魔斬姫伝外伝~復活のマーカス~完結編

■八雲調教8  
 潮噴きでは、法子の方が遠くまで飛ばした。
「素晴らしい放物線でしたね。ご褒美に、抱いて差し上げましょう」
 ご褒美にとマーカスは法子を犯すことにした。
「嫌、いやぁっ、これ以上気持ちいいのされたら、頭が変になっちゃう!」
 法子はそう言って顔を横に振った。
 だが、どこかそれを求めているようなそんな表情を浮かべている。
 口では嫌だと言っているが、身体が求めているのがわかる。
 だからこそ、法子は余計に嫌がった。
 こんな淫魔に犯されたら、もう普通ではいられなくなる。
 そう思ったのだ。
 マーカスはそんな法子を見て優しく微笑む。
「大丈夫ですよ。頭が変になっても。むしろその方がいいでしょう」
 そう言われ、宣言通りにこれから法子は頭がおかしくなるような快感を味わうことになる。
「もうここ、ぐちょぐちょですね。どれだけ期待していたんですか?」
 マーカスは法子の秘部から分泌された愛液を指でねとりと触り、それが糸を引くのを法子に見せる。
 すると法子は顔を反らした。
「期待なんて、してない……っ」
 そう言っていたが、嘘なのはバレバレだった。
「そうですか。でも」
 そう言うと、マーカスは法子の尻を叩き始めた。
「い、痛いっ!」
「嘘はいけませんよ。本当は犯されたかったのでしょう? 太くて長くて、そんなもの中を擦って、奥を叩いてほしかったのでしょう?」
「そんなこと、ないぃ!」
 気丈にも法子は必死に耐えた。
 だが、そんなものは全くと言っていいほど、意味のないものだった。
 マーカスは法子の尻が真っ赤になると、「お仕置きはこのくらいにしてあげましょう」と言って、法子の尻を叩くのをやめた。
 そしてマーカスは法子にこう言うのだった。
「さあ、犯してあげますからね」
 そう言って、マーカスは法子を犯し始めた。
 淫気に満ちた唾液を与えるようにキスをし、舌を絡める。
 ぴちゃぴちゃと淫らな水音がして、法子は耳を塞いでしまいたくなったがそれはマーカスが許さない。
 さらにマーカスは法子の耳まで舐め上げる。
 目から、耳から、口から、身体から与えられる快感の波に、法子は犯されつつある。
 マーカスはこれまでの強い責めとは違い、優しく法子を扱った。
 それがこれから起こることを余計に恐ろしく考えさせられてしまった法子は、負けたくないと思いながらも、快感に流されつつある自分に絶望していた。
 そしてマーカスは自らの手で法子の胸を揉みながら、マーカスは自身の大きなそれを法子の腹に擦り付けた。
 法子はごくりと喉が鳴るのがわかった。
 大きい……。こんなもので突かれたら、どうなってしまうのだろう。
 それは期待に満ちたものだった。
 しかし、同時に恐怖でもある。
 一度そんなものを味わってしまっては、もう戻れない。
 そう思ったのだ。
 そしてやはり先程思った通り、今までの責めと打って変わって紳士的、というよりかは優しい責め方に、法子は戸惑いを隠せない。
 何よ……。なんで、こんなに優しくするのよ。
 どうして、こんなに優しいの……っ。
 そう思いながらも腰は揺れている。
「法子さんは優しくされるのも好きなんですね。ほら、腰が動いていますよ」
 言われた通り、腰がゆらゆらと揺れ、マーカスの自身に自分の腹を使って擦ってしまっていることに気づいた。
 法子は必死にそれを止める。
「そ、そんなことない!」
 法子はそう言って反抗するも、マーカスは「では、激しくしてあげましょう」と言って、まず胸を鷲掴みにして乳首に刺激を与えながら双乳を思い切り動かした。
「いぃああああっ!」
 乳首を思い切り摘ままれ、指で弾かれる。
「激しいものの方がお好きなようだ。では、こちらもいじめて差し上げます」
 そう言って、マーカスは法子の尻を叩きながらアナルに触手を入れていく。
 コブがあるその触手で、ポルチオの裏側を刺激され、さらに出し入れをされるのだ。
「だ、ダメっ! ダメェ!」
 これ以上この快感が続いたら、本当に頭が変になってしまう。
 法子は頭の中で警鐘が鳴った。
「ダメじゃなくて、気持ちが良いんですよね?」
 マーカスは法子の胸を掴んで抓った。
 弾力のある胸が無理矢理ひしゃげられて痛みを感じた。
「ああああっ! そうです! 気持ちいいです!」
 思わず本当のことを口にしてしまうほどの痛みだった。
「素直な子は好きですよ。……では、入れてあげますね」
 法子は戸惑いと同時に、喜びが自分の中にあるのがわかった。
 それは難しい感情で、自分でもなかなか処理が出来ないでいる。
 でも、忍び寄るその感情の波が最高潮に達する
 ぐちゅりと入り口に大きなそれが口付ける。
 そしてゆっくりと、太くて長いそれを挿入されていく。
「う、うぅ。っくぅ!」
 法子は耐えた。
 それだけ辛くなるくらい、あまりにも大きくて質量のあるそれを、自らの身体に入れられる。
 ゆっくりと進んでいくそれは、法子のうねる膣壁を掻き分けて奥へ奥へと進んでいく。
「どれだけ待っていたんですか? ここ、キツキツですよ。それに、凄く締め付けてくる。まるで、絶対に離したくないと言わんばかりだ。まるで処女のようですよ」
「だって、だってぇ……!」
 メリメリと奥まで進み、ついに子宮口まで辿り着く。
 そして一気に腰を引かれ、突かれる。
 ポルチオが刺激されて、法子は胸を仰け反らせる。
「ひぃっ!」
「ほら、奥まで入りましたよ」
 ぐぐっと奥まで届き、子宮口を刺激される。
 法子はあまりの圧迫感に息を荒くした。
「お腹が、お腹がいっぱいだよぉ!」
 今までに経験したことがないくらいの圧迫感に、法子は思わず声を漏らした。
 そんなにも大きなものを受け入れたのは初めてだったのだ。
「そうですね。さあ、動けますか? 動いてみてください」
「え……?」
 法子は思わずそう聞き返した。
「自分から動いて、気持ちよくなってみてください。ああ、でもそうですね。最初くらいは私が動いてあげますよ」
 マーカスはそう言って腰を動かし始めた。
 激しく、時には優しく、緩急をつけた腰使い……。
 耳に淫らな水音が聞こえる。
 ぐちゅ、ぐちゅという音。
 そしてお腹の奥、ポルチオを何度も叩かれ、鈍痛にも似た快感が与えられていく。
 ぐぐぅっと強くポルチオを刺激され、さらにはGスポットにも刺激が与えられて、法子はもう限界だった。
「あっあっ! イクゥッ!」
 イッてもイッても、マーカスは法子をさらにイカす。
 そして法子はその度に何度もイッた。
 ランダムで与えられるその快感に、腰をガクガクと痙攣させながら何度もイク。
 その間にも胸を刺激されて、さらにイキやすくされてしまう。
 尻にも刺激を与えられて、ポルチオを表と裏側から刺激されるなんて、とてもじゃないが耐えられない。
 法子は背中を反らせると口を開いた。
「う、うああっ!」
 獣のように叫んで、喘いで、マーカスに犯される。
 敵わない……。こんな気持ちがいいなんて。
 そう思う法子は、既に勝とうだなんて思えなかった。
 もう逃げ出そうなどとは、思うことが出来なくなっていった。
 八雲先輩には、悪いけれど……。
 こんなにも気持ちがいいのに、ここから逃げたら、味わえなくなってしまう。
 ここを逃げ出しても、普通に生きていくだけの自信が、私にはないの……。
 八雲はそう思えてしまったのだ。
「騎乗位ってしたことがありますか?」
 マーカスは突然そんなことを言い出した。
 法子は突然のことに戸惑いながら答える。
「え、な、ないけれど……」
 そう言うと、マーカスはにっこりと微笑んだ。
「そうですか。では」
――やってみてください。
 マーカスはそう言うと一旦抜いてから体勢を変える。
 マーカスは寝転がり、法子の腰を掴んでそそり立つそれに先程まで入れていた秘裂の中へと導いた。
 すると法子のとろとろのそこへそれが入っていく。
「んんあ……っ」
 先程までとは違う角度に、法子は思わず声が出た。
「さあ、動いて。上下左右、前後に動いてみてください。自分の好きな角度になるように」
 言われるがまま、法子は腰をゆっくりと動かし始めた。
 最初は抜けてしまったりもしたが、次第に腰使いが上手くなっていき、自ら快感を貪りにいくようになっていった。
「ああ……っ!」
 切なげに鳴いて、腰を、足を痙攣させてイッた。
 すると今度はマーカスは足腰が立たない法子に四つん這いにさせ、バックで挿入し、さらに激しく犯し始めた。
