あらすじ
八雲が哭炎斬でシャドウに勝ったという二次創作です。
シャドウには勝てたが、極上の肉体と精神をもつ八雲と法子は新しい淫魔に狙われてしまう。
「あっ、あの村林先生、どうして奥寺先生がいらっしゃるんですか?」
次の日の夜、治療を受けに来た法子は、担当医の村林以外に奥寺がいることに驚きを隠せずにいる。
「もしかして八雲先輩も今夜、治療を受けに来るんですか?」
「八雲さんは昨夜、受けたばかりよ。ただ法子さんにも今夜から、新しい塗り薬を使うことになってね。奥寺先生は治療の手伝いをしてくれるのよ」
村林はニコニコと笑いながら裸になった法子の肩を押して、産婦人科で使われている診察台にのせた。そして足を大きく開かせて、足首にレザーバンドをつけて診察台に括り付ける。更に両手を後ろに回して手錠をかけると、法子は完全に逃げられなくなった。
「あの……両手足を拘束するほど、危険なんですか?」
「ちょっと刺激が強くなるからね。八雲さんも治療が終わると同時に気絶して、休んでから帰ったぐらいだし」
二時間も二人がかりで責められた八雲は、最後には意識を手放してしまった。再び医者の控室のベッドに寝かされて、一時間ほど眠った後、奥寺が運転する車に乗って帰ったのだ。
自分よりも強い存在の八雲が気絶するほど――と聞いて、法子は青ざめる。
「八雲先輩がそんなになるぐらい、強い薬なんですね……」
「でもこの塗り薬を使った治療方法は、いわばラストスパートになるわ。だから法子さんも、頑張って耐えて!」
「はっはい!」
素直で真面目な法子は、すっかり村林に身も心も開いている。
しかし足を大きく開いたまま拘束されると女性器が二人の眼にハッキリと映ってしまうので、恥ずかしさから思わず顔を背けて頬を染めた。
そんな法子の姿を見て、村林は安心させるように優しく頭を撫でる。
「何度も言っているけど、女性同士なんだから照れることはないわよ。こう言うとアレだけど、産婦人科の先生並みに女性の下半身は診ているんだからね」
「そっそれは分かっているんですけど……。見られることなんて滅多にないから、どうしても恥ずかしくて……」
「法子さんのそういう奥ゆかしいところ、可愛くて良いと思うわ。だから村林先生も、あんまり言わないであげて。恥ずかしいのに慣れちゃったら、一種の変態よ」
クスクスと笑う奥寺を見て、法子は少しだけ緊張を解す。
どこかクールな感じがする奥寺は、法子にとって少々怖い存在だったのだ。八雲から良い評判を聞いても素直に同調できず、今も身体は多少強張っている。それでも奥寺のあたたかな笑みを見て、優しい言葉を聞いて、彼女に慣れようと法子は思った。
村林は透明の塗り薬を手に垂らすと、法子の大きな乳輪や股間に丹念に塗り込む。
「法子さんの症状は八雲さんとは違うから、やり方も違うけれど同じ治療だから安心して」
「そっそうですか……。ひぅっ!」
素肌が外気に触れていることと、塗り薬の冷たさに身が竦む。だが塗られている時間は短く、しかし安堵する暇なく、村林の次の行動に驚かされる。
「法子さんにはねぇ、コレを使ってみようと思っているの」
そう言って村林は近くにあった白い二段カートの上から、赤紫色の二つのカップを両手に持って法子に見せた。
「あのぉ……、それは何の道具なんですか?」
「法子さんは八雲さんよりも乳首が大きいから、こっちの道具の方が良いと思ってね。医療用のシリコンでできているから、傷付けることはないわ。この道具はね、こうやって使うのよ」
カップを法子の二つの胸に当てると、大きい乳首はスッポリおさまる。カップの中にはシリコン製の小さなブラシがあり、塗り薬でヌルヌルしている陥没乳首にズブッと入り込んだ。
「んあっ! ちっ乳首の中に……!」
今まで体験したことのない感覚に、法子は戸惑いながらも新たな快楽を覚えていく。性感帯の乳首の中を、アダルトグッズで犯されていることを自覚しただけで、股間が熱く潤っていくのを感じてしまう。
「塗り薬のおかげで、痛くはないでしょう? 法子さんは胸でイっちゃうことが悩みだから、こうやってあえて強い刺激を与えて慣れておいた方が良いわよ」
村林は医者らしく言いながら、二つのカップとY字型に繋がっているコードの端にあるスイッチを入れた。
すると乳首に挿入されたブラシは高速で回転をはじめて、今まで法子が味わったことのない刺激を与えてくる。
「きっやあああっ! なにっ……、何ですか、コレ!」
暴れて逃げようとしても、がっちり拘束されていては逃れられない。
その上、カップは法子の二つの胸にピッタリくっついていて、どんなに身体を動かしても外れなかった。
「法子さんはお嬢様だものね。こういうアダルトグッズがあるの、今まで知らなかったでしょう?」
