いつも「兄さん」と言っているから、兄にでも調教されたのだろう。
 それから、あらゆる穴が全て性感帯である。
 どう触れば声を上げるか、どう囁けば涙を浮かべて我慢しようとするか、そんなことまで男は知っていた。
 勿論、オークションでの映像なども参考に、沙織にいろいろなことを試し、その結果を頭の中に記憶した。
 男は羞恥心を煽ることが、特に気に入っていた。
 あの大人しくて清純そうな沙織を、屈辱的で恥ずかしい目に遭わせることが、とても快感で、男としてそそられるものがあったのだ。
 男はせっかく開発されているならもっと辱めてやろうと、あり余った財力を使って、搾乳機などを特注で作らせた。
 もうしばらくしたら、使う予定でいる。
 それまでは、なるべく男が自分で沙織を辱めてやるのだと、笑っていた。

 気づけば一日はあっと言う間に過ぎ、それから何日も沙織はその男に気持ち良さを教え込まれた。
その日の男は、異常に長い舌と指が特徴で、それを使って沙織の膣内を探る。
 沙織は無視を決め込んでいたが、男は長年で培ったテクニックと、淫魔の体液を絡めた振動棒、自分の舌と指で膣の収縮具合、うねり、どこが一番感じるのか……。彼女の僅かな動きや視線、蠢く襞の動きと指と舌の感覚で把握していく。
 二週間の強烈な調教と、二週間の強烈な焦らし……。
 精神的にも肉体的にも下準備をされ、与えられる大きな刺激を待つばかりの沙織には堪らなかった。
 乾いた大地に水が染み込むように、詰将棋のように少しずつ追い詰められていく沙織……。
「こんなところまで、濡れている。恥ずかしいなぁ」
 言葉が、兄を思い出させる。
 声色が、なんとなく兄に似ているのだ。
 しかし、そんな男の言葉責めを無視し、石になって耐えてきた沙織だったが、天獄島での調教と、兄に開発された肉体は彼女の予想以上に脆くさせていた。一時間後には声が我慢出来ず、腰はアクメの度に意味深に控えめに揺れ動く。
 沙織は認めたくはなかったが、あまりの気持ち良さに自ら腰を無意識に動かしてしまうようになった。
 それに気づいた沙織は、頭では「ダメだ。いけないことだ」と自分に言い聞かせるも、気づけば腰が動いてしまう。
 腰を動かすと男は気を良くして、さらに快楽を与えて来る。
 沙織はもう精神が正常ではいられなかった。
 さらに男は飽きるという言葉を知らないかのように熱心に指と舌と道具を使い、彼女の痴態と弱い部分を把握し覚え、記録していく。
 もちろん平均を大きく上回る胸も同様に……。

 ある日の男はどうしても金銭が絡んだやり取りをしなければいけなくて、沙織で遊ぶことが出来なくなってしまった。
 そこで男は考え付く。
「今日は一日遊んでやれないから、これで許してくれよ?」
 男はそう言って、沙織を放置した。
 沙織の目の前には大きな鏡。
 沙織自身は足を大きく広げてМ字開脚をさせられて固定されている。
 そして目隠しをされ、口には陰茎を模った張子を入れられ、乳首にはローター、陰核には電マが固定され、陰部には機械で動き続けるバイブ、肛門にも同様のものが入れられていた。
 男は沙織をそんな状態にし、全てのスイッチを入れ、最大出力にした。
「んんんんっ! うぅぅぅっ!」
 言葉を発せず、獣のように鳴くしかない沙織は、男が帰って来るまでずっとその状態を維持させられ続けた。
 何度イッても、決して止まることのない機械。
 それも、男の沙織の身体を研究した結果である、弱点の部分を重点的に責めるその酷さ。
 沙織はあまりの快感に、泣いていた。
 もうイケない。イケないのに!
 そう思いながらも、何度も絶頂を迎えた。
 絶頂を迎える度に頭が真っ白になって、気持ちよくて仕方がない。
 沙織は熱くなっていく身体を、早く解放してあげたかった。
 でも、拘束されているから逃げることすら出来ない。
 息をすることすら、辛いのに。
「んぶうううううううっ!」
 塞がれた口からは、豚の鳴き声のようなものしか出てこない。
 それがまた、沙織には恥ずかしくて堪らなかった。
 私……人間なのに……っ! これじゃあ、豚、ううん、家畜そのものじゃない……!