 胸はもちろんのこと、陰核も触手で犯し、さらにアナルも触手で犯した。
 法子はこの責めに耐え切れず、崩れるように顔を俯かせながらその快感を受けていた。
「どうです? このご褒美は」
「す、凄いのぉ! 気持ちいいのが、止まらないぃ!」
「そうですか。それはよかった。八雲さんは残念でしたねぇ。こんなにも気持ちよくなれるのに」
「せ、先輩の話はしないでぇ……」
「ま、いいでしょう。それよりほら、中が面白いくらいくねくねと動いていますよ。腰と同じようにね。それだけじゃない。僕を離すまいときゅっきゅと締め付けて来る」
「だって、だってぇ。勝手に締め付けちゃうんだもの……!」
「では、もっと犯してあげますからね」
 法子は喜びでまた膣をきゅっと締め付けた。
「そうですか。そんなに嬉しいんですか」
 法子が返事をする間もなく、また犯される。
 そして法子は一晩中犯された。
 腰が痙攣しまくり、腰が役に立たなくなるくらい疲れても、それでも犯され続けていた。
 マーカスは法子のいいところばかりを責め、また触手を使っての胸の快感を導き出したりもした。
 膣の中の、奥にあるポルチオを何度も突き上げられて、法子はあまり開発されていなかったそこを、開発され、イキまくり、潮を何度も噴く。
 様々な体位で犯され続け、その中でマーカスは法子が自ら動くことを望み、法子自身に動かさせていた。
 そして自ら快感を得るための動きを教えると、法子はあっと言う間にその技を使って快感を得る。
「イク、イクイクッ! またイッちゃう!」
 法子がそう叫ぶとマーカスは腰を動かしてさらに強い快感を与えた。
「もっとイキ狂いなさい。自分を忘れてしまうくらいに」
 もう法子の瞳には強い信念や任務に対する気持ちなど、どこにもそんな光は見当たらなかった。
 そして今では充実感たっぷりに揺れ、上下だけでなく女性的にくねり、熟練の娼婦のように巧みな腰使いをしていた。
 僅か一晩でぎこちなかった腰使いは、今ではもうそんなこともわからないくらい巧みになっていた。
 身体能力が高い分、呑み込みも早い。
 セックスはスポーツの一種だという人がいるが、一理あった。
 法子はまるで淫魔から助けてきたバカ女どものような声を響かせる。
「ごめんなさい、先輩。でも、止められないんです……」
 法子からはそう懺悔があった。
 でもどこか甘い声色。
 潮噴きし、腰を痙攣させ、全身で絶頂を伝えていた。
 微かに微笑む法子。
 そこにあったのは優越感。
 八雲よりも上である、快感を得ているという感情。
 それを目にした八雲は目を見開いた。
 ああ、法子が淫魔の手に落ちてしまったのだと。
 そして、もう一つは自分の中にある感情……。
 八雲は法子への怒りよりも、嫉妬が勝った。
 どうして私ではなかったのか。
 どうして私は気持ちよくなれないのか。
 どうしてマーカスはあんなもので順位を決めたのだろうか。
 なんて、戦士らしくもないことを八雲は思った。
 疼く身体、でもそれを責めるものはいない。
 どうしたらいいのだろう。
 どうしたら、法子のようになれるだろう……。
 法子のようにイキたい……。
 いや、ダメだ。そんなことを考えては。
 私は法子を助けに来たんだ。
 こんな淫魔とセックスするために来たんじゃない!
 ましてやこんな淫魔を求めるだなんて、そんなことしてはいけない!
 そう思うも、硝子のようにあっと言う間に砕けてしまうプライド、信念。
 嫉妬は心に少しだけ残るものの、その硝子の信念を大事に胸に秘め、まだ諦めないと八雲は自分に言い聞かせた。
 そして恍惚とした表情で快感の残り火……、セックスの余韻を味わう法子。
 あそこは繋がったまま、がくがくと揺れ、痙攣する腰。
 対面座位でキスしながら、揺すられ、大きく動かされる身体。
 法子は強すぎる快感に唇を離す。
「すごっ! イクッ!」
 両手両足でマーカスを抱き締め、アクメする。
 鼻水を垂らし、眉や舌を垂れ下げて、だらしない淫靡な表情を曝け出す。
 八雲と目が合うが、法子の意識にはもう八雲は映っていなかった。
 あれだけ先輩先輩と慕っていた法子の瞳は、闇しか映していなかったのだ。
 光など、もうない。
 そして法子はあまりに強い快感で気を失った。
「素晴らしい開花でしたね」
 そう言ってマーカスは気絶し、痙攣し続ける法子を優しく地面に置いた。

■八雲調教9  
 マーカスが八雲に近づいていく。
 その足のしっかりとした歩き方は、前までとは違う。
 ゆったりと余裕を持ち、それでいて威圧感がある。
 雌を仕留める強い雄の目。
 しかも八雲は下で、マーカスは立っている状態。
 上下関係と強さを感じさせた。
 ……以前とは大違いだ。
 前は、私の方が圧倒していたというのに。
 今はまるで違う。
 過去のマーカスはもうどこにもいなかった。
 まさか、こんなにも強いなんて……。
 こんなにも、強くなっているだなんて……。
 誤算だ。完全に甘く見ていた。
 あの法子もやられてしまうのがよくわかる。
 どうしたらこのマーカスを、倒せるだろうか。
 いや、ここからどうやって生きて出られるだろうか。
 もしかしたら、もう出られないのかもしれない……。
 法子も、私も……。
 いや、でもそんなこと考える余裕など、もうない。
 あと少しで、マーカスが私に触れる。
 そうしたら、法子のようになってしまうかもしれない……。
 そう八雲は思っていた。
 しかしそんな思いとは違い、身体は正直に快感を求めていた。
 身体中が刺激を、快感を欲して堪らない。
 気持ちよくなりたい。
 手足は熱くなり、敏感なところは少し風を感じるだけで興奮し、色が変わっていく。
 ダメよ。こんなところで……。
 こんなことで負けちゃ、いけないわ。
 そう思う八雲だったが、思考とは裏腹に、どんどん熱くなっていく自分の身体の変化に、八雲は気づいていた。
 子宮がきゅんと疼いて、目が期待からか潤んでいく。
 膣の奥が、子宮口の辺りまで大きなマーカスのそれが欲しいと叫んでいる。
 お腹の奥に……。
 太くて長いその人外のそれを入れられて、突かれたい。
 普通じゃない責めを、受けてみたい……。
 八雲はそう思うと同時に膣が濡れていくのを感じた。
 ぬるりとしたその感触は、八雲自身にもよくわかった。
 太ももを濡らし、わずかに足が動くとその淫らな液は糸を引く。
 ぬちゃりと音がして、羞恥心を駆り立てる。
 濡れた感覚が心地悪い。
 それだけでなく、これからどうなるのかが、容易に想像できる。
 この敵のマーカスと、何をするのか。
 それはすぐに理解出来た。
 いや、理解するよりも先にセックスすると、直感でわかったのだ。
 ぎらついた眼差し……。
 そこには欲しか映されていない。
 深い深い闇色。
 それがマーカスの瞳には映っている。
 光なんてどこにもない。
 淫魔だから当然なのかもしれないが……。
 ただ、一つわかることがある。
 今度こそ、自分にとどめを刺す気だとわかる。
「欲しいですか?」
 マーカスはそう言って、にやりと笑った。
 しかし八雲は答えなかった。
 答えてしまったら、認めてしまうことになる。
 自分が、欲しがっているということを……。
 自分が、淫らなことをしたいと思っているということを。
 そして、その相手が敵であるマーカスだとしても……。
 しかし、そんなこと、あってはならない。
 そう思う八雲だったが、しかし、法子の方をちらりと見た。
 あの時の満足そうな顔と、今もビクつく肉体。
 私も、あんな風に責められてみたい……。
 そう思いかけたが、わずかに残る信念がそれを口から漏らすことはなかった。
 しかし思考は既にセックスすることしか考えられなくなっていた。
 マーカスとセックスして、気持ち良くなりたい。
 こんなにも疼く子宮を、たくさん突いてほしい。
 でも、それを願ってはいけないと、わかってはいた。
 だが、願わずにはいられなかった。
 そんなうんともすんとも言わない八雲に、マーカスはこう言う。
「まあ、もうすぐ法子さんも起きるでしょうから、またその時に僕の相手をしてもらえばいいですけどね」
 法子はいつ起きるかわからない。
 今この瞬間にも目が覚め、またあの快感を、セックスをするかもしれない。
 また私を見て、「先輩、ごめんなさい」と言いながら巧みに身体をくねらせてマーカスとしてしまうのかもしれない。
 ああ、法子。私の可愛い後輩。
 またセックスされるだなんて屈辱だ。可哀相だ。
 退魔師として、生きさせるために私は何が出来る?