「あっアダルトグッズ、なんですか?」
淫魔の後遺症に悩まされている被害者女性達の中には、アダルトグッズで自らの身体の疼きを抑えていることを、時々組織の中で耳にしていた。
組織がどうしようもなくなった被害者の為に、いくつかアダルトグッズを扱っていることも理解はしている。
しかしこういった特殊な乳首責めのアダルトグッズは、法子にとって見るのも体験するのも生まれてはじめてだった。
柔らかくも芯があるシリコンは、陥没していた乳首を勃起させるほどの効果を発揮する。媚薬入りの塗り薬のせいもあり、快楽の刺激を性器へすぐに送ってくる。
「あんっ、やぁんっ! なっ何か変っ! 法子のおっぱい、変な感じがするよぉ!」
大きな瞳にじんわりと涙が浮かび、身体が波打つようにビクンッビクンッと跳ねた。
「それは変じゃなくて、気持ち良いってことよ。しばらくすれば、頭で理解できるようになるから」
悶える法子を見て楽しみながら、村林は声をかける。
「でも胸だけじゃあ物足りないでしょう? 下の方は、こっちで刺激を与えてあげるわ」
そう言った奥寺の手には、法子にとって見覚えのあるアダルトグッズが握られていた。
「そっそれは……!」
「アラ、ご存じ? まあアダルトグッズとしては、一番有名ですものね。電動マッサージャー、通称は電マだったわよね? 本来は肩こりや腰痛を和らげる為のマッサージ道具だったらしいけど、いつの間にかアダルトグッズとして扱われるようになったんですって。もしかして、使っているのかしら?」
図星を突かれた法子はぎゅっと唇を引き締めながら、奥寺から視線をそらす。
淫魔の被害に合った後、法子は電マで胸を刺激してオナニーをしていた。ダメだと思いながらも、止めることができなかった自分の弱さに嫌気がさしていたのだ。そのことを奥寺に見透かされたようで、居心地の悪さを感じてしまう。
「でも恥ずかしいことではないわよ。淫魔の被害に合った女性は、こういうモノで性欲を満たすことはよくあることだもの。下手に男を相手にするよりは、良いと思うわ」
確かに男を相手にした淫乱な女になるよりは、道具に頼って自慰に耽った方が、まだ女性としてのプライドは保てる。
しかし二十歳になったばかりの法子にとっては、自慰の道具を見せつけられるほど恥ずかしいことはない。
「いつもは感じやすい胸に使っているかもしれないけれど、やっぱり女ならココでイかないとね。村林先生、その場所を譲ってくれる?」
「はーい」
村林はスイッチを持ったまま、法子の背後に回る。
代わりに法子の正面に立った奥寺は電マのスイッチを入れると、パックリ割れた秘所に押し当てた。
「ひぃいいっ! いやぁあああ!」
突然の刺激に、法子は眼をカッと見開きながら背を浮かす。
だが奥寺はスイッチを入れたまま、電マを割れ目にそって動かした。弾力のあるヘッドが勃ち上がったクリトリスや蜜口をなぞるたびに、下半身に熱がたまっていく。
「やはり女としては、ココが一番気持ち良いかしら?」
軽く笑いながら、奥寺は真っ赤な赤い芽をヘッドで押し潰す。
「ひゃうううっ! らっらめぇ~! そこっ、らめらってー!」
激しく動くヘッドはクリトリスの皮を簡単に剥いてしまい、快楽の芽を表に出してしまった。小さいながらもピンッと勃ち上がったクリトリスは、電マで押し潰されながらも振動を与えられて、子宮まで快感の電流を流される。
奥寺は蜜口からトロトロと愛液が溢れ出たのを見て、口の端を上げながら電マを下へ移動させた。
「きっ……いやあああっ! おまんこの入り口、かき回さないでぇ!」
「まあ、そんなことを言うの? 上がダメなら、下の方と思ったんだけど」
シレッとしながら奥寺は、蜜口にグイグイと電マの先端を押し付ける。しかしヘッド部分は五センチ以上もあるので中には入らず、入り口をかき回すだけだ。それでも塗り薬によって敏感になった性器には、たまらない刺激となる。もっと奥に刺激を与えてほしくて、無意識のうちに腰が動いてしまうほどに……。
「ああっん! もれちゃう……もれちゃうよぉ!」
蜜口にヘッドを当てられて、愛液がビチャビチャッと飛び散る光景を見て、奥寺はクスクスと声を出して笑った。
「若いって良いわね。欲望に素直に反応するんだもの」
「奥寺先生、ズルいわ! わたしも法子さんの可愛い姿、見たいのにぃ」
拗ねた口調になりながら、村林は不満げにぷぅっと頬を膨らます。
「確かに何かをねだるように、下の穴がパクパクしている姿は可愛いわね。村林先生、ちゃんと法子さんを満足させるのよ?」
「分かっているわよ、奥寺先生」
奥寺は電マのスイッチをオフにして、手に持ったまま法子の身体から離れた。