 そう思うと、余計に自分が惨めで、可哀相で、今ある状況に涙を流したくなった。
 男が屋敷に帰って来る頃には、沙織の胸の突起は真っ赤になり、陰部はぐちょぐちょにいやらしい白い本気汁を出していた。
 男が機械を止めると、沙織は息を荒くし、それぞれ拘束を解かれる。
 そしてベッドに寝かされると、何もしていないのに、ちょっとした風だとか、腕にシーツが触っているくらいの刺激でも、快感を得てしまうようになっていた。
「随分汗を掻いているね」
 男は沙織の首筋を舐めた。
 すると沙織は「あっ!」と小さく鳴いてぴくんと身体を揺らす。
軽くイッてしまったのだ。
 そんな沙織を見た男は、面白そうに指で沙織の身体を撫でる。
 沙織はぞくぞくとした快感が背中を通っていくのを感じ、ずっとイッているような状態になった。
「いつもの威勢はどうしたのかな? うん?」
 男はビンッと、指先で沙織の乳首を弾く。
「ひゃああああんっ!」
 沙織は背中を仰け反らせて絶頂を迎えた。
 ただ、その胸の突起を弾かれたくらいで、いともたやすくイッてしまったのだ。
「ほう。じゃあ、ここはどうなんだ?」
 男は沙織の耳を舌でくちゅくちゅと舐め回す。
 沙織はまるで脳みそをかき回されているような、そんな気持ちになりながら快感に身体を捩らせる。
 もう力の入らない足が、手が、シーツを巻き込んで丸くなる。
 形の良い大きな胸がぷるんぷるんっと、まるでプリンのように柔らかく揺れ動く。
「はあ……はあ……っ、あぁ……っ」
 切なげに眉を下げて、快感に耐えるその姿はどんなものよりも美しく、淫らな姿だった。
「ここは、どうだ?」
 男は沙織の下腹部を撫で、そして外から子宮を押した。
 ぐぐっと拳が入る。
「ふあああんっ!」
 沙織の腹がきゅんと疼き、痛みは走らず快感のみがやってきた。
「ここを、こうされるだけで、お前はイケるのか」
 男は楽しそうに何度も沙織の下腹部を拳で押した。
 その度に沙織はイク。
「はうっ! やめっ! てえ! 壊れちゃうぅ!」
 そして沙織はこの屋敷に来て初めて潮を吹いてイッた。
 沙織の潮でベッドが少し濡れてしまった。
 そして男は沙織の足を広げ、秘部を見る。
「ああ、こんなにして……。これなら腕が入るんじゃないか?」
 そう言いながら、指を一本、また一本と膣に入れていく。
 沙織は恐怖と快感で身体を震わせる。
 そして男の指が四本入ると、大分圧迫感があった。
 だが、男はそんなこと、知ったことではない。
 五本目である親指を入れると、ゆっくり指を広げたり閉じたりし、少しずつ動かし始めた。
 そうして三十分程すると、沙織の身体の火照りも大分落ち着いたが、唯一、陰部のみはずっと熱を持っていた。
 やがて、男の手が沙織の中に全て収まった……。
「ほら、ずっぽり入った。なのにゆるくない。キツキツだ」
 男は嬉しそうに手を動かして膣内を刺激する。
「嘘、うそぉっ!」
 沙織は信じたくなくて、目をぎゅっと閉じた。
 しかし男はそれを許さない。
 ベッドの目の前にある大きな鏡に膣内を出たり入ったりする様子が映るように、身体を移動させて沙織に命令する。
「目を開け」
 沙織は言うことを聞かない。
 男はそのことに軽く腹を立て、拳を握って子宮の入り口を叩いた。
「うごぉっ!」
 沙織は女らしからぬ声を上げ、目を見開いた。
 そこには男の太い拳を膣内にずっぽりと入れた、顔の赤い淫乱女が映っていた。
 男はそこからさらに沙織を羞恥心でいっぱいにさせる。
 拳をぐっと引いて勢いよく子宮へと叩きつけた。
 沙織は蛙が潰れたような声とも言えない声を上げて、身体が痙攣する。
 激しいアクメが彼女を襲ったのだ。
 そして気絶するように意識が薄れていく。
 沙織が最後に見たのは、鏡に映る淫らな女と、何故か兄と姿が重なって見えた男だった。
「兄さん……」
 そう言った沙織の言葉に、男は懐かしさを感じた。
 そうか。もしかしたら、彼女が言っている兄さんは、俺のことかもしれない。
 いや、きっとそうだ。
 男は何故か妹などいないのに、兄であるということを受け入れていた。
 そして沙織に布団を掛け、地下室の鍵を閉めて屋敷の本館に戻って行った。

 昨日、あれ程激しくイキまくったというのに、男はそんな沙織を休ませずに次の快感を与えていた。
 この日は主にその豊かなダイナマイトのような双乳をいじめるように、男はあるものを用意していた。
 それはオークションで落札してからすぐに作らせた特注の搾乳機やポンプ式の乳首責め器具、胸責め用の大型マッサージ器だ。
 まず沙織は四つん這いにさせられ、乳牛のように、大きな二つ乳房を搾乳機で今まで経験したことのない吸われ方をした。
 それも、先端にブラシが当たるように付けられていて、吸うと同時に乳首にもブラシで刺激を与えられる。
「はっ、ああっ! こんな、こんな……!」
 私は牛じゃない。胸だけでイクだなんて、そんなことは……!
 そう思いたかったが、沙織はその搾乳機によって乳イキをしてしまった。
「はううううんっ!」
 甲高い声で鳴いて、イッた。
 さらにポンプで乳首を吸われ、乳首が肥大させられる。
 痛くないわけではない。
だが、我慢できない程でもない。
 そうしてしばらく時間が経過するとポンプを外される。するといやらしく乳首は肥大し、真っ赤に熟れていた。
「ほら、お前のいやらしい乳首がもっといやらしくなった。真っ赤になって、大きく……。元々牛みたいな乳してるんだ。ピアスでもしたら映えるだろうなあ」
 そんなことをされる沙織は触られてもいないというのに、もう陰部がびちゃびちゃだった。
男はそんな沙織の勃起した乳房の先端を吸い、甘噛みして、さらに長い舌で絡みつかせて磨くように何度も舐め上げる。
 だが、こんなもので男の欲望は尽きるはずもなく、魔の力と薬で人間にしては異常な力と耐久力、さらに段差のある陰茎。
 沙織の奥から溢れ出た白っぽくやや粘り気のある本気汁が、蛇口がバカになったかのように溢れ出て、舌に粘っこく小さな泉を作り、男と女の陰部からは白く泡立った粘液と透明の汁で陰毛がポマードを付けているかのように、ベタっと張り付いていた。
「こ、こんなことを、して、ただで済むと……っ」
 もう残された僅かな正気で、そう言いながら沙織は突っぱねるように男の胸を手で押す形をとっていたが、あまりに逞しいストロークと、彼女の膣内を知り尽くしたピストン運動と角度、好きなスピードと強弱……。
 強烈な快感に翻弄され、キングサイズのベッドに手を放り出して屈服のポーズをとってしまう。
 それが悔しくて、恥ずかしくて、いやらしい自分を認めるようで沙織は嫌だった。
 いや、しかし心の奥底では喜んでいたのかもしれない。
 そんな淫らな、自分の姿を喜んで、ただ快楽に飲み込まれたかったのだろう。
 男はそんなぎりぎりの状態の沙織のことなど心など知ろうともせず、段差のあるカリに膣壁をめくり、拡張し、伸ばしていく……。沙織は無意識に膣壁、膣襞は収縮し、絡み付いて締め付けてしまう。
そのまま、駅弁、背面体位、対面体位、バックと、リズミカルに体位を変えられ貫かれる。
 沙織は抵抗する気力もなく、されるがまま、喘ぎ続けてしまう。
「やっ! ふああっ! はぁっ!」
「お前は本当に牛みたいだねぇ、そんな大きな胸をして、大きく動いて、まるでボールのようだ」
男にその攻撃的な胸が揺れ、弾む姿を揶揄されても、反応することすら出来ない。
「ひんぅっ! もう、い……っ! イッちゃうぅ!」
 完全に発情してしまった子宮、膣壁……。降りてきた子宮口をノックされ、膣襞を捲られ……。
 上半身は大きい手で乳首ごと揉みしだかれ、伸ばされ、絞られる。
「ほら、お前の大きな胸がこんなに形を変えて、いやらしい」
 芸術的な形が面白いように形を変え、弾み、その柔らかさのアクセントとしてこれ以上なく勃起した乳首の硬さが、男を楽しませる。
 そして沙織は絶望的な現実を叩きつけられる。
 この触り方は、やはり兄さん……!