 助け出さなければ。
 せめて、法子だけでも助けなければならない。
 それが今の壊れかけた八雲の心の支えとなった。
「ま、また法子が起きれば、あの子を犯すのか?」
「ええ、淫魔ですから」
 助けたいと。
 再度そう思う。
 しかしそれは法子のためではない。
 傲慢で欺瞞の心が自分のために動く。
 これは法子を助ける行為。
 もはや退魔師、復讐者としてではなく、言い訳をしてセックスしたい女々しいバカ女のような言い訳を自分にしてしまう。
 頭ではわかっているのだ。
 マーカスを倒して逃げ出す。それが最善の道。
 でも倒すことが出来ない。
 ならばどうすればいい?
 ただ黙って敵のマーカスの言うことを聞いて、抜け出せるその瞬間を探せばいいのか?
 でも、そうしても法子が付いてきてくれるかどうか……。
 法子は完全にマーカスの言いなりだ。
 どうにかしてもう一度退魔師としての気持ちを取り戻してあげれば、そうすれば……。
 そんなことを考えながらも、八雲はやはり自分が犠牲になって法子だけでも逃がそうと、そう思うようになった。
 言ってしまえば勝手な正義感を振りかざす振りをして、ただ犯されたいだけなのだが……。
「入れてあげますね」
 八雲はやっと中に入れてくれると身体が喜んでいるのがわかった。
 手が、足がマーカスを絡めるように動く。
 そして膣に挿入される。
 ねとりとした液体に、滑るようにして入っていく。
「これは、法子よりも名器ですね」
 そう言われ、いつか捨てたはずの、それでもどこかに残っていた女としてのプライドが少しだけ戻ってきているような気がした。
 法子よりも私の方が上なんだ。
 私の方が、女としての価値がある。
 そう思うと八雲は急にハッとして、目の前に起こっている出来事を見てみると、なんと酷いことだろうと思った。
 だが、すぐにそんな思考は出来なくなる。
 マーカスからの責めで、八雲は性の感情で支配されるようになったからだ。
 そして八雲は散々、淫気を吸い、焦らされた膣穴や襞、壁は歓喜し、収縮し、うねり、マーカスの男根に絡みつく。
 男根をしゃぶり、性を絞ろうとする。
 まるで淫魔のように。
 しかもそれに負けない硬く太い熱い男根。
 ゆっくりとなんて出し入れされない。
 マーカスはその男根を素早く八雲の膣に挿入し、腰を動かした。
 ごりごりとGスポットを抉り、さらには子宮口……、ポルチオを強く刺激するのだ。
 ずんずんと進んでは戻り、また進み……。
 八雲は想像を超えるその強い腰の動きに思わず喘ぐ。
「っああ!」
 その人外のそれを入れられ、八雲はずっと欲しかった感覚に身体を震わせる。
 身体は歓喜に満ち、ぎりぎりに保たれていた精神も少しずつ性欲に傾いていく。
 もうまともな思考なんてしていられない。
 与えられる快感に、ただ流されていく。
 大きな川に流されて行くように、どうしようもない快感。
 気持ちがいいという感情が、頭を占める。
 ぬるぬると出たり入ったりするその男根に、八雲は堪らず声を上げる。
「ひああっ! イク! イクゥ!」
 八雲は胸を揺らしながら何度もイッた。
 マーカスの男根をぎゅうぎゅうと締め付けながら。
 マーカスは八雲の上半身を、下半身を、全身余すことなく欲に塗れるように刺激をして、快感を与える。
 八雲は形のいい尻を震わせ、腰を痙攣させる。
 これ以上耐えられないと言わんばかりに。
 それでもマーカスは快感を与え続ける。
 すると八雲の瞳からは次第に光が失われて行く。
 このまま溺れてしまってもいいのではないか。
 快感に流されても、許されるんじゃないか。
 そんな風に思っていると、マーカスは締まりのいい孔を拡張し、ほぐし、捏ね、蹂躙してくる。
「ああああっ! もうダメ、ダメェ! イッてしまう! イッてしまうからあ!」
 そう言って身体中を震わせて八雲はアクメを味わった。
 だが、イッてる間にもマーカスは快感を与え続けるのだ。
 ずっとイッているかのような、そんな感覚がして、八雲は触られることすら恐れた。
 しかしそんなこと、マーカスは関係ないというかのように、腰を動かし、手を、触手で八雲に快感を与え続けた。
 法子以上の巧みな動き。
 マーカスは八雲のその動きをさせることが出来たという優越感に浸っている。
 マーカスが八雲の顎をくいっと持ち上げ、キスをする。
 淫気をたっぷり沁み込ませた唾液を、八雲に含ませるために。
 八雲はそんなこととは知らず、唾液を無理矢理入れられて、それを飲むしかなかった。
 すると感度がさらによくなり、八雲はその度に身体をびくびくと動かして、必死に快感に耐えていた。
 いや、耐えきれてはいないのだろう。
 今だって、快感の波に押し流されそうになっているのだ。
 その証拠に、喘ぎ声は大きく、くねらせる腰や揺れる胸で躍るように快感を貪るその姿は、まさに妖艶な姿だった。
 マーカスは必死な八雲と違って、余裕の表情を浮かべている。
 やっと八雲を自分のものに出来たと、表情には出さなかったがマーカスはそう思う。
 自分を殺した相手を屈服させることが出来る。
 ああ、なんと素晴らしいことだろう……!
 あの八雲さえも自分は自由に出来る!
