御堂レイカ 外伝~続・地下鉄A筋線近辺では~後編

「来るのが五分遅いわね」
「これでも金と情報網を使って飛ばしてきたんだがな」
レイカはうんざりした様子で水着を脱いだ。まろび出る巨乳もそのままに、ため息をひとつつく。彼女の裸身はすっかり汗ばんで、いつも以上に色香を放っている。
冷静さを取り戻してきた拓哉は、上着をレイカに掛けながら、這いつくばった男たちを見下ろす。
「しかし、お手柄だな。こいつら他の連中と組まない警戒心の強い奴で、巨乳ばっかり狙う有名な痴漢だぞ」
「……嫌というほど知っているわ」
未だ熱の残る乳房を上着で隠しながら、レイカは拓哉の見えないところで軽く快感に身震いする。
軽く上着が擦れるだけで、乳首が快楽を欲しがってたまらない。彼女の肉厚の唇から、熱い吐息が漏れる。
拓哉は表情ひとつ変えず、壁に残る写真の数々を見回す。
「余罪も多いな」
被害に遭った女性たちのあられもない姿に、彼はぽつりと呟いた。
「私の仕事も増えそうだわ」
レイカの本来の仕事はカウンセラーだ。この犠牲者たちと会うこともあるかもしれないと、彼女は思っていた。仕事があるのは悪いことではないかもしれないが、このような陰惨な事件が無いに越したことはないと彼女も思っている。
「こいつらがいなくなるまで、私の戦いは終わらないわ」
だが、レイカは終わらない戦いに求められる女なのだ。そのことは、彼女自身が一番よく分かっていた。彼女は沈痛な表情をして、写真を見る。
一方で、彼女の視界の中で、拓哉は肩をすくめ、わざとらしく唇の片側を持ち上げる。
「一緒の体験をすれば共感しやすいだろ?」
「ゲスくて無粋な発想ね」
彼女は腰に手を当て、つまらなそうに鼻を鳴らしてみせた。彼の性根は法の外に生きている。これでも励ましているのだろうと、彼女は短い付き合いながらに理解していた。
そんなレイカの内心を知ってか知らずか、拓哉は彼女の裸身を見ながら首をひねる。
「にしても、捕まるなんて珍しいな。シャワーで隠れてた二人に気づかなかったのか?」
「まあ、ね」
まさか浮かれていたとも言えず、レイカは軽い返事をするだけに留める。
「でも、助かったわ。私一人ではここから先、どうしようもなかったもの」
「気にするなよ。またお返ししてくれりゃ、それでいいからさ」
拓哉のにやりとした笑いにレイカは反応する。
ずっと無視され続けたレイカの下半身は今でも切なく疼いている。それに、この馬鹿馬鹿しい二人組に与えられた快楽を拭い去りたいということもあった。
「いいわよ」
「えっ」
「今日、お返ししてあげる」
驚いた拓哉にレイカは笑う。彼女は拓哉へのお返しで、物欲しげな下半身を満たそうと思いついたのだった。

つい一分前まで、そこは調和の取れたホテルのスイートルームだった。しかし今は、玄関から衣服が散乱する濡れ場と化していた。
部屋に到着するなり、何もかも脱ぎ捨てて、レイカと拓哉は獣になった。
今、ベッドの上で蛇のように絡まりながら、二人は性を貪っている。
「ン、ンンッ……アアッ!」
拓哉の舌と指が荒々しく彼女のクリトリスとアナルの入り口を刺激する。
レイカが手で拓哉の男根を愛撫するが、それができないほどに彼女は昇り詰めていく。
「アアンッ、アッ、はあっ……!」
三日の間お預けを食らい続けた下半身には過酷すぎる責めだった。だが、彼女の完璧な肉体は、それさえ受け入れていく。
「ンッ、きつ、いぃぃっ、アアンッ!」
それでも時々腰を逃がそうとするレイカを逃がすまいと、拓哉は彼女を片手でがっちり押さえつけている。
いつもは互いのテクで『イかせあい』をする二人だったが、今日はただひたすらに互いを求めあっていた。
「今日はやけに従順だな、どうした」
「ンンンッ、三日、三日も我慢、させられて……!」
「そりゃご愁傷様だな、もっと良くしてやるよ」
「ひいっ、アッ、アアッ!」
くつくつと喉を鳴らして拓哉が笑い、再び陰核を舐め始め、アナルの入り口に指を埋めてぐにぐにと動かす。たったそれだけで、レイカの下半身はがくがくと震え出す。
「すご、いっ……んひいっ!」
いくら感じても感じても足りなかった。長いこと放置され続けた蜜壺はすっかり熟れて、無尽蔵に快楽を享受できるようになっていた。
「ンアアッ、指っ、指動かさないでっ」
不規則に動く指に、たまらず悲鳴を上げる。拓哉はお構いなしに、指をさらにアナルの中へと沈めていく。
「ううっ、おまんこ……おまんこ足りない……」
レイカがうわごとを吐き出しても、拓哉も彼女の女陰に手を出すことはしなかった。
「もっとだ」
「もっとって、アアッ、ンッ!」
やっと外陰部に触ってもらったと思ったら、一瞬で愛撫は終わってしまう。その代わりに、また刺激の強いクリトリスを重点的に刺激される。
下腹部の中で切ない熱が灯って、全身に広がっていく。
「んヒイッ! アッ、きちゃう、またきちゃう……うううっ!!」
オーガズムの波がレイカの思考をさらっていく。獣のように叫びながら、レイカは全身を震わせ、からっぽの襞肉を痙攣させる。
もちろん、レイカに休む暇はない。拓哉はレイカがイったことなど気にしていない様子で、真っ赤に充血したクリトリスを舌でねっとりと撫ぜる。
「ンアアアッ、まだイってる、またイク……!」
快楽の火が収まっていないのに、次の薪がくべられる。レイカは手コキをするのも忘れて、舌を突き出して喘ぐ。震える腰を、まるで拓哉の舌に押し付けるようにうねらせる。
「アッ、だめ、アアッ、腰が勝手に動くうっ……!」
拓哉が舌を左右に細かく動かすと、レイカは悲鳴を上げながら腰を揺らす。クリトリス以外も舐めてほしくて、より秘所を拓哉に擦り付けようとする。しかし、拓哉の片腕はレイカを掴んで離そうとしない。
「だめだ」
「だめじゃ、な、イイッ! アッ!」
思い通りに腰を動かせず、反論しようとしたレイカの秘芯が舌先でつつかれる。
「ハアッ、ハアッ、なんでっ……!」
「今に分かるさ」
「んうぅっ!」
意味深な拓哉の言葉の真意を探る余裕もない。クリトリスから叩き込まれる快楽の信号に、レイカは汗だくになりながら肢体をわななかせる。
「おっと、こっちの方が好きか?」
「ンアアッ、それ、キツいからっ……アッ、また、またくるぅっ!」
菊座を揉み解され、さらに指を挿れられる。膣とは違った異物感と快感が、レイカの心を激しく乱す。抜けそうなところまで指が引き抜かれ、またゆっくりと押し込められると、それだけでレイカの頭の中はアナルの快感で一杯になった。
「アッ、アッ、きちゃう、アアアッ、まってぇ、まだイってる……!」
絶頂に次ぐ絶頂。放置された淫肉が切なげにひくつく。いつまで経っても与えられない快楽へのもどかしさと、それを上塗りするほどの激しい快感。
レイカは獣のような声を上げながら、行為に耽溺する。必死に手コキで応戦するが、拓哉の巧みな舌使いと指使いに、今日は押されてしまっている。
「ンッ……ん、ちゅっ、んぐ……」
手コキだけでは足りないと、レイカは拓哉の肉棒をくわえ込んだ。荒い息もそのままに、裏筋に舌を伸ばし、先端からゆっくりと舐めしゃぶる。
拓哉の息遣いも荒くなってきたことに気が付き、レイカも彼を責め立てる。鈴口に舌先をぐりぐりと押し付け、陰茎の下から上へと舐め上げる。
どちらが先に絶頂するか。無我夢中で互いに互いの弱いところを責め続ける。
「くっ……!」
「ンンッ!」
今度絶頂したのは拓哉の方だった。白濁が勢いよくレイカの口腔に発射される。レイカはそれを受け止めて、味わうように口の中で転がす。そしてまた、萎えた拓哉のペニスを咥え、フェラを始める。