 沙織は目の前の男が兄であることを確信し、酷く絶望した。
 だが、もし、禁術を使っていたとしたら、元に戻す方法もあるかもしれないと、快楽に流されそうな頭を必死に回転させ、そう思った。
 しかし、上と下からの快感責めで兄を元に戻したい、ここにいる人達を助けたいという使命感も霧散し、蜂蜜のように甘く蕩ける快感に頭も惚け、手足まで快感が行き届き、力が入らない。
 アッシュや理香子、美麗のことが頭に一瞬過るが、目の前の巨根で膣を広げられ、拡張され、押し広げられ、力強いストロークでグラインドさせられ、胸を触手で責められると、優先順位が変わり、彼女達のことは一瞬で消え、代わりに何も考えられない、全てをダメにする快感が沙織の頭を支配する。
 心の奥底では諦めきれないとここまで忍んできた思いも、男との日常で少しずつ、少しずつ崩れて後退していく。
 でも、どうしてもその気持ちだけは忘れたくない!
 まるで蜘蛛の糸のように、天から垂らされた最後の希望。
 それに縋ることで、消えつつある自分というものを保っていた。

 犯され続け、やっと一日が終わって休みに入ると、もう何も考えられないのだ。
 食べて、排泄して、寝るだけ。
 それしか動く体力もなかった。
 辛い修行をいくら積んだとしても、ここまでの快感を与えられる修業は、なかった。
 体力や筋力はある。ただ、イクとその体力がどんどん根こそぎなくなってしまうのだ。
 だから、動きたくとも動けない。
 逃げることすら考えられなかった。
 快感を教え込まれる以前の沙織であれば、簡単にこんな地下室から逃げられただろうに。
 そして風呂は屋敷の使用人が入れてくれる。
 逃げ出さないようにと監視付きだが、そのことももう慣れた。
 自分で身体も髪も洗うことも許されず、全て使用人に任せなければならない。
 運よく男が屋敷から離れる日、本当に少ないが、たまにやってくる自分一人だけの時間。
 その時間は自分を保つために有効に活用していた。
 崩れてしまいそうになる自分を奮い立たせ、当初の目的を思い出す。
 天獄島に一緒にやってきた仲間の三人のこと、そして兄のこと。
 どちらも忘れてはいけない。
 でも、いつまでそれを覚えていられるか、不安に思うことも多かった。
 そんな生活をしていると、まるで夢の中のようなぼやっとした日常だから、刺激がなくて生きているのかさえわからなくなってくる。
 最初はしっかりと覚えていた仲間のことも、兄のことも、次第に兄を元に戻そうとすることや、脱出方法、仲間の姿や声を思い出すことが少なくなってきた。
 それでも、そんな自分に恐怖を覚えるくらいの正常な頭もあって、逆にそれが沙織を苦しめる。
「私が……助けなきゃ……」
 自分に言い聞かせるためにそう呟く。
 それを聞くと、少しはマシになるような、そんな気がしたのだ。
しかし男に与えられるSEXに少しずつ溺れていく。

 ある日は戦闘服の忍服で、またある日は股間と乳首の身をギリギリ隠しただけのエロ水着を着せられて……。
 恥ずかしい姿を大きな鏡で見せつけられて、強い羞恥心を煽っていく。
 特に、戦闘服の忍服は精神的に辛いものがあった。
 今までの修行や、兄とのこと、これまでの調教など、全てを思い返してしまうからだ。
「違うぅ……! こんなの、私じゃない! 私じゃぁ……っ!」
 そう言いながら、頭を横に振る。
 しかしその姿も、鏡はしっかりと映していた。
 大きな垂れ知らずの胸も、濡れて光る陰部も、開いた花弁から見える中の真っ赤な色も、全て。
「こんなになって、忍術も使えないのに、忍者ねぇ。一体どんな修行をしたら、こんなに淫らな忍者になるんだか」
 男のその声で、沙織は頭が真っ白になる。
 今までの修行は、無駄だった……? いや、でも、そんな……!