 マーカスはそう思いながら、八雲を犯し続ける。
 そしてマーカスは法子よりもねっとりと絡みつくような膣の感触を味わっている。
 さすが八雲だとマーカスは思った。
 法子のようにまだ快感を知り始めたばかりの小娘より、それよりも経験を積んだ八雲のような若い娘の方がいい。
「膣が痙攣していますよ。まるでもっとと精を搾り取ろうとしているみたいだ。あんなに嫌がっていたのに、変ですね? もしかして、嘘でも吐いていたんですか? まさか八雲さんが、そう簡単に陥落するとは思えないのですが」
 そう言いながら、腰を動かす。
 マーカスは法子の膣もよかったが、八雲の膣の方が好みだと感じていた。
 法子は狭く、とにかくきつかったが、八雲は狭いもののその入り込んでくるものを優しく包むような、そんな膣だ。
 子宮口も、法子は硬め、しかし八雲は少し柔らかかった。
 マーカスは二人の違いを楽しみながら八雲に腰を打ち付ける。
 八雲は無意識に巧みに膣を収縮させ、マーカスの精を絞ろうと、気持ちよくなろうと必死だった。
 マーカスはそのことに気づき、八雲の耳元で囁く。
「気持ちいいんですね? ここ、ひくひくして僕を離すまいとしていますよ。もっともっと気持ちよくしてあげますからね。そして頭を狂わせてあげます」
 その言葉に、八雲は何も反対することも出来ず、むしろ当たっているからこそ否定の声を上げられなかった。
 期待もしてしまっている。
 こんなにも期待してしまって、もう自分はダメではないのか。
 でも、これは法子のためでも……あると言えるだろうか。
 八雲は自分のせいなのに、それを法子のせいにしてしまおうという自分の醜い心に気が付くと、頭を振ってその思考を頭の隅へと追いやった。
 残ったのは自分への快感を貪ることだけ。
 またマーカスと絡み合い、八雲は自分の使命だとかそういうものを一切忘れて、ただの女に成り下がった。
 何度も擦られ、突かれ、八雲は快感のあまり、目に涙が……。
 それは歓喜の証拠。
 八雲は気持ちよさのあまり涙を流してしまいそうになる。
 だが、プライドが邪魔してそれが出来ずにいる。
 しかし時間が経つにつれて、マーカスとセックスという行為をしている八雲は徐々に声を大きくしていき、ついに達する時、大きな声を出した。
「イクッ! あぁっ、ああああーーーーっ!!!!」
 法子以上の声。
 あまりにも大きな声で、その空間に八雲の声がより響いた。
 法子が気絶しているからだろうか。
 それだけ、八雲は大きく叫んで喘いだ。
 法子に聞かれることもない、という安心感からだろう。
 それだけ大胆になっていることに、八雲は自分でも気づいていた。
 しかしマーカスはまたしても八雲の耳元で囁く。
 意地悪そうに笑って、楽しそうな声色でマーカスはこう言うのだ。
「もし、法子さんが聞いていたら、軽蔑していたでしょうねぇ」
 マーカスはそんなことを言って、八雲の心を弄んだ。
 八雲はそう言われてさらに感じていた。
「法子には、法子には言わないで……!」
「さあ、どうでしょう。それは私の自由ですよ。でも、少しは考えてあげてもいいかもしれないですね。と言っても、どうせすぐにバレてしまうでしょうけどね」
 そう言われた八雲は文句を言おうと睨みつけるもすぐに気持ちよさに流されてしまう。
 背徳感を味わいながら、マーカスに突かれ、気持ちよくて声を出すまいとしてもつい出てしまう。
 もう何も考えられない。
 もう、法子を助け出すことさえ出来ないかもしれない……。
 そんなことを思うと、切なくも思えてきたが、今ある快感を貪って、見えない振りをすることにした。
 しかも八雲はさらに興奮で子宮口は降り、突かれる度に亀頭部にキスし、その振動が子宮そのものを震わせる。
 さらにGスポットは厚みを増し、存在感を増し、もっと責めて欲しいと自らの弱点をさらけ出す。
 マーカスは法子とは違う八雲のその膣の感触に、思わず笑みが浮かんでいた。
 法子はもっと浅くて、中の感触がつるつると若い感じがしたが、八雲の膣は柔らかく、包み込むような温かさなのに、それ以上に考えられないほど、締め付けてくるのだ。
 そしてマーカスは人外の体力で八雲がイッても、潮噴きしても、何をしても休みなく責められ続ける。
 正常位はもちろん、騎乗位、対面座位、他にもいろいろな体位で犯し続けた。
 さすがに修行を積んだ八雲もここまで強く激しく長く犯されることは想定外のことで、疲れてしまってもう動けないような状態だった。
 ぐったりとした身体……。
 汗が玉になり流れていく。
 それでもマーカスは責めるのをやめない。
 八雲は堪らず声を漏らす。
「もう無理、もう、イケない……っ!」
 それはとても甘く、熱い吐息のような声だった。
 その言葉通り、八雲はもう腰が立たないほど、体中がガクガクと痙攣を起こしている。
 それでもマーカスは腰の動きを止めない。
 さらにはこんなことを八雲に言い放つ。
「まだまだイケますよ。大丈夫です。あなたは強いですから。この程度で根を上げた振りだなんて、お仕置きしなくちゃいけませんね」
 そう言って、マーカスはさらにあらゆる体位で責め続ける。
 その度に八雲は喘ぎ、身体を痙攣させながらイキ、時には潮噴きをしていた。
 地面には八雲の飛ばした潮が水溜まりのようになっている。
 八雲とマーカスの接合部からはぬちゃぬちゃと音が出るほど、いやらしい液に塗れていた。
 その液体は、泡立って、白くなっていた。
「っひぃ、ああっ! あうぅうううっ! 無理、もう無理ぃ!」
 八雲は戦士としてではなく、すでにひとりの女としてそこに存在していた。
 突き上げられる度に悲鳴にも似た嬌声を上げる。
 胸を大きく仰け反らせて、その大きさのある胸が仰け反らせる度に揺れ動く。
 その揺れ動いている胸にも感じてしまい、八雲はまさに快感責めをされてしまっていた。
 マーカスはその揺れ動く胸に手を伸ばす。
「素晴らしい肉体です。復活したかいがありますよ」
 それだけでももう限界だった。
 八雲は派手にイキ、マーカスは胸を鷲掴みにして堪能すると、さらに八雲の胸を五裂触手で責めながら犯す。
 触手に責められる胸は、ずっと触られたかったと主張し、触手はそれを受け入れるように引っ張って伸ばし、舐めるようにして刺激を与える。
 その胸の気持ち良さがさらなる快感を生む。
 上半身から下半身まで、余すところなく快感を与えられ、責められていく。
 八雲は気持ちよくて堪らない。
 そうだと言うのに、マーカスはさらにこう言う。
「この状態であれをしたらどうなると思います?」
「お願い、やめて」
 悲壮感伝わる声色。
 完全に負け犬の声だった。
 もちろんマーカスが聞くはずもなく……。
 そして時間停止。
 10秒、孔を好き放題突かれて、胸を触手で絶頂吸引。
 今までよりもより強烈に刺激がいくように八雲の穴のGスポットを刺激しまくり、ポルチオを突き上げまくった。
 さらには胸を絶頂吸引……、どう頑張っても並大抵の女性でも強い女性でも絶頂せざるを得ないような吸引をする。
 大きな胸全体はもちろん、乳首も同時に責めていく。
 柔らかな弾力のある胸を優しく揉み、徐々に強く揉む。
 乳首は摘まむようにして吸引しながらその根元を絞めるように刺激していく。
 そして……、時間が動き出す。
「っ!!!!」
 あまりの快感に声も出せない。
 白目を剥いてしまうんじゃないかと言うくらいの快感……。
 乳首が異常な痙攣をし、潮噴きをする。
 再びマーカスは時間を止めて、再び八雲にもっと強い刺激を与えると時間を進めた。
 すると一瞬遅れてまた快感が押し寄せる。
 腰が震え、理性の黒目が上を向き、白目を剥く。
「面白いですねぇ。もっともっと見せてくださいよ。八雲さんのイクところを。そのプライドと信念で固まっていた顔をもっとぐちゃぐちゃにして見せてください」
 もっと気持ちいいのをあげますよ……。
 そう囁かれ、八雲の膣は答えるように収縮した。
 マーカスはその行為を気に入ったのか、何度も時間停止をし、そして刺激して時間を動かすということを繰り返した。
 時には八雲に大きく負担の掛かる寸止めを何度も何度もした。
 すると八雲は切なげに声を上げ、いつものきりっとした眉を下げてその涙黒子を何度も汗と涙で濡らした。
「ほら、お尻叩いてあげます。嬉しいでしょう?」
 そう言いながら、マーカスはバックで八雲を犯した。
 触手で胸を責め、膣を己の男根で責め、アナルにも触手を、さらには尻を叩くという八雲にとって辛い責めをする。
 だが、八雲も辛いだけでなく、やはり相当気持ちがいいのだろう。
 辛いだけの表情じゃない……。
 その顔は完全に雌の表情。
 それを見てマーカスは満足気に笑っていた。
「中に出してあげますね」
「そ、それだけは……! それだけはやめて!」
 八雲は必死にそう言った。
 しかし当然のようにマーカスは「え? 何ですって? すみませんね。聞こえませんでした」
 そう言って、八雲の子宮口に亀頭をぐっと押し付けて中出しをする。
 八雲はお腹の中が温かいもので満たされる感覚があるのを感じた。
 ああ、出されてしまった。
 淫魔に犯されて、中にも出されて……。
 どうしたら、いいのだろう。
 もう八雲はどうしたらいいのかわからなくなっていた。
 信念も、プライドももうズタズタに引き裂かれていた。
 後輩の法子のことだって、気にはなるがもうほとんど頭の隅から消えている。
 今はただ快感を貪ることしか考えられない。
 そんな八雲の気持ちをマーカスは理解していて、さらに激しく責め立てる。
 時間を止めて、大きな刺激を与えて、時間を進める。