肉棒に絡んだ精液を掃除するように、根元からねっとりとした速度で舌を動かしていく。
拓哉の陰茎は、すぐにまたそそり立ち、質量を帯びていく。
「あら、まだまだ元気ね」
「あんたとだったらいくらでもヤれる」
短い言葉を交わし、二人はまた互いを貪り始める。熱い呼吸を吹きかけて、レイカは再び男根にむしゃぶりつき、拓哉はクリトリスに舌を這わせ、アナルの中の指を動かす。
「ちゅっ……ンっ、ンア、アッ……」
「そっちこそ、まだまだ足りないって風だ」
「そう思うなら、挿れてくれたっていいのよ……アンッ」
挑発的なレイカの言葉に、拓哉は笑う。熱気を帯びた茂みを掻き分けて、拓哉はまた細かく舌を動かして、秘芯を弄る。指をぐにぐにと動かして、菊座をほぐしていく。
「ンアアッ、アッ、だからそれ、だめ、だって……!」
レイカは無自覚に尻を振る。もっと淫肉に触れて欲しいと、また拓哉の舌を膣の入り口まで持って行こうとする。だが結果は同じだ。拓哉の腕は、レイカを捕まえたままだ。
「やっ、アアッ、アッ……ンッ!」
ずるずると指を引き、またゆっくりと押し込んでいく。じれったい速度での刺激に、レイカの淫欲は増していく一方だ。
(挿れられたいぃ……もっと、もっと犯して欲しい……)
拓哉に見られていないところで、レイカは雌の顔をして男根に奉仕し続けている。
(だめよ、そんなの。彼のことだって、利用しているんだから……)
しかし彼女の理性的な部分が、欲望をさらけ出すことを拒否する。もう飢えて飢えて仕方のない肉体と、ギリギリのところで堕ちきれない精神が、二つに分かれてしまいそうになる。
(そうよ、彼と私はギブアンドテイクの関係。それ以上でもそれ以下でも……)
そう言い聞かせる彼女に対し、不意に強いクリトリスの刺激が与えられる。
「んひいいっ!」
突如走った電撃のような快感に、レイカはあられもない悲鳴を上げる。拓哉がくつくつと喉を鳴らす。
「何か考え事してたか?」
「別になにも……してないわよ」
「いいや、嘘だね」
拓哉は指を抜き、レイカの秘部の外側を、円を描くように、緩慢に撫で始める。
「ンッ、アッ……」
「もっと内側がいい。中を犯してほしい。違うか?」
「アアッ、ぅ……ンッ」
レイカは言い出せずに、腰をもじもじと動かす。拓哉は、正直にひくつく秘肉にふっと息を吹きかける。レイカの腰がわずかに跳ね上がる。
「俺はあんたに魅了されてる。あんたに夢中なんだ。ヨガってるところも、耐えてるとこも、たまらない。あんたは俺を飽きさせない」
指を膣内に入れることはせず、ぬるぬると愛液に濡れた入り口部分だけを撫でる。
「アッ……」
レイカは初めて期待に満ちた喘ぎを漏らす。しかし、拓哉は指を秘部の入り口から離すと、またアナルに指を差し込んで、関節を曲げる。
「ン、ぁ……!」
「それだけで俺はいいもの貰っているとは思っているさ。一時とはいえ極上の女を独り占めにできるんだからな」
まるでレイカの考えていたことを見透かしていたかのように、拓哉はそう言って菊門を弄る。膣内とは違う作りの肉壁を、指で押し拡げていく。
「だが、あんたは俺に折れてはくれない……」
「ンアッ、アア……ぁ、ンッ……」
「もうちょっと甘えてくれたっていいのにな?」
「ンッ……ふふ、『おねだり』が聞きたいの? 素直じゃないのはあなたの方よ」
レイカの言葉を聞いた拓哉の方から笑い声が聞こえてくる。
「俺がしたってどうしようもないだろ?」
「あら、私の心が動くかもしれないわよ」
「そうだな……」
拓哉は愛液でぬめった指を勢いよくアナルに押し込んだ。
「ンンンっ!」
「もうちょい粘ってみるさ」
「どっちが先に音を上げるかしら?」
それっきり、二人はまた互いの性器を舐め合うことに耽溺し始めた。最初の頃より粘性を帯びた音が、熱情を孕んだ呼吸に混じって部屋に響いている。
「んふ……ンッ、ちゅっ……ンンッ……」
先走りを舐め取り、亀頭や鈴口に舌をあてがって押したり転がしたりしながら、レイカは手でやわやわと精液の溜まった二玉を揉む。拓哉から快楽の声が上がったのを聞いて、彼女は笑みを深くする。
「ン、あむ……ふうっ……ンッ……」
巧みな舌使いを取り戻し、レイカは拓哉を責め立てる。拓哉もクリトリスを舌で弄びながら、アナルに差し入れる指を二本に増やして、さらに拡げていく。
「ンア、アッ……っふ……ァ」
指が二本にむ増えた分だけ、刺激はばらばらに与えられたり、一点に集中したりするようになる。レイカはペニスを舐めながらも、拓哉の指使いに悶える。
「ンンッ、アッ、そんな、拡げて、見ないで……」
揃えた指を開いて拓哉はレイカの括約筋を、少しずつ、少しずつ、大きなものが入るように慣らしていく。従順な彼女の後孔は、拓哉の指の言いなりになっている。
拓哉は具合を確かめるように、ゆっくりと、指を開いたり閉じたり、差し込んだり抜いたりしている。それがレイカにはじれったい。
(さっきみたいな、激しいのが欲しい)
また、雌としてのささやきがレイカの脳内に満ちる。
レイカの中で、クリップが乳首から離れた瞬間が思い起こされる。責めに耐え切れずにアナルから液体を噴き出してしまった時のこと。
あの時の、痛みや苦しみから開放された瞬間の激しい快感を、肉体が欲している。
(いやよ。そんなところ、見せられるわけないじゃない……)
自分はお姫様ではなく、女王なのだ。しかしそう思えば思うほど、熟れた雌としての身体はどんどん過激な快楽を求め始める。
「ハァッ、ンッ、ちゅっ……ンンッ……」
自分の本心をごまかすように、レイカは拓哉の性器を舌で愛撫する。口の中を先走りと精液が混じった汁で満たして、被虐から来る飢えを紛らわせようとする。
おねだりすれば、すぐに貰えるのに。そんな自分の声がどこからともなく聞こえてくる気がする。
だが、レイカ自身のプライドがそれを許さない。
それは言い換えれば、セックスをしている相手に心を開いていないということではないのだろうか。
レイカの学んできた心理の知識が、ここになって彼女を苛み始める。
「んうっ、アッ、ぁ、アンッ……!」
拓哉の舌と指が、その惑乱に加速をつけていく。腰をくねらせる度に、彼女のたわわな胸が妖しく揺れる。媚薬漬けにされていた乳が、もどかしい疼きを訴えてくる。
(くうっ、おっぱい、おっぱいが熱い……)
一度意識してしまえば、火が付くのはあっという間だった。
未だ抜けきっていない媚薬の感覚が、胸を中心に彼女の身体を火照らせていく。
「ンッ、はあっ、アッ、ンンッ……」
二玉を揉んでいた手を離して、自分の胸におずおずと手を伸ばす。
「ンンッ……!」
軽く乳房に触れただけで、快感が体中を駆け巡った。乳首を人差し指で転がすと、淫肉がきゅっと締まる。掴めば乳房に自分の指が柔らかく沈む。
(でも、自分でしても……足りない……)
しかし、レイカの脳は、自分の手だけで揉んでいても気持ちよさには限界があることをすぐに悟ってしまった。片方の手で胸を揉み続けるが、今一つ満たされない。
満たされない分だけ、肉棒を吸いながら唇を動かし、口腔で舌を動かす。拓哉の身体に肌を擦り付けながら、レイカは必死に快楽を享受しようとする。
「ンッ、アッ……アアッ」
動く限り腰を揺らして拓哉の責めを受け止めようとする。
が、一度心理の飢えを感じ取ってしまっては、その飢餓感がどうしても快楽の邪魔をする。
「アッ、イく、またイく……!」
一方で、肉体はすっかり屈服しきってしまっていて、舌と指の巧みによる責めに、また絶頂に達してしまう。ほじられる尻穴が気持ちいい。舐め上げられる女芯が気持ちいい。でも、それを素直に受け取れない自分がいる。
(もっと、もっと気持ちよくなりたいぃ……!)