「私が助けなきゃ」と、そう言ったのは誰だっただろうか。
 それすらも、遠い記憶になりつつある。
 そして男は乱れた忍服の隙間から手を入れ、胸を弄る。
 その衝撃で、沙織は意識を現実に戻された。
「は……ぁっ!」
 突起を弄られ、身体がどんどん熱くなっていく。
 最初は綺麗だった忍服も自分のものとも男のものともわからぬ、白濁とした粘り気のある液が付着していく。
まるで忍服がプライドそのもののように思えて、プライドを汚されたような気さえしてきたのだ。
 男は沙織の羞恥心を煽り立てるプレイばかり好んで行っていた。
 しかし羞恥心と怒りが、快感と裏取引し、吊り橋効果のように脳は勘違いして相乗効果を生む。
 騎乗位でその女性の象徴に相応しい大きさの胸を揺らし、ぷるんっと音が聞こえてきそうなほど弾む。
「こんなにして、何を期待してるんだ?」
重そうに揺れるそこを言葉責めされながら、男の足指で胸を弄られ、沙織は顔を赤くしてイッてしまう。
 しかし、最後の一線……。
 どんな男の命令も聞いてきたが、ある条件だけは聞かなかった。
 でも、「イク」と、数日後にはそう叫んでいた。
 石のように耐えるという覚悟は一時間で消えた。
 声を出さないという覚悟は数時間で消えた。
 声や絶頂は我慢出来なくても、態度には出さないという覚悟も一日で消えた。
 イク際は足を広げ、足指をこれでもかと丸めて絶頂を迎える。
 時には男を両手でぎゅっと抱きしめてしまう。
 どんどん覚悟は後退し、沙織は追い詰められていくのだった。

 ああ、兄さん。ごめんなさい。
 皆、どうか無事でいて……。
 そう願うも、すぐに快感でそれらの言葉は消えていってしまった。

 沙織は今までの調教で、普通の女性よりも性感をコントロールできない自分に恐怖を感じていた。
 今までの修行が全くと言っていいほど、意味を為していない。
 男にされる調教が、犯される感覚が、気持ちよくて仕方がない。
 今までいろんな鬼達と出会ってきたが、ここまで気持ちよかったのは、初めてだった。
 だからこそ、前まで、こんなことにはならなかったのにと、沙織は自分に失望した。
 それに、男は兄を騙っている。
 いや、本当に、兄かもしれない可能性もあるが……。
 その日は屈辱的なポーズを取らされて、そこへ男が刺激を与えるということをしていた。
 沙織は普通以上に敏感になってしまった身体を震わせて、男から与えられる快感を得ていた。
 頭を低く、尻を高々と上げる。
 全てが丸見えの中、陰部はぐちゅぐちゅと水音がする程、淫液が溢れていた。
 男はそれを見て、指で掬って沙織に見せる。
 沙織は顔を真っ赤にさせて、悔しそうに眉を顰めた。
 男はそのまま膣内へ指を差し入れ、浅いところを刺激した。
 決して深いところへは指を這わせず、浅いところだけを刺激するのだ。
 すると沙織の浅いところにあるGスポットに指が這った。
 気持ちがよくて、沙織は甘い声を漏らしだす。
「ふ、う……っ」
 もっとしっかり触ってほしい。
 深いところに、太いものを入れてほしい……!
(ダメ、ダメよ、沙織。そんなことを欲したら、敵の思う壺……!)
 自分にそう言い聞かせていたが、陰部は正直なもので、期待が淫液となってそこをてらてらと光らせていた。
 そして、男は太い指でぐちゅぐちゅと水音をさせて沙織の羞恥心を煽る。
「こんなにして、変態だなぁ」
 そう言われ、沙織は顔を赤くした。
「ここに、入れてほしいんだろ?」
 太い指をさらに増やされ、きつきつにそこが広がった。
 それでも、いやらしい粘り気のある液のお蔭で、ぬちゅ、ぬちゅと、滑りはよかった。
 その淫液を使って、同時に、アナルへも刺激を与えられる。
「はぁぁあんっ!」
 薄い壁で仕切られているものの、両側から押されたそこは、沙織には気持ちがよかった。
 汗まみれになり、牝のにおいをさせる沙織に気を良くした男は、沙織のアナルに玉が連なったアナルビーズを入れ、それを出し入れしながら、膣内へ男の自身をぐっと挿入した。
「おふぅっ! は、あ、あぁぁ!」
 待ち望んでいたその刺激に、沙織は腰を振って喜んだ。
(ダメよ、こんなことじゃ……! 皆を、助けなくちゃ。でも、でも!)
 頭ではわかっていた。
 だが、沙織のそんな気持ちは無駄に終わる。
 気持ちよすぎて、頭がどうにかなりそうだった。
「気持ち、いいっ! いいよお! 兄さん、兄さんごめんなさいぃ!」
 気づけば四肢をぴんと伸ばし、何度もイキ続けた。
 男の射精と違い、女は何度もイキ続けることが出来る。
 だからこそ、沙織は男に何時間も弄られ続け、イキ地獄を味わうこととなってしまったのだ。
 男は何度もビクンビクン! と跳ねる沙織を見て、酷く興奮していた。
 一心不乱に腰を振り、膣を掘り進める。
 子宮の入り口に、大きなそれを叩きつけて、沙織はポルチオで感じた。
「いやあああああ! き、気持ちよすぎて、頭が、頭が変になるぅっ!」
 ずるずるっとアナルに入れられたビーズを引っ張り出され、排泄しているかのような快感が走り、膣内では子宮を押されて気持ちよくなっていく。
 ごつごつと音がするのではないかというくらい、強く子宮を叩かれる。
 それが沙織には堪らなく気持ちよかった。
 男は喘ぐ沙織の胸を弄り、さらに気持ち良さを与えた。
「だ、ダメっ! そこは、兄さんの……っ!」
 胸は兄のもの、そう言いたいのだろう。