 それを何度も繰り返し、八雲はさらに雌としての感情を持つようになっていく。
 戦士としての八雲の姿は、既にそこにはいなかった。
「何を考えているんですか? 随分と余裕ですね。もっと触手を激しく動かしてあげます。もちろん、ピストンもしっかりしてあげますからね。安心してください」
 何が安心してくださいなのかがわからない。
 ただ、触手がより強く胸を吸引するようになり、アナルの触手も出入りが激しくなっていく。
 マーカス自身も先程よりも早く腰を振って、八雲はその快感に涎を垂らしながら甘い痛みを甘受していた。
 もう嫌がったりなどしていない。
 ただひたすら、マーカスの男根を受け入れるオナホールのようになっていた。
 しかしオナホールと違い、しっかり吸い付くように絡みつき、また収縮する。
 八雲は顔だって良い。
 そこらの娼婦よりずっと美人だ。
 マーカスはこんな強い女を自分のものにしたことで優越感に浸っていた。
 他の淫魔よりもずっとイイ想いをさせてもらっているはずだ。
 マーカスはにやりと笑った。
 そしてそんなことを何度もされ、中出しされ続ける。
 接合部からは白い液体がたらりと垂れ流れている。
「まだまだお楽しみはこれからですよ」
 八雲はまだ終わらないのかと絶望を味わうことになった。
「お口にも、入れてあげますよ」
 そう言って、マーカスは男根に似た触手を取り出して、それを八雲の口の中に入れた。
「ふぁ……っ!」
「ちゃんとしゃぶってくださいね? 噛んだりしたら、お仕置きですから」
 八雲は背中がぞくぞくとした。
 そうしている内に、口の喉奥にまで犯され、上手に息が出来なくて八雲は涙を浮かべる。
「イイ表情になるようになりましたね。いいですよ。もっと雌らしい顔をしてみてください」
 そう言って、マーカスは八雲の膣をひたすら犯し、精液が中から漏れ出るくらいまで中出しをし続けた。
「んぐぅっ!」
 口を犯されることはなかなかないため、八雲は戸惑いを感じていた。
 しかし、気づけば口を犯されることが気持ちよくも思えるようになってきた。
 八雲はどう見られているかを想像してしまい、つい顔が赤くなってしまう。
 だが、それは長い間責められていることもあって、その変化はほんのわずかなものだった。
 しかしそれにマーカスは気づいてしまう。
「顔がいやらしいことになっていますよ。先程よりも赤みもありますし、口に突っ込まれて感じているんですか? まるで変態ですね」
 八雲は悔しいことに反論が出来ない。
 ただ、羞恥心が、より身体を熱くすることだけはわかった。
 こんなやつに、好きにされている。
 そう思うと八雲はさらにうるうると瞳を潤ませ、必死に快感を受け止めていた。
 そうしている内に八雲の身体は開発されていき、少し息が掛かっただけでも感じるようになり、さらに触られると気持ちよさのあまり、びくびくと腰が動いてしまうようになった。
「いいですね。イイ感じになってきましたね。想像以上だ」
 そう言われながら、マーカスに責められ、八雲は言われた通り、身体を開発されつつあった。
 マーカスはどこもかしこも触手を使い、自らの手でも触り、感度のチェックをたまにしながら、挿入したままの言葉責めで八雲の心をより強く支配しつつあった。
「あああああーっ! ああっ! あっ!」
 八雲はもう言葉を話せるどころか、考えることさえ出来なくなっていた。
 ただ雌として叫んで、喘いで、身体を身動ぎしていた。
 八雲はマーカスの術中にすっかりハマってしまっていた。
 マーカスは八雲の弱いところをさらに弱くさせ、より敏感な身体へと作り変えていく。
「乳首がこんなに大きくなっていますよ。その内鈴でもつけましょうか?」
 マーカスがそんなことを笑いながら言う。
 八雲はそんなのは嫌だと思ったが、同時にされたいとも思ってしまっていた。
 もう八雲の強い信念は、随分と小さくなってしまったのだ。
 逃げられない。
 逃げたいとも、今はもう思えない。
 そして2時間後、開発されきった八雲の姿があった。

■八雲調教10  
 その日は一日休みだった。
 そのため淫気が消え、八雲は正気に戻される。
 しかし開発された肉体はもう戻らない。
 記憶は消えない。
 あの限界だと思った上にある限界、快楽。
 胸に刻まれてしまった快感の記憶。
 怒りや屈辱はもうない。
 何故ならあいつには勝てないとわかってしまったから。
 自分の体重、身長の2倍も3倍もある相手に頭を叩かれて怒りが湧くだろうか?
 絶対に勝てないとすぐにわかり、へらへらして距離を取るだろう。
 それは無理矢理怒りや屈辱を抑えるのではなく、初めから怒りが湧かないものだ。
 怒りよりも関わってはいけないと本能が逃げを選択する。
 八雲もそうだった。
 それよりも、早く欲しい。
 セックスしたいと思った。
 身体がマーカスとの激しいセックスを求めて堪らない。
「こんなことって……」
 思わず呟いた言葉は、信じられないという自分への言葉だった。
 もうマーカスに勝つことは出来ない。
 援護もきっと来ない。
 来たとしても、きっとマーカスに負けてしまうだろう。
 もう、誰にも犠牲になってほしくない。
 それに、あの強い責めを、他の誰かに取られたくない。
 どちらかというと、マーカスとの激しいセックスを奪われることの方が、八雲にとっては辛いと思い始めていた。
 でも、それでも最後まで反抗したい。
 最後まで、退魔師として、戦士としていたいとも思った。
 だがそんなもの、あっと言う間に消え去ってしまう。
 肉体が求めてしまうのだ。
 マーカスの肉棒を、触手を、責めを、セックスを。
 こんなことなら正気になんて戻らなくても良かった。
 正気に戻ったから、こんなにも辛い想いをしなくてはならない。
 ずっと狂った空間に居れば、何も考えずに済んだのにと八雲は切なく疼く自分の身体を抱き締めた。
 そんな時にマーカスが部屋に入って来る。
「気分はどうですか?」
「最悪よ」
 そう言い、僅かに残ったプライドを守ろうとする。
 だがそのプライドも風前の灯火。
 マーカスはそれを知っていて、わざとプライドを壊すようにしていく。
「最悪と言っている割には、何かを期待されているようですけれど」
 そう言ったマーカスは八雲の顎をくいっと持ち上げ視線を合わせる。
 八雲は恐怖と期待が混ざり合う。
 それはしっかりと目にも表れていた。
「いい目になりましたね」
 そう言い、八雲にキスをするマーカス。
 しかし八雲はマーカスをビンタし、睨んだ。
 まるで普通の女のようにマーカスを睨む八雲だったが、いまいち迫力に欠けるところがあった。
「舐めないでよね」
 そのままマーカスを払いのけようとするが、強引にキスされ、全身を抱き締められる。
 抵抗するが、相手は人間ではない。
 力がそもそも違う。
「離して」
 ただ、八雲の抵抗はどこか予定調和のようなものだった。
「離してと言いながら、期待に満ちた目をしていますが、もしかして僕の気を惹きたいんですか?」
「……そんなんじゃ、ないわ」
 八雲は完全に女の顔をしていた。
「そうですか? 本当はまたあの淫らな行為をしたいと思っているのでしょう? イキたいと願っているのでしょう? 正気に戻って、また現実を生きなければならないというのも酷な話です。僕が全てを忘れさせてあげますよ」
 そう言って、マーカスは八雲を押し倒す。
「やめて」
 口ではそう言っているものの、マーカスの手を払いのけることもせず、ただじっとマーカスを見つめていた。
 その表情はまさに雌そのもの。
 期待をしていた。
 口では嫌だと言っているが、実際のところ八雲はマーカスが欲しくて堪らなかった。
 そんな八雲の気持ちが手に取るようにわかるマーカスは、自分のものになった八雲の髪を撫でる。
「やめてって、言ってるでしょ」
 八雲はそう言うものの、マーカスの手を払いのけることもしない。
「可愛らしい反応ですね。最初の時とは大違いだ。あんなに強かったのに、今では借りてきた猫のようですね」
「……」
 マーカスは八雲の頭を撫でながらにっこりと微笑む。
「ここに居れば、もう辛い任務なんてやらなくても済むんですよ。気持ちいいことがしたいのならば、僕が相手になりますし、どうです? なかなかいいと思いません? ここで一緒に暮らしませんか?」
「……別に、そんなの」
 八雲は言葉が出なかった。
 魅力的なその提案は、八雲の心を蝕むには十分すぎるものだったからだ。
「……だめ。私は、退魔師だもの」
 八雲の残された退魔師としての最後のプライドだった。
「そんなもの、捨ててしまえばいい。忘れさせてあげますよ。今日は優しく、ね」
 その言葉通り、とろとろにとろけさせるようなセックスをマーカスと八雲はすることになる。
 まず八雲にキスを何度もして、マーカス自らの手で胸を責め、陥没した乳首をぴんと上を向くように触り、擦り、刺激をした。
 するとあっと言う間に陥没していた乳首は隆起し、つんと上を向く。
 マーカスはその乳首を自らの口で吸ったり、甘噛みしたり、手で摘まんだりした。
 八雲は小さく身動ぎをして喘ぐ。
「ん……っ」
 開発された身体はその優しい快感が唯々もどかしく思えてならない。
 しかしマーカスはそれを知ってか知らずか、さらに優しく扱う。
 まるで八雲を処女のように。
 秘裂に指を滑らせ、大きくなっている陰核を擦る。
 すると八雲は辛そうに、切なそうに表情を変えた。
 マーカスは八雲の愛液を指に付け、それを陰核に擦り付けて手マンをする。
「あ、ああっ!」
 その刺激に八雲は喘ぎながらもこう思った。
 まだ足りない。
 全然足りない……!