自分の胸を揉む度に、切なさが沸き上がる。気持ちいいのに満たされない。満たされたいという思いが、レイカの理性を炙っていく。
「ン、ぁ、アッ、アアッ、アンッ、アッ!」
肉棒をしゃぶるのも忘れて、舌を突き出してレイカは声を上げる。
「降参?」
拓哉の言葉に、彼女ははっとする。
「あ、あっ……」
声にならない声が、唇からこぼれる。
ただ一言、言ってしまえばいい。
犯してほしい。めちゃくちゃに犯して、私を満足させてほしい――。
この男は、私の願いを必ず叶えてくれる。だから言ってしまえばいいのだと、レイカは何度も思う。しかし、実行できない。彼女の高潔なプライドは、なおも折れる気配がない。
否、レイカはもう分かっている。それはプライドでも何でもなく「強がり」だということに。
「俺は絶対あんたを満足させてやれる」
アナルに指を入れて、内壁を指の腹ですりすりと撫でながら、拓哉は囁く。
「ン、アッ……」
入り口のあたりをまるくなぞられ、レイカは身震いする。
「あんたみたいな女にねだられたら、誰だってそうするさ」
「ンッ……そんなこと言っても、ダメなんだからぁっ……」
自分の声が甘ったるさを増していることを理解しつつも、レイカは拒絶する。
「きゃっ……」
不意に、拓哉がレイカの尻肉を掴み、揉み始める。ほどよい硬さの指先が、彼女の柔い尻にめり込む。手入れされた爪は食い込むことがない。
かと思うと、今度は愛しげに表面を撫で回し始める。緩急のついた責めに、レイカも尻を緩慢に振る。
「アアッ……ンッ」
たっぷり焦らされた身体が、雄の肉槍を欲しがってたまらない。レイカは燃えるような情欲に身を焦がしながら、震える息を吐く。
「俺の女になれとは言わない。ただちょっと、奉仕させてほしいってだけの話さ」
「甘い言葉には、乗らないわよ……男って、みんなそう言うわ」
拓哉の甘い企みを、レイカはつんと弾く。拓哉はまた、喉を鳴らして笑う。
「じゃあ、このまま終わるか?」
「……」
「そう、それは俺も嫌だ」
どういう風に切り出してくるか。レイカは息を整えながら、拓哉の『腕前』を推し量る。拓哉は両手でレイカの尻を撫でたり、揉みしだいたりしながら、言葉を続ける。
「俺はあんたに夢中だ。それは間違いない。だが、あんたが俺に夢中になる必要はないのさ。そう、いつも通りでいい」
「いつも通り……」
「いつものイかせあいの、ちょっとした延長線、それでいいんだ」
いつも通りにしていればいいという言葉が、レイカの心を揺らす。澄ました普段の表情を取り戻しかけていた彼女の表情が、再び情事に蕩けた色を取り戻す。
(……雌に、雌になりたい)
内なる衝動が、レイカの理性を激しく揺らす。レイカの頭の中で、ぐるぐるといかがわしい妄想が巡る。四つん這いになり、尻たぶを広げて肉棒をねだりたい。いい加減に膣内を弄ってほしい。奥を激しく犯してほしい。
(でも、でも……!)
目の前の男にそれを見せていいのだろうか。躊躇が彼女にブレーキをかける。だが激しい肉欲がアクセルを踏む。
(一度だけ……なら。いや、だめよ、だめ……)
性欲を律しきれないレイカは、生唾を飲む。呑み込んだ唾液は、精液の匂いがする。雄。雄の匂い。くらくらするほど濃厚な男の匂いが、喉から鼻へ、脳の中枢へ抜けていく。
「はあっ、アッ……アアアッ……」
「一回でいい。俺はあんたの『おねだり』が聞きたい。それさえ貰えれば、俺はあんたのために、何だってしてやる」
自然とレイカの呼吸は荒くなっていた。彼女の肉体は欲情しきっていた。張り詰めた理性が今にも切れてしまいそうだった。
「俺の考えつく、最高に気持ちいいことをすると約束する」
「最高に、気持ちいいこと……」
極限状態になった、性への飢え。呼吸をする度に入り込んでくる精液の雄臭い匂い。目の前にそそり立ったペニス。まだまだ射精し足りないと張った睾丸。レイカの中の雌が、それに服従したくてたまらないとわめいている。
「ンアアッ!?」
そこに、拓哉がまた責めを始める。相変わらず秘裂に触れないような、絶妙な焦らし。
「アアッ、アッ、ぉ、ン、ンアッ……!」
びりびりとした鋭い快楽が、レイカの思考を抉る。すっかりほぐされたアナルが、物欲しげにひくつく感覚。それ以上に飢えているのは、膣壁の方だ。愛液を垂らしながら、挿入の瞬間を今か今かと待っている。
「アッ、いやっ、アアッ、アンッ!」
だが、拓哉が責めるのは菊座とクリトリスだけだ。脳天まで届く快感が、レイカを苛み続ける。
「だめっ、だめなの、ンッ、アアッ!」
もはや何を拒絶しているのか分からない。レイカは必死に喘ぎの中で、「だめ」と「いや」を繰り返し続ける。
イキすぎてじんじんと痛みさえある秘芯を舐められ続け、腸壁越しに膣壁を愛撫され、レイカは興奮しきった猿のように吼える。
「ぉ、アアッ、だめ、雌になる、だめぇっ……!」
拓哉は応えない。その代わりに、クリトリスを吸い上げる。じゅるじゅると音を立てられ、羞恥と享楽が一気にレイカに襲い掛かる。
「ンアアッ! 吸わないでっ、アッ、アアッ……」
女芯に意識を持っていかれていたレイカは、アナルへと不意に指を突き込まれる。
「アアッ! おしりっ、おしりの奥に指入れないでっ……!」
二本の指が、ぐにぐにとレイカの内側を刺激する。レイカはこれ以上させるわけにはいかないと、肉棒への奉仕を再開する。
「ンンッ、んぐっ、ぅ、ンッ……!」
もちろんそれで責めの手を止める拓哉ではない。より激しく、舌を左右に細かく振ってクリトリスを舐め、指を奥に入れて掻き回す。
「ンンンッ、ァ、ンッ、ハアッ、アッ、アアアッ!」
酸欠になったレイカは、思わずペニスから口を離してしまう。拓哉はそれを見逃さない。ここぞとばかりに舌で強くクリトリスを押し、ぞろりと舐め上げる。
レイカから悲鳴に近い嬌声が発せられる。
「も……もう、イク! アッ、あんなにイッたのに、また……!」
拓哉の手は、逃げようとするレイカの腰を掴んでいる。まるで女陰にするかのように、アナルの中で激しく指を動かして、犯し続ける。
「ハアッ、ハアッ、ァ、しんどいっ、クリトリスでイくの、しんどいぃっ!」
ぞわぞわとせり上がってくるオーガズムの気配に、レイカは頭を横に振る。