 だが、その兄に開発された胸は、期待で乳首をつんと立たせ、ゆさゆさと揺れていた。
 獣のようなその行為に、沙織は声が出ない程快感だった。
 男は沙織の胸にある二つの突起を鷲掴みにし、指でころころと転がしたり、擦ったりした。
「ひゃあああああああんっ!」
 大きな声ではしたなく喘ぐ沙織は、忍者としての姿をすっかり忘れてしまったかのようだった。

 そんな状況で、膣や胸だけでなく、彼女の他の性感帯も探られ、こってりと媚薬を腋や足指に塗られ、大人の快感と、こそばゆい子供の感覚のそれがコインの裏表のように瞬時に入れ替わり、新鮮な刺激を身体の持ち主である沙織に伝わっていく。
 指を撫でられただけで、腋を押されただけで、じん……と熱を持つ身体。
 それは明らかな快感だった。

 ある日は膣もアナルも触られず、全身を拘束して、羽で身体の表面を撫でられるだけだった。
 だが、限界まで感度を良くしたその身体では、絶頂を迎えるのには十分な刺激だった。
 最初は余裕の顔を見せていた沙織だったかが、いつの間にか苦悶の表情を浮かべ、次第に蕩けていった。
 足の指を触られ、とんとん、と叩かれたり、羽でするすると撫でられる。
 すると、もうそこは熱を持ち、性感帯へと変わってしまう。
「ん……っ、うぅっ」
 むず痒いような、でも気持ちいいような。
 そんな気持ちが心に湧き上がる。
 そして羽で爪先から上半身へと柔らかな刺激を与えられた。
 次に荒い息でにおいを嗅がれ、言葉で責められる。
 気づけば沙織は息を吹きかけられるだけで、イクことが出来るようになってしまった。
「そんな、嘘。嘘よ……っ!」
 自分のその姿を受け入れられず、沙織は「嘘だ、嘘だ」と呟きながら、小さく何度も絶頂を迎えた。
 男は「もっと素直になれば、気持ちよくなるのになあ」と笑う。
 沙織は自分の忍としてのプライドが、どうしてもそうはさせなかった。
 だが、簡単にイッてしまうのは、事実だ。
 そのことを酷く恥じ入る。

 次々開発され、敏感になっていく沙織の肉体。
 それは日を追うごとに、増していった。
 そんな時、男はあえて陰核にも膣にも触らず、周りを弄り、撫でて、焦れたところを陰核のフードを被せたまま優しく擦り、捏ね回していた。
 淫液のせいで、不規則な動きをしながら指が包皮の上から揺さぶり、人差し指と親指で挟み、揉み込む。
 優しく余裕のある指使いが、また沙織を感じさせる理由の一つだった。
 こんな責め方、今までされたことがない。
(激しくないのに、優しいのに、何故こんなにも感じてしまうのだろう……! 嫌、いやぁ……っ!)
 沙織は己を恥じた。
 しかし襲い来る快感の波には全く勝てなかった。
 敏感なところを、優しく優しく撫でられる。
 それだけで、気持ちがよくて仕方がない……!
「は、ああん……っ! き、気持ち……よくなんか、ない、も、の……!」
 だが気持ちいいということを自分で否定した。
 そうすることによって、少しは快感が楽になくなるだろうと思ったのだった。
 しかしそんなことはなく、気づけばイキ地獄に入れられていた。
 
 さらに予想外のタイミングで、薄桃色の小さなヒダをスッと撫で、アナルと膣の間の肉体の底の部分を押したり、そっと撫でたりと、アクセントをつけてくるのだ。
 他の激しい愛撫と下半身を愛撫する老練な指。
 ムカつくくらい、滑らかな動きをサポートしてくると同時に、発情させてくる媚液にアクメしてしまう沙織。
 自分でも怖いくらいに発情した肉体……。
 それは熱く、悩ましいものだ。
 指で触れられたら、それだけでイッてしまうような、それ程敏感になっている。
 それに、挿入なんてされたら何度イッてしまうことだろう。
言葉に出来ない程の発情した肉体。それを言葉にしてしまったら、全てが終わってしまう……。
 しかしその代わりに兄にしたように、上目遣いで媚を売った雰囲気で男を見つめてしまう。
(ああ、こんなことをするために兄さんに教わったんじゃない)
 そうわかっているのに、沙織は見つめることをやめられなかった。
 男は全てわかっている瞳で、立った状態の彼女の膣内に指を入れて手マンする。
 全て知られた膣内……。
 どこがクるのか、どんなリズムが好きか。
 全て知られたそこを激しく愛撫される。
「んく、んうう……。はぁ……っ」
 見ている者からしたら、痛そうなくらいの高速な手つき……。
 しかし、十分な愛液と媚薬と男のテクと前戯で、柔軟になり、柔らかく収縮し、責めを受け止める。
 部屋に響き渡る熱っぽい声。
「ううっ、イキたい……! イク、イッちゃうよう……!」
 沙織は次第に蟹股になり、長い美脚が菱形の形を描く。
 下にいる男の肩を、指の色が変わる程、ぎゅっと掴む。
「ひぃんっ! あっ、ああっ!」
 声は徐々に高くなり、強くなって、最後は股間を前に突き出し、潮吹きしてしまう。
 ビシャビシャ! と音がする。それを二度、三度と勢いよく淫液を吐き出し、舌を突き出し、知的なクールな瞳は瞼の裏側に隠れ、一瞬白目になり、理性をなくす。
 そのまま膝から崩れ落ち、全身がビクつき、麻痺をする……。
 穴という穴から淫らないやらしい液を出し、沙織は余韻に浸っていた。
 クールに無表情を気取っていた仮面が剥がれ、発情した顔が現れたのだ。
 だらしなく頬を緩ませ、男の股間から目が離せない沙織。
 今までとは違う……。強制的な快感ではなく、自ら求めてしまいそうになる。