 もっと激しいのが欲しい。
 そう。つい昨日のような、あんな激しい責めを受けたい!
 八雲はそう思うと、マーカスの手を掴んだ。
 そして、目を潤わせてじっとマーカスを見つめる。
「どうしました?」
 そう言って、マーカスは手を止める。
 八雲は何も言わない。
 だが、その眼がもっとして欲しいと、もっと激しくして欲しいと訴える。
 マーカスをじっと見つめる八雲の目は、もう優しいだけなんてと言っている。
 もっと、もっと激しくとその目は期待で潤んでいた。
 するとマーカスはその思考が手に取るようにわかり、仕方ないといった様子でわざとらしくため息を吐いた。
「……いいでしょう。また、昨日のように激しくしてあげますね」
 そう言われた八雲は歓喜した。
 やっと、もっと気持ちよくなれる。
 それから、マーカスは容赦なく八雲を責めるのだった。
 触手を使い、まず八雲の胸を責める。
 たゆんたゆんと八雲の胸が揺れ動き、刺激されているのが見てわかった。
 そして触手で乳首を思い切り吸われ、八雲は快感に震える。
 千切れてしまうんじゃないかと思えてしまうくらいぎりぎりまで乳首を吸引されて、さらにその伸びた部分をブラシのような触手で叩くように撫で、擦り上げた。
 さらには双乳を両手で掴み、思い切り揺らす。
 乳腺が刺激されて気持ちが良いのだろう。
 先程までの表情と一変し、唾液を垂らしながら必死に耐えるようにそのマーカスの責めを全身で受け止めて、切なそうに眉をきゅっと下げて物欲しそうな表情を浮かべていた。
「その表情、いいですね。あれだけ強気だった八雲さんも、やっと素直になりましたね。それにしても、本当に気持ちよさそうだ。もっともっと感じさせてあげますよ。……そうですね、次はお尻の方でも責めてあげましょう。胸はそのまま触手で弄ってあげますから、安心してくださいね。あなたは胸がお好きでしょうし、たくさん犯されたいんですよね」
 そう言われると、八雲は何も言えなかった。
 プライドの高い八雲に、それを認めるという選択肢がなかったのだ。
 だが、そんなプライドも崩れるくらい、マーカスは激しく八雲を責める。
「ひぃいいっ! あうぅっ!」
 胸だけでこんなにも喘いでしまうほど、マーカスは八雲のいいところ、気持ちよくなることを熟知していた。
 それは淫魔としては当然の能力なのかもしれない。
 それに、あれだけ犯していれば、知っていてもおかしくはないだろう。
 いや、マーカスは確実に八雲のいいところを知っていた。
 その巧みな責めは、いいところを知っていなければ出来ないものだった。
 そしてお尻の方に触手で犯す。
 尻穴のしわを一本一本伸ばすように丹念に触手が舐め、アナルの中にこぶがある触手が入っていく。
「っくぅ……!」
 出たり入ったりを繰り返し、八雲は焦らされている感じがした。
 汗が玉になり落ちていく。
 そしてその大きなヒップを揺らして、自らいいところに触手が当たるようにと動く。
「ポルチオの裏側は、ここでしたね」
 マーカスはそう言うと、八雲のポルチオの裏側を刺激する。
「う、うああっ! だ、だめっ! そこ、そんなに擦られたら……っ」
 八雲は自らも腰を振って、マーカスに足を絡めていく。
「こんなに離すまいとしているのに? 嘘はいけませんよ。では、こちらも、入れてあげますね」
 既にとろとろのそこに、マーカスの男根が入っていく。
「……っ!」
 ずぷずぷと入っていき、一回奥を突くと、ぎりぎりまで腰を引いて、今度は思い切り奥を突く。
 がんがん奥を突かれ、Gスポットを擦られ、八雲は白目を剥いてイキまくる。
「ぃいあああああーーっ!」
 胸もお尻も、秘部も犯される。
 八雲はあまりの快感に、潮を噴いた。
「お得意の潮噴きですね。今日はどこまで飛ぶのでしょうね」
 そう言いながらも、八雲に快感を与えていく。
 八雲は気持ちよさで頭がいっぱいになっていた。
 気持ちいい! もっと、もっとイキたい!
 淫魔ごときに、こんなことを思うなんていけないことだけど、でも、だって気持ちいいんだもの!
 八雲はもう快感のことしか考えられなかった。
 自分が退魔師、戦士であることを思い出す暇なんてどこにもなかった。
「あっあっ! もっと、もっとぉ!」
「淫乱な雌になりましたね。いいですよ。正直な八雲さんも中々そそられるものがある」
 そう言いながら体位を変え、八雲をバックからマーカスは犯した。
 じゅぽじゅぽと淫らな音と八雲の喘ぎ声がその部屋中に響き渡る。
「あああああーーっ!」
 角度が変わってさらに奥の方に届くようになり、ポルチオを強く刺激される。
 八雲はその気持ちよさで腰が、足が、手が痙攣する。
 そして土下座するようにお尻を高く上げて、マーカスのものが出たり入ったりをスムーズにするかのような格好を自然と取っていた。
「そんなに突かれたいんですね。いいでしょう。もっと気持ちよくして差し上げます」
 まるで昨日を繰り返すように、同じような責めを受け続ける。
 八雲は思った。
 確かに気持ちいいけれど、でも、これだけじゃまだ足りないと……。
 しかし気持ちいいことには変わりはない。
 潮を何度も噴き、汗だらけになってまで長く強く犯され、喘がされる。
 だが、八雲はその鍛えられた並外れた体力のせいで、気絶することさえ許されなかった。
「この角度がお好きなんですよね?」
 そう言いながらマーカスは八雲の乳首をぎゅっと握りながら吸って、陰核を激しく擦り、さらにアナルを触手で、秘部は自身のもので犯し、責める。
「そ、その角度は……っ! ああ! だめ! またイッちゃうぅーっ!」
 八雲はそう言いながら潮を噴いて派手にイッた。
「そうだ。八雲さんはイケばイクほど美しくなる。我慢せずにイッてくださいね。……と言っても、そう言わずともイキまくりですね」
 そう言われながらも、八雲はやはり返事をする余裕などなく、マーカスの言葉通り、イキまくりの状態だった。
「イグゥッ!」
 八雲が身体を大きく震わせて、絶頂を迎えると、マーカスは時間停止をする。
 そしてさらに強い刺激をより多く与える。
 胸を鷲掴みにして上下左右ランダムに大きく揺らして、乳首と乳首を擦り合わせてさらに触手で吸引。
 アナルにもコブのある触手を拘束で出したり入れたりを繰り返す。
 陰核も小さな触手で摘まみながら吸引、刺激し、そして膣の中を大きくて太くて長いマーカスの男根が出入りして普通ではありえない程の快感を与える。
 そして時間を進める。
「っが、あああああーーーー!!!!」
 八雲は大きく叫んだ。
 もはや女というよりは動物の雌が叫んでいるような、そんな叫び声だ。
 あまりにも強い刺激に、八雲は白目を剥いて潮を噴いていた。
 そして再び腰を掴まれ、突かれていく。
 すると強制的に八雲の意識は戻されて、喘ぐ。
 八雲はこれが欲しかったとばかりに甲高い声を上げまくり、絶頂を迎える度に身体を痙攣させて気持ちよさそうに唾液を垂らして、涙を流す。
 顔中の液という液が出て来て、八雲はその端整な顔を歪めて感じまくっている。
「素晴らしいですね。八雲さん。あなたにはどんな娼婦もどんな女性も勝てないほど、美しく淫らな女性だ」
 そして二人は繋がったまま、体位を変える。
 最後は騎乗位だ。