村林は法子の胸を責め続けるアダルトグッズのスイッチを切らずに、コードごと診察台の後ろに回して手放した。
「あふぅ……。ひぃ、ふう……、はあはあっ……」
刺激から解放された法子は、診察台の上でぐったりしている。涙を浮かべた両目はうつろで、身体を小刻みに動かしながら荒い呼吸を繰り返していた。真っ赤に染まった顔にはうっすらと汗をかいており、色気を放っている。
二つの乳首と女性器への二点同時責めは思っていた以上に体力を消費したが、膣の中は物足りなさを訴えていた。解放されない欲望の熱が下腹に溜まり続けて、苦しささえ感じてしまう。
本当は膣の最奥まで刺激が欲しい――とは、まだ冷静な部分が残っている法子は素直に言えなかった。
村林はいそいそと法子の正面へ移動すると、下の二ヶ所の濡れた赤い穴が何かを欲するように蠢いているのを見て、うっすら笑う。
「うふふっ、もっともぉーっと可愛い法子さんの姿を見てみたいわぁ。使うのはちょっと早いかもしれないけれど、コレを使っちゃいましょう」
村林は二段カートの下から、四十センチもある道具を持ち上げて上段へ置く。そして法子の濡れた茂みの中に、道具の先端を当てた。
その刺激で、法子はハッと正気に戻る。視線を下へ向けて、自分の股間に当てられそうになっているモノを見て、顔色がサッと青ざめる。
「むっ村林先生っ! 何ですか、それは! まさか、私のナカに……!」
「ええ、もちろん入れるわよ。ああ、コレにも薬を塗っておきましょうか」
平然と言った村林は、薬をソレに塗り込んでいく。
驚愕の表情を浮かべる法子の眼に映るのは、約二十センチほどの勃起した男性器を模したディルドと、その下を支えるように同じく約二十センチほどの山の形をした白い胴体部分がくっついているモノだ。
「コレもアダルトグッズの一つでね。女性がオナニーをしたい時に床に置いて、自ら跨ってディルドを入れて、スイッチを押して与えられる刺激を楽しむんですって。自分の手を動かすことなく自動的に快楽を与えてくれるから、ちょっとお値段は高いけど独身女性や性欲の強い女性の間では人気らしいわ」
ディルドは肌色をしており、亀頭部分はもちろんのこと、浮かび上がる筋まで生々しい作りになっている。しかし村林は恥ずかしがることなく、ディルドに薬を手で塗っていく。まるで本物のペニスにローションを塗っているように眼には映るので、余計にディルドが本物らしく見えてしまう。
「ディルド部分はシリコン素材だから、難無く受け入れることができると思うわ。でも緊張すると身体に余計な力が入っちゃうから、深呼吸をしててね」
ニッコリ微笑んだ村林は、今度こそ濡らしたディルドの先端を淫口に当てて、胴体にあるスイッチを入れた。
「ひっ……やあああっ! ソコは違うぅ! イヤーーっ!」
「アラ? 入れるところ、間違えちゃったかな?」
「おバカ」
奥寺は呆れたように、肩を竦める。
村林は膣の中に入れようとしたのだが、先端の丸い膨らみがツルッと滑り、結果的にディルドは法子の尻の穴に入ってしまったのだ。塗り薬のせいで熱く熟れていた肛門は、同じく濡れていたディルドをいとも簡単に飲み込んでしまう。
村林がスイッチを入れたせいで、二十センチもの長さがあるディルドは根元まで入ったかと思うと、亀頭部分まで一気に引いた。そして再び最奥を突く――という行動を定期的に繰り返す。
「あぐうう……! 苦しいっ、抜いてぇ!」
本来なら排出するしかない部分に、太く長いモノを入れられる異物感は半端なく、法子の全身に汗が浮かぶ。
それでもディルドは力強くピストンを続けて、刺激を欲していた身体に強過ぎる快感を与えてきた。法子の意思とは反対に腸壁はディルドを喜び招き入れて、ギュウッと悩ましく収縮する。
「うそっ……!? 何で……ああっ、熱い! お尻の中が、燃えるように熱いよぉ!」
法子は顔を歪めながらも刺激を必死に耐えようとするが、その行為は余計に艶を色濃くした。
塗り薬のせいで、肛門はディルドが伸縮するたびにジュボッジュボッと淫らな音を生み出す。
直接触れられていない蜜壺からは、濃厚な愛液が淫臭を放ちながら床に滴り落ちる。
「お尻の中をいじられることに、法子さんの身体は喜んでいるようねぇ。こういう道具でお尻の中をいじられるのは、はじめてでしょう? なのに喜んでいるなんて、やっぱり淫乱の才能があるのかな?」
「いっ淫乱の才能!?」
とんでもない村林の一言で、法子の蕩けかけた思考が再び正常に戻った。
すると奥寺の顔付きが険しくなり、村林に近付くと頬をムニーッと指でつねる。
「む・ら・ば・や・し・先生、患者に対して何てことを言うの?」
(あんまり刺激的な言葉を使うと、正気に戻っちゃうじゃない!)