 何か、大切な何かが自分から消えようとしている。
 それは、なくしてはいけない。
 忍として、人として。
 だが、その感覚はわかっているが……、でも、それよりも遥かにSEXをしたい。
 逞しい男にしがみつき、腰を振り、胸を揉まれ、乳首を抓まれ、伸ばされ、舐められ、吸われたい。
 そんな気持ちを知っているのか、男はそっと愛撫をする。
 男は余裕の笑みでフレンチキスを何度も顔や首筋、胸や腰回り、内腿をフェザータッチし、淫欲を煽る。
「ふぁあ……っ、あ、ふぅ……っ」
 沙織は拒否も出来ず、彼の口や手が動く度に甘えた声が出てしまう。
 さらに指と指を絡め、恋人繋ぎをされてしまう。
 ……胸が、どんどん熱くなって、鼓動が早くなる。
 胸と陰核、膣億が疼いて切なくて、もどかしくて堪らない。
「欲しいのか?」
 そう聞かれても、答えられない。
逆に、「もうやめてほしい?」と言われても答えられない。
 強引に目を合わされ、力強い眼力に、下半身と胸が疼き、秘部が濡れるのがわかった。
 さらに長い舌でクンニされ、舌は沙織の膣壁と襞が多い部分、膣口付近にあるざらざらした上壁のGスポット。
 吸いながら、舌先を硬くし、突き、舐め、擦り、蛇のように這いまわる。
 あまりの快感に、思わず男の髪を掴み、逃げようと押す。
 強い快感が欲しいのに、同時に怖さも感じていた。
 これ以上、自分が消えそうになるのが怖い。
 もっとしてほしいと思っている自分が怖い。
 もちろん男がそんな沙織を逃がすわけはなく、より責め手を増やし、指で陰核を、沙織が最も好きな絶妙な力加減で押しつぶす。
 その力加減に肉の芽は喜び、持ち主に力を入れさせ、腰を跳ねさせ、よくやったと褒めさせ、もっとしてほしいとアピールさせる。
 指と舌が動く度に、沙織の骨盤底筋は大活躍し、膣括約筋で締め付けをし、妖しく蠢き、より深く奥へと誘おうとする。
 男の肩を押すように抵抗していたはずの両手は、堪らないといった感じで、いつしか男の頭を掴んでしまっていた。
 膣奥で何かが吹き出しそうになるのがわかるが、止められない。止めたくない。
「やめてぇ……」と言いながらも、その声は甘く、言葉だけの拒否だと誰でもわかるほど甘い。
 鍛え上げられた者にしか出来ない程、腰をバウンドさせ、再び潮吹きし、屈服の証を男の顔面に浴びせてしまう。
 いつもならもう挿入されているが……、指や手、舌でも異常な程気持ちいい。SEXとはまた違った快感だった。
(SEXって、入れられるだけじゃ、ないんだ……。それなのに、こんなに気持ち良いんだ)
 沙織はそう思いながら、快楽に身を任せた。
これまで、もう数えるのが馬鹿らしいほどのSEXをさせられ、その時の快感を今も容易に思い出して、股の奥が疼いた。
 しかし未だ挿入されない。
 泉は既にひたひたに潤っているというのに、挿入されないのだ。
 腰がゆらゆらと動き、早く、早くと身体が、心がそれを欲しがる。
 今までは淫術を使い、相手をコントロールしてきた自分が、逆に相手にコントロールされている。
 しかも、そのことにほとんど怒りがなくなっていることに恐怖するが、それも一瞬で、すぐに淫欲の波がきて、その感情を流してしまう。
 そして男の段差が深いカリ高の男根を見た後、男を凝視してしまう。
 言葉以上に瞳が今の沙織の状態を映していた。
 しかしそれでも男は無視し、今度は胸だけでイカされる……。
「今、欲しい?」と聞かれれば、頷き、自分から挿入してしまいそうなほど、沙織は興奮してしまう。
 男が口を開く。……ただ、男は「欲しい?」とは聞かずに、沙織が恐れていることを言い出す。
「俺を兄と呼べばSEXしてやる」
 そう命令してきたのだ。
 これまで沙織は、何度も拒否し、これだけはしないと決めていた。
 男を無視し、なんとか耐えるが……。
 しかし、四度目の手マンをされながら胸を掬い上げられながら揉まれ、捏ねられ、揺さぶられると、沙織はつい声を上げてしまった。
「兄さんっ」と……。
 あまりにも自然に口から出たため、沙織は自分に対して怒りも絶望もなかった。
「こんなに、こんなに気持ちよくしないでぇっ! こんなにしていいのは、兄さんだけなんだから……!」
 男はその言葉を否定するように、言葉を重ねて来る。
「俺が兄さんだって、言ってるだろ!」
 そう言って、情熱的に舌を絡めてくる男。
 口内を、歯列を、舌を犯される。
 耳も、荒い息と共に舐められていく。
 そして胸を噛まれる。
「んあああああああっ!」
 胸は赤い歯型がつくくらい、強く噛まれた。
 だが、それがまた気持ちいいのだ。
 恋人繋ぎでディープキスをされ、今までの絶頂で、ついに沙織にも限界がやってきた。
「あ、あんたなんかっ! 兄さんじゃ、んんっ! 兄さんじゃ、ないんだからっ!」
 そう言う沙織の言葉は、どこまでも甘く蕩けていた。
(兄さん、ごめんなさい……っ!)
 そう思いながら、目の前の男を「兄さん」と言いながら股を開き、喘ぐのが堪らない。
 今までのどんな調教よりも、どんなプレイよりも、興奮する。
 その中にある罪悪感が、より背徳感を味わわせる。
(兄さん、弱くてごめんなさい。助けられなくて、ごめんなさい。ダメな恋人で、妹でごめんなさいっ! ああっ! ずぼずぼすごいっ! ごめんなさい! カリが凄いの、奥まで、届くの! 胸だってこんなに揉まれて吸われたらっ! イクッ! 兄さんっ! イクッ!)