「わかった、わかったからァッ、おねだり一回だけしてあげるからっ!」
焦らしと責めが合わさったアナルとクリトリスへの二点責めは、ついに頑強な女王の意志を折るに至った。しかしそれとこれとは話が別とばかりに、拓哉は責めのスパートをかける。
「アッ、アアッ、イク、飛んじゃう、止めてっ、止め、アアアッ!!」
激しい責めの末にレイカはまたしても絶頂した。圧の掛かった膣内から愛液が噴き出す。レイカは全身をびくつかせ、雄たけびに近い声を上げながらアクメを堪能する。
「はあ、はあ……」
やっと下半身が解放される。ぐったりと身体を投げ出しながら、レイカは息を整えている。
そのうちに絶頂の波が引いて、レイカの意識が形を取り戻していく。拓哉に手伝って貰って彼の横へと転がって、腕で顔を隠しながら息を整える。
拓哉に腕を優しく退けられる。レイカは自分でも、雌の顔をしていることを自覚していた。

うつ伏せから仰向けに体勢を変えて、しばらくレイカは拓哉と見つめ合う。
快楽を与えられつつも、焦らされ続けた雌の顔を見せながら、彼女は切なげに呼吸を繰り返す。蕩けた色香を全身から放ちながら、レイカはついに、『それ』をねだった。
「……バックから犯して……激しいのが、いい……」
彼女の中で屈服が快楽となった瞬間だった。トドメを刺してほしいと、彼女は拓哉の背中に両腕を回して、するりと撫でる。
「お願い……」
レイカは視界に捉えた拓哉の眼差しが、加虐欲と征服感にぎらつくのを見た。
これからこの男に食われるのだと、彼女は確信した。そしてそれは、彼女の被虐心に火を付けた。
「いいぜ、とっておきをやるよ」
拓哉はレイカを再びうつ伏せにすると、彼女から身を離す。
レイカは彼が離れた理由が分からず、そわそわと落ち着かない様子で待つ。見えないということが、彼女の劣情を煽る。
何かを取り出した音がする。粘性の水の音が聞こえる。聴覚が彼女の性感を刺激する。
(ああ、何をするつもりかしら……この私に、何を……)
これから何をしてくれるのだろうという期待が、徐々に彼女を興奮させていく。
自然と、レイカは尻を掲げた。美しい曲線を描く尻肉は、すでに愛液と唾液で濡れていた。
彼女のアナルに、冷やっこいものが触れる。
「アッ、何……んひいぃっ!?」
レイカが何かと思った瞬間、『それ』は彼女のほぐされたアナルの中に躊躇なく差し込まれた。かと思うと、レイカの太ももに、細身のベルトが装着される。
『それ』はローションの塗りたくられた極太のディルドだった。しかも、抜けないように固定用のベルトがついた代物だ。イボがたくさんついた凶悪なフォルムが、彼女の腸壁を犯す。
「ン、おおっ、アッ……!!」
突然訪れた圧迫感にレイカは獣のような声を発する。
拓哉はディルドが抜けないか確かめるように、無遠慮に根元を押す。
「んぅぅっ、ァ、押さないでっ……お、おおおっ……」
ペニスですら届かないような奥の奥まで抉り込まれ、レイカは悲鳴を上げる。喉の奥を開いて吼えながら、ひときわ尻を高く持ち上げる。
「準備万端だな」
「ひいぃっ!」
軽く尻を叩かれただけで、レイカは激しい快楽に打ちのめされた。尻を掲げた分、シーツに埋まったレイカの口元から唾液が溢れる。白い布地に、彼女の唾液の染みができあがる。
「じゃあ、しっかり味わえよ」
拓哉がレイカの臀部を掴み、いきり立った肉棒を秘部に押し付ける。触れた熱に、レイカの胸が高鳴る。
そしてついに、待ちに待った男根が、レイカの膣内を貫いた。
「ンアアアアッ、ぉ、アア……ッ!」
レイカの肉体が歓喜に打ち震える。
挿入されただけで絶頂してしまいそうな、圧倒的な悦楽が彼女の頭の中を満たした。
「熱いぃ、ひっ、す、すごいぃ……!!」
二人組に放置され、拓哉にも焦らされ続けた蜜壺が、内壁をわななかせる。息をつく暇もなく、激しいピストンがレイカの膣内で行われ始める。
「アアアッ、だめっ、これ、だめぇっ!!」
レイカはすぐに音を上げた。拓哉が腰を動かす度、ディルドが腸壁越しに膣壁を押す。
ディルドのイボがわずかに動いて、腸壁を擦る。ペニスとディルドの間に挟まった快感のツボが、否応なしに刺激される。
それは性経験豊富な彼女であっても、耐えることのできない激しい快感だった。
「アアッ、ンッ、お、イボッ、イボがお尻から、私の中、犯してくるうっ!」
思わずシーツを掴み、レイカはよがり声を上げる。その間にも、拓哉の容赦ないストロークが、彼女を責め立てる。
「こんなのっ、アッ、んうぅっ、アアアッ、挟んで犯さないでっ、ごりごりしないでえっ」
腸壁と膣壁を、ディルドとペニスで挟み撃ちにされ、されるがまま、彼女は身体と精神を揺さぶられる。
「はあっ、はあっ、アアアッ、アッ、アアッ!」
舌を突き出し、彼女は悲鳴を上げる。シーツを握る手に力が籠る。半開きの口から、とめどなく唾液が溢れ続ける。
「そ、そんなにっ、掻き回さないで……アアンッ!」
拓哉の手が腰から、レイカの豊満な胸へ伸ばされる。突かれる度に弾んでいた胸が、骨ばった彼の手に掴まれる。
「ンアッ……!」
乱暴に揉みしだかれ、レイカの胸は一気に熱を帯びた。ハリのある乳肉に、指が沈む。
「アアッ、ア、こんなの、めちゃくちゃになる……!」
「もうなってるだろ?」
「ンアアッ……!!」
激しく突き込まれ、レイカの喉から咆哮が押し出される。
「それとも、まだ足りないか?」
「アッ、アアッ、それ、それだけはっ、んあうぅぅっ!」
ベルトで固定された張り型を押し込まれ、レイカはとっさに枕を引き寄せて顔を埋める。
(ああっ、精液ぃ、精液の匂いぃっ)
口の中の精液の匂いが息苦しさと共に一層濃厚になった気がして、彼女は膣を締め上げる。
「んぐっ、ゥ、んおっ、アアッ……! アッ、アアア……っ!」
が、結局は拓哉に枕を跳ねのけられ、快楽に耐え切れない嬌声を響かせる。レイカの理性の逃げ場はどこにもない。
ただひたすらに、淫らな熱を帯びた乳房をこねられ、張り型に尻穴を拡げられ、ペニスを出し入れされることに悦びを感じる雌。今、必要とされている彼女は、それだけだった。
(ああっ、こんな、屈服セックス、気持ちいい……!)