「ごっゴメンなひゃいっ! つい……」
(反応の仕方が可愛かったから、うっかり……)
女医である二人が見せる光景は、まるで幼い姉妹が繰り広げるようなもので、一瞬、法子は呆気に取られた。
法子の視線に気付いた奥寺は慌てて村林から手を離して、場の空気を変えるように咳を一つする。そして部屋の奥へ行き、戻って来た時には大きな銀の器を両手に抱えていた。
「ホラ、村林先生。コレらを使って、前の方を満足させてあげなさい」
「ありがと、奥寺先生」
つねられた頬を撫でながらも、村林は嬉しそうに微笑む。そして奥寺から器を受け取ると、法子を責めているアダルトグッズを置いているカートの下段に入れる。
「うーん。やっぱり奥まで入れるとなると、こういうのが良いかな?」
村林は器の中に入っている何かを選んでいるらしく、下からガチャガチャと音が鳴っていた。
「よしっ! じゃあコレらを入れてみましょう!」
「いっ入れる?」
その言葉に不安を感じた法子の直感は、しっかりと当たっている。
何せ顔を上げた村林の両手には、ローターと呼ばれるアダルトグッズが複数握られているからだ。
「子宮口は大きいので突かれたいわよね? このピンクの卵型から入れてあげるわ」
「えっ……ひいっ、あああーー!」
ズブッと音を立てて入ったピンク色のローターは、村林の指に押されて膣の中へと入ってくる。Lサイズの卵ほどの大きさがあるものの、刺激を欲していた法子の身体は喜んで奥へと迎い入れた。
「でもコレだけじゃあ淫魔に汚された肉体には物足りないでしょうから、どんどん入れていくわね」
「村林先生、ちょっと待って……って、きゃあああんっ!」
次に入れられたのは、小さな突起がたくさんついている紫色のローターだ。成人男性のペニスほどの長さと太さがあり、これまたすんなりと膣の中におさまる。
「ん~、入るのは後一本ってとこかな? 最後はこのおしゃぶり型のを入れて、先に入れた二つのローターが出ないように栓をしとこうっと」
先端が大きく丸まっているおしゃぶり型のローターは黒く、法子の火照った肌に映えた。
「んくぅうん! あっ、ああっ……! ナカで擦れてるぅ!」
尻の中に入っているディルドと、膣の中に入っている三つのローターは、肉壁越しに擦り合っている。
その上、村林は三つのローターの無線スイッチをオンにしたので、肉壺の中でブルブルッと振動をはじめた。
最初に入れられたピンク色のローターは振動しながら、下りてきた子宮をギュウッと押し上げる。
二番目に入れられた突起付きのローターはGスポットを刺激して、膣壁をかき回す。
最後に入れられたおしゃぶり型のローターは他のローターを出すことを許さない上に、蜜口にも細やかな刺激を送ってきた。
「村林先生、それだけじゃあ法子さんは気持ち良くイけないわよ」
「ああ、肝心なところを忘れていたわ。お詫びに最新のアダルトグッズを使ってあげる」
そう言って村林が取り出したのは、耳から体温を測る道具に似ている物だ。
「なっ何を、するの?」
「おびえなくても大丈夫よ。法子さんはまだ若いし、強い刺激にも耐えられるから」
村林は愛液で濡れた陰唇を指で開きながら、小さくも自分の存在を主張しているクリトリスを見つける。村林が手にしている道具には小さな穴が空いているキャップがついていて、ソコにクリトリスをグイッと入れた。
「ひゃああっ!?」
そしてスイッチを入れると、敏感になっているクリトリスは吸い上げられて、更に細やかな振動も与えられる。
身体を仰け反らせて、眼と口を大きく開いている法子からは、最早悲鳴も上がらない。二つの乳首に膣と尻の中と三点責めを受けた為に、一気に血液が沸騰して何も考えられなくなったのだ。
「輸入物のアダルトグッズなんだけどね。クリトリス専用の責め道具で、すぐにイけるんだって。今の法子さんには必要な物でしょう?」
ニヤニヤしながら村林は声をかけるものの、法子は返答をしない。
法子は言葉にならない呻き声を上げながら、身体をグネグネと動かしている。その行動は刺激から逃れたいのか、それとももっと快楽を貪りたいのか、正気を失っている表情からは何も読み取れない。
「わたしの言葉は、法子さんの耳にはもう届かないようね。……それじゃあ、この言葉はどうかな?」
妖しく微笑んだ村林は、法子の耳元で何かを囁いていく。
すると法子は大きく眼を見開き、唇を震わせた。
村林の言葉が身体に染み込んでいくたびに、ビクビクと痙攣する身体と連動するように揺れ動く豊かな胸も、定期的に刺激を与えられる尻の穴も、そしてクリトリスや膣の中も、快感の電気が全身隅々まで走っていくのだ。
苦しみと快楽の間を素早く何度も行ったり来たりしている法子は、正常な思考ができずにいる。だから自分の身体が、村林の言葉によってよりいっそう昂らされていることに気付かない。
「あひいいぃ! おっぱいもぉ、お尻の穴もぉ、おまんこもぉ、みんな気持ち良い~♪ ああんっ、おかしくなっちゃうぐらい、気持ち良いよぉ!」