 八雲はあの時の法子を思い出して、少しだけ残っていた戦士としての切ない気持ちが胸を占めたが、すぐにそんなことを忘れるくらいの快感に流されて行った。
「八雲さん、騎乗位は出来ますよね? あなたの後輩の法子さんだって出来たんですから、あなたのようなダイナマイトボディならば、彼女よりももっと出来るでしょう?」
「……法子のことは、言わないで」
「失礼、つい法子さんとのことを思い出しましてね。さあ、動いてみてください。あなたの思うがままに」
 八雲はグラマラスなボディに似つかわしい、ダイナミックな動きで腰を振る。
 自ら腰を振り、快感に嵌っていく。
「圧巻ですね。大きな胸が、視界いっぱいに広がる」
 そう言いながら、マーカスは触手ではなく自らの手で八雲の胸を掴んで、乳首を摘まみ、揉んでいく。
 その快感に、膣の中をヒクヒクさせながら、腰を振る八雲。
 マーカスは下からも突き上げ、さらに快感を与えようとしていく。
 これ以上やられたら、本当に、本当にもうダメになってしまう……。
 でも、もう戻れない。
 戻れないのならば、いっそのこと、狂ってしまえばいい。
 そうして、八雲の瞳から光が消えた。
 マーカスは様子が変わり、より大胆に動き、喘ぐ八雲に「ほう……」と息を吐いた。
 恐らく八雲が元に戻ることを、ここから逃げ出すことを諦めたのだろうと、マーカスは容易に想像が出来た。
「八雲さん、イイ顔になってきましたね。もう戦姫としては戦わなくていいのですか?」
 マーカスがそう言って、八雲に問うと、八雲は身体をくねらせながらこう言う。
「やめて、そんなこと、今言わないで。今はただ、快感だけを頂戴……! イキたいの! もっと、もっと気持ちよくなりたいの!」
 もはやそこには誇り高き戦姫など、どこにもいなかった。
 そこにいたのは淫らな女と、淫魔だけだった。
 快感を貪る八雲に、マーカスは「いい顔だ。もっともっと腰をくねらせなさい。もっと本能に従って、乱れてください」と言って、尻を撫でた。
 そのわずかに触れたマーカスの手の感触で、八雲の背中がぞくぞくと痺れるような感覚が走った。
「はあぁ……っ!」
 八雲がそう言ってさらに身体をくねらせ、M字に大きく足を開いた。
 そしてさらに大胆に腰をくねらせる。
 マーカスからは結合部が丸見えでなかなかそそられるものがあった。
「そう。上手ですね。ご褒美を差し上げましょう」
「ひああっ!」
 マーカスは八雲の胸を掴み、揉んで、さらに下からも突き上げる。
「よく頑張りましたねぇ。あなたはずっと退魔師としてやってきて、辛かったでしょう? もう頑張らなくてもいいんですよ」
 そんなことを言いながらぴんと立った八雲の乳首を弄ぶマーカス。
 八雲はまるで子供のように「ええ、私頑張ったの! 凄く、頑張ったの! 誰にも言えないくらい、頑張ってきたの……!」と言った。
 マーカスは同情するような表情を浮かべる。
「ええ。わかりますよ。あなたの並大抵ではないその体力も、過酷な訓練を耐えてきたからでしょう? 我慢してきたのでしょう? たくさん頑張ってきたのでしょう?」
 優しくそう問いかけるマーカスに、八雲は必死になって訴える。
「そうよ。いっぱい耐えてきたの。頑張ってきたの」
 マーカスは幼子をあやすように優しい声色を出す。
「もう全てを忘れてしまいなさい。あなたは、ずっとここに居ればいい。そうすれば、もう辛い想いなんてしなくて済むんですよ」
 体力的にも余裕がなくなって来て、思考回路もまともに働かなくなってきた八雲にそう言って、自分の思い通りにしようとするマーカス。
 その術中に、八雲は見事に嵌ってしまったのだ。
 八雲は、それがいけないことだと頭の隅で理解はしていた。
 しかし、それを無視して頭を縦に振ってマーカスの言う通り、マーカスに従うことにしてしまったのだ。
 もう辛いのは嫌だ。
 もうあんなに頑張るのも、辛いだけ。
 そう八雲は思い始めていた。
「それは、ここで暮らしたいということですか?」
 マーカスがそう質問すると、八雲は切なそうな表情を浮かべながらこう答える。
「ええ、そうよ……っ」
 それは、八雲にとって導き出してはいけない答えだったのかもしれない。
 八雲もそのことはなんとなくわかっていた。
 でもそれ以上の魅力がある。
 ずっと気持ちいいだけの、そんな生活の方が今までよりずっとマシなじゃないかと、そう思えてしまったのだ。
 何より、触手などを使ったあの強烈な責めは、他では味わえない。
 でも自分は退魔師だ。
 ……ああ、でも、いいや。
 全てを捨てよう。
 そう八雲は思っていた。
 しかしマーカスはそんな八雲の複雑な気持ちを他所に、こう思っている。
 やった。ついにあの八雲を手にすることが出来た。
 マーカスは表情には出さず、心の中であの八雲に勝ったと歓喜した。
 これで復讐が出来る。
 もっと、快感を教え込んで依存させることだって出来るようになったのだ。
「嬉しいですよ。八雲さん。あなたが、私のものになってくれて。さあ、もっともっと、腰を動かして。私も突き上げてあげますから」
 マーカスはご褒美だと言わんばかりに下から突き上げる。
 その度に八雲は甲高い声で喘ぎ、腰を、尻を悩ましくくねらせたのだ。
 マーカスも、そんな八雲の胸を揉んだり摘まんだり、または尻や太もものその弾力を味わうように手で撫でていった。
 滑らかなその肌は、吸い付くようにもちもちとしていて、マーカスはその気持ち良さに目を細めた。
 程よい筋肉の付き方……、硬すぎず、柔らかすぎず……。
 そんな八雲の尻や太もも、胸などのパーフェクトなボディはマーカスにとって最高のものだった。
「ああああっ! 壊れるぅ! 壊れちゃうよぉっ!」
 八雲はそう言いながら、巧みな腰使いでマーカスを楽しませる。
 そうして、マーカスと八雲は淫らな行為に耽っていた。
 しばらくしていよいよ八雲の体力がなくなると、絶頂した際に八雲は白目を剥いて気絶した。
 気絶した八雲をマーカスがベッドに仰向けにして寝かせると、気絶してそのまま目を閉じてしまった八雲の髪をさらりと撫でる。
 マーカスは八雲を自分のものに出来たことが何より嬉しかった。
 それだけではない。
 あれほど淫らになって、快感を貪るその八雲の姿が今もマーカスの目に焼き付いている。
 ずっとずっとその時を待っていたのだ。
 屈服させて、自分の思い通りになる八雲が欲しかった。
 復活した時からずっとそれを思い描いていた。
 どうしたら八雲を自分のものに出来るか。どうしたら八雲を思い通りに出来て、また自分を求めるようになるのか。
 そればかりを考えていた。
 法子という存在も、それを手助けした。
 嬉しい誤算だった。
 そして法子をまず調教してから、法子を助けるためにやって来るであろう八雲をも調教し、八雲を手に入れると言う大きな望み。
 それが、ついに叶ったのだ。
「まさかこんなにも狂い咲いてくれるとは、予想外でしたがね。ずっとずっと、可愛がってあげますよ。八雲さん」
 マーカスはそう言って気を失った八雲を愛しそうに見つめた。
 八雲のあの乱れっぷり。
 八雲の本来の性格が出て来るその瞬間が、マーカスには面白くて、嬉しいものだった。
 きっと起きたら、またセックスを求めることだろう。
 まともな思考も戻って来るかもしれないが、それをネタにまたいじめてもいい。
 ああ、なんと楽しみなのだろう……!