千手の魔の手にも、折れたにしろ抗った。その後の署の待遇だって我慢して、逆境を跳ね返した。乳のことしか頭にない変態たちの三日もの責め苦に耐えてきた。
たくさん、たくさん耐えてきた。でも今だけは、何も我慢しなくていい。レイカのタガが外れ、本能がむき出しになる。理性に閉じられていた向こう側から、際限なく彼女に『ご褒美』が注がれる。
「ウっ、アアッ、アッ、中ぁっ、中があついのぉっ」
快楽。下品で、暴力的で、背徳的な、圧倒的快感。理性など一片も残さないほどの、淫熱地獄。それこそが彼女の忍耐に与えられたご褒美だった。
「ンアアッ、張り型! うあっ、アアッ、張り型抜いてえっ!」
よがり狂いながら、レイカは残った理性と恥じらいを吐き出す。荒い息を吐きながら腰を打ち付け続ける拓哉は、返事をしない。ただひたすら、レイカの獣の部分を引き出していく。
「お、お願いだからっ、こんなにごりごりされたらぁっ、あたま、壊れちゃうぅっ!」
「くくっ、もっとだ。もっと!」
喘ぎの中で懇願するが、拓哉から返ってきたのは欲望にぎらついた声だった。にわかにピストンが激しくなり、亀頭が子宮口に叩きつけられる。
「うああっ、アアッ、ひいっ、いいっ……!!」
「そう。俺はあんたの見たことない顔が見たい。誰も聞いたことのない声が聞きたい」
「ハアッ、アッ、ぅ、アアンッ!」
「もっとだ。もっと俺を興奮させてくれ、御堂レイカ……!」
子宮ごと持ち上げられるような揺さぶりに、レイカは美しい顔を快楽に歪ませ、うめきとも喘ぎともつかない音を喉から押し出している。
「アアッ、イク、おしりとあそこの壁こすられながらイクぅぅっ……!!」
一気に押し寄せるオーガズムに、レイカはひときわ尻を上げた。
絶頂が子宮のあたりから、一気に全身に広がっていく。きゅんきゅんと未だ満たされない蜜壺がうねる。拓哉の肉棒から熱い白濁が一気に放たれる。
掲げられた尻は、精液を一滴も零さない。
「アアァァッ、あついぃ、精液入ってきてる……! 待ってぇっ、まだイってるのにっ……アッ、ンッ、アアッ……!!」
子宮にザーメンをありったけ注がれ、下腹部の熱にレイカは喚起する。甘ったるい余韻が、彼女の脳髄を満たす。
かと思いきや、拓哉のペニスはあっという間に勢いを取り戻す。レイカの白く柔らかな乳房を揉みしだきながら、再び勢いのついた抽挿が始まる。
肉と肉の打ち合う淫猥な音が、部屋に響く。
「ハアッ、アッ、なんでっ、もうこんなに……」
「あんたが、最高の女だからさ……!」
荒い息を隠すこともなく、拓哉が喉を鳴らして笑う。レイカは彼の緩慢な動きにたまらず腰をくねらせる。
「んいぃっ、ゆっくりされると、イボも、おチンポも、すごい感じるぅっ……!」
彼女の腰の動きを邪魔するように、拓哉は彼女の乳房を揉み始める。指先で乳首を挟み、ぐにぐにとこね、つねり、転がす。
「アッ、おっぱい、おっぱいはだめっ……ンッ、ンンンッ!」
胸に鋭い快感を与えられ、レイカは腰の動きを止める。すると拓哉は待っていたかのように、腰をじれったい速度で動かす。
「アッ、アッ、ぁ……」
今にも抜けそうなほどペニスを引き抜かれ、レイカの胸を切なさが満たす。
「ぉ、アアッ、ンアアアッ!」
と、思えば、今度はゆっくりと挿し入れられる。肉棒が前後する度に、カリが膣内を押し拡げ、膣壁と腸壁とGスポットをディルドに押し付け、レイカを悶絶させる。
「もっと、もっと早くしてぇっ……ンッ、アッ……!」
レイカはねだるが、拓哉は容赦する気配がない。たっぷりと、彼女の雌肉に自分の肉棒のよさを教え込むように、何度も、辛抱強く、男根をゆっくり往復させる。
「ンッ、ンンッ、いやっ、ああっ……おまんこが、ペニスの形になっちゃうぅ……」
「はは、悪くないな」
「アァッ……ん、アッ……!」
いよいよ膣が拓哉のペニスの形に沿うよう変形するような気がしてきて、レイカは悩ましげな声を上げる。
(ああっ、慣らされてる……拓哉のペニスに、おまんこ調教されてる……)
すっかり淫欲に蕩けた思考をして、レイカはうっとりと息を吐いた。
「頃合いだな」
拓哉がスパートを掛け始める。じわじわと膨れ上がっていた快楽が、一気にその強さを増す。シーツをぎゅっと掴んで、頬を唾液まみれのシーツに押し付け、レイカは甘い嬌声でねだる。
「でも、気持ちいいっ、気持ちいい……ン、はあっ、ごりごりしないでぇ……!」
喘ぐ声が徐々に高く、上擦ったものへと変わっていく。レイカは再び来る絶頂の気配に、鼻息荒く腰を振る。
「っふ、ゥ、くるっ、アッ、アッ、きちゃう、アアッ、イク、イクイクぅぅぅっ!」
レイカの神経という神経にエクスタシーが押し寄せる。いつか電車の中で達した時のような叫びをあげて、彼女は全身を震わせる。
わずかなうめきと共に拓哉が再び射精する。吐き出されたザーメンはたっぷりとレイカの中に注がれるが、まだレイカの蜜壺は飢えているのか、精液が噴き出してくる気配はない。
「ン……はあぁ、アッ……」
荒い息を整えるレイカから、ずるりとペニスが引き抜かれてやっと、愛液と精液の混じった汁が、彼女の股間から茂みの方へと溢れ出た。
拓哉がふと手を伸ばして、レイカの姿勢を変える。
仰向けにされたレイカは、涙や唾液でぐちゃぐちゃの顔を彼に見せ、期待に呼吸を震わせる。
「くくっ、嬉しいね」
意地の悪い笑い方をしながらも、拓哉は心底嬉しそうに呟いた。いきり立つ自身をそのままに、レイカの濡れた金髪を指で梳く。
「最高の女をここまでヨガらせたんだ。誇らしくもなるってもんだ」
もう片方の手の親指で、彼女のふっくらとした唇を柔らかく愛撫する。
「だが、もうちょっと楽しまないか?」
「ンンッ……」
髪を梳くのをやめて、拓哉は胸を愛撫する。レイカの下乳の静脈の交点や、乳首の下の部分を、指で丁寧に揉みしだく。彼女の汗ばんだ裸身が、妖しくくねる。
「それとも、ここでギブアップか?」
わざと拓哉はそんなことを言う。レイカはすっかりピンク色に染め上がってしまった頭で考え、不服そうに唇を尖らせる。
レイカはごく当たり前のように、唇を動かす。
「もっと……」
「そうだな、もっとだ」
二人は長いキスをした。お互いの舌を絡め、ぬめぬめとした粘膜の表面を擦り合わせ、底なしの性欲を高めていく。呼吸が苦しいことすらスパイスにしながら、汗で濡れた互いの頭を掴んで、唇を押し付け合う。
「んうっ、ンン……ア・・・」
夢中で互いに髪に指を通し、肌と肌を重ね合う。レイカは早く挿れて欲しいという熟れた肉体を、あえて焦らしていく。整いかけた呼吸がまた乱れていく。
「アッ……!」
拓哉の手がレイカの胸に触れる。先ほどの鷲掴みよりもはるかに優しい愛撫を行う。彼が触る度に、レイカの胸は従順に形を変える。
たわわな乳の根元を掴み、母乳でも絞り出すかのような手つきで、彼女の乳は揉みしだかれていく。
「アアッ、ンッ……んん……!」
レイカは拓哉の頭から両手を離し、双乳をさらけ出すように腕を上げ、シーツを掴む。拓哉は両手で、彼女のバストを弄り始める。
(ンッ……あんまり、動いちゃうと、感じちゃう……)
身をよじり、レイカは小さく声を漏らす。未だアナルに居座っている極太ディルドがわずかに動く。イキまくってすっかり敏感になってしまった尻穴が落ち着かず、少しイボを感じただけで、もじもじしてしまう。
「ふうっ……アッ……アンッ……」
レイカの内心に気づいているのか否か、拓哉は彼女の赤らんだ乳房を強めに揉み、寄せたり離したりする。男の大きな掌の熱が、媚薬に晒されていた胸の快楽の埋火を掘り返す。
「アッ、ア、ンッ……アア……」
熱を帯びた荒い息を漏らして、レイカは肢体をくねらせる。その度に、ディルドのイボに刺激される。だんだん「挿れてほしい」という欲望を我慢できなくなっていく。股間から、精液混じりの愛液が滴る。
「激しくして……」
拓哉が身体を起こしたのをいいことに、レイカは秘部に手を伸ばし、陰部を拡げてみせる。男と女の汁が混じった粘っこい音が、レイカ自身の鼓膜をくすぐる。
(ああ、もうこんなにぐちゃぐちゃなのに……まだ足りない……)
潤んだ瞳で拓哉を見上げ、こくりと生唾を飲む。拓哉は自らの肉棒を女陰に当てがって、にやりと笑う。
そうしてふと、ディルドに手を伸ばした。
「ヒッ!? ん、アアアアアッ!?」
次の瞬間、カチッという硬質な音と共に響き渡ったのは、レイカの悲鳴と振動音だった。
今の今までただの張り型だとレイカが思い込んでいた『それ』は、バイブ機能も有していたのだ。
「ん、いいいぃっ!!」
肉棒があてがわれ、振動にもがくレイカの中に挿入される。拓哉は彼女の両脚を尻が浮くまで持ち上げる。
「アッ、ぉ、アッ、アアッ! アアッ、ん、アアアッ……!」
まんぐり返しの姿勢になったレイカの肉に、拓哉はペニスを叩きつける。
「アアアッ、っひ、アッ! ンッ、アアアッ、アッ……!!」
容赦のない種付けプレスが行われ始めると、部屋の中の音に、尻肉と腰がぶつかる音が加わる。レイカの肉体は、徹底的に雌であることを思い知らされる。
「ンアアアッ、バイブ、バイブは許してぇっ、ンアアッ、びりびりするのぉっ!」
それだけではない。ディルドから送られる激しい振動が、彼女をより一層惑乱させる。
「おしりぃっ! おしりの穴が、ガバガバになっちゃうぅ……アアッ、アンッ、アッ!」
半狂乱で嬌声を上げ、レイカは頭を振る。テクも何もない蹂躙に、彼女は徹底的に支配される。放り出された乳房が、突き込まれる度に揺れる。
「こんなのっ、アアンッ、おまんこひっくり返っちゃうぅッ!」
「ひっくり返してやろうか?」
「ひいぃっ、だめ、そんなのぉっ、アアッ、ァ、アンッ!」
「あんたが言い出したことじゃない、か!」
「アアンッ!!」
勢いよくプレスを掛け、拓哉はくつくつと喉を鳴らす。レイカは自分でも冗談なのか本気なのか分からないまま、快楽を溺れるほど与えられる。
あまりに強い快感に、目尻から涙が零れ、口の端から涎が垂れるが、そんなことを気にする余裕はない。
「アッ、アアッ、ァ、ンッ、はげしいっ、アッ、ンンッ!!」
レイカの整った顔が性の快楽に歪む。接合部まわりの肉が赤くなるほどに、腰を打ち付けられる。その度に彼女の口からは甘ったるい声が漏れる。
「アンッ、おまんこ壊れちゃうぅ! すごいぃっ!」
力による屈服。今のレイカにはそれがたまらない快感だった。自分というオンナを、雌に仕立て上げんとする雄の欲望が心地よい。
(ああっ、雌……今の私、種付けされてるただの雌だわ……!)