法子は眼からは涙を、口からはよだれを流しながら、拘束された身体を激しく動かして快感を貪る。
今の法子にはすでに、退魔師としてのプライドはどこにもない。ただ人間のメスとして快感を求めて、狂い暴れる女がいるだけだった。
「やっぱり法子さんは乱れ狂った姿が、とっても可愛いわぁ。わたし、法子さんの担当で良かった」
村林はアヘ顔になっている法子を見下ろしながら、うっとりと熱い息を吐く。
そして村林は唇を舌でペロッと舐めると、法子の唇にキスをする。既に開いていた口の中に舌を入れて、伸びていた法子の舌と絡ませ合う。
「んちゅう……、れろっ、んむぅ……」
唾液に濡れている舌を激しく絡ませ合うと、法子は口の中が性器になったように思えてきた。感じやすい口の中を、村林の舌によって好き勝手に犯されているような感覚は、不思議と嫌ではない。それどころかもっと刺激を与えて欲しくて、法子は自ら訴えるように村林の唇に貪り付いた。村林から得られる甘い唾液と吐息を吸い込み、そして舌の表のザラザラした面と裏のツルツルした面を何度もこすり合わせる。
そんな法子の行動を村林は嬉しそうに眼を細めて見ていたが、一通りキスを堪能した後は唇をいったん離す。
「ちゅぱっ……。んふふっ、行動的な法子さんもステキね。控え目で大人しい法子さんは可愛いけれど、ちょっと物足りなかったのよ。女として生まれたからには、快楽に乱れる姿も見せなきゃ。ね?」
「あうぅっ……、イクッ! 気持ち良いとこ全部っ、刺激を与えられるからぁ……イクよぉ!」
敏感なところを責められているせいで、法子は何度も痙攣しながらも潮を吹いていた。三つのローター越しに潮はダラダラと床にこぼれては、液だまりが大きく広がっていく。
淫臭と共に排泄臭が部屋に漂うものの、二人の女医は平然としていた。
「ここまで喜んでくれるなんて、必死にアダルトグッズの勉強をしたかいがあったわ」
「そうね。いろいろ悩んだけれど、二人が喜ぶモノに当たると嬉しいものね」
奥寺と村林は、八雲と法子が快感によがる姿を見られて、満足そうだ。
しかし二人の言葉は法子の耳には届いても、頭では理解できず。診察台の上で恥じることなく、悶え狂っていた。
「あーんっ! もう何度もイッちゃってるよぉ! イってもイっても、まだまだイくぅう!」
下腹を押されるように体液が外へ出ていくのを感じている法子は、今や快楽の虜になっている。二人の女医が指一本触れなくても、アダルトグッズだけで何度も絶頂を迎えていた。落ち着こうとしても、何度も強制的に高みへ登らされるのだ。
いつもの法子ならば、強過ぎる快感に不信感を抱いてもおかしくはない。
しかし淫魔の呪いとも言える淫らな記憶のせいで、日々肉体的にも精神的に疲れ切っていた法子には、正しい判断ができずにいた。
今は担当医である村林をただ信じて、その身を委ねているだけ。
そのことを後に深く後悔することになるのだが、今の法子は快感を得ることだけでいっぱいだった。
八雲と法子は淫らな治療を終えた後、それぞれ担当医から例の塗り薬とアダルトグッズをいくつか渡される。
「もしどうしても快感が欲しい時には、コレを使ってね。八雲さん」
「法子さんの乱れ方は激しいだろうけど、徐々に免疫がついて興奮することは少なくなるから」
奥寺と村林は親切を装い、二人に丁寧に使い方を説明した。
「奥寺先生がそう言うのならば、使います」
「いつも気を使っていただき、ありがとうございます。村林先生」
純粋な厚意と思っている二人は、戸惑いながらも受け入れる。
そして患者達が帰ると、診療所に残った奥寺と村林は顔を見合わせてクスッと笑う。
「想像以上に、素直な女で良かったわ。淫乱になる呪文もよく効いているようだし、これならシャドウの呪いなんか無効化するでしょうね」
「うふふっ♪ 私達が楽しみながらも二人を治療するなんて、良いことづくめね。流石はナ……ごっほん! 『奥寺先生』だわ」
「う~ん……。でも完全回復したら、次はどうしようかしら?」
「まだ手放したくはないわよぉ。いじり足りないもの」
「それは私も同じよ。――それじゃあ次の手を考えなくちゃね」
「ヤッタ♪ これでもっとあの二人と遊べるわね」
怪しげな企みを立てる二人の影は、人間とは言えない異形の形で蠢いている。
〔浮かび上がる闇の真相〕
八雲は奥寺ことナグに、法子は村林ことイェグの治療を受け続けて、もうすぐ一ヶ月が経とうとしていた。
二人は身体の調子が良くなりつつあることから勝手な行動を起こさなくなり、組織の信頼も取り戻しかけている。
「八雲さん、お疲れさま。もうすぐ一ヶ月の期間が終わるのと同時に、治療も終了となるわ」
「奥寺先生、ホントですか?」
「今まで本当によく頑張ってきたわね、法子さん。最近の調子はどう?」
「すっかり良くなっています。村林先生のおかげです」
二人はいつものように深夜に診療室へ訪れて治療を受けた後、担当医とこれからのことについて話をしていた。