 その途端、沙織は兄に対する気持ちが、口から溢れ出た。
「兄さん! すごいっ! ああっ! 凄すぎぃっ! 我慢できない! あぁっ! イクッ! 兄さんじゃないのに! もうっ! 兄さん! あぁぃいいっ! あっ、ああああああああああーーーーっ!」
 足の指をこれでもかとピンと伸ばし、沙織はアクメした。
 鼻の下は伸び切り、口は涎まみれ。
 ベッドは沙織の淫液で絞れそうなほど濡れていた。
 沙織はそのまま一晩中抱かれ、愛された……。
「もう気持ちいいのやぁっ! また出ちゃう! ああっ! 兄さんっ、もうダメェ! んあぁぁあああーーーーっ! イッてる! もうイッてるからっ! 兄さんっ、私の、沙織の言うこと聞いてよぉ! あぁぁあああ゛あ゛ーーーーーーっ!!!」
 バックで突かれ、アクメしながら潮吹きをしても突かれ、捏ね回された。

 身体がどろどろになると、風呂に連れて行かれ、男が沙織の身体を洗う。
 沙織は先程までの快感で熱くなっている身体を抱きしめて、洗われることでやってくる快感の波を避けようとした。
 しかし、そんなこと、意味がなかった。
 もう自分ではコントロール出来ないのだ。
 男はそれを知っていて、沙織をマットの上に仰向けに寝かせ、足をМ字に開かせ、陰核にシャワーを強く押し当てた。
「ひぎゃあああああああっ!」
 嬌声というよりは、悲鳴だった。
 それだけ、激しい刺激がやってきたのだ。
 男はあまりの激しい刺激に、腰を横に振って逃げようとする沙織を見て、楽しそうに笑って逃げられないように拘束してシャワーをしっかりと陰核に当てた。
「やべでえええええええ! お願いだから! お願いぃぃいいいいいいいい! ひぃぃいいい!」
 指や舌ではありえない気持ちの良さ。
 沙織はシャワーで自慰などしたことがなかったから、余計にシャワーの刺激に弱かった。
 陰核はぷっくりと腫れあがり、皮が剥けている。
 そこへまたシャワーをぺたりと当てられ、激しいその刺激に気絶をしそうになった。
 だが、気絶しないため、苦しくて仕方がない。
「イキたい! イキたいいいいいいい!」
 そう叫ぶも、イキそうになると男はシャワーを止め、焦らすのだ。
 そして男はこう言った。
「兄さんと呼べ」
 沙織はもう限界だった。
「呼ぶよお! 兄さん、兄さん! イキたいの! 沙織、イキたいのおおお! ああ、ごめんなさい! 兄さん、兄さん!」
 沙織はシャワーの刺激で何度もイッた。
 そして見る。
 その男が、間違いなく兄の表情と同じであることを。
 それが悲しくて、嬉しかった……。
「あうぅぅうううううっ! あ゛あ゛っ!」
 激しくイキ狂う沙織に、男は笑った。
 沙織も快感に震え、地獄のシャワー当てが終わると身体をぴくぴくと痙攣させて膣から白い本気汁を出して白目を剥いて気絶した。
 男は沙織をベッドまで運ぶと、沙織のだらりとした両足を担ぎ、膣に太い自身をずぶりと挿入した。
 そこはもうとろとろに蕩けきっていて、前戯など必要ない程だった。
 男は意識のない沙織の身体に、膣に、子宮に腰を強く叩きつける。
「うぐっ!」
 沙織はその刺激で目を覚ました。
 ずちゅ、ずちゅ、と、腰が動く度に響く水音。
 それが沙織のそこが潤っていることを証明した。
 リズミカルに腰を打ち付ける音が響く。
 そして、沙織の喘ぎ声も……。
「や、やめて! やめてよお! もう限界なの! 沙織、限界なんだってばぁ……っ!」
 その悲痛な声も、悲痛とは思えないような高い鈴のような声だった。
 男は搾乳機を取り出して、沙織の豊かな胸に取り付ける。
「まだ、やるの……っ? うぅ、うあっ!」
 乳首は形を変え、控えめだったその姿を、大きくした。
 乳首の薄い桜色も、すぐに赤くなっていく。
 さらに男は羞恥心を煽ることをする。
 胸を黒い縄で緊縛したのだ。
 元から目立っていた胸は、さらに目立ち、本当の牛になったかのように見える。
「こ、こんな、こんなことをするなんて……っ!」
 沙織は男を睨みつけたが、赤い顔で涙を浮かべて睨んでも、相手の欲情を煽るだけだ。
 さらに男は大きな鏡の前で犯されている姿を見せる。
 沙織は何度も鏡の前で犯されているが、いつまでも慣れない。
 男の大きなそれとの接合部が、はっきりと見える。
 そして泡立ち、真っ白になっている汁塗れのマ×コがあまりにいやらしい。
 それが恥ずかしくて恥ずかしくて、沙織は顔を背けた。
 しかし男はそれを許さない。
 沙織の顎を持ち、鏡の方を無理矢理向かせる。
 目を閉じてしまえばいい、そう思ったが、目を閉じると余計に感度が上がりそうで出来ない。
「兄さ、ん……! 兄さん! ごめんなさいっ! ごめんなさいっ! いやらしい子で、ごめんなさいっ!」
 自然と口走ったその言葉は、男は勿論、沙織自身も興奮させてしまう。
「ああっ! 兄さん! 兄さぁん!」
 男に兄を求めてしまう。
 男もそれをわかっていて、そこに付け入る。
「お前の兄さんは、俺なんだ! 俺なんだよ!」
「嫌っ、嫌っ! いやぁああああああああっ! 兄さんもうやめてええええええ!」
 ブシャァッ! と、潮を吹いた。
 男は沙織を四つん這いにさせ、搾乳をしながらバックで犯した。
「ふ、深いぃっ! あうんっ! 沙織、イッちゃうぅうううううう! ああああああああああ!」
 正常位とはまた違う当たり具合で、沙織は突かれてすぐにイッた。
 また、搾乳機によって与えられる胸の刺激もそれを手伝った。
 そして男は沙織の尻を叩き始める。
「ひぎゃっ! い、痛いっ!」
 沙織は痛みで身体を捩る。
 男はそんな沙織を見て、もっと尻を叩いた。
 バシン! バシン! と、肌が激しく打ち付けられる音がする。
 同時に、二人を繋ぐそこの淫らな液体の音も。
「あ、あそこが、溶けちゃう! お尻が、痛くて、熱いぃっ!」
 沙織は必死だった。