調教されきった身体と心が、目の前の雄を受け入れてしまっている。気持ちいい。楽しい。幸せ。そういった感情の渦が、レイカの理性を粉々に砕いてしまっていた。
「ぉ、おおっ、ンッ、アアッ、すごいの、おしりの穴の奥まで、調教されてるぅっ!」
ディルドの振動が腸壁を絶え間なく刺激する。壁越しに膣の肉壁をも揺さぶる。そこに何度も打ち込まれる極太のペニス。みっともなく顔を歪ませながら、レイカは至高の快楽に浸っている。
「アアンッ、すごいぃ、おしりもおまんこになっちゃうっ、アッ、深いぃッ! イボ、イボがごりごりして、頭の中、めちゃくちゃ、アッ、アアッ、ンッ、アアッ!!」
もはや何を言っているのかレイカ自身にも分からない。徐々に高まっていく快感の波が、またオーガズムが近づいていることを彼女に知らせている。歓喜に胸を震わせ、レイカは声を上げる。
「アッ、きちゃう、おまんことおしりから、すごいのきちゃう! ん、アッ、もっと、もっとしてぇッ!」
尻穴と膣をぎゅうぎゅうと締め上げ、レイカはだらしない笑みを見せる。拓哉がスパートを掛ける。もうレイカの尻たぶは激しい情交で真っ赤に腫れあがってしまっている。
「あっ、アアッ、くる、イク! おしりもおまんこも、すごいのくるッ! アアッ、イクッ、イクイクイクぅぅぅッ!」
けだもののように吼えて、レイカは絶頂する。ひときわ強く絞り上げる膣壁に、拓哉も射精する。どぷどぷと精液が孕み袋になみなみ注がれる。
「あ、アア……すごいぃ……」
うっとりするレイカの姿勢を、拓哉はまた変える。興奮冷めやらぬ様子で、拓哉はレイカを横向きに転がすと、今度は脚を片方持ち上げて、勃起した肉棒を差し込む。
「ンアアアッ……!」
まだ絶頂の余韻に浸っているレイカは、側位にされたこともぼんやりとしか理解ができない。それでも、拓哉の熱くたぎったペニスは、躊躇なく彼女の膣内を犯す。
「アアッ、さっきより深いぃっ!」
子宮口を持ち上げるほどの勢いに、レイカは歓喜の悲鳴を上げる。覆いかぶさる雄の身体に、彼女の中の雌は興奮に打ち震える。
拓哉の手が、レイカの乳に伸びる。
「ン、アッ、アッ、ンンッ、アアッ……!」
腰で膣内をこねくり回され、たくましい手で乳房を揉みしだかれ、アナルは未だ張り型に犯されている。彼女の頭の中は、もうすっかりめちゃくちゃだった。
「もう胸はっ、胸は勘弁してぇ……アンッ、アッ、アアッ、ァ……!」
触れられるだけで疼く胸を、またしても乱暴にこねられる。たまらなく気持ちがいい。レイカは勘弁してと言いながらも、その甘い声色で拓哉を誘う。
「アアッ、アッ、おっぱいが、おっぱいが熱いぃッ」
整った乳房が拓哉の手の力でたわむ。ハリのある双乳は、もうすっかり従順になっていた。彼の望むままに、揉まれて卑猥に形を変える。
「ンンッ、アッ、ぉ、アアッ、アアンッ……!」
先ほどの種付けプレスよりは勢いが落ち着いているものの、側位はより深いところを抉ってくる。拓哉のストロークに合わせて、レイカは腰をくねらせる。
凶悪なカリが窮屈そうにレイカの膣内を押し広げ、膣壁をディルドの間に挟み込む。振動を続けるディルドは、未だ彼女の股間に固定されていて、まったく外れる気配はない。がっちりと彼女の肢体を捕らえて、逃れられない快感を与えている。
「はあっ、アッ、ごりごりしないでぇッ、掻き回さないでッ……!」
どろどろになった膣内を、拓哉のペニスは容赦なく掻き混ぜていく。なおも続く激しいピストンが行われる度、レイカの股間から精液と愛液が混じった白濁汁が溢れる。
「アッ、ァ、おっぱいもおしりもおまんこも、もういっぱいいっぱいなのぉっ、アンッ!」
限界を超える快楽。終わらない快楽。それらにレイカは激しく乱れ、鼻息荒く頭を振る。しかし彼女の艶めかしい肢体は、更なる悦楽を欲している。
「んはぁっ、犯してくださいぃ、もっと、もっとぉっ」
おねだりしながら、彼女は腰を振る。拓哉は彼女に応じるように、より一層激しく子宮口を突き上げる。子宮が持ち上げられ、ポルチオを抉られる感覚に、レイカは喉を反らす。
「アアッ、いいっ、ぜんぶいいッ、私の身体、もっともっとめちゃくちゃにしてぇッ……!」
与えられる快楽を余すところなく貪り、レイカは恍惚に笑みを浮かべる。ぞくぞくとした歓喜が、彼女にまた深い絶頂をもたらしていく。
「アッ、アアッ、イク! すごいアクメっ、また来るっ! イク……!!」
今度は吼える間もなく、ペニスに子宮を持ち上げられた瞬間に絶頂した。レイカは小さなうめきを何度も漏らし、酸欠の金魚のように口をぱくぱく動かして、全身をわななかせる。
息を切らし始めた拓哉が、レイカの髪を撫で、また姿勢を変える。
(ああ、ああ、まだ犯して貰える……)
レイカはそそり立つ彼の肉棒を見て、生唾を飲み込んだ。
彼女はそれから、何度も何度も姿勢を変えられ、拓哉に犯され続けた。人間の許容範囲を超えるような快感に、時に彼女は苦痛に近い嬌声さえ上げた。
尻肉も、乳房も、赤くなるほど打ち付けられたり、揉まれたりして、被虐に色づいていた。
「ぉ、アアッ、まだ出るの、すごい、まだ犯すの……アアンッ!?」
「当然だろ」
それでもなお、蹂躙は終わることがない。徹底的に、拓哉という雄の身体に、レイカという雌の身体は支配された。彼の力強いペニスに屈服し、ベッドに這いつくばって悦楽にむせび泣いた。
「ンアアッ、壊れちゃう、おまんこ壊れちゃうぅッ!」
時にそのような悲鳴を上げて、レイカは涙と唾液でべとべとのシーツを掴んだ。拓哉と肌を密着させる時は、彼の背中に手を回し、鋭すぎる快楽が与えられた時には、彼の背中に爪を立てた。
「アアッ、吸わないでっ……跡ついちゃう……」
拓哉も拓哉で、レイカの首筋を強く吸って、キスマークをつけた。「この極上の女は俺のものだ」という激しい主張のようでもあった。レイカはその刺激にすら悦びを感じ、肢体を差し出した。
股間どころか、締まった太ももにさえも、精液や愛液が絡む。
もう何度まぐわったか、レイカは数えるのをやめていた。ただ、ひたすらに愛された。底なしの肉欲を二人して激しく叩きつけ合い、身体を絡ませ、限界を超えてなお、セックスを続けた。
そうして、拓哉がやっと一息ついた頃には、もう時計は夜中の三時あたりを指していた。
「はあ、はあ……」
レイカはぐったりとベッドに汁だくの身体を投げ出して、肩で息をしている。
拓哉は快感の余韻に浸る彼女の胸を優しく愛撫する。乳首に軽くキスをして、ゆっくりと吸い、たわわな巨乳を揺さぶる。
「ンッ……」
くすぐったさと心地よさに、レイカは鼻から息を抜いて目を細める。拓哉は彼女のしっとりとした肌の質感を楽しむように、彼女の身体に手を這わせる。
レイカは仰向けになって、それを受け入れる。セックスの残り火が、ほどよい快感を導いてくれる。