「それでね、八雲さん。次の治療の日なんだけど、悪いけど二日後に来てくれる?」
「割と早いですね。まあ私は構いませんが……」
「その日で最後の治療になるのよ。だから間を置かずに済ませた方が、法子さん達にも良いと思って」
「分かりました。では何時頃、来ればいいですか?」
奥寺と村林はスッと目を細めると、同時に口を開く。
「「二日後の午前一時に、S公園へ来て」」
日時と場所を指定されて、八雲と法子は目を丸くする。
「随分と遅いんですね」
「しかも場所が公園って……何かあるんですか?」
二人の疑問に、奥寺と村林はただニッコリ微笑むだけ。
「それはまあ、来てからのお楽しみってことで」
「待っているからね」
「「はあ……」」
八雲と法子はどこか釈然としないまま、それでも診療室を後にした。
更衣室で検査着から私服に着替えている途中で、法子は上着のポケットに入れてあった携帯電話に着信が入っていることに気付く。
「実家から電話が……」
「法子、そろそろ帰るわよ」
「あっ、はい! 急がなくちゃ」
法子は手に持っていた携帯電話を鞄の中に軽く投げ入れて、慌てて着替えを済ませる。
「お待たせしました! 行きましょうか、八雲先輩」
――しかし鞄を勢い良く持ち上げたせいで、携帯電話は床に落ちてしまう。
それでも待たせている八雲の元へ行く為に、気が急いていた法子は気付かぬまま――。
携帯電話は診療所に残されることになった。
その夜、法子は機嫌良さそうに鼻歌を歌いながら、風呂に入っている。
「あの治療をはじめてから、例の忌まわしい出来事を夢に見ることはだんだんと減ってきたし、興奮がおさまらない身体を持て余すこともなくなってきたわ。この先、あの記憶を全く思い出すことは無いとは言い切れないけど……、それでも身体の中に溜まっていた穢れが浄化されていくことによって、大分気分も落ち着いてきたわね」
ほぅっと安堵のため息を吐いた時、家の電話が鳴っていることに気付く。
「こんな時間に誰かしら?」
まだ深夜という時間ではないが、夜も更けている。こういう時に電話をかけてくるのは身近な人だろうと思い、慌てて法子はバスタブから出た。
バスタオルを軽く身体に巻いた後、法子はようやく電話に出る。
「はい、九条院です。あっ……」
電話をかけてきた相手は、母だった。
何でも携帯電話に何度もかけても出なかったので、法子の家の電話の方にかけてきたようだ。
法子は母と親子の会話を十分ほどした後、改めて寝間着を着てから鞄の中を探す。
「アレ? やっぱり入っていない……。どこで落としたのかな?」
診療所を出る前まではあった携帯電話は、今現在、鞄の中には入っていなかった。
「う~ん。……とりあえず、明日組織で探してもらうことにしましょう」
翌朝、神器省に出勤した法子は、偶然にも八雲と会う。
「おはよう、法子。今日はどうしたの?」
「八雲先輩、実は私の携帯電話が……」
法子は昨夜診療所を出た後から、携帯電話を見ていないことを話した。
「帰り際、ちょっとバタバタしていたので、その時に診療所に落としたと思うんですけど……。神器省で携帯電話を追跡してもらおうと思って、来たんです」
退魔師は突然の呼び出しにも応じられるように、携帯電話を持たせられている。
その為、追跡機能がこの神器省のコンピュータと繋がっているので、例え充電が切れていてもどこにあるのか分かるようになっていた。
「ああ、昨日の帰りは私が急がせたからね。探すの付き合うわ。私の用事は済んだから」
「すみません。お願いします」
二人は事務室へ行くと、法子の携帯電話の現在位置を割り出してもらう。
「……ああ、やっぱりあの診療所ですね」
「それじゃあ行ってみましょうか。今日は平日だし、昼間でも開いているでしょうしね」
そして二人は診療所へ向かった――。
「アレ? ……診療所、開いていないんでしょうか?」
法子は診療所が静かなことを察して、首を傾げる。
八雲は建物の前にある診療日時が書かれた看板を見て、不思議そうに眉を寄せた。
「今日は休みの日じゃないし、診療時間内のはずだけど……開いていないわね」
正面玄関の鍵はしまっており、ガラス戸の向こうを見ても誰もいない。蛍光灯もついておらず、診療所内は暗かった。
「――法子、裏口に回ってみましょう」
「はっはい……」
胸騒ぎがした八雲は真剣な顔付きで、法子と共に慎重に裏口へ回る。ところが裏口のドアの鍵はかかっておらず、簡単にドアノブは動いた。
八雲は法子より先に中へ入って気配を探ったが、何の気配も感じ無い。
「……気を張りすぎたかしら? 淫魔は昼間には活動しないし、ただ単に出勤しても診療所を開けていないだけなのかも……」
低く呟きながらも、ゆっくりと診療所内に足を踏み入れた。
「法子、いつもの診療室へ行って見て。私も奥寺先生の診療室へ行くから、何かあったら大声を出すのよ」
「分かりました」