 正気は保てないが、なんとか気を失わないでいようと、そう思ってのことだった。
 だが、気を失った方が、逆に良かったのかもしれない……。
 搾乳機を外され、鏡に映ったのは、大きな乳輪と、盛り上がった真っ赤な乳首だった。
 男はその乳首を両手で思い切り弄り回す。
 ぎゅっと乳首を摘まんで、まるで牛の乳を搾るように動かした。
 当然乳などは出ないが、沙織を羞恥心でいっぱいにするのにはそれだけで十分だった。
「やめて……恥ずかしい、恥ずかしいのぉ……っ!」
 挿入されたまま、腰を振られ、乳房を、乳首をめちゃくちゃに揉みしだかれる。
「イクッ、イクッ! イッちゃうよおおおおおおお!」
 沙織は乳房を思い切り弄られて、激しくイッた。
 身体中を震わせて、涎を垂らし、白目を剥いて。
 男はそれでもまだ足りないのか、意識のない沙織を犯し続けた。
 大きなヒップが真っ赤になり、まるで猿のようだと男は笑った。
 意識のない沙織は返事をしない。
 そのことに男は腹を立て、下腹部を拳で刺激した。
 そこは子宮がある場所だ。
 ぐっと押すと、沙織は目を見開いて「ひうっ!」と鳴いた。
「子宮を押されて感じる変態だな」
 男がそう言うと、沙織は「違う」と言いたかったが、男に言われる通り、子宮を押されて感じてしまい、言葉が出なかった。
「はぐぅっ!」
 拳で押される度に、子宮がきゅんと疼く。
 押されて、感じてしまう。
 男はさらにそこを殴るように刺激する。
「あ゛あ゛っ!」
 痛みはほとんどないが、圧迫感がある。
 そして、子宮の収縮がよくわかった。
 沙織はこの子宮を把握された責めに、頭がトんでしまいそうになった。
「ひああっ!」
 ぐっと、拳を腹に沈められる。
(気持ちいい……。気持ちいいけれど、ここで認めてしまったら、今までの私の苦労は一体どうなるの。兄さんや、仲間を助けるという気持ちは、どこへ行ってしまうの……)
 そんなことを考えながら、沙織は陰部をまたびしょびしょに濡らしていた。
 男は沙織を仰向けにさせると、拳をその濡れたところへと沈める。
 天獄島で、信者の女に拳を入れられたことはあったが、男に入れられるのは始めてだ。
「無理、無理無理無理ぃ! 絶対無理だから! 入らないから、お願い、入れないで!」
 圧倒的なその大きさに、沙織は表情を歪めた。
(男の人の、こんな拳が、入るなんてこと、あるわけないじゃない!)
 そう思っていたが、濡れ濡れのそこは、男の拳を受け入れようと口を開けていた。
 ゆっくり、ゆっくりと拳を進めていく。
「あ、あぐ……!」
 骨が軋み、膣が限界まで伸びている。
「は、入らない! 絶対に、入らない、から! ああ゛っ!」
 その瞬間、男の拳は沙織のそこに完全に沈んだ。
 少し切れてしまったのか、血がベッドのシーツに滲んだ。
「ほら、こんなところに拳が入っちゃったな? 恥ずかしいね」
 そう言いながら、膣内を自由に動き回る。
 そして、Gスポットを右手で、陰核を左手で押しつぶすように刺激した。
「んん、んああっ!」
 沙織は今までにない刺激が気持ちよく、喘いだ。
 それから、拳を子宮口に殴りつけた。
「んがあああっ!」
 ボコッ! と音がしそうなほど、激しく打ち付ける。
 信者の女よりもずっと激しく、太い。
 切れたところの痛みも僅かにあるが、そんなものは全く関係ないほど、快感が爪先から頭の天辺まで響き渡る。
「兄さんにお礼は?」
 男は子宮を殴りながらそう聞いた。
「お、礼……っ? うあっ!」
「躾けてくれてありがとうございます、だろ」
「あ、し、躾けてくれて、ありがとう、ございますっ!」
 沙織は意味も分からずそう言った。
 その言葉に、男は満足そうな顔をして、やっと拳を抜いた。
「ほら、お前のセカンドバージンの相手はこの拳だ」
 そう言って、ベッドのシーツを指差した。
 血の跡が点々としてある。
「いやらしいなぁ」
 そう言いながら、男は沙織の下腹部を撫でた。
 そして男は満足したのか、地下室から去って行った。
 沙織は閉められた扉の内側で、ベッドに横たわっている。
 拳を無理矢理入れられて、傷になったところが痛い。
 じくじくと痛んで、まだ血が出ている。
 生理でもないのに、結構な量の出血だ。
 でも、それ以上に、子宮がきゅんきゅんと疼く。
(ダメよ。ダメ。こんなもので感じてしまうなんて……)
 でも、もう戦う気力など残っているのかさえ怪しかった。
 このままここで飼われていた方が、楽じゃないか。
 そんなことさえ思ってしまう。
 それでも、一度助けると決めたからには、助けたい。
 兄を、元に戻してあげたい。
 そして、また一緒に、暮らしたい。
 一緒になりたい……。
 一緒にまた、二人で……。
その気持ちが、沙織の僅かな正常な意識を呼び戻したのだった。
 ……とは言え、もう今日は体力的に無理だろう。
 何も出来ない。
 そう思って、ベッドに大人しく入り、身体を休めることにした。
 うつらうつらと眠りに入りそうになると、幻聴が聞こえた。
「沙織ぃ……!」
その声は、ずっとずっと欲しかった、兄の声だ。
沙織に助けを求める声だった。
 沙織は兄を助けたいと強く思い、夢の中へと意識が沈んでいった。


これはbc8c3zがあらすじ・設定を作り、それを元に根本鈴子先生に書いてもらった綾守竜樹先生著・百花繚乱 淫獄のサバイバルの2次創作です。
綾守竜樹先生のファンの方に読んでいただければ、それに勝る喜びはありません。
一瞬でも先生がいなくなったことの皆さんの孔を埋めれれば幸いです。
感想があれば励みになりますのでお書きください。
またアンケートだけでもいただけたら今後の参考になりますので入れてください。
よろしくお願いします

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