「アッ……はあっ……」
身体を気遣い、癒すような手の動きに、レイカは身を任せる。
自分の豊満な胸が、何より気持ちよさを引き出してくれる。彼女は自分の巨乳へと愛しげに視線を落とした。
(おっぱい、大きくてよかった……)
少しずつ呼吸が整っていくが、それにつれて彼女は落ち着かなくなって、尻をもじもじと動かす。
「あの、これ……」
「ああ、分かってる」
拓哉はベルトを外し、ずるりと勢いよくディルドを引き抜いた。イボでごりごりと腸壁を押しながら、ディルドは抜けていく。
「アアンッ!」
一気に引き抜かれた快感と、尻穴から消えた圧迫感に、レイカはびくりと身体を震わせる。拓哉に再び足を持ち上げられ、アナルを見られて、羞恥に身をよじる。
彼女の菊座は緩み、ひくひくと物欲しげに動いていた。
指を差し込み、中の具合を確かめながら拓哉は肉棒をもう片方の手で持ち、アナルに先端を当てる。
「こっちもチンポで犯してやるからな」
「ああっ……はいぃ……お尻の穴も、犯してください……」
蕩けた声で、レイカは勢いを取り戻した拓哉の肉槍を見つめた。いくら絞っても萎えない絶倫チンポに、彼女はすっかり夢中になっていた。
「アアッ……ンンンッ……!」
肉棒がアナルへと挿入される。ディルドで十分にほぐされたそこは、あっさりと拓哉のペニスを飲み込んでいく。
「アッ、深いぃっ……!」
ディルドも極太であったが、拓哉の男根はそれ以上だった。張り型とは違う熱と質量が、自分の奥深くまで入り込むという感覚に、レイカはうっとりと声を上げる。
レイカは、千手にあらゆる方向から調教され、頭のおかしい二人組に乳を犯され、芽吹いてしまった雌の顔をしていた。雌の部分をずっと抑え、孤高の戦いを続けてきた彼女は、ようやく、雌の部分を見せてもいい相手を見つけたのだ。
「おしりも、たくさん可愛がってください……」
一歩間違えば、あの乳狂いたちにこの姿を見られたかもしれないと思うと、レイカの胸中はざわめいた。しかし、今はその屈服が気持ちいい。
おとり捜査官でも、一人の気高い女でもない、雌。自分の全てのプライドを放り出して、彼女は被虐を求める笑みを浮かべる。
今だけは、豊満な乳房も、美しいラインの尻も、ブロンズの髪も、最高の美貌も、ほくろ一つまで、この雄のものだということが、誇らしい。
「ンアッ……アッ……アアッ……!」
雄が抽挿を始める。熱く滾った肉の槍が、自分の中を、しかも生殖器ではない部分を掻き回す。激しい背徳感が、彼女のマゾヒズムを引きずり出す。
(ああっ、お尻の穴まで、おちんぽでめちゃくちゃにされてる……)
粘っこい粘液の音を聞きながら、レイカは心地よさに甘く喘ぐ。自分からも尻を振って、積極的に快楽を得ようとする。
「アッ、ぁ……気持ちいい、お尻の穴、気持ちいいですぅっ……」
眉を下げ、蕩けた顔をして、レイカは拓哉をさらに誘う。彼女の纏う被虐の熱気に、拓哉のペースも上がっていく。
「ンンッ、アッ……いいっ……いいですぅッ……アアッ……!」
早まっていくピストンに、レイカは爪先を丸め、喉を反らす。激しくされたら、アナルがめくれあがってしまいそうな太さ、そして突き込まれる勢い。圧迫感と異物感にさえも、快感を覚えて身をよじる。
「アンッ……アッ、おしりぃっ、おしりがダメになっちゃう……!」
突かれて気持ちいい。もう十分ダメになってしまっていると思うだけで、レイカはぞくぞくとしたマゾの快楽を得る。小さな絶頂に身を震わせ、だらしなく笑みを見せる。
「おしりも、おまんこも、こんなの、専用になっちゃうぅ……」
彼のペニスの形をしっかり覚え込んでしまった膣壁と、快楽を叩き込まれてきたアナル。その全てが、今、目の前の男に支配されている。たまらない。女王の誇りを持つ自分が、こんな無様な雌になっている。徹底的な被虐心が、レイカの底なしの性欲を煽る。
拓哉に激しく揺さぶられているうち、また、あのぞわぞわとした感覚が腰のあたりから湧き上がってくる。
「アアッ、だめ、このままじゃ、おしりの穴でイクっ……!」
ただでさえ雌の顔でよがっているのに、このままでは尻穴でイク変態になってしまう。普段のレイカであるなら、それは必死に耐えようとするものだった。
「ああっ、私、私ぃ……」
しかし、今の彼女は違う。
「アッ、もっと、もっと突いてっ……ンッ、ぉ、おしりでイキたい……アナルでアクメしたいぃ……!」
「くくっ、とんだ変態だな」
もはや彼女を止める理性などなかった。拓哉が喉を鳴らし、激しく腰を打ちつけ、アナルをこね回す。その度に、レイカは身もだえし、嬌声を上げる。
「アアッ……そうですぅ、ずっとずっと、我慢してきたんです……今日だけは、レイカを変態にしてくださいぃっ……!」
尻穴を締めながら、レイカは懇願する。自ら放つ肯定の言葉が気持ちいい。圧倒的なマゾヒズムが、彼女自身を打ち据える。さらに彼女を高みへと連れていく。
「アッ、ぁ、アアッ、くる! きちゃう! おしりでイク……!」
快感が沸騰するように、泡立ち、弾ける。
「イクゥゥゥッ!!」
喉を反らし、今までで一番大きな声を上げて、レイカは果てた。がくがくと身体を震わせて、今までとはまた違ったエクスタシーを全身で味わう。すでに精液と愛液で満タンの膣から、また白濁が溢れる。
「アアッ……入れられてる……」
アナルにも拓哉の白濁がたっぷりと注ぎ込まれる。吐き出される熱量に、レイカは軽い絶頂を何度も味わう。
「あぁ……あはぁ……」
気だるい幸福感でいっぱいになったレイカは、全身から力を抜く。半開きの口が恍惚の笑みを形作る。拓哉がずるりとペニスを引き抜くと、アナルから白濁が糸を引いた。
レイカの菊座は、激しい行為によって薔薇のつぼみのように赤らんでいた。
しばらく二人は身体を落ち着け合うように、肉体を重ね、擦り合わせた。軽いキスをして、髪や頬に手を触れて、吐息の掛かる距離で見つめ合う。
だが、それもほんの少しの間だった。一度火がついてしまったレイカの底なしの獣性は、留まるところを知らない。彼女は拓哉の腕に手を触れて、うっとりと笑いかける。
「まだ足りないの……もっと、してください……」
レイカは拓哉の唇に自分の柔らかな唇を押し当てて、ちろりと舌で唾液を拭った。自らの脚を彼に絡め、爪先で彼の脚を撫でる。汗ばんだ肌と肌の感触を十分に楽しみ合った後、二人は身体を離す。
セックスを終わらせるからではない。また次の行為をするためだ。
拓哉はレイカのわがままな胸に手を伸ばし、力強く揉む。軽い痛みがあるほどの力でこねられたにも関わらず、レイカはぞくぞくとしたいやらしい快感を覚える。
「アン……ッ」
彼女は拓哉に期待の眼差しを見せる。彼の濡れそぼった肉棒を見て、物欲しげに喉を鳴らす。