法子も緊張した面持ちで、通い慣れた村林の診療室へ行く。
「村林先生……、いらっしゃいますか?」
引き戸をゆっくりと静かに開けるも、中には誰の姿もない。
「変ね……。裏口の鍵を閉め忘れて、今日はまだ出勤していないのかな?」
不安げに法子は、診療室をキョロキョロと見回す。すると部屋の奥の隅に、一通の封筒が落ちているのが眼に映った。
「ここの先生の落し物かな?」
法子は封筒を拾い上げて見ると、消印が二年前の郵便物であることを知る。何となく気になった法子は中の手紙を取り出して、読んで見た。
そこに書かれた内容を見て、慌てて手紙を握り締めたまま八雲の元へ走って行く。
「やっ八雲先輩! この手紙、読んでみてください!」
「どうしたの? そんなに慌てて」
無人の診療室を調べていた八雲は法子の剣幕に驚きながらも、手に握らされた手紙を開いて読む。
「……なっ!? コレ、どういうことなの?」
手紙に書かれていたのは、二人にとって衝撃的な内容だった――。
手紙を送ってきたのはこの診療所に長年通院していた老人女性からで、送った相手は医院長らしい。
老人女性は医院長からこの診療所を閉めることを言われた為、長年の礼としてこの手紙を書いて送ったのだ。
しかし手紙には、この診療所のことについても詳しく書かれてある。
元々この診療所は、代々医者の一家が経営をしていた。
そして二年前まで医院長だった年老いた男性医師が、医大を卒業した一人息子が跡を継ぐと思い、この診療所を改装したらしい。
しかし息子は大学でしていた研究が世界に認められて、医者ではなく研究者になることを決めた。
医院長は残念がったがそれでも息子の功績を喜び、この診療所を終わらせることを決めたらしい。
なので老人女性は長年世話になったことの礼を、丁寧に手紙に書き綴っていた。
「……多分ですけど、その医院長はこの手紙を読んだ後、昨夜の私と同じで診療所に置き忘れてしまったんでしょう。部屋の隅の方にありましたから……」
いつも治療を受ける時には視界が届かない場所にあったということは、その可能性は非常に高い。
「そう……。でもそのおかげで、知りたくないことを知ることができたわ」
八雲は手紙を封筒に入れると、診療室の周囲を改めて見回す。
「私達は奥寺先生と村林先生から、『この診療所の関係者が神器省と関わりがあって、夜間にだけ特別に貸してもらっている』という説明を受けていたわね?」
「はい……。でも本当は違ったんですね」
既に法子も気付きつつある。
診療室は、綺麗過ぎたのだ。普通の診療室ならば置いてあるはずの医療道具が、ほとんど見当たらない。八雲と法子に不信感を抱かせない程度の物しか、置いてないのだ。
机の引き出しを開けて見ても、中は空。本棚にも何も入ってなく、医薬品も勿論置いてない。
「『診療所は綺麗で清潔な所』という思い込みと、『追い詰められていた精神状態で、深夜に治療を受けている』ことで、判断能力が鈍っていたのね。……退魔師として、情けないわ」
「やっ八雲先輩、では私達に治療をしていた二人は……何だったんでしょう?」
法子の顔に、怯えが浮かぶ。最早人間を表す『誰』とは言えず、頭の中が混乱してくる。
八雲は顔をしかめながらも、法子の腕を掴んで診療室を出た。
「とりあえず、法子の携帯電話を見つけるわよ。そしたら神器省に連絡をして、ここを調べてもらいましょう」
「そっそうですね」
二人は更衣室に入ると、床に法子の携帯電話が落ちているのを見つける。
「やっぱりここにありました! ……でもこの更衣室、白衣の二人なら必ず入ってきて、落ちている携帯電話に気付くはず……ですよね?」
携帯電話を拾い上げた法子は、震える声を出す。
八雲は悔しそうに、前髪をぐしゃり……と手で乱暴にかき上げた。
「……悪い予感ほど、当たりやすいものなのよ。――そう、『アイツ』らは更衣室なんて使う必要がなかったのね」
その後、二人は神器省に連絡をして、すぐに調査員達が診療所に訪れる。
そして半日が経過すると、分かったことがいくつかあった。
近所の人に聞き込みをしたところ、やはり診療所は二年前に閉院したそうだ。医院長は妻と共にアメリカにいる息子の所へ行ったらしく、残った診療所は売り出されたようだが、いつの間にかその看板が外れていた。
近所の不動産に連絡を取って、診療所の見取り図を手に入れる。それから診療所内をくまなく探すと、地下の物置部屋への扉が隠されていたことに気付く。
カモフラージュとしてか空の本棚が置かれており、それを避けると扉が現れた。扉を開けると、中から激しい腐臭が漂ってくる。
調査員と共に、八雲と法子は鼻と口をハンカチで塞ぎながら地下階段を降りると、たどり着いた物置部屋から死後一ヶ月は経過している腐乱した二体の遺体が発見された。
身に着けている物や床に乱暴に置かれた私物を調べてみたところ、奥寺と村林の『本人』であることが判明する――。
【新たな淫魔との対戦】