 八雲は性を求めるだろう。
 それだけ強烈な刺激を、快感を与えてきたのだから。
 こうして八雲の開花にマーカスは、自分の手間暇かけた最高の花に満足したのだった。

■3匹の淫魔

 それからと言うものの、八雲と法子はマーカスの精を搾り取ろうと協力し合って、交代でマーカスと肉体を絡み合っていた。
「ああんっ」
 法子は喘ぎながらマーカスの男根をそのきつい膣に挿入して腰を動かして快感を自ら求めていた。
 八雲は八雲でマーカスの触手に弄られながら、視覚的にマーカスを楽しませる。
「せ、先輩……。あまり、見ないで。恥ずかしいですぅ……っ」
 喘ぎながらも法子はそう言っていた。
 しかしマーカスが「尊敬する先輩が折角いるのだから、見せてあげなさい。あなたのその淫らな姿を」と言って、マーカスと法子が絡み合うところを八雲は見せつけられていた。
「先輩ごめんなさい! 先に、先にイッちゃう! 法子、イッちゃうよお!」
 そう言って、法子は腰や膝をガクガクと痙攣させてイッた。
「イクのが速すぎますよ、法子さん。ほら、八雲さんを御覧なさい。あんなに気持ちよさそうにしていながらも、まだイケていないのです。申し訳ないと思わないのですか?」
「ごめんなさいっ、先輩っ! あっ、ああっ! 私、またイッちゃう!」
 潮を噴いてイク法子。
「そんなに気持ちいいですか。でも少しイキすぎですよ。我慢と言うものを学ばなくては。さあ、八雲さんと代わってください」
 名残惜しそうに、法子はマーカスの上から退いた。
 そして今度は八雲がマーカスの上に乗り、騎乗位で足を思い切りM字開脚をして腰を思い切り動かして自分のイイところへとマーカスの男根を導いていく。
 ぬちゃりと音がして、マーカスからも法子からも結合部がばっちりと見える。
「先輩……、すごい……」
 法子が思わずそう呟くほど、八雲は美しくダイナミックに動いていた。
 同時に、八雲の色気は、淫らで美しいものだった。
 滅多なことでは見られない、強い女性だけが見せる色気と言ったところだろうか。
「見とれているだけじゃ、いけませんよ。しっかり我慢を覚えてください」
 そう言って、マーカスは法子に触手で責めた。
「わ、あ、あっ!」
 法子の可愛らしい喘ぎ声が響く。
 そんな中、やはり先輩として見せたいという気持ちがあるのか、八雲は小さく喘ぐだけで、大胆な腰使いとは別に気持ちのよさそうな声はあまり出していなかった。
「八雲さんはもっと遠慮せずに声を出せばいいと思いますよ。法子さんにも、その気持ちの良さを伝えてあげてください」
 マーカスがそう言うと、八雲は胸を触手で弄られる。
 するとまるでせき止めていた水が一気に流れるように色っぽい声を漏らし始めた。
「……はあんっ! あ、っくぅ!」
「そう。そうですよ。それでいいんです。もうあなた方は淫魔そのものですね。性のことしか考えられない。そうでしょう?」
「そっ、そうよ!」
 マーカスは意味深に笑った。
 この二人を淫魔にすることが出来た。
 全てが上手くいっている。
 このことにマーカスは思わず笑みが零れたのだった。
「さあ、八雲さん。たくさん鳴いてください」
「ああああっ!」
 八雲はマーカスの時間停止によって与えられた刺激で不意に大きな声で喘いでしまった。
 痙攣させる全身とは別に、表情はどこか切なげで、美しいとマーカスも法子も思った。
 まるでヴィーナスのようだ。
「ほら、法子さんも我慢の練習をしなくてはいけませんよ」
 そう言って、マーカスは法子にも時間停止を使って責めた。
「ひゃあんっ!」
 そう短く言うと、法子はイッてしまった。
 それも潮を噴いて。
 床には潮がしっかりとあることがわかる。
「法子さんは本当に我慢が出来ないんですね」
 そう言いながら、マーカスは何度も何度も法子をイカせた。
 法子はその度にイキ狂い、膝を擦り合わせるように痙攣していた。
 八雲はそんな法子を見ながら、マーカスに与えられる快感に腰から背中を伸ばして、静かにイッた。
「イク時はイクって言わなくてはいけませんよ。八雲さん」
 そう言って、マーカスは八雲の乳首をぴんと指先で弾いた。
「……っわかったわ」
 そうして、八雲と法子は何度も入れ代わり、マーカスの精を搾り取ろうとしていた。
 膣に中出しされ、子宮の方まで精液が満たされて行くのを感じると、二人はさらに気持ち良さが増していった。
「ああああああーーーー!」
 あれほど静かだった八雲も、いつの間にか法子を気にせず大声ではしたなく喘ぎ声を出すようになった。
 だが、その姿はまるで花魁のように気高いものにも見えた。
 それがどうしてなのかはマーカスにはわかっている。
 マーカスはまだ八雲の中に恥じらいがあるからだ。
 その恥じらいが、美しさをより際立たせる言わばスパイスのような役割をしていたのだ。
 そしてマーカスは今度は二人同時に責める。
 もう八雲も法子も、今日は一人ずつ、同じくらいの時間を責めた。
 だから今度は二人同時に責めよう。
 そう考えたのだ。
 二人同時に責め始めると、二人は似たような反応をしながら喘ぎ出す。
 先輩、後輩という関係だけで、こんなにも似る者だろうかとマーカスは面白がって見ていた。
 そしてマーカスは時間停止を使って二人を男根で膣を、ポルチオを、子宮を弄び、胸を触手で絶頂吸引した。
 時間を進めると二人は大きく叫んで潮を飛ばし合い、八雲は大声で喘ぎ、法子は声にならない声を上げて気絶した。
 そんな法子を、マーカスはすぐに快感を与えて起こす。
 法子は足腰を痙攣させながら起きて、マーカスの言葉に耳を傾ける。
「我慢を覚えなさいと言いましたよね? もっとしっかりしてください」
「ごめん、なさい……っ。だって、気持ちよくて……」
「もっと我慢強い八雲さんを見習ったらどうですか?」
「……ああっ!」
 マーカスは法子の乳首を引っ張った。
 それさえも快感の刺激となり法子を襲う。
 たったそれだけで、またも軽く絶頂してしまったのだった。
 八雲はその様子を見ながら、どこか冷静な自分がいた。
 ああ、もう手遅れだ。
 いつだったか、退魔師をしていたのが遠い昔の出来事のように思える。
 あの時の信念も、プライドも、どこかにいってしまった。
 自分は、木乃伊取りが木乃伊になってしまったのだろう。
 淫魔を倒す身でありながら、淫魔に成り下がってしまった。
 でも、この快感は誰にも渡したくはない。
 本当のところを言うと、法子にさえも。
 でもマーカスの言うことならば、仕方がない。
 それに可愛い後輩だ。
 可愛い後輩の法子ならば、共に生活することも、性的なことをすることも自分で自分を許せるし、法子のことも許容出来る。
 ああ、意外にも自分は嫉妬深いのかもしれないと、八雲は思った。
「八雲さん、何を考えているんですか? もしかして、法子さんのことばかり僕が気にしているからわざと気を惹こうとしているんですか?」
 そう言われ、思考が現実に戻っていく。
 同時に、下腹部の奥がきゅんきゅんと疼き、マーカスの男根が中に入っていることを思い出させる。
 膣がひくひくと動くことが止まらない。
 離すまいと、絡みつく愛液も、肉襞も、全部制御が出来ないのだ。
「八雲さんは少し優秀すぎますね。もっと乱れることを覚えなくては」
 もっと乱れるって、法子のように?
 私に、出来るだろうか……。
 そう思いながらも、快感に流されて行く八雲だった。
 そして八雲と法子は一日に何度も中出しされて、出されたものが外にどろりと溢れ出ていた。
「そうだ、八雲さんと法子さん、お二人で楽しんでみてはいかがですか? 先輩と後輩の絆、中々良いじゃないですか。見ていてあげますから」
 そう言われ、八雲と法子は困惑した。
 女同士というものを考えたこともなかったからだ。
 そんな様子の二人に、マーカスは「まあ、それは追々教えていくとして……。さあ、今日はまだまだ続きますよ」と言って、また二人に快楽責めをし始めるのだった。

 そして3匹の淫魔が絡み合う。
 いつまでも終わらない宴に興じるのだ。

終わり。


これはbc8c3zがあらすじ・設定を作り、それを元に根本鈴子先生に書いてもらった綾守竜樹先生著・魔斬姫伝の2次創作です。
綾守竜樹先生のファンの方に読んでいただければ、それに勝る喜びはありません。
一瞬でも先生がいなくなったことの皆さんの孔を埋めれれば幸いです。
感想があれば励みになりますのでお書きください。
またアンケートだけでもいただけたら今後の参考になりますので入れてください。
よろしくお願いします

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