「まだ欲しいか?」
レイカはしおらしく頷いた。極上の女の、従順な痴態。それに興奮したのか、拓哉のペニスはまた勢いを取り戻そうとしている。
「ああっ……」
蕩けた甘美に身を委ねながら、レイカは歓喜に声を上げる。絶倫チンポが、自分という雌をもっと犯したいと膨らんでいる。そう考えるだけで、彼女の頭の中はセックスのことでいっぱいになっていく。
「ああ。いくらでも犯してやるよ」
拓哉も我慢できないといった様子で、レイカに覆いかぶさる。男の重みが、彼女により深い期待をもたらしていく。
「今日は覚悟しとけよ」
耳元で囁かれた声に、レイカの胸はときめいた。今日は全てオフにして、一人の雌としてよがり狂いたいという欲望に、彼女は従った。
「あぁ、はいぃ……ンンッ」
レイカの返事を待つより早く、拓哉が彼女の唇にむしゃぶりつく。レイカもそれに応えて、激しく舌を絡め、奉仕を始める。
ここに秒針の音など、気に留める者はいなかった。互いの舌をねぶる音が、シーツの擦れる音と共に部屋を満たしていく。
二人はまた汗ばんだ身体を重ねて、互いを貪り始めた。午前三時を超えてなお、情事の終わる気配はない。二人の夜は、長い。

それから数日後のことである。レイカはあの時の情事が嘘のように、地下鉄でコーヒーを飲んでいた。苦みはあるが、酸味も効いていておいしいコーヒーだ。
あの乳狂いの二人組が逮捕され、新聞の片隅で縮こまっているのを見て、彼女は満足げに頷く。
なかなか姿を見せない二人組を捕まえたことで、レイカの評価も順調に上がっていた。しかし、それはレイカにとって、やはり些細なことだった。彼女の中にあるのは、痴漢撲滅という大目標だけなのだから。
(三日の拘束は長かったけど、結果としては悪くないわね)
媚薬の効果も落ち着いた胸に軽く手をやって、彼女はほっと一息つく。思い出せば決していい経験ではなかったが、あの二人組を仕留めたとあれば悪くない戦果でもあった。これで少しは、被害者の数も減るだろうと確信する。
しかし、まだまだ痴漢が根絶されたわけではない。超常現象に至っては、千手だけではないかもしれない。千手に心動かされてしまった新しい悪が、今日もまた芽生えているかもしれないのだ。
レイカの中に、カウンセリングで話を聞いた少女や、写真の中の女性たちが色鮮やかに蘇る。
(絶対、一人残らず逮捕するんだから)
彼女たちのことを思えば、レイカの心に火が灯った。戦いはまだ続きそうだ。だからこそ、休息もきちんと取らなければならないことは、彼女が一番よく理解していた。が、彼女は時計を見て、急いでコーヒーを飲み干す。
(それでも、あんまり長い休憩はできないわね。仕事前に行かなきゃいけないところがあるもの)
彼女は椅子から降りると、飲み干したカップをゴミ箱に入れて、鞄片手にヒールを鳴らして歩き出す。彼女は時折自分に振り返る人々を縫って、一点を目指していた。
(多分、『彼』ならあそこで探し物をしているはず)
目的地であるコインロッカーに向かって、彼女は歩いていく。
「おかしいな、確かこのロッカーだったはず……」
彼女の向かった先では、精悍な男が背中を丸め、ちょっと間の抜けた動きで何かを探していた。からっぽのロッカーの扉を開け閉めしては、首をひねっている。
背中に手を当てて驚かしてやろうかといういたずら心を抑え、レイカは鞄から紙束とCDを取り出す。
「お目当てはこれ?」
びくりと肩を揺らして、男――拓哉が振り返る。レイカはその仕草に小さく笑いを零して、紙束をひらつかせる。
「こっそり私のデータを盗もうとしたでしょ?」
「ああ、いや、それは……」
「あーんな純情な子をたぶらかして。悪い男ね」
「勘弁してくれよ、別にどっかに売りさばくとかそんなことは考えてなかったんだ」
拓哉は肩をすくめて、苦笑いをする。彼は頬を掻きながら、視線を泳がせる。その頬が、ほのかに赤い。彼も照れるのだなと思いながら、彼の動きをレイカは観察する。
「ちょっと俺の個人的なコレクションに……だって勿体ないだろ?」
珍しく女々しい態度を取った拓哉の言い訳を、レイカは聞いてやることにした。キスできるほど近くまで寄って、じっと目を見つめてみる。
「悪気はなかったんだって……!」
性とスリルを愛する男も、こうなっては形無しである。笑みをひきつらせながら、両手で「まあまあ」とレイカを落ち着けようとする。
もっとも、レイカは最初から落ち着いているので、まったく意味はなかったのだが、それは彼女だけが知っていることだ。彼女は、拓哉がどう動くか、見て、楽しんでいる。
「あんたみたいな綺麗な女のデータ、俺だって持っていたいしさ?」
「ふうん?」
「俺用に使いたいって思ってな……」
「目の前に本物の私がいるのに?」
「いやいや、決してあんたをないがしろにしてるわけじゃなくてだな!」
レイカはあたふたとする拓哉の様子を面白そうに眺める。今のこの男が、自分を屈服させたあの雄と同一人物であるということは、考えにくいことである。
しかし、それが事実であり、レイカも性的なこと含め、彼のことを認めている。もちろん、彼の情報網も認めているからこそ、手を抜かせることはしない。
「そんな女々しいことしなくたって、見せてあげるわ?」
「えっ」
「写真でも何でも、してあげるって言っているのよ」
紙束とCDを片付け、レイカは至近距離で、ちらりと服をめくってみせた。その下には、すっかり腫れも引いた美しい双乳が、はちきれんばかりに収まっている。
「あなたなら、撮ってもいいわ」
言葉を失って拓哉が胸を凝視しているのを見て、レイカは彼の鼻先を人差し指でつつく。我に返った拓哉を見て、レイカはからかうように笑って、服を元通りにする。
「ただし、噂のC線に出るターゲットの情報を持ってきたらね」
「あんたにはかなわないな……」
拓哉も観念した様子で首を横に振る。
「じゃあ、よろしくね?」
前よりもはるかに妖艶な笑みを見せて、レイカはひらひらと手を振ってその場を後にする。
地下鉄の人混みに、ブロンズヘアの麗人は憶することなく歩いていく。
今日も姿を隠した悪辣な痴漢たちと戦うために、彼女は戦地へと赴くのだった。



これはbc8c3zがあらすじ・設定を作り、それを元にある方に書いてもらった綾守竜樹先生の御堂レイカの2次創作です。
綾守竜樹先生のファンの方に読んでいただければ、それに勝る喜びはありません。
一瞬でも先生がいなくなったことの皆さんの孔を埋めれれば幸いです。
感想があれば励みになりますのでお書きください。
またアンケートだけでもいただけたら今後の参考になりますので入れてください。
よろしくお願いします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です