次の日の夜、八雲と法子は戦闘体勢を整えて、指定された時間にS公園へ訪れた。
公園と言っても遊具は少なく、広い敷地内には木や植物が多い。そのせいか怪しげな気配を持つモノがいても、気付きにくい。
だが完全回復とまでは言えないまでも、充分に休息をした八雲と法子は異様な気配の元へ真っ直ぐに歩いて行ける。
「アラ、二人共、どうしてそんな格好をしてきたの?」
「もしかして今夜は、深夜パトロールの当番なのかしら?」
奥寺と村林の姿をしたモノは、二人の姿を見て眼を丸くした。
「ふざけるなっ!」
険しい八雲の声が、はじまりの合図となる。
八雲と法子は霊刀を引き抜くと、奥寺と村林に向かって斬りつけた。しかし二人は身軽にヒョイっと避けると、後ろに飛び下がって距離を取る。
「いきなり斬りつけるなんて、どうしたの? 八雲さん」
「法子さんったら、今夜はせっかく最後の治療の日なのに……」
「あんな治療方法と新薬は開発されていないと、神器省に確認を取った!」
「よくも騙したわねっ!」
二人は退魔師として、そして一人の人間の女としてのプライドを傷付けられて、恥ずかしさと情けなさから顔を真っ赤に染めていた。霊刀を握る手もブルブルと震え、怒り心頭であることが見て分かる。
奥寺と村林に変身していた二人は互いの顔を見合わせると、大きく息を吐く。
「……後もう一歩だったのにね」
「やっぱり場所を変えたのが、ダメだったのかなぁ?」
甲高い少女の声が二人の口から出た瞬間、その姿は全身黒く染まり、ぐにゃり……と歪む。
眼を見張る八雲と法子の前で、徐々にその姿は同じ顔をした二人の美少女へと変わっていく。
「でもどうしてバレたの?」
奥寺に変身していたナグは、不思議そうに首を傾げながら問いかける。
「二日前の治療の後、法子が診療所内に携帯電話を置き忘れたんだ。場所は更衣室、見つけなかったのがお前達の失敗だったな。おかげで昼間に診療所へ行って診療室の異常さに気づけたし、二人の遺体も発見できた」
八雲が苦々しく答えると、ナグは肩を竦めて頭をゆっくり横へ振る。
「更衣室なんて最初にあの診療所へ来た時以外、入らなかったわよ。まさか忘れ物をされるなんて、ね」
「案外ドジっ娘なんだねぇ~♪ 法子ちゃん」
イェグにクスクスと笑われて、法子は怒りで頭の中がカッと熱くなるのを感じた。
「黙れっ! よくも私達を弄んだ挙句、仲間を殺したわね!」
「ああ、あのオバサン二人組のこと?」
「イェグ達が変身するのに、ちょうど良かったんだよね~」
罪悪感が全くない二体の淫魔は、ケロッとしている。
八雲は霊刀の切っ先を二人へ向けながら、眼を細めた。
「どうしてこんな回りくどいことをした?」
「最初は『シャドウを倒した退魔師』としてしか、興味は持っていなかったわ。それとまあ『割と戦える人間のメス』ぐらいの認識ね」
「でも見続けているうちに、イェグ達好みに調教したくなっちゃったんだよ♪ でもあんな治療方法、普通あるわけないじゃん。気付かないなんて、よーっぽどお疲れだったんだね」
ナグとイェグは意味ありげに笑う。
八雲と法子はあの淫らな治療を思い出して、悔しそうに唇を噛む。
冷静に考えてみれば、確かにあんな治療方法が存在するはずがない。――今はそう思えるのだが、一ヶ月前までの自分達はそれすら気付けないほどに弱っていたのだ。
「でも私達がしてあげた治療のおかげで、シャドウが残した傷は癒えたでしょう?」
「随分と無謀なことをし続けているから、何とかしてあげたくなっちゃったんだよね」
双子の淫魔はあくまでも、自分達がしたことは親切であるとでも言うように語る。
耐え切れなくなった法子は、八雲より一歩前に進み出た。
「ふざけないで! そもそも今夜、ここに私達を呼び出したのは何故なの?」
「そりゃあ、ねぇ。ここまで仲良くなったんだから」
「せっかくだしぃ、イェグ達のおウチに招待してあげても良いかなって」
それはつまり、二人を捕らえるつもりだったのだろう。
八雲と法子は厳しい表情で、改めて霊刀を握り締める。
「生憎と、屈辱の日々はもう飽きたのでな」
「ここでお前達を倒して、あの治療と称した陵辱のことを乗り越える!」
「ふふっ、可愛らしいほど勇ましいわね」
「今なら全力で戦えるだろうし、頑張って♪」
ナグとイェグはまるで、他人事のように嘲笑う。
それが余計に、八雲と法子の怒りに火をつけることを分かりながら――。
「舐めるなよ! 淫魔め!」
「ここで決着をつける!」
そして闇色に包まれた世界で、戦いの火花が散った。
これはbc8c3zがあらすじ・設定を作り、それを元にある方に書いてもらった綾守竜樹先生著・魔斬姫伝の2次創作です。
綾守竜樹先生のファンの方に読んでいただければ、それに勝る喜びはありません。
一瞬でも先生がいなくなったことの皆さんの孔を埋めれれば幸いです。
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よろしくお願